農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係202045

新型コロナ 外食自粛で米消費が減少 産地は一転、減産を考えるべきとき?

今日の日本農業新聞が米産地の20年産主食用米作付けに関し、次のように報じている。

 「米産地が、業務用向けの多収性品種の生産・販売を強化している。農水省が設定した2020年産米の産地品種銘柄数は前年から45増え、869となった。新たに設定された銘柄は「つきあかり」「ちほみのり」など、多収が見込める良食味品種が目立つ。堅調な需要が見込まれる中食や外食向けに、産地がJA全農や米卸と連携して多収性品種の導入を積極的に進めている」20年産米 産地品種45増869銘柄 多収で良食味拡大 業務用販売を強化 日本農業新聞 20.4.5

 各産地がこのような計画を決定したのは、昨年末か今年年初にかけてのことであり、日本が新型コロナ騒ぎに巻き込まれる以前ことだ。

 だが、突如襲った新型コロナ禍、一斉休校で給食需要が減り、国や自治体が要請する「不要不急」の外出自粛で外食需要が激減、飲食店の臨時休業も続発する至った今、これを何のことわりもなく報じることには「違和感」を覚えざるを得ない。

 休校や飲食店休業などのコロナ対応措置がいつまで続くのか不透明だし、それが米需要にどれほどの影響を与えるかも未だ不透明だ。しかし、外食による米消費の減少は少なくとも1年程度は続き、20年産米消費も減少が避けられないようにみえる。

米国機構の米消費動向調査は、今年2月の中・外食一人当たり米消費量が前月の1510グラムから1432グラムに落ち込んだことを示している。平成314月(1690グラム)以来の最低レベルだ。外食減少・休業が一層進んだ3月の数字が出れば、一層厳しい状況が明らかになるだろう。

 外食の米消費減少が家庭内での米消費増加に結びつく可能性がないわけでない。しかし、それも一時的現象にとどまり、長期的な米消費減少傾向に歯止めがかかるとみるわけにはいかない。「2月末からスーパーなどの店頭では消費者がコメを買い込む動きがみられるが、『需要の先食いにすぎない。むしろ反動による先々の販売不振を恐れている』(関東のコメ卸)との見方が多い」という報道もある(コメ需給が緩和、外食店の販売不振で 2月DI調査、前月比8ポイント低下(日本経済新聞 20.3.5)。

とすると、中食・外食の「堅調な需要」を当て込んでの「多収米」の増産は米価の暴落につながる恐れが強い。それは、「『高齢化』『後継者不足』などでいつ生産をやめてもおかしくない状況が続いている」「農家の米作りからの総撤退」を招くい恐れさえある(どうなる20年産米価!? 暴落の恐れ強まる 古米在庫・消費税増税・新型コロナ・・・ いま米価の安定が急務 『農民』 1403号 202046日 1面)。

このような状況を考えるとき、今からでも遅くはない。少なくとも20年産米については、農家は「自主減産」を考えるべきではなかろうか。外食自粛が国の要請に基づくものである以上、国に対しても農家所得補償や備蓄米買い上げなどの緊急市場介入を要求すべき理由もある。