農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係20206月9日

フランス山地農業がわが故郷・南信州にやってきた

 新型コロナ時代に求められる持続可能な農業経営の理想型の一つがここにある。やや古いデータだが、フランス山地の山羊経営の50%が自家加工を、60%以上が直接販売を行っている(フランスの山地農業経営に関するいくつかのデータ 日本農業新聞の小文への補足 農業情報研究所16.4.9

 だが、日本では、この山羊たちも「放牧禁止」となるのだろうか(全ての豚・牛諸君 避難小屋に集まれ 猪、鳥が来るぞ! 農業情報研究所 20.6.8

ヤギのチーズ工房オープン ミナミシンシュウ 20.6.9

売木村でヤギを飼育する後藤宝さん(58)がこのほど、同村南部第一地区にチーズ工房をオープンした。朝夕に手搾りするミルクで作るフレッシュチーズやシェーブルチーズ、アニメをイメージした「ハイジのチーズ」などを販売。新型コロナに伴う移動自粛で来店者が見込めなかったため、5月はチーズの熟成に専念。非常事態宣言が解除され、いよいよ販売を本格化する。

 神戸市出身の後藤さんは、脱サラして福井県に移住し、有畜による循環型農業を約20年間営んだ。テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の世界観、中でも暖炉にかざしたチーズがとろける場面に憧れ「あんな生活がしたい」とヤギの飼育を開始。2007年からチーズづくりを手掛けるようになった。

 そんな後藤さんが売木村に移り住んだのは14年12月。かつて盛んだった畜産が衰退する中、牧場の活用による地域振興を目指す同村の誘いを受け、より「ハイジに近い生活」を求めて、ヤギ27頭とともにやってきた。

 村が改修したミルク加工施設を活用し、うるぎ温泉こまどりの湯駐車場前で、ヤギミルクやヤギミルクのソフトクリームを販売し、観光客らの人気を集めてきたが、移住して最もやりたかったことがチーズづくりだった。

 新たな加工施設を建てる設備投資が必要なため具体化しないまま時が経過して「半ばあきらめていた」というが、「売木の自然が育む特産品をぜひ作って」、「山村での新しい生き方を示してほしい」と村内外からの出資があり、夢の実現へ新たな一歩を踏み出した。

 「この年で新しいことに挑戦するのは、正直不安も大きかった。それでも思い切れたのは、やっぱり好きだから」と笑う後藤さん。特産品化や販路拡大を進め、チーズやミルクなどの販売で成り立つ経営を目指すとともに、後に続く仲間も増やしたい考えだ。

 「夏は涼しく、冬は程よく乾燥する気候は、ヤギの飼育にとても適している。イタドリやクローバー、ヨモギにイネ科の雑草と、食べる牧草も甘みがあっておいしいよう。質の高いミルクがとれている」と胸を張り、「ぜひ多くの人に味わってほしい」と期待する。

 同工房をはじめ、道の駅「南信州うるぎ」や根羽村の「ネバーランド」、豊田市稲武の「どんぐりの里稲武」で店頭販売する他、全国発送も行う。同工房のみで扱う商品もある。

 同工房に向かう道中では、牧草地で草をはむヤギたちの姿を楽しむことができる。問い合わせは後藤さん(電話090・2031・8211)へ。