農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係2020619

 

的外れ 自民党「農産物輸出拡大」提言 国内市場開拓が先決

 

自民党が18日、農家の所得増につながる「稼げる輸出」を提言したそうである。

 

「輸出に各段階で関わる事業者の参入促進と支援が不可欠として、生産段階では、輸出先国の需要や規制に応じた産地づくりを進める。輸出額で多くを占めている加工品は、原料の国産化に向け、産地と連携した開発を推進。物流面では、鮮度や品質を保てるよう、日本の規格や技術を活用したコールドチェーンの整備をアジア諸国に働き掛ける。
 海外市場の徹底的な調査や分析も求める。日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)は、政府が目標年度とする10年後を見据えた需要情報を産地に提供。日本食文化の発信や、中国を最優先に輸出規制の緩和交渉も強化する」という(
「稼げる輸出」提言 自民対策委 骨太方針反映求める 日本農業新聞 20.6.19)。

 

新型コロナ禍で、これまで「日本食」を提供してきたであろう海外のレストランも、次々と休業や廃業に追い込まれている。パンデミック収束による再開は予想されるものの、もとどおりに戻るには長い時間がかかるだろうし、戻らないかもしれない。

 

この機に及んでこの提言、的外れとしか言いようがない。いま何よりも必要なのは海外ではなく、国内市場の開拓だ。コロナ禍の副産物として強まりつつ生産者と消費者との直接的なつながりがその絶好の機会を提供している。いまこそ、高品質で、安全で、環境に優しい方法で生産された高付加価値商品で消費者の心をつかみ、あわよくば輸入品に奪われた市場を取り戻すチャンスではなかろうか。

 

ときを同じくして、JAグループは、「食料・農業・地域政策の推進に向けた政策提案」をまとめた。「コロナ禍で国産農畜産物を応援する動きや、原料を国産に切り換えようという動きが出ていることに加え、低密度の地方が再評価されているなどの動きをふまえ、これまでの過度な国際化、自由化を是正し、国内労働力の確保による生産基盤の強化、国産への需要喚起による安定供給と消費拡大策などを政策要望していく。また、過度な一極集中を是正するため農村の総合的振興による地方回帰の促進も提起している」(国産応援を食料安保強化へ JAグループ政策提案 農業協同組合新聞 20.6.18)。

 

   この方がよっぽど気が利いている。安倍政権の「成長戦略」にはカビが生えている。