農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係20206月23日(24日増補)

 

今さら何を 中山間地 支援対象そのものが消えて行く

 

 「総務、国土交通両省は2019年度、水田などの維持保全や草刈り、道路修繕、冠婚葬祭をはじめとした日常生活の相互扶助など、集落の機能が維持できているかどうか全国の状況を調査した。

 

 
 調査対象となった集落は6万3237件。このうち、集落の機能が「維持困難」と回答した集落は2618件だった。

 
 「維持困難」の集落を地形で分けると、山間地が76%と大半を占めた。次いで中間地が19%。平地が5%、都市的地域は0・3%と少なく、条件不利地の中山間地の厳しい実態が浮かび上がった。

 
 市町村の本庁舎までの距離で「維持困難」の集落を分けると、20キロ以上離れている集落が43%を占めた。次いで10キロ以上20キロ未満が34%。市役所や町村役場から遠い集落ほど機能の維持が危ぶまれている。


 「機能低下」と回答した集落は1万893件。そのうち山間地は51%、中間地は29%。「維持困難」と同様に中山間地が多い。本庁舎までの距離も20キロ以上が32%、10キロ以上20キロ未満が32%と、距離が離れている集落が大半を占めた。

 

 一連の調査結果は、農水省が新たな食料・農業・農村基本計画を踏まえて、5月から始動させた「新しい農村政策の在り方に関する検討会」で報告した。農業や暮らしに関わるさまざまな機能を維持するのが難しい集落が増える中、検討会は、地域を支える体制の構築を重視。自治体職員ら集落を支える人材を確保・育成するための仕組みづくりを論点に挙げた。]


   集落機能 中山間ほど 維持困難 人材確保が急務 政府調査 日本農業新聞 20.6.23

 

こんなことはとっくの昔に分っていたことだ。「集落を支える人材」の「確保・育成」も集落の存続を前提にしている。中山間地農業(経営)の持続性を確保するための所得補償や産品の高付加価値化支援なくして集落再興もない。

 

  例えば、耕作放棄された棚田地帯に牛を放てば、牛が「水田維持保全や草刈り」などの「集落機能」を果たしてくれると同時に、山地農業経営に収益ももたらす。何故、「棚田地帯を生かす和牛の放牧をいかに推進し実践すべきか」を議論しないのだろう(【今村奈良臣のいまJAに望むこと】中山間地域、とりわけ棚田地帯を生かす和牛の放牧をいかに推進し実践すべきか 第1回~7回 農業協同組合新聞 2019拙稿:水田放牧の本格的支援を 中山間地に希望の種  日本農業新聞 15.4.3 第2面 万象 点描)。

 

 (おまけ

 

 「循環型の環境づくりにこれほど役立つ動物はないということですよ。自然に生えた草を食べ、ほぼそれだけで生きていける。おかげで荒れ地は木が茂ることもなく、牛ふんで豊かになり、いつでも農地として使える状態に保たれるのです」

 耕作する者を失った被災地の農地は荒れ放題となり、かつての水田にはヤナギなどの樹木が生い茂っている。

 ところが牛の放牧を続けた坂本さんの約四ヘクタールの水田は、雑草が生える程度で樹木などは見当たらない。

 隠れる場所がない農地には野生動物もすみ着きづらい。

 「日本中に荒れた農地はたくさんある。牛を使って農地を保全するシステムをつくれば新しい農業が生まれる。何もなくなった被災地で、そのモデルをつくればいい」。坂本さんはさらに続けた。

 「避難生活の中で食の大切さをあらためて学びました。もともと日本は水に恵まれた農業の国です。原発事故から立ち直るには、原点に戻って農業を振興するのがいい。この福島から始まるのがいい」

 <ふくしまの10年・牛に罪があるのか>(7)農業の国に戻ろう 東京新聞 20.6.24