農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係2020年8月13日

 

食料自給率向上のためには何が必要か

 

新型コロナ禍で世界の食料供給チェーンが混乱に陥る中、大半の食料を輸入に頼る日本の食料安保が危うい、自給率向上に本気で取り組めという論調がかつてなく高まっている。

 

ただし、どうしたら食料自給率を引き上げることができるのか、それ自体が混乱している。

 

自給率向上のためには国産品消費拡大が必要なことは明らかだ。だが、例えば今日の北海道新聞社説、「国産食材の消費拡大を図るためには、生産基盤強化が欠かせない。国は農業就業人口を増やし、持続可能な産業にする道筋を示す必要がある」と言う(食料自給率低迷 持続可能な回復策必要 北海道新聞 20.8.13)。

 

日本農業新聞論説は、自給率向上には「基盤強化」と「国産需要の拡大」の両輪が必要、「二ーズに即した生産の強化とともに、消費者が国産を積極的に選ぶ機運を高めたい」という(自給率40%割れ10年 低迷の責任 国は自覚を 日本農業新聞 20.8.7)。

 

しかし、国産品消費の低迷は「生産基盤」が「弱体化」しているためではない。むしろ、国産品消費の低迷が生産基盤の弱体化を招いているのである。国がいかに「生産基盤強化」を叫んでも、生産基盤弱体化が止まらないのはそのためだ。(「生産基盤弱体化→国産消費減退」でなく、<天賦の資源=土地の差のために価格では対抗できないような安価な>「外国産産品の流入→国産消費減少→生産基盤弱体化」)

 

だから、自給率向上の鍵は、いかして「消費者が国産を積極的に選ぶ機運」を高めるかにある。

 

そのお手本がフランスにある。フランスでは、原産地呼称・地理的表示・伝統的特産品・山地呼称などの品質保証政策(フランスの農畜産品品質マークの現況 農業情報研究所03.5.27)、厳しい食品安全基準や動物福祉・環境保全基準とその適用が、消費者を安いだけが取り柄の輸入産品から遠ざけ、国産農産物・加工食品の販路の確保を可能にしてきた。

 

日本に必要なのは、こうした品質保証政策、食品安全政策、家畜福祉・環境保全政策である。それが自ずと持続可能な農業経営と自給率向上につながる。