農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2015年6月10日

東京新聞特報記事「長崎語り部の苦悩」 政治的中立を盾に政治化する教師の批判と思いや・・・

 今日の東京新聞「こちら特報部」が「長崎語り部の苦悩」を取り上げている。

 長崎語り部の苦悩 東京新聞 15.8.10 朝刊 20面 21面

 語り部の一人である元小学校教員の森口貢さん(78歳)が昨年5月、講和中に横浜市の公立中学の男子生徒数人から「死に損ない」と暴言を浴び、さらにこの生徒らが「おい、手をたたけ」と他の生徒らをたきつけたのに引率の先生は何もしなかったという話し、やはり昨年7月、語り部の末永浩さん(79歳)が島原市立有明中の全校生徒を前にした講和の中で「原発は核兵器と同じから反対」と説明すると、校長が被爆体験を話すならいいが原発問題を「一方的に」話されたのでは「政治的中立」が保てないからと制止されたという話し、などだ。

 この日にこの話題、さすが特報部と読み進むうち、突然ガクンときた。こういう話しのあと、例によって批判的な「専門家」を登場させ、「最後まで話を聞かせ、教師が『あれは被爆者の意見』と、もう一方の立場を補足説明すればいい・・・小学高学年になれば判断力は身につく。もっと子どもを信頼するべきだ」と言わせる。

 記事は「政治的中立」を盾に政治権力を擁護・支持する教師たちの「政治化」を批判しようとするものと思ったのだが、どうもそうではなかったらしい。教師は「あれは被爆者の意見」と補足説明せねばならない。何のために?政治的中立を守るために、だ。

 こんな補足説明を受けた子どもたち、あのお年寄りの話しは本当だと思ったけれど、先生によるとそうでもないらしい。ひょっとして、あれは少数の特定の人たちの普通でない意見かもと思うかもしれない。ここでも、教師たちは政治的中立を理由に、子どもたちの自由な判断を邪魔し、政治的に行動していることにならないか。

 それしてもここに登場する教師たち、何のために教師になり、教師をしているのか。子どもたを権力の生贄にするためではあるまい。恐ろしい世の中だ。権力批判者も、それと気づかず、いつの間にか権力に取り込まれている。「中立」こそ最強の権力擁護である。