農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2014年2月25日

大雪による「成長部門」の甚大な農業災害 日本農業の将来と食料安全保障に暗雲 

 今月初旬、中旬に日本列島の大平洋側を襲った記録的大雪による甚大な農業被害とそれに伴う野菜等価格の高騰が、連日、マスコミを賑わしている。ただ、今回の農業大災害が日本農業の将来に投げかける黒い影には、マスコミもまだ気づいていないようだ。

 今回の農業災害の最大の特徴は、被害が(日本海側では今までも当たり前となっていたような)大雪を経験したことのない地域の施設型農畜産(果樹、野菜、畜産)に集中していることである。これら部門は、もはや成長が見込めない「稲作」部門に代わって日本農業の成長をリードすべき「成長部門」と目されているものだ。農業所得倍増の勇ましい掛け声も、こうした「成長部門」なしでは生まれようがない。ところが、今回の災害は、この「成長」部門への期待を打ち砕くものではなかったのか。

 しばしば「稲作偏重」と批判され、それからの脱却の必要性が強調される北陸、東北日本海側の稲作地帯でも、果樹・野菜・畜産の導入の努力がなかったわけではない。しかし、それを阻んできたのが、まさに豪雪であった。稲作偏重は、何よりも、この厳しい自然条件の結果であった。長期的な気候変動の結果かどうかは別としても、今回の大雪は、今後大平洋側も、しばしば日本海側のような豪雪に見舞われることになるかもしれないと予感させる。

 もしこの予感が当たっているとすれば、日本農業と農民、そして食料安全保障は深刻な危機に直面していることになる。今年世界を襲った異常気象は、農業と食料安全保障への懸念を世界中で掻き立てている。イギリスでは農民・環境グループが、今年の未曾有の大洪水が国の食料安全保障を脅かすと警告している(Severe floods 'threaten food security', say farmers and environmental groups,Guardian,14.2.8)。アメリカではオバマ政府が、農民が干ばつ・外来病害虫侵入・火災・洪水などの気候変動リスクに対応するのを助ける七つの地域”気候ハブ”の創設を発表した(Secretary Vilsack Announces Regional Hubs to Help Agriculture, Forestry Mitigate the Impacts of a Changing Climate,USDA,14.2.6)。日本は未だ目覚めないのだろうか。農業・農村所得倍増!などと寝ぼけている。