大鹿村 リニア工事開始に同意 国・中央に蹂躙され、分裂・瓦解に向かう沿線地域コミュニティー

農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2016年10月22日

  先日触れた大鹿村(「地方創生回廊」は「地方葬送回廊」 リニア中央新幹線に踏み潰される大鹿村 )が、ついにJR東海リニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区の工事開始に同意した。 反対住民が「もっと住民の方を向いて」と叫ぶなか、「密室」で開かれた村議会が 4対3の僅差で決めた。

 「村議八人が集まった村役場の一室では、近くに異例の規制線が張られ、一時間半の議論が続けられた。複数の村議によると、途中まで賛否を保留する村議もおり、最後まで同意に至るかは分からない状況だったという」(“密室”で僅差の賛成 リニア工事着工、大鹿村議会同意(長野) 中日新聞 16.10.22)。

 信濃毎日新聞は、この同意は「民意をくみとったのか」と批判する(リニアに同意 民意をくみとったのか(社説) 信濃毎日新聞 16.10.22)。民意に逆らう決定をした村長と4人の村議に一体何があったのだろうか。証拠に基づかない議論に価値を置かない小生には気が進まないはなしだが、少なくとも結果的には、「長いものには巻かれろ」という容易な世渡りの知恵に逆らえなかった、そういう知恵を乗り越えることができなかったということだろう。

 実際、阿部守一長野県知事は「着工が広く県の地域振興につながる第一歩となると期待している」と、この同意を歓迎している(中日新聞 同前)。そして、阿部知事の上には、リニア中央新幹線とその大阪延伸を成長戦略の目玉として国家的プロジェクトに祭り上げる安倍総理大臣がいる(安倍首相、リニア延伸前倒し表明 最大8年、国が資金支援 産経 16.6.1)。

 下手に逆らえば、成田、、沖縄、どんな仕打ちを受けるか分らない。長いものには巻かれろとなるのも無理はない。

 しかし、信濃毎日新聞社説は言う。「県内のリニア工事は、南アルプストンネルのほか、伊那山地トンネルや中央アルプストンネルといった長大トンネルが控えている。関係市町村が今後、同様の対応を続けると、住民と自治体、JRの信頼関係は築けない。・・・住民が理解し納得しなければ、予定通りに着工できたとしても工事を円滑に進めることは難しくなる」。

 それだけではない。工事を受け入れようが、受け入れまいが、沿線地域コミュニティは蹂躙され、分裂、瓦解してしまうだろう。「地方創生回廊」は「地方殲滅回廊」となる。安倍成長戦略の本性である。TPP、農政改革、原発・・・みな同然だ。