PKO交代派遣部隊訓練 唖然とする「住民暴徒化」という想定 隊員全員が討ち死に間違いなし 

農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2016年10月25日

 陸上自衛隊が24日、11月に南スーダン国連平和維持活動(PKO)に交代派遣される部隊による「駆け付け警護」などの新任務の公開訓練を岩手県陸自岩手山演習場(滝沢、八幡平両市)で行った。

 「駆け付け警護の訓練では、住民が暴徒化し、建物内に残された国連職員を保護する場面を想定した。軽装甲機動車で接近し、拡声器で住民に道を開けるよう警告。要求に従わなかったため、盾を構えた隊員と銃を携行した隊員が、機動車とともに進行して暴徒を排除し、職員を保護した。

 宿営地の共同防護の訓練は、他国軍が宿営地を警戒中に住民が暴徒化したとの想定。陸自は他国軍と共に、投石などをする住民に備えた。他国軍が警告を続けているときに、銃を持った暴徒を陸自が発見、陸自も拡声器を使って警告した」そうである(<駆け付け警護>陸自 暴徒排除を想定し訓練 河北新報 16.10.25)。

 あり得ない想定である。荒唐無稽を通り越し、お笑いの世界だ。南スーダンの一般住民が今できることは、自分の命を守るために政府軍と反政府軍の交戦から逃げ惑うことだけだ。ジュバはいまのところ比較的平穏である(稲田防衛相)としても、反政府軍による反乱は国中に広がっており、多くの住民は来るべき一層の流血を恐れ、ウガンダやエチオピアに逃げ出している(臨時特集緊迫する南スーダン情勢)。住民が暴徒化して国連職員や他国軍を襲うなど、PKO派遣他国部隊を慰問する劇団が演じる喜劇のネタにもならない。

 実際、「九月に首都のジュバ市内で避難民支援を行ったNPO『日本国際ボランティアセンター』スーダン事業現地代表の今井高樹氏(53)は『仕事を求めるデモが押しかけて、国連職員を救出する必要が生じる事態など聞いたことがない』と指摘。現地では、政府の賃金未払いに対するデモは珍しくないが、国連職員を救出するような事態は起きていないという。今井氏は『事態が悪化するとすれば、それはデモではなく最初から国連に敵対感情を持った行動だ。自衛隊が対応するのはリスクがある』と話した」(陸自、武器使用は見せず「駆け付け警護」訓練公開 東京新聞 16.10.25 朝刊)。

 「最初から国連に敵対感情を持った行動」があるとすれば、それは住民ではなく、政府軍か反政府軍の行動だ。ここは高江ではござんせん。こんな出で立ちで「対応する」交代派遣自衛隊員、全員討ち死に間違いなしだ。喜劇はとんでもない悲劇に転ずる。稲田防衛相、安倍首相が演出する自衛隊史上最悪の悲劇である。喜劇の舞台は、ジュバで7月に起きた大規模な武力衝突が「戦闘行為」か「衝突」かと争う日本の国会にのみある。