農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2014年8月27日

3本の矢 的が外れた FT紙のアベノミックス総括記事より

 8月26日付のフィナンシャル・タイムズ紙が、「的が外れた」と題してアベノミックスの成果を包括的に評価する記事を掲載している。ここでは、この記事の中から、「3本の矢、六つの障害―アベノミックスは何故ガス欠に陥った」のかを説明する六つの図を紹介しよう。それでも人びとはアベノミックスに浮かれ続けるのだろうか。

  Off target-Abenomics After the excitement about the effect of the Bank of Japan's aggressive stimulus,the economy has shown virtually zero growth(by Jonathan Soble),Financial Times,August 26 2014,p.7
    Abenomics: Off target,FT.com,14.8.26
    http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b26f3f52-2c35-11e4-8eda-00144feabdc0.html?siteedition=intl#slide0

    @消費税増税前後の実質DGP成長率

  

  今年4月の消費税増税前の大買い(駆け込み需要)の反動で、直後の経済は大揺れ。事前の大買いとその反動は1997年の消費税増税のときより大きい。今年半ばの日本経済は1年前を辛うじて上回るだけである。

 A通貨

 

 日銀による通貨刺激策の強化で株価は上昇したが賃金が上がらず人びとはより貧しく。賃金は上がり始めたが増税が不足を埋めるのを難しくしている。

 B貿易と円

 

 円は安倍内閣の下で20%も下落したが、かつてのように輸出の増加に結びついていない。2011年の東電福島第一原発事故以来の石油・ガス輸入増大で、日本は純輸入国に変わった。円安は貿易赤字を減らすのではなく増やす方に働いている。

 C自動車メーカーの生産と輸出

 

 問題は輸入増大だけではなく、円安に応じて輸出が伸びないことにもある。メーカーの海外生産シフトが進んだからだ。10年前に比べると、自動車の海外生産台数は倍近くに増えている。

 D企業の内部留保と投資

 

 企業は金欠なわけではない。企業の内部留保は1990年代末以後急増、GDPの60%を占めるにまでなっている。稼いだカネが投資、労働者、株主に行かないことが経済成長を妨げている。

 Eインフレ予測

 

 日銀はデフレ退治には年2%の コア消費者価格上昇が必要としており、来年または再来年までにはこの目標が達成できるとしているが、市場の見方は悲観的だ。