農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2014年9月13日

米価暴落 「農家がつぶれる」 政府も農協もなす術しらず 何が所得倍増だ

 米価暴落で東北米農民が存亡の危機に立たされている。

 JA全農山形が決めた2014年産米の概算金は、日本一のブランド米をめざす「つや姫」が前年を1200円下回る1万2500円、「はえぬき」が同2600円安の8500円、他の主要銘柄も8000円台だ。

 県内稲作農家からは、「このままでは農家をやめざるを得ない」、「政府は環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結を目指し、米国や豪州に対抗できる大規模化を進めようとしているが、これでは大農家ほど経営が厳しくなる」などの声が聞こえる。

 コメ概算金低調、農家から悲鳴 「言葉ない」「離農も」 山形新聞 14.9.13

 吉村美栄子知事は「つや姫」が前年を1200円下回ったことについて、県農協中央会の長沢豊会長らに対し「つや姫の販売は堅調に推移している。売れるのだから、概算金を下げずにやれないのか」と詰め寄ったそうである。会長は消費低迷によるコメ余り、概算金全体の下落傾向を踏まえたことを説明したが知事は納得せず、「諸般の事情はあるだろうが、つや姫は農業を救う奇跡のコメ。この金額では生産者の落胆が目に浮かぶ」と畳み掛け、「売れるのになぜ下げるの…」と繰り返したとのことである。

 つや姫1万2500円堅調 14年産コメ概算金 河北新報 14.9.13

 岩手県全農県本部が決めた主力の「ひとめぼれ」の概算金も1万円を割る過去最低となった。概算金の大幅下落は農家の資金繰りに大きく影響する。生産者からは「これでは赤字になる」、「農家がつぶれる」の声が上がる。

 農家悲痛「対策急がなければ」 県産米の概算金下落 岩手日報 14.9.11

 一関地方良質米生産確立生産者大会は、「「米価が3割も低下して生産費を大きく割り込み、生産者の生活と地域農業は瀕死(ひんし)の状態。大型経営体や集落営農組織ほど打撃は大きく、稲作は崩壊の危機だ。国の責任として主食のコメを守り、地域農業発展を目指す施策を強く要請する」との大会決議を採択」した。同県選出国会議員らに提出するという。

 「平泉米」拡大へ団結 一関地方生産者大会 農業強化策求め決議 岩手日日 14.9.13

 しかし、今の安倍政府には、そんな声は届かないだろう。規模拡大と飼料用米拡大、自力による販路拡大で乗り切れと突き放すに決まっている。そして、悲しいことに、全能のはずの全農もこの事態を前に、なす術を知らない。外食産業との連携も、価格維持に関しては頼りにならないだろう。

 何が「所得倍層」だ。政府・与党も、この錦の御旗を降ろすべきときだ。もはや、 新たな生消連携の構築と拡充以外、この苦境を乗り切る道はなさそうだ。