農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2014年11月4

防護服着ずに立つ福島高線量区域警備員 原発事故など怖くないの政府姿勢を象徴

  今日の東京新聞2面に大野孝志・山川剛史両記者による福島県内国道6号ルポ記事が載っている。

 「国道周辺は除染されたこともあり多少は放射線量が下がった。しかし富岡町で「ここから帰還困難区域」の看板を過ぎると、車内の線量計は上昇。国の除染の長期目標の四倍に当たる毎時一マイクロシーベルトを超えた。

 二マイクロシーベルトでアラームが鳴るように設定しておいた線量計は大熊町に入る辺りで鳴りっぱなしに。数値は上がり続け、福島第一から二キロ足らずの同町夫沢(おっとざわ)では、最高の五・五マイクロシーベルトに達した」という。

 ところが、帰還困難区域に許可なく立ち入るのを防ぐために設けられた集落入口の検問所では、警備員が防護服は身に着けず、マスクだけの軽装で立っていた。

 「線量が二・五マイクロシーベルトを超える場所では、放射線を低減するため足元に鉄板を敷いているものの、効果は限定的。話を聞こうとしたが、早く立ち去るよう促された。

 警備などの維持管理業務を発注している内閣府の担当者は「細かい労務管理は委託先の業者でやっている」と説明するにとどまった」とのことである。

 原発周辺、車内も高線量 国道6号ルポ:福島原発事故 東京新聞 14.11.4 朝刊 2

 それを聞いて思い出した。服部禎男電力中研元名誉特別顧問の名著?の中に記された次の想定問答である。

 ―原発周辺で作業する人や現地入りする政治家たちが、なんかすごそうな防護服を着ていますね。あれを見ると怖くなります。

 「あれほどのものを着る必要はないんだよ。たしかに多少の放射性物質は浴びることになるよ、でもね、そこから出る放射線なんかたいした量ではないんだから。周りの人に与える心理的影響のほうを気にするべきだね、まったく」

 ―ええっ、着なくてもいいんですか?

 「あんなものを着て作業したら、逆にそのことによって具合が悪くなるんじゃないかな。暑いし、重いし、疲れるし」

 ―じゃあ、土壌が汚染されてるって聞きましたけれど、それはどうなんですか?

 「たしかに場所によっては放射性物質が大量に飛散したところがあるけど、それも健康に害を及ぼすレベルじゃないし、放射性物質が飛んだ土壌の作物や畜産物だってなんら問題のないレベル。そんなことで農作や畜産ができなくなったほうがよほど大きな問題だよ。・・・一日も早く避難エリアの安全宣言を出して、避難住民に帰ってきてもらって、安心した暮らしを始めさせてあげないと。・・・」

 『「放射能は怖い」のウソ 親子で考える放射能Q&A』 武田ランダムハウスジャパン 2011年8月25日発行 30-31頁

 氏によると、トーマス・D・ラッキーなる生命科学者が大量の放射線を浴びるはずの宇宙に行った宇宙飛行士がかえって健康になっていることを発見、その後の研究で低線量の放射線であればかえって健康によいことが分かってきた、「現在、福島第一原発で問題になっている放射能では、一般人に健康被害などまったくないということです」(同書、はじめに)。

 これを要するに、防護服など無用で有害、レベル7程度の原発苛酷事故などまったく恐れるに足りないということだ。

 これは、原子力ムラを構成する一部の人々だけでなく、政府の本音でもあろう。でなければ、避難者に帰還を急かし(というより、賠償打ち切りで強要し)、一切の批判に耳を貸さずに原発再稼働に突き進むはずがない。防護服を身に着けないマスクだけの警備員の立ち姿は、目下の政府の原発に対する姿勢を象徴している。

 関連情報

 環境省が健康影響否定の中間案初期被ばくを過小評価(特報) 東京新聞 14.11.4 朝刊 22-23面
 福島原発事故による健康影響について、環境省の専門家会議は議論を続けてきたが、同省は先月、その中間取りまとめの案を公表した。内容は健康影響を否定する姿勢が色濃い。被ばくデータの欠如が問題視されながら、「事故が起きても大したことがない」という結論ありきの方針がうかがえる。再稼働の動きが強まる中、未来の事故の影響すら、すでに過小評価することを約束しているようにすら読める。 (榊原崇仁)