山田農相 口蹄疫で畜産農家に埋却地確保義務 そんなことが実現できるのか

農業情報研究所(WAPIC)

10.6.25

 山田正彦農相は24日、宮崎県庁での会見で、口蹄疫の発生に際し速やかに家畜を埋却できるように、「飼養頭数に応じた面積の埋却地をあらかじめ確保するように畜産農家に求めていく考えを示した」。規制の方法は、家畜伝染予防法の改正に盛り込むことを含め、今後検討するという。

 埋却地確保義務化へ 口蹄疫で農相 日本農業新聞 10年6月25日 第1面

 結構なことである。感染拡大阻止のためには患畜・疑似患畜の速やかな処分が欠かない。そのためには埋却地をあらかじめ確保しておく必要がある(→口蹄疫 畜産地帯は家畜処分の備えを,10.6.16)。しかし、畜産農家に対する法的義務づけでそれが実現できるのだろうか。狭い土地で数百頭、数千等、ときには数万頭もの家畜を飼う「土地非利用型畜産」が支配的な日本の畜産地帯において、こんなことが実際に可能とは思えない。仮に土地はあったとしても、大量の家畜を埋め立てるとなれば水汚染などの環境影響も公共の埋立地なみに評価せねばならず、畜産農家の一存で決められることでもない。また、環境影響や、埋却地の将来長きにわる利用禁止・規制を考えれば、そういう土地を絞り出すことも難しいだろう。

 だからこそ、「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」*も、と殺、死体の焼却等、汚染物品の焼却等、畜舎の消毒等の「まん延防止措置は、原則として家畜又はその死体等の所有者が行う」、「患畜等の死体及び汚染物品は発生地において焼却、埋却又は消毒をすることを原則」とし、「このため、都道府県は、家畜の所有者が患畜等の死体及び汚染物品の処理が速やかに実施できるよう、あらかじめ市町村等と協議を行い、その処理方法を検討するとともに、焼却、埋却等の場所の確保に努めるよう指導及び助言を行うものとする」としながらも、これを義務としなかったのではないのだろうか。

 畜産農家に埋却地確保を義務づけるのではなく、それが実現できるように助け、実現できるような環境を整えることこそ、国や地方自治体の責務ではないのか。このためになすべきことには、今回の口蹄疫渦を教訓に、現在の畜産のあり方を見直し、 ゆっくりでも着実に変えていくことも含まれるだろう。それとも、農相は、埋却地を確保できない畜産農家は切り捨てるという荒療治でも考えているのだろうか。 (それとも、ちょっと思いついたことを言ったまでのこと?それなら民主党の得意技だから分からないこともない)

 *http://www.sat.affrc.go.jp/joseki/Houki/KADENHO/2frame_FMD_boeki_SISIN.htm