口蹄疫 畜産地帯は家畜処分の備えを

農業情報研究所(WAPIC)

10.6.16

 6月15日の記者会見で「口蹄疫なんですけれども、特に、3万頭の疑似患畜が、なかなか作業が進まないということで、何らか、別の手なり、抜本的な対策取られそうなことってありますでしょうか」と問われた山田農林水産大臣が、「ワクチン接種した疑似患畜も、かなり、2万何千かありまして、実際に、ワクチン接種していない疑似患畜は、5千ぐらいまで、牛・豚合わせて、なりましたので、そこのところを、本当に早く処分したいと思ってまして。今朝も小雨のようでして、作業ができるかどうか、今、検討中だと聞いておりますので、何とか、早くワクチンを打っていない患畜、疑似患畜だけでも、早く処分するようにと指示したところです」、「患畜、疑似患畜、ワクチン接種後の患畜、疑似患畜も含めて、6月20日までに、何とか処分できればと思っております」と答えたそうである。

 http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/100615.html

 現場にいたわけではないので雰囲気は分からないが、言葉を見るかぎり、ずいぶんと危機感が足りないようだ。口蹄疫に関しては、発生が分かったら直ちに殺処分、埋却または焼却にかかるのが感染拡大を防ぐための鉄則と言われるのに、4月20日に陽性が判明した1例目こそ翌日には「殺処分等の防疫措置完了」とされているが、現在までに分かった289例までの全体で、こんな例はごく少数だ。処分は既に遅れに遅れている(下の図を参照)のに、まなじりを決して処分を急ぐ姿勢が感じ取れないのである。

 防疫措置完了までに要した日数別、防疫措置進捗状況別の口蹄疫発生事例数(6月14日現在)

(農林水産省資料:発生事例のリスト(PDF:93KB) より)

 診断・行政手続や埋焼却場所確保の遅れがとめどのない国中への感染拡大を招き、国の畜産に壊滅的打撃を与えることになったと批判された2001年のイギリスの発生についてみても、24時間以内に処分を完了した比率(%)は次のとおりだ。

病気コントロールセンター

発生数

24時間以内に処分を完了(%)

Carlisle 891 38
Newcastle 190 53
Dumfries and Galloway 177 51
Exeter 172 9
Leeds 140 77
Cardiff 101 65

 (http://www.cumbria.gov.uk/elibrary/Content/Internet/538/716/37826163827.pdf)

 日本ではなぜこれほどまでに遅れたのか。現在の宮崎については泥縄対応しかないが、今後に備えて徹底的に洗い直す必要がある。筆者が言わなくてもいいことかもしれないが、特に遅れの大きな原因が埋却場所の確保の困難にあるとすれば (徹底的洗い直しを待つまでものなく、その可能性は高い)、多頭数飼育が集中する地域では、環境影響や後の利用方法も考慮した上で、今すぐにも、いざというときの埋却場所の選定に取り掛かるべきではなかろうか。