農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係 2017年10月27日(29日追補

 所有者不明土地が北海道の面積に 増田寛也が「地方消滅の罠」第二弾

 土地、農地や林地など持っていても一文の得にもならない、却って暮らしの邪魔になる。そんな世の中だからこそ、「所有者不明」の土地が増え続ける。

 地方消滅論、または経済的に不効率な地域共同体切り捨て論で(悪)名を売った増田寛也元総務相を座長とする民間有識者でつくる研究会が26日、所有者の分からない土地が2040年に全国で約720万ヘクタールに達する、それがもたらす経済的損失は「所有者不明土地が障壁となり、公共事業が停滞したり土地が荒廃したりするなどの経済損失額が16年は約1800億円」だったが、「1740年の損失額は少なくとも累計で6兆円に及ぶ」と発表、マスコミを賑わしている(所有者不明土地による損失6兆円に 2040年、民間試算 720万ヘクタール、北海道面積に迫る 日本経済新聞 17.10.26)。

一体、何が言いたいのだろう。政府が6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針2017(骨太の方針)は、その「3.主要分野ごとの改革の取組」の「(2)社会資本整備等」の④で「所有者を特定することが困難な土地や十分に活用されていない土地・空き家等の有効活用」を取り上げている。

「共有地の管理に係る同意要件の明確化や、公的機関の関与により地域ニーズに対応した幅広い公共的目的のための利用を可能とする新たな仕組みの構築、長期間相続登記が未了の土地の解消を図るための方策等について、関係省庁が一体となって検討を行い、必要となる法案の次期通常国会への提出を目指す」という。そういう政府の経済政策方針の後押しをするというのだろうか。

しかし、これは本末転倒だ。少なくとも私的所有者には土地を有効に利用するすべがない、だから所有者不明の土地が増えているのだろう。作れば作るほど損をする農業、伐れば伐るほど損をする林業、この根本問題に取り組まずして土地の有効活用がどうして実現できようか。

放棄農地・林地の所有者が判明しても、所有者または所有者以外の者がそれを営農(林)のために活用できる機会は極めて限られている。メガソーラー事業などの環境(生態系)破壊事業が活気づくだけだろう。公共事業に利用すると言っても、地域社会を分断する産廃処分場、放射性廃棄物処分場(例えば福島県除染土の中間処分場)、リニア新幹線トンネル掘削残土置き場など、難航する迷惑施設建設の迅速化に役立つだけだろう。共助地域社会の発展や環境保全に寄与するとは思えない。さすが地方消滅の罠(山下祐一)をしかけた、「経済」、と言っても「都市経済」オンリーの増田寛也の面目躍如といったところだ。

(追補:29日)ともあれ、所有者不明土地問題を片付けないことにはリニアも通らない。安倍首相の顔も丸つぶれだ。増田報告、そんな晋ちゃんへの助け舟か(→所有者不明の土地問題はリニア新幹線にも影響する リニア中央新幹線の情報 17.10.27)。