太陽光・景観農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2017年1月19日

滋賀県 太陽光パネル設置届出制へ 琵琶湖岸風景保全のため・・・(時評日日より転載) 

  「太陽光発電パネルで琵琶湖岸の風景が悪化するのを防ぐため、滋賀県景観審議会の専門部会は17日、湖岸でのパネル設置を届け出制にすることを沿岸各市に求める方針を決めた」とのことである。 

 届け出対象には、湖岸近くでパネルを設置する民家や発電施設などを想定、届け出が必要なパネルの大きさなどは各市の判断に委ねる。高さ13メートル以上の設備は、対岸からの見え方の調査や、光の反射を抑えた色の採用をするよう指導ができる制度改正を求める。

 県内では湖岸にマンションなどを建てる場合、届け出や、対岸からの見え方を調査する必要がある。だが太陽光発電設備はほとんどの市で届け出対象となっていなかったという。

 琵琶湖岸の太陽光発電、届け出制に 滋賀県、景観影響に配慮 京都新聞 17.1.18

 景観保全のための同様の条例や指針を制定する自治体が急速に増えてきた(農業情報研究所:太陽光発電、メガソーラーと環境・自然破壊を参照されたし)。太陽光パネルがなぜそれほど嫌われるのか。日本人が美しいと感じる景観は、自然との共生や人々の共助を重視する日本人の伝統的な心を映し出す農村的風景だ。そんな中に忽然と現れる敷き詰められた太陽光パネルは、自然との共生のうたい文句とは反対に、金に目がくらんだ人々のすさんだ心の象徴になってしまった。各地で進む景観保全条例制定の動きは、かくてはならじと美しい心を取りもどそうとする動きの表れと歓迎する。

 ただし、問題はその実効性だ。届出があっても不適切なパネル設置を改めさせたり、差し止めることがでない。保守的な司法が、環境権、景観権をかたくなに拒んでいるからだ。

由布市湯布院町のメガソーラー計画に反対する地元住民は「環境権や景観利益が侵害される」として業者(金に目がくらんだ人)の開発差し止めを請求する訴訟を起こしたが、大分地裁は「現時点で、原告が差し止めを求める根拠となりうる権利、利益を持っているとは言えない」と請求をあっさり棄却した(メガソーラー環境権訴訟 差し止め請求棄却 大分合同 16.11.12)。

それどころか国立市「大学通り」の景観を維持せよとの市民の要望に応えて高層マンションの建設を規制する条例を制定した上原公子元市長は、市が業者から求められた賠償金を一人で支払わされる羽目に陥っている。東京高裁は「景観保護の公益性があったとしても、正当化できない」と上原氏に賠償を命じたからだ(国立市マンション訴訟 市民が基金設立へ 司法に代わって市民自治守る 時評日日 17.1.14)。

これでは、不適切なパネル設置の是正や中止を業者に求める首長も出て来ようがない。

景観権、環境権は現行憲法第13条の「幸福追求権」で保障されているという通説を頑として認めない司法、それが景観保全の最大の癌である。