農業情報研究所(WAPIC)

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2016年

 109 

 南スーダン反政府軍が南部戦略道路封鎖、和平協定破綻近しの観測も ジュバだけ視察の稲田防衛相に何が判る

 外交・防衛の専門家でもない私が口出しすることではないが、政府もマスコミも全く気にする様子が見えないから、敢えて南スーダン情勢に関する最新ニュースを紹介する。南スーダン反政府武装グループがイェイ市につながる主要・戦略道路を封鎖したという話だ。 

 イェイは南スーダン南部、ウガンダ・コンゴ民主共和国と国境を接し・首都ジュバの南西170キロに位置するイェイ川州州都である。封鎖された道路は南スーダンの死活的に重要な交易ルートをなし、その封鎖は反政府軍が政府軍に対する圧力を維持するために重大な意味を持つ。現地では、この封鎖は反政府軍がイェイとジュバを含む政府管理下にある町への大規模な攻撃を準備するもので、2015年の和平協定の破たんも近いと信じられている。

 

 South Sudan armed opposition blocks major roads in Yei state,Sudan Tribune,16.10.8

 

 ところで、稲田防衛相は8日、陸上自衛隊の部隊が国連平和維持活動(PKO)に参加するジュバに入り、道路整備などの活動に従事している現派遣部隊の宿営地や活動現場を視察した。治安情勢などを把握するため、南スーダンの政府や国連南スーダン派遣団の関係者とも意見交換した。安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」などの新任務を次の派遣部隊に課すかどうかの判断材料を得るためだという(南スーダン陸自宿営地を視察=「活動大きな意義」と訓示-稲田防衛相 時事 16.10.8)。

 

 PKO参加5原則の第1項は「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」と定める。今のジュバを見るかぎり、この原則は満たされていると「判断」されるだろう。しかし、明日のジュバは反政府軍と政府軍の銃弾飛び交う戦闘区域となっているかもしれない。今のジュバが平穏状態にあることは、わざわざ現地に行かなくても分る。こんな現地視察に何の意味があるのだろう。

 

 PKO参加5原則の第4項には「上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること」とある。ジュバに駐屯してPKO活動に従事していた中国部隊、政府軍と反政府軍の間で交戦が繰り広げられていた今年7月、武器や弾薬も残したまま逃亡したという(南スーダン:中国が派遣したPKO部隊、持ち場を捨て逃亡 朝鮮日報 16.10.8)。

 

 そんな田舎の草野球(ミットモナイ)をしたくないなら、稲田防衛相、イェイにまで足を伸ばすべきだろう。新任務を課すかどうか、そこで判断することだ。もっとも、そんなことをしたら途中で撃ち殺されるかもしれない。やっぱりジュバだけ見て、雑兵は死んでもいいから突撃!てなことに。 

 

 関連ニュース

 Machar calls on UN Chief-designate to help resolve South Sudan conflict,Sudan Tribune,16.10.9

 His faction has also declared an "armed resistance" against President Kiir’s government and has been organizing forces for coordinated assaults with other rebel groups on main government’s controlled towns

  

 36

 「ふくしま」はいついつまでも原発頼み?福島県内で水素発電実証実験と

 安倍晋三首相が5日、視察先の福島県楢葉町で、「32年には福島で再生エネルギーから燃料電池自動車1万台分に相当する水素を作り、東京五輪での活用を考えている。福島を日本中に水素エネルギーを供給する一大生産地、水素社会の先駆けの地としたい」と述べたそうである県内に水素生産拠点 次世代燃料全国へ 首相表明 福島民報 16.3.6

 CO2を出さないで水素を大量に製造するためには原発エネルギーが不可欠だろう。「政府は県内で取り組みが進む風力や太陽光などの再生可能エネルギーを活用して水素を生産する方針だ」というが、それでは林立する巨大風車と山を覆い尽くすソーラーパネル、原発事故以上の環境・森林破壊が引き起こされるだろう(⇒メガソーラーと環境・自然破壊)。ソーラー設置で丸裸にされた山地が崩れれば、福島は再び放射能の海にもなる。原子力社会のための犠牲(いけにえ)になった福島、今度は水素社会のための犠牲になる。それが嫌なら原発エネルギー頼るほかない。福島はいついつまでも原発に頼らねばならないということか?

 ふくしまの復興を願うなら、何よりも農業・林業・漁業、伝統産業を復活させることだ。

2015

 79

 新国立競技場建設に2520億円 被災気仙沼・大船渡線復活は1100億円もかかるから難しい  

 東日本大震災で被災したJR気仙沼線と大船渡線の復活は厳しいとの認識が沿線自治体に広がっているそうである。総額1100億円に上る復旧費用を確保する見通しが立たないためだという。 

 JRの試算によると、復旧に必要な費用は気仙沼線が700億円、大船渡線が400億円。JRは復旧費用の全額負担は困難と、ルート変更などに必要な気仙沼線の400億円と大船渡線の270億円の負担を国や自治体に求めてきた。しかし、6月5日、東京の国土交通省であった「沿線自治体首長会議」で、JR東日本は復旧費用の全額負担は困難との姿勢を強調、国も「黒字企業に補助金を出すのは国民の理解を得られない」と公的負担を否定したという(<被災JR線>鉄路復活に暗雲  BRT模索も 河北新報 15.7.9)。

 「将来の人口減を考慮しない復興計画は意味がない。鉄道を残したいという声は大きいが、利用者がほとんどいない状況では、何のために多額の費用を掛けるのかという話になる。両線は震災前から利用者が少なく、今後も劇的に増えることは考えにくい」(岩手県立大教授・元田良孝氏)(<被災JR線>高齢者の足確保  最優先に 河北新報 15.7.9という声もある。「黒字企業に補助金を出すのは国民の理解を得られない」という国の主張にも一理はあろう。

 しかし、オリンピックのために総工費2520億円の新国立競技場を造ると聞いたあとでは、この話には「違和感」を覚えざるを得ない。オリンピックのためにこんな巨額の税金を使うことに「国民の理解」は得られるのか。500億円の負担を強要される「都民」の理解は得られるのだろうか。石原元都知事は、「建設費が足りないなら、都が新税をつくればいい・・・通勤などで都外から都内に入ってくる昼間増加人口の四百五十万人を対象に・・・オリンピックまで一人当たり月千円ずつ税金をかければ、年間六百億円近くになる」と言っている(新国立 石原元知事「費用の話は一切していない」 東京新聞 15.7.9 朝刊 27面)。昼間「都民」、こんな税金を認めることができるだろうか。国民の理解が得られないから鉄路復活をやめるというなら、こんな新国立競技場の建設も見直すべきだろう。

 他方、三陸沿岸でホテルや水産加工場を営む阿部長商店(気仙沼市)の阿部泰児会長は、鉄路復活をあきらめ、BRTが固定化しつつある流れに、「路線図でつながっていなければ、観光客は訪れる気持ちがなくなる」、震災後の人口減が著しい地域には交流人口の拡大が必須、「地域は衰退の一途をたどる」と危機感を隠さない(<被災JR線>鉄路なければ観光衰退と危機感 河北新報 15.7.9)。これは政府の「地方創生」、訪日客地方誘致の掛け声にもとることにならないか。

 近頃の日本のリーダー(「有識者」と言われる者も含む)たち、やることなすこと、道理にもとることが多すぎる。

 参考記事

 新国立 無責任体制 有識者会議  ずさん計画後押し 東京新聞 15.7.8 朝刊 27面

 五輪 負の要素に思われたくない 有森さん 涙の訴え 競技者の思い代弁 東京新聞 15.7.8 朝刊 26面

  ここにも「有識者」という妖怪:<二度目の候補地「指定廃棄物」の行方>県有識者会議「選定は適切」 塩谷町に失望と反発(栃木) 東京新聞 15.7.9

 2月13日

 南相馬市旧警戒区域外稲作農家の休業賠償打ち切り 農地は汚染されたままの理不尽

 農林水産省が南相馬市役所で開かれた市地域農業再生協議会意見交換会で、同市の旧警戒区域外の稲作農家について、かねて通知していた通り、今年から東京電力の休業賠償の対象から外す方針を正式に伝えたそうである。2014年市内産米から1㌔当たり100ベクレルの基準値を超える放射性セシウムが検出されなかったことを受けた措置である。

 農水省、休業賠償なし正式通知 南相馬の旧警戒区域外の稲作 福島民報 15.2.13

 稲作自粛でも休業賠償なし 南相馬の旧警戒区域外 福島民報 15.1.10 

 「25年産米の一部が汚染された原因が判明しておらず、農地除染も終わっていない。作付けしても消費者の理解が得られるとは思えず、(賠償対象外となるのは)あり得ない」としていた再生協議会には納得がいかないだろう。基準値超の汚染が見つかった13年産米の汚染原因はなお特定されておらず(農家から批判噴出 農水省謝罪せず 南相馬・基準値超コメ 河北新報 14.7.19)、農地除染や消費者の理解に関しても農水省は納得のいく説明をしていない。

 農地の放射性セシウム汚染については2011年12月から2012年2月にかけて採取した南相馬市旧警戒区域外64ヵ所の水田土壌に関する数値があるが、1㌔当たり8790ベクレルを最高に5000ベクレル以上の地点が5ヵ所ある。これを含め3000ベクレルを超えるのが計11地点、1000ベクレルを超えるのは40地点に及ぶ(http://www.s.affrc.go.jp/docs/map/pdf/04_04data_fukushima_syuusei.pdf)。農水省の計算式(福島県の放射性セシウム濃度別農地分布)で換算すれば、地上1mの空間線量率が0.41-0.45μシーベルト/時の地点が6割(40/64)を超えている。農業者の健康の問題もあるが、こんなところで収穫された米を喜んで食べる人もそうはいないだろう。

 国と東電にとって原発事故は終わった。農業者にとってはいつ終わるか分からない。この理不尽はいつ、どうしたら終わるのだろうか。

 2014年

 10月30日

 読書週間 読書離れは高校生以上大人のはなし 古今東西の名著はいつ読むの?

 斉藤美奈子氏からの受け売りだが、近頃の読書離れは専ら高校生や大人に見られる現象で、子どもは結構読んでいる。2013年5月の1ヵ月平均読書冊数は小学生が10.1冊、中学生4.1冊に対し、高校生が1.7冊、以後、年齢とともに読む冊数が減っていく。

 中学2年の壁 斉藤美奈子(本音のコラム) 東京新聞 14.10.29 朝刊

 私(ども)のも読書欲が最も盛んったのは高校生の頃だ。といっても信州飯田の街の本屋(当時、平安堂と言った)で手軽に買えるのは東西古今の名著を集めた文庫本だけだった。学校が休みの晴れた日、文庫本を手に日向ぼっことバードウォッチを兼ねて裏山に上り、ツアラストラ、資本論、親鸞等々、手当り次第に貪り読んだ。数多くもない友人もそうだった。学校では、読んだ本についていつも議論し、作文も書いた。今の高校生や大人たち、ほとんどがこんな本に一度も目を通すことなく一生を終えるのだろうか。中学生では読めるはずもなし。

 何か、人間が、そして人間が作る社会が往時と全く変わってしまったのだろうかと、空恐ろしくなる。そんなことはない、人間の本性は決して変わることはない、読書なんかで変わるはずもない、とも思いなおす。本当はどうなんだろう。確かなことは、あの頃の読書なしには今の自分はないということだけだ。

 「読書週間」なるものが始まったと聞いてのどうでもいいような雑感である。

 6月17日

 「最後は金目でしょ」は国の本音でしょ 大熊・双葉町民が中間貯蔵施設を受け入れねばならない合理的理由はな

 除染土壌などを保管する国の中間貯蔵施設の建設をめぐる石原伸晃環境相の「最後は金目でしょ」発言が、候補地とされた大熊・双葉両町民の激しい怒りを買っている。佐藤雄平福島県知事も「住民の古里を思う気持ちを踏みにじる発言だ」と住民の気持ちを代弁する(金じゃない古里返せ 石原環境相発言に住民怒りの声 福島民報 14.6.17)。福島民報紙は、「これが国の本音か」と怒りの声を上げた(【「最後は金目」発言】これが国の本音か 福島民報 14.6.17)。

 しかし、これは、まさに「国の本音」だろう。石原発言に問題があるとすれば、それを直截に言ってしまったことだ。問われるのは、この環境相の政治家として資質である。安倍内閣でなければとっくの昔に失脚しているだろう。とはいえ、これは環境相の更迭で済む問題でもない。

 原発事故で広大な地域に発生した大量の放射性廃棄物を特定地域の住民が受け入れなければならない合理的理由はない。合理的な問題解決法があるとすれば、こういう問題を引き起こした東電と霞が関がこれを引き受けることだけだろう。そう思い知らせるために、両町民は絶対に受け入れてはならない。

 6月5日

 相続税増税が首都圏住民を直撃?日本の窮乏指数は81年以来最高 それでもなおアベノミックスか

 「来年一月から始まる相続税増税が首都圏の住民を直撃しそうだ。相続税がかからない控除額が大幅に引き下げられるため、地価が高い首都圏では、近郊でも新たに相続税がかかることになりそう。都内では亡くなった人の二人に一人の割合で、相続人が税務署への申告が必要となる。特例措置があるため、申告した全員が納税する必要があるわけではないが、納税者は倍増するとの試算も。お金持ちの問題というイメージが強い相続税が、人ごとではなくなろうとしている」とのことである(相続税、あなたも対象!? 来年から増税 地価高い首都圏直撃 東京新聞 14.6.5 朝刊)。

 小農の零細土地所有と都市の零細宅地所有、二つの「戦後日本の死重」(持田恵三『近代日本の知識人と農民』を読む 大衆的零細土地所有の「死重」を失った日本はどこへ)が失われようとしている。折しも、日本の窮乏指数(経済的苦痛のレベルを表す経済指標)、19816月以来の最高に達したという(Japan’s ‘misery index’ looks . . . well, miserable,FT.com,14.6.3)。それでも日本人、というより東京人、アベノミックスに浮かれ続けるのだろうか。

 5月29日

  大金かけてグロテスクそのものの新国立競技場(設計案)

 日本スポーツ振興センター(JSC)の将来構想有識者会議が28日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる建て替え新国立競技場の基本設計案を承認した。周辺に配慮して高さは当初案より5メートル低い70 メートルにしたというが、明治神宮外苑の歴史的景観とまったく調和がとれないという昨秋以来の著名建築家・槇文彦氏らの批判にまったく答えれていないし、こうした批判に応えて提案された伊東豊雄(建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を昨年受賞)氏の現競技場改修案(「五輪 改修国立競技場で」 伊東豊雄氏ら代替案公表へ 東京新聞 14.5.10 朝刊;五輪 国立競技場改築 「新築の半額で」伊東氏代替案 東京新聞 14.5.13 朝刊)などまったく考慮されていない。

 マスコミもこれにはまったく無頓着なようだ。この問題を取り上げた昨夜のNHKニュース番組など、この設計案には著名建築家の強い批判があることにさえ、一言も触れなかった。もしこうした設計案がまかり通るれば、日本人の美意識が疑われるだろう。自分はこんなグロテスクなものは見ないであの世に行けるかとも思っていたが、なんと、JSCは来年10月の着工を目指すという。

東京新聞:「新国立」総工費 膨らむ恐れ 現競技場の倍 最高70メートルに14.5.29)より
根幹部分 変わらず 新国立設計案 建築家・槇さんら批判(東京新聞 14.5.29 朝刊 26面)も参照されたし。

 5月21日

 米国ニューメキシコ核廃棄物処分場の放射能漏れ事故 原因はなんと”猫砂”

  米国ニューメキシコの核廃棄物地下保管所で今年2月に起きた放射性物質漏出事故の原因は、なんと猫砂ではなかったかという。猫砂は溶液中に硝酸塩を含む一定の放射性物質の安定させるために、放射化学実験室や核施設で何十年も使われてきた。硝酸塩は完全に乾くと発火する。従って、硝酸塩溶液は乾く前に安定させるか、完全に乾くのを防ぐ必要がある。

 伝統的な猫砂は硝酸、アンモニア、尿などを吸収し・安定させる珪藻土やゼオライト、ベントナイトのような非有機ケイ酸塩鉱物から作られている。しかし、この廃棄物保管所で使われていたのは、小麦やトウモロコシなどから作られた新しい有機猫砂だった。廃棄物容器内の硝酸塩とこの有機砂が混ざって化学反応を起こし、容器が破損したと見られるという。

 お粗末な話だが、高レベル廃棄物に限らず、廃棄物処分場で何が起きるか分からないことを示唆している。政府、科学者、技術者に対する教訓とせねばならない。

 米放射線漏れ、ネコ用砂が原因か 核施設、化学反応で容器破損(共同) 47news 14.5.21
 
関連ニュース
 Nuclear Waste Leak Traced To --- Kitty Litter,Forbes,14.5.10
 State wants WIPP plan from DOE,Albuquerque,14.5.20
 State demands that DOE seal two rooms at WIPP,Albuquerque,14.5.20
 NMED to WIPP: Seal nuclear storage rooms,Albuquerque,14.5.20
 New Mexico cancels permit to expand leaky nuclear waste site,Reuters,14.3.22
 Thirteen workers test positive for radiation at New Mexico waste site,Reuters,14.2.27
 核廃棄物施設内で放射能漏れか=地上汚染は確認されず-米西部
時事ドットコム 14.2.17

 5月20日

 福島県県民健康調査委員会 福島原発事故の健康影響を全否定 「美味しんぼ」頑張れ!

 19日に開かれた第15回福島県県民健康調査検討委員会で、原発事故後4カ月間の外部被ばく線量を推計する基本調査(福島医大)や甲状腺検査の結果が明らかにされた。

  外部被ばく線量については、”放射線業務従事者を除く47万1565人のうち、66%が1ミリシーベルト未満だった。同大では「これまでの疫学調査で100ミリシーベルト以下での明らかな健康への影響は確認されていない」として、「推計値ではあるが、放射線による健康への影響があるとは考えにくい」と従来の評価を繰り返した”(66%が1ミリシーベルト未満 外部被ばく線量の推計 福島民友 14.5.20)。

  甲状腺検査については、”対象者約八割のうち甲状腺がんが「確定」した人は、前回(2月)から17人増えて50人になったとする結果が正式に公表された」が、「検討委の星北斗座長(県医師会常任理事)は「これまでの科学的知見から、現時点では放射線の影響は考えにくい」との見解をあらためて示した”ということである(放射線影響考えにくい 甲状腺がん50人確定で県民健康調査検討委 福島民報 14.5.20)。

 この検討委員会は、「100ミリシーベルト以下での明らかな健康への影響は確認されていない」といういまやほとんど無効化した「科学的」知見を盾に福島原発事故の健康影響を全否定する権力の走狗となってしまったようだ。100ミリシーベルト以上を浴びた福島一般県民がいないとして、放射線被ばくの影響を調べる県民健康調査も今後無用ということになりかねない。

 こういう発表に中央紙はもとより地元紙さえ(というより地元紙だからこそと言うべきか)何の疑問を呈さないとすれば、首相などがお望みの福島に関する「正確な情報」は「美味しんぼ」にでも伝えてもらうほかないではないか。

 なお、この委員会に提出された「資料」は第15回「県民健康調査」検討委員会 資料を掲載しました(5月19日開催)福島県県民健康調査課 14.5.19)を見られたし。

  514

  米国タバコ農場で野放しの児童労働 TPP交渉 自らの襟を正さねば・・・

 本日付フィナンシャル・タイムズ紙が、人権ウォッチ(Human Rights Watch=HRW)による米国タバコ農場における児童労働の調査について報じている。HRWは米国4州のタバコ農場で働く7歳から17歳までの141人の子どもにインタビューした。

 若い農業労働者は死傷のリスクが高く、タバコ農場ではニコチンから来る健康リスクも伴うから、インド、ブラジル、ロシアは18歳以下の者がタバコ労働に従事するのを禁止している。しかし、米国では12歳、時にはそれ以下でも農場で働くことができる。米国の法律は12歳の子どもでも両親の許可があれば校外で無制限の農業労働に従事することを許している。家族農場で働く子どもには年齢制限はない。2011年、オバマ政府は子どもが農場で働くことができる仕事の種類を制限することを含む1970年代の労働法の改訂を提案した。しかし、これは農業団体の反対でつぶされた。

 フィリップ・モリスの児童労働条件をアセスする非営利監視団体・Veritéの最高責任者は、「米国労働法はサブスタンダードだ。年齢は低く、子どもができることに関する意味ある制限は存在しない」と言っているそうである。

 Problem of child labour on Us farms highlighted,Financial Times,14.5.14,p.18

 米国は現在進行中のTPP交渉でも、とりわけベトナムなどに対し労働基準の改善を求めている。それならば、先ず自らの襟を正さねばならないだろう。

 423

 放射線管理区域で東京五輪・パラリンピック競技の予選や事前合宿?狂気の沙汰だ

 「安倍晋三首相は二十二日、二〇二〇年東京五輪・パラリンピック関係閣僚会議の初会合に出席し、岩手、宮城、福島三県を中心とする東日本大震災の被災地で開催する各種競技の予選や事前合宿を増やすよう、下村博文五輪担当相と根本匠復興相に検討を指示した。
 安倍首相は「(東京五輪は)わが国が活力を取り戻す弾みとなるものだ。東日本大震災の被災地の復興を加速し、その姿を世界に発信していきたい」と述べた」(
被災地で予選 拡大検討 東京五輪へ初閣僚会議 東京新聞 14.4.22 夕刊)とのことである。

 京都大原子炉実験所の小出裕章助教が栃木県那須塩原市で講演、政府が作製した放射能汚染地図をスクリーンに映し出し、「那須塩原は放射線管理区域です」と何度も強調、

 「放射線管理区域は、労働安全衛生法に基づく電離放射線障害防止規則などで定められており、一平方メートル当たりでは四万ベクレルを超える区域。実験で放射線を扱う小出助教のような人以外は立ち入りが禁じられているが、汚染マップで同市は高い所で六万~一〇万ベクレル、その周辺にも三万~六万ベクレルの地域が広がっている。
 『
管理区域に入ったとたん、私は水を飲むことも食べることも禁じられる。寝るなんてもってのほか』と小出助教。服や手のひらに基準以上の汚れが見つかれば、出入り口の扉が開かない構造になっているという。『つまり、四万ベクレルを超えているものは、どんなものでも外に持ち出してはいけないということ。那須塩原はそれほどの汚染を受けた』と説明した」そうである子ども守るため 除染、一時疎開も小出京大助教が講演 東京新聞 14.4.20)

 「那須塩原は放射線管理区域」に当たるというならば、福島県内で「放射線管理区域」に当たらない大競技施設や合宿施設を見つけ出すのは難しいだろう(文科省:第6次航空機モニタリング及び福島第一原子力発電所から80 km圏外の航空機モニタリングの放射性セシウムの沈着量の測定結果)。前代未聞の「放射線管理区域」での競技や合宿、どこの国が受け入れるだろう。まったくもって狂気の沙汰だ。これでは、東京五輪・パラリンピック開催そのものも危うくなる。

  もっとも、小出氏自身は、「もし私たち日本人が福島や北関東の野菜を食べなければ地域の農業が崩壊してしまいます」、従って「子どもと妊婦にはできるだけ安全と分かっているものを食べさせよう。汚染されたものは、放射線に対して鈍感になっている大人や高齢者がたべよう」「子どもと妊婦にはできるだけ安全と分かっているものを食べさせよう。汚染されたものは、放射線に対して鈍感になっている大人や高齢者がたべよう」(『原発のウソ』 扶桑社新書 2011年6月 93-94頁)と、放射線管理区域で農業を続けねばならないと言っているのだから、そこで(水を飲むことも食べることも禁じられるところで)予選や事前合宿をするのは何でもないと思っているのかもしれない。よく分らない人である。

2013

826

 東海4県と3政令指定市 TPPをにらみ、国際競争力強化のための「アグリ・フロンティア創出特区」を提案

 「農業は高齢化などで厳しい状況が続くなか、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉結果によっては、安い外国産の農産物との厳しい競争にさらされることになる。このため、特区の実現で競争力強化を図る。
 特区では、企業が農業に参入する際の要件緩和▽農業生産法人の構成要件の緩和▽農家レストラン設置のために農地を転用できるよう農地利用規制の特例措置▽営農希望者がいる農地の集約に向けて規制の特例措置▽畜産の大規模化を促すために畜舎の建築基準の緩和などを実現する」 とのことである。

 東海4県、国際競争力高める農業特区 政府に提案 朝日新聞 13.8.26

 広大な農地を持つ農業条件に恵まれた外国との”競争力の格差”は、そんな小手先の対策で埋められるはずがない。近頃、TPP何するものぞとやたらと強がる者が輩出しているようだが、確かな成算があるはずもなく、成功者はごく一部に限られるだろう。日本農業の退潮、農民の現在の苦境の元凶は過剰規制でなく、何よりも関税等国境保護の排除が加速するグローバル化である。

 「農業の活性化」、「農民の活力」を望むならば、何よりもグローバル化の一層の進展を抑えるとともに、グローバル化がもたらす「農産物価格」低下の農業・農民所得への影響を相殺する措置の導入と強化が不可欠である。新犯人を見落とし、冤罪を罰することしか知らない安倍・自民党政府迎合では、地域の農業と農民は救われない。

712

 選挙期間中のJA等の反TPP街宣運動は選挙違反の恐れ 札幌市選管 反TPP運動に横やり?

 政府の環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加に反対して参院選公示後も街頭でビラ配りをしたJA北海道中央会などが、「公職選挙法に触れる可能性がある」という札幌市選挙管理委員会の注意を受け、投開票日まで活動を自粛することを決めたそうである。

 同会は他の農業団体とともに6月から週1回、JR札幌駅周辺などでTPPが農業などに及ぼす悪影響を訴えるビラを配ってきたが、公示後の5日もビラ配りを続けている事実を市職員が市選管に伝えた。道選管も公選法に抵触する恐れがあるとの見解で一致、11日もビラ配りを続けた同会に対して口頭で注意した。 この注意を受け、同会等は12日から石狩管内で予定していたTPP反対の街宣運動の中止を決めたという。

 道選管の言い分は、公選法は「政党その他の政治活動を行う団体が、政治活動で公示日から投開票日までビラを配ったり拡声器を使うことなどを禁じている」ということだ。

  確かに、公選法は「政党その他の政治活動を行う団体は、その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催、ポスターの掲示、立札及び看板の類の掲示並びにビラの頒布並びに宣伝告知のための自動車及び拡声機の使用については、参議院議員の通常選挙の期日の公示の日から選挙の当日までの間に限り、これをすることができない」(第二百一条の六)と定める。

 しかし、農協は「政党その他の政治活動を行う団体」では決してない。公選法自体は「政党その他の政治活動を行う団体」の定義をしていないが、農協のような政治活動を行うことを目的に設立されたわけではない団体をこれに含めることができないのは明らかだ。(ちなみに政治資金規正法における政治団体とは政治団体とは

 「公選法に詳しい東京の梓沢和幸弁護士」も、「公選法は特定の政党、候補に直接、関連する団体に規制が掛かるが、農協はそのような団体ではなく問題ない。選挙期間中は政治への関心が高まる時期だけに、表現の自由としても保障されるべきだ」と話しているということだ。

 国は選管が間違っていると何故言わない。誰も気づかなければTPP推進の政府に有利と目を瞑っているのか。JAは騙されないで、敢然と運動を続けるべきだ。むしろ、選管こそ、「特定の政党、候補」 を間接的に支援したと言えないだろうか。

 札幌市選管、TPPビラ配りを注意 JA北海道中央会、自粛へ 北海道新聞 13.7.12

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 長野県内ミツバチ大量死9件 ネオニコチノイド系農薬が原因の疑い 県農政部

 2009年8月に長野市戸隠でミツバチの大量死が1件発生し、県農政部が死骸から国内外で広く使われているネオニコチノイド系農薬を検出していたことが18日、分かった。同部は「この農薬が大量死の原因となった疑いがある」としている。同部によると、県内では他にもミツバチの大量死が起きており、同様に農薬が影響した可能性もあるとみている。
 09年8月に大量死が起きたのは、県養蜂協会副会長の依田清二さん(69)=長野市松代町西条=が、同市戸隠の林に置いた巣箱。約120個の巣箱の外で80万匹ほどが死に、被害額は約100万円に上ったという。
 県がミツバチの残留農薬を調べたところ、カメムシ防除に使うネオニコチノイド系農薬のジノテフランを1匹当たり0・0045マイクログラム検出。依田さんが管轄する農協に確認したところ、近隣の水田で粉状のネオニコチノイド系農薬が使われていた。 県農政部のまとめでは、ミツバチの大量死は依田さんのケースの他、06~09年に北安曇郡小谷村、中野市、長野市鬼無里、同市戸隠、上高井郡小布施町、木曽郡南木曽町で計8件発生。同部は「原因は不明だが、農薬が影響した可能性もある」としている。
 依田さんは「ミツバチが大量に死に、実際にネオニコチノイド系農薬が検出された。国は使用中止を決めてほしい」とする。佐野友治・県養蜂協会長(安曇野市)は「農家に農薬散布の中止は求められないので、農家と情報交換を進めて被害を予防していきたい」と話している。

 ミツバチ大量死 県内9件 「農薬影響の可能性も」 信濃毎日新聞 13.6.19

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 「自然の産物」である遺伝子の特許は認められない 米国最高裁判決は農業バイテ企業にどう響く

 日本のマスコミもこぞって報じているように、アメリカ連邦最高裁が13日 ユタ州のミリアド・ジェネティクス社が持つ家族性乳がん・卵巣がんの原因遺伝子(BRCA1、BRCA2)特許に関して、人工的に合成された遺伝子(相補遺伝子)の特許は認められるものの、同社が使っているこれら遺伝子は「自然の産物」であって特許は認められないという判決を下した。 そこで気になるのは、農業バイテク企業が特許料で大稼ぎしている遺伝子組み換え(GM)種子や植物についてはどうなのかということだ。

 はたして、14日付のフィナンシャル・タイムズ紙の記事がこの問題を取り上げている。それによると、農業バイテク企業はGM種子やその他の改変植物は判事が定義する自然の産物の範疇に入らないほど十分に変化したものと信じている。従って、この判決は決して農業バイテク業界を脅かすものではないと言っているということだ。

 ただ、GMOや化学農薬をめぐる社会的・政治的雰囲気が、一部企業を微生物のような一層自然発生的な生物を探す方向に押しやっている。この判決は、これら生物について、自然の生物のコンビネーションについてさえ、グレー・エリアを創りだす可能性があると見る向きもある。ノースイースタン大学ロースクールのミカエル・ベネット教授は、「極端な温度や条件に耐えることのできる生物を見つけるために海底や火山のへりに行く研究者が単純にゲノムの特許を得ようとしても、今日以後はおそらくだめだろう」と言っている。

 少なくとも、研究・開発政略の再考を促すことにはなるかもしれない。

 Agricultural groups explore impact of ruling,FT.com.6.14

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  福島の除染目標見直し 住民帰還の「目安」!となる新基準を検討環境副大臣

 井上信治環境副大臣は10日、年間放射線量を1ミリシーベルト以下にするという除染の長期目標とは別に、避難している住民の帰還などの目安となる新たな基準を検討する考えを示した。1ミリシーベルト以下は達成が難しく、福島県から住民帰還の障壁や風評被害の原因になりかねないとの懸念が出ていることうけたもので、「住民の安全や安心を考えると、長期目標は動かしてはいけない」とした上で、「1ミリシーベルトまでいかないと何もできないのか。早急に解決策を出したい」と述べたそうである。

 放射線量、新たな基準検討=住民帰還などの目安に−井上環境副大臣 時事ドットコム 13.3.10

 「1ミリシーベルトまでいかないと何もできないのか」と言われれば「そりゃない」と答えるほかないだろう。ただし、除染された自宅と仕事場・学校を往復するだけだ。たとえば、町村域の5859%(双葉町、富岡村)から7577%( 飯舘村、楢葉町、葛尾村)が森林に覆われ、森林・農地面積が町村面積の7274%(双葉町、富岡村)から8589%(飯舘村、葛尾村)を占め、さらに海面漁業も抱える(浪江町、富岡町)避難区域町村などでは、そんな都会のような生活は成り立たない。

 住民の多くは、こういう農地・林地・海に囲まれ、それとのかかわりのなかで生きてきた。そういう生活が取り戻せるまで、多くの避難住民は帰らない、あるいは帰還住民はごく一部にとどまるだろう。農地・林地・海の除染は手つかず、確かな除染目標も存在しない。

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 米国 歳出強制削減で肉不足の恐れ 検査官一時解雇で食肉処理工場が操業できず

  BSE規制緩和による米国産牛肉の輸入増加で大好きな牛丼がもっと安く、おいしく食べられるのではないかと期待する牛丼愛好家にはちょっと気になる話題をひとつ。

 オバマ米大統領が1日夜、連邦政府歳出の強制削減措置を発動するための大統領令に署名した。強制削減措置とは米国の財政再建を進めるために、連邦政府の歳出を現財政年度に850億ドル、今後10年間に12000億ドル、自動的にカットしようとものだ。当初は今年年1月から発動される予定だったが、「財政の崖」を巡る問題の与野党合意で発動が31日に先送りされ、オバマ大統領は富裕層向けの実質増税などを提案、これを回避する手だてを模索してきた。しかし、野党共和党はこれを受け入れず、とうとう期限切れを迎えてしまったわけだ。

 強制削減が発動されると、会計年度が終わる9月まで、国防費支出が大きな影響を受けるほか、航空管制・税関手続き・国立公園・食肉処理場検査官などの政府職員の給与も祓えなくなり、こうした公共サービスがストップしてしまう。それは経済成長の減速にもつながるだろう。

 たとえば、米農務省(USDA)の歳出は20億ドル自動的にカットされる。ビルサック農務長官によると、そうなれば今年遅くには、全国6000の牛・豚・鶏肉処理工場の検査官を15日間一時解雇することになる。ところが、米国の規則では、食肉処理工場は検査官なしでは操業できない。こうなると牛・豚・鶏肉生産がストップ、その輸出もストップしてしまう。損害は生産、労働者賃金だけでなく、レストランや食品販売業界にも及ぶ。農業もと畜場に出せない家畜や鳥を飼い続けねばならないことになる。消費者はアメリカでは滅多にない肉不足に悩むことになろう。こういう事態を回避するために、一時解雇(帰休)を週1回ずつにして繰り延べる方法もある。ただ、この場合にもコスト増加は避けられないという。日本の牛丼愛好家は、一日 も早い政治家の妥協に期待するほかない?

 ただ、タイソンやカーギルは、ただちに影響はない、一時解雇は少なくとも4月まではないと予想しているということだ。

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  シェールガスブームのおかげでアメリカのガスフレアリングが急増 衛星写真ではっきり見えるほど

   シェールガスブームのために天然ガスの価格が低下、石油掘削に伴い発生する天然ガスを焼却処分するガスフレアリングがアメリカで急増している。焼却処分されるガスの量は過去3年で3倍に増え、シカゴとワシントンの全家庭の電力を賄えるほどになった。シェールガス田のフレアの光は夜間の衛星写真ではっきり見ることができる。

 しかし、これは資源の浪費であり、環境破壊にもつながる。ガスの浪費とその結果としての温室効果ガス排出、地方の大気汚染、近隣コミュニテの不安のために、フレアリングは投資家や環境活動家の注意を引きつけているという。

http://image.exct.net/lib/fe93157076620c7c7c/m/1/1x1_bckgrndSpacer_03.png Shale gas boom now visible from space,FT.com,13.2.4

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  イギリス・アイルランド 大手スーパーの冷凍ビーフバーガーから馬のDNA 馬の死体から抽出した高蛋白パウダー由来?

  今月16日、アイルランド食品安全庁がテスコ等イギリス・アイルランドの大手4スーパーで売られている冷凍ビーフバーガーから馬肉のDNAを検出両国を揺るがす大騒動になっている。コスト削減のために馬肉を混ぜたということなら消費者を欺く犯罪行為として非難はされようが、これほどの大騒ぎにはならないだろう。問題はその馬肉がどこからどう入り込んだのか、まったく分かっていないことだ。馬肉の素性がわからなければ、消費者は食品安全上の脅威にさらされる。はたして、18日になって、ガーディアン紙が、バーガーから検出された馬肉のDNAは生鮮肉ではなくて馬由来の高蛋白パウダーから来たらしいと明かした。安いバーガーは (レンダリングにまわされるような)動物の死体などから抽出された濃縮蛋白を添加して増量するのだという。ヨーロッパでも、ガッター(排水溝)オイル(台所の排油や屠畜場廃棄物などから作られる食用油)を平然と調理に使う中国顔負けの慣行があるのだろうか。大騒ぎも当然のことと思えてきた。

 Horse DNA in burgers may have come from additives,Guardian,1.18

2012年 

 924

 水圧破砕国際行動デー フランス各地でシェールガス掘削反対デモ

 水圧破砕法によるガス・石油の掘削の禁止を求める国際行動デー(Global Frackdown)の922日、イル・ド・フランス、ガール、タルン・エ・ガロンヌなどフランス各地でシェールガス掘削に反対するデモ・集会が催された。

 フランス政府はシェールガス掘削は水汚染や温室効果ガス(メタン)排出などの重大な環境・健康リスクを伴う恐れがあるとして禁止を約束しているが(世界のシェールガスブームのなか 開発禁止を維持とフランス環境・エネルギー相)、業界は強く反発している。オランド大統領は最近、9件の許可申請を却下したが、ガール県アレスなどの残り10件の申は許可されたままになっているという。 

 Journée de mobilisation en France contre les gaz de schiste,Le Monde,9.23

 922

  降下した放射性物質の大部分は梅雨期も森林にとどまっている 森林総研


 福島第1原発事故で放出され、山林に降った放射性物質の影響を調べている森林総合研究所(つくば市)の研究グループが21日、梅雨期の3カ月間に福島県内3カ所で採取した渓流水264試料のうち放射性セシウムが検出されたのは4試料のみ、しかも飲料水の基準値である1リットル当たり10ベクレルを上回ったのは528日に飯舘村で採取した1試料(13.1ベクレル)だけだったと発表した。この結果について、森林総研の高橋正通研究コーディネーターは、降下した放射性物質の大部分は(雪解け期と同様)、梅雨期も森林にとどまっているとの見方を明らかにしたという。

 基準値上回るセシウム検出 梅雨期、福島の渓流水 茨城新聞 12.9.21

 環境省の第5回環境回復検討会(731日)は、放射性物質が森林から河川などに流出することは少ないから森林全体の除染は「不要」と結論、大変な物議をかもしているが、この調査結果も森林除染不要論の根拠として使われるのてはたまらない。森林に降下した放射性セシウムは裸で存在するのではなく、土壌や有機物に固着している。大部分が森林にとどまっているのは当たり前の話だ。しかし、これは、逆に言えば、放射性セシウムは永いこと森林中にとどまり、 林産物や野生動物を汚染しつづけ、土壌や有機物のゆっくりした流出を通じてじわりじわり、ときには大雨や土砂崩れで一気に、河川・湖沼・水田・海などの生産・生活環境も汚染しつづけるといいことにほかならない。それは、農山漁村の生業に破滅的影響を及ぼす。研究者には、そんな想像力さえないのだろうか。

 913

 FTA大国は自殺率世界一 韓国は「人間性を喪失した経済大国」であってはならない 金昌民ソウル大学教授

 本日付『中央日報』紙上で、金昌民(キム・チャンミン)ソウル大学スペイン語スペイン文学科教授が、政府、企業、学校、家庭をあまねく支配する「競争」万能の風潮が韓国jを自殺率世界一の国に押し上げたとの「時論」を展開している。教授によると、

 「韓国の2010年度の自殺率が世界1位、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の2.6倍という。1年に1万5566人が自ら命を絶つ。この5年間に他の国では自殺が減っているのに韓国だけ増えた。最近では口にすることさえいやな性犯罪事件のニュースが相次ぐ。

  
社会が崩れている。人間性が喪失され、家庭が破壊されている。ところが為政者は経済指標にだけ埋没している。自殺事件が問題になるたびに政府とメディアは個人にその責任を転嫁する。いつもうつ病が、社会に対する理由のない怒りが問題という。そのうつ病と怒りの原因を提供した社会に対しては話さない。経済奇跡を成し遂げまもなく先進国に入るというのに国民はますます生きづらくなる。中産層はますます減り貧困層が増えている。

  
ますます物質万能の風潮は増している。世界のどの国よりブランド品が高く売れている。政府、企業、学校、家庭の別なくみんなが「競争力」を口にする。競争で勝ってさらに多くを所有しようという声だ。ドラマと広告は瞬間ごとに黄金万能の風潮を助長する。しかし現実では貧富の格差はますます激しくなり、相対的剥奪感はますます大きくなっている。ますます勝者は少数に狭まっている。その競争で負けた敗者はお金以外の人生の価値と意味がわからないので残ったものは自殺だけだ。ついに7年連続で自殺率金メダルの国になった」。

 教授は、「少数だけが勝者になり多数は敗者になる社会を国民は望まない。「人間性を喪失した経済大国」が大韓民国の未来像になってはならない。私たちももう「競争」よりは「共生」を前面に出す時だ。いまや「セマウム(新しい心)運動」でもして精神的貧困から抜け出さなければならない時だ」と言う。

 [時論]精神的に貧しい大韓民国 中央日報 12.9.13

  悲しいことに、FTAで丸裸になった韓国の後を追わなければ競争社会の敗残者になってしまう、TPPだ、TPPだなどと叫ぶ政治家や企業家が日本にもいる。 ちなみに、2011年段階の最新データによる韓国jの自殺率31人/10万人(世界2位、1位はリトアニアの34.1人)に対し、日本は24.4人(世界第6位)で、韓国と大差があるわけではない(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html)。これも韓国同様な競争の帰結であろう。

89

米議会行政監査局 携帯電話放射線被ばくの限度とテスト方法の改善を要請

 米国連邦議会行政監査局(GAO*87日、携帯電話から出る放射線の影響を測定する基準を改訂するように要請する調査報告を出した。

 議員の要請で長い時間をかけて行われてきたこの調査は、携帯電話が癌を引き起すことは示唆していないが、規制は1996年以来変わっておらず、携帯電話の影響に関する最新の証拠を反映していないと、これを管理する連邦通信委員会(FCC )を批判している。特にイアピースを使用する人の被ばくをテストする際、FCCは電話が近くのテーブルなど、これを使う人から多少離れた場所に置かれていると仮定しているが、実際には、多くの人は ポケットやべルトのバックルに入れている。従って、FCCは、これらユーザーの最大被ばく線量を確認できない可能性がある。かくして、GAOは、被ばく限度とテストを行う方法の両方を再検討すべきだと勧告している。

 Exposure and Testing Requirements for Mobile Phones Should Be ReassessedGAO

 日本の携帯電話使用者のほとんどは、携帯電話から放射線が出ることさえ知らないようだ。原発事故による放射線に敏感になっているはずの母親が、電車の中、抱っこした赤ちゃんの頭のすぐそばで、延々と携帯電話をいじくりまわしている。将来、何が起きるかわからない。みんな原発のせいにするのだろうか?

 *会計検査院」と訳されるのが一般的だが、活動内容や議会補佐機関としての性格からからして不適切と思われる。

45

  中国 新タイプのガッターオイル(再製食用油)製造の容疑者100人以上を逮捕

 中国警察当局が新しいタイプのガッターオイル製造の疑いで100人以上を逮捕した。以前に問題となったガッターオイルは家庭やレストランから出る廃食用油を新たな食用油として加工したものだったが(中国 台所廃油から作られ、小食堂などで普通に使われる違法調理油の排除へ,10.7.20)、新しいタイプのガッターオイルは腐肉・内臓を含むと畜場の廃棄動物油脂から作られる。公安部が2日夜、これを作るのを専門にする13の地下作業場を閉鎖し、3200トンの新タイプのガッターオイルを押収したと発表した。

 Over 100 arrested for making new-type "gutter oil",Xinhua,4.3

 中国を旅行して食堂に入るのは相当な勇気がいる。料理にガッターオイルが使われているかどうか、外見では全然分からないからだ。

316

 中国のレアアース輸出規制、日米欧のWTO提訴は騒ぎすぎ 環境破壊や他国の資源戦略的利用はどうでもいいのか

 日米欧(EU)が輸出枠設定、輸出税賦課などによる中国のレアアース(と一部レアメタル)輸出規制を不公正な貿易措置としてWTOに提訴した。日本の一部マスコミも、中国が世界生産の9割を占め、ハイテク製品の生産に不可欠なレアアースの価格がこの輸出規制で急騰、「日本や米欧企業の生産に支障が出ている・・・中国の輸出規制を放置すれば、企業生産への悪影響が一段と広がる。他の新興国などでも保護貿易主義の台頭を誘発しかねない」などと、中国叩きをけしかける(レアアース提訴 中国はWTOルールの順守を 読売新聞 315日付社説)。

 しかし、これは騒ぎすぎだ。第一、欧米企業のレアアース需要は、価格上昇が一つの契機となったとはいえ、いまや減少傾向にあり、中国の輸出枠さえこなせないのが現実だ。価格も急騰どころか低迷を続けてきた。その上、 レアアース埋蔵量では世界の3分の1ほどでしかない中国がこれほどの生産国となったのは、森林破壊、水汚染、放射能汚染(スマートフォーン・・・がマレーシア住民を苦しめる 日本企業も参加のレアアース工場から放射性物質漏出の恐れ)など深刻な環境破壊を引き起こすレアアース鉱山の野放図な開発の結果にほかならない。2006-2007年以来、中国政府は、一定の環境基準を満たさないレラアース採掘を許可しないど、その生産管理を強化してきた。輸出枠設定などの規制はその結果にほかならない。輸出規制には環境保全という正当な根拠があるのである。

 上記社説は、「中国は・・・『環境と資源保護のため』と主張するが、自国企業に有利なように資源の囲い込みを狙っているのは明らかである」と、この正当な根拠を一顧だにしない。輸出規制によって中国国外の需要者のコストが中国国内の需要者のコストよりも髙くなるのは確かである。従って、輸出規制には中国企業を有利にしようとする戦略的側面があることは否定できない。それにもかかわらず、自国に豊かで他国に乏しい資源の戦略的利用は現代世界の支配的潮流ではないのか。最たるものの一つが米国の食料戦略だ。批判(非難)の矛先が中国だけに集中、米国をはじめとする他の資源大国に向かわないのは、それ自体が戦略的では ないのか。

 ともあれ、安価な中国のレアアース、レアメタルに依存しつづけようとする世界のハイテク産業の考え自体が、すでに時代遅れになりつつある。必要なのは、WTO提訴ではなく、そのような認識である。

 China Exclusive: Experts say no more cheap rare earths from China,Xinhua,12.3.13
 The overstated fear for rare earths(Editorial,FT.com,12.3.13
 
Pourquoi la Chine restreint ses exportations de "terres rares",Le Monde,3.14(中国はなぜレラアース輸出を制限するのか) 
  Terres rares : l'usine qui divise la Malaisie,Le Monde.12.3.16

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 オーストラリア連邦議会 アボリジニーコミュニティを核廃棄物処分地に

 アボリジニーや環境団体が猛反対し、法的係争も未決着のなか、オーストラリア連邦議会がアボリジニー所有地を低・中レベル核廃棄物の捨て場とする法案を採択した。

 Australia passes controversial nuclear waste bill,The Guardian,12.3.13
 Traditional owners to fight nuclear waste dump,ABC,12.3.14

 関連情報:オーストラリア・アボリジニ 所有地への核廃棄物投棄に合意,07.5.25

32

 フィンランドで原発新設計画 オンカロには新たな核廃棄物受入れ能力はないと紛争勃発

  Fennovoimaが原発新設を計画しているが核廃棄物の最終処分場は他の2社の合弁会社であるPosivaが建設中のオンカロを利用するしかなく、オンカロの共有を要求している。しかし、Posivaはオンカロの設計はそんなことを想定して いないとお断りの姿勢だ。原発新設で最終処分場をめぐる紛争が起きている。

  Dispute over nuclear waste storage intensifies,Helsingin Sanomat,12.3.1

 それでも、最終処分のメドも立たないのに原発を大量に建設、破滅への道をひた走ってきた日本その他の国に比べればまだマシということか。 これらの国が放射能地獄から逃れる道は、もはやない。

  224

 福島県 米の放射性セシウム100500ベクレルの地域の24年産米作付け容認へ県と市町村はセシウムの除染・低減、安全検査の確実な実施などを盛り込んだ計画書を策定し、同省に提出する。

 23年産米からキロ100500ベクレルの放射性セシウムが検出されてた地域で24年産米の作付けを認めるかどうか、国と市町村との調整が難航していたが、福島県が安全対策の徹底を前提として作付けを容認する方針を固め、農水省に伝えた。農水省穀物課は「県の考え方は尊重したい」としており、今月中にも当該地域の作付けを認める方針を発表するという。

 安全対策とは、「(1)反転耕やカリウム施肥などによる放射性セシウムの除染・低減(2)栽培から収穫、流通まで徹底したコメの管理(3)収穫された全てのコメの全袋検査」のことで、「県と市町村はセシウムの除染・低減、安全検査の確実な実施などを盛り込んだ計画書を策定」、農水省に提出するということだ。

 24年産米作付けで県方針 安全対策が前提 福島民報 12.2.24

 おかしな話である。何よりも急ぐべきは、田んぼ一枚ごとの土壌調査である。それなしには、それなしには、作付制限をするのか、除染するのか、稲 のセシウム吸収を抑える栽培方法を採用するのかなど、適切な対応策の選びようがない。なお、除染のために反転耕を行えば土は確実に死ぬことを覚悟せねばならない。植えても満足な収穫はないだろう。除染を要するような高濃度汚田んぼは、もはや生産機能を失っていると考えねばならない。

 117

  BASF ヨーロッパ向けGM作物開発から撤退 高収量・干ばつ耐性品種などの研究開発はアメリカで継続

 ドイツ化学企業、BASF16日、ヨーロッパ向けの遺伝子組み換え(GM)作物の研究開発から撤退、事業をGM作物への抵抗が少ないアメリカに移転させると発表した。植物科学分野のヘッドコーターをドイツ南西部のリンブルガーホフからノースカロライナのローリーに移し、ドイツとスウェーデンにある二つの小規模なサイトは閉鎖する。一部のGM作物開発はアメリカに移し、GMスターチポテト(Amflora, Amadea , Modena)、疫病( late blight)抵抗性ポテト(Fortuna)・スターチポテト、真菌(カビ)病抵抗性小麦など、専らヨーロッパでの栽培のために開発したきたGM作物の開発と販売はやめる。GM作物はヨーロッパの大多数の消費者、農民、政治家の受け入れるところとなっておらず、ヨーロッパ向けGM作物への投資の継続はビジネスとして意味をなさないという。

 ただ、植物バイオテクノロジーは21世紀の枢要な技術だと信じる。高収量や干ばつ耐性などストレス耐性に焦点を当てた世界市場向けGM作物の研究開発は続ける。これにはトウモロコシ、大豆、棉、キャノーラ、小麦などでのモンサント社との共同事業も含まれる。この共同開発から生まれた最初の製品である干ばつ耐性トウモロコシの米国での栽培が2011年末に承認されたという(農業情報研究所注)。

 BASF to concentrate plant biotechnology activities on main markets in North and South America,BASF News Release,12.1.16 
  
関連ニュース
 
An end to GM crop development for Europe ,FT.com.12.1.16
 Le géant de la chimie BASF stoppe sa production d'OGM en Europe,Le Monde,12.1.16
  BASF stops GM crop development in Europe,Deutsche Welle,12.1.17

 農業情報研究所注:USDA:APHIS News Release;http://www.aphis.usda.gov/newsroom/2011/12/brs_actions.shtml。ただし、このトウモロコシ、低・中程度の干ばつに対して現在の通常品種よりほんのわずかばかり耐えるだけで、USDAは米国のトウモロコシ作付地の15%ほどで使えるだけと推定している。
Monsanto Corn Unlikely to Help Most Drought-Stricken Farmers, According to Union of Concerned Scientists ,soyatech.com,11.12.26

 

2011

 1222

 その1:稲わら・・・に続き 製材くずも行き場なし 放射能汚染地域での農林業は放棄するほかないのでは

 

 「県内の製材所で製材時にくずとして出る樹皮の処分が滞り、各業者の仮置き場での保管が限界に近づいている。堆肥や、バイオマス発電の燃料としての需要が、放射性物質の付着でほぼ断たれているためだ。復興復旧関連の製材需要の伸びで廃棄物の樹皮はたまる一方で、業者は「一刻も早く処分方法を決めてもらわないと、事業が継続できない」と焦る。原木を出荷する林業への影響も懸念されている。・・・」(置き場限界 焦る業者 製材くず1カ月で4000トン 福島民報 11.12.22

 作物自体が汚染で用をなさず、それでも生産を続けるかぎり溜まり続ける行き場のない放射性作物残渣(稲わら、もみがら、製材くず・・・)、汚染地域での農林業活動は、もはや放棄するほかないのでは。

     

 その2:変貌するフランス農村景観 農地が2秒に26㎡ずつ消えていく

 

 フランスの農業後継者が作る農民組合・「青年農業者」(世界に名だたる「フランス農業経営者連盟」・FNSEAの青年部)によると、フランスの農地が2秒に26㎡の割合で失われている。1960年に3600万㌶あった農地が2010年には2800万㌶にまで減った。主な要因は都市化。別の要因は、収益性が低い農地片の放棄と林地への転換。もっと大きな要因は、今年も2.3%下がった農業者の平均所得の低下である。

 

 Blog - Chaque seconde, 26 mètres carrés de terres agricoles disparaissent en France,Le Monde,12.21

 

 わが民主党政権は、フランスの青年農業者就農援助にならって後継者支援制度を創設、TPPにも負けない強い農業を作るという(フランスの青年農業者就農援助に学ぶ?TPP対策としてならまったく無効だ,11.2.26)。さぞかし、本家に負けない立派な成果があがるだろう。

 1221

 1215

 バイオ燃料が世界の食料生産用地を奪い取る

 世界ランドラッシュの主たるドライバーは、価格高騰が急き立てる食料生産と思われてきた。しかし、 International Land Coalition (ILC)1214日に発表した最も包括的な研究によると、7100万㌶に及ぶ世界の大規模土地取得の6割近くがバイオ燃料部門によるものだ。 特にアフリカでは、この比率は65%を超える。バイオ燃料が世界の貧しい国から食料生産用地を奪取しつつある。

 →ILC,Land Rights and the Rush for Landhttp://www.landcoalition.org/cpl/CPL-synthesis-report

 126

 TPPとは「トータリー・プレフェンシャル・パートナーシップ」=「全く差別的パートナーシップ」 貿易「不自由化」協定だ 浜矩子氏

 浜矩子氏が124日付の東京新聞の「時代を読む」というコラムで、貿易「自由化」を求めてTPPTPP!と叫ぶ人を、TPPが目指すところは貿易自由化ではなく、貿易の「不自由化」だと痛烈に皮肉っている。氏は、人はTPPが例外なき貿易自由化につながるというが、それはその内側だけで関税引き下げや制度統一を進めようとするもので、WTOの無差別原則に反し、「TPPが目指すところは、例外なき貿易自由化どころか、例外なき囲い込み貿易とさえ言える」、そう考えていたら、TPPという頭文字が「トータリー・プレフェンシャル・パートナーシップ」、つまり「全く差別的パートナーシップ」の略称にみえてきたと言う。

 まったくの正論だ。ガットの創設者たちは、関税同盟結成による世界経済ブロック化が第二次世界大戦につながったと、「無差別」を戦後国際貿易体制の基本原則に据えた。従って、自由貿易協定、関税同盟などによる「差別的貿易圏」は原則的に認めず、すでに存在していたベネルックス関税同盟(1948年発足)のようなごく小規模なものに限って例外的に認めたにすぎない。ところが、「戦乱のヨーロッパ」から抜け出すために「アメリカ合衆国」にならった「ヨーロッパ合衆国」の創設を究極目標に掲げる欧州経済共同体(EEC)という大規模関税同盟が創設され、これに対抗する巨大な北米自由貿易圏が誕生するうちに、肩身の狭かったはずの地域貿易圏が、いつの間には貿易自由化の本流に踊り出るようになった。日本も10年ほど前、GGAT/WTOの下での多角的交渉を通じての貿易自由化の追求から二国間・地域協定の追求に向けて大きく舵を取り、メキシコや東南アジア諸国との「経済連携協定」を次々と結んだ。

 いまでは、それが原則的に認められないものであること、法的にはその発足がWTOの承認に服さねばならないこと、そんなことを知る人さえいなくなりつつあるのではないか。経済投合の理論は、地域協定による「貿易転換効果」(例えば、最も生産効率が高く、輸出競争力が髙い域外国から、関税撤廃がなければ輸出できなかった低効率域内国への部品調達=輸入の転換)が「貿易創出効果」に勝れば、世界経済全体の効率が低下すると教えている。しかし、いまや、経済学者と言われる人さえ、「貿易転換効果」など、あたかも知らないかのように(あるいは、本当に知らないのかもしれない)ふるまう。

 政治家も、学者も、ガット創設の歴史と経済統合の理論を一から学びなおすべきときだ。

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  小水力発電の環境影響調査が不要に?小水力の大規模利用の環境影響は大規模水力発電と変わらないと国際専門家

 「政府は周辺環境に影響の少ない小規模な水力発電を設置する際に自然公園法などに基づく環境アセスメントを不要とする方針を固めた。設置までの手続きを簡素化することで再生可能エネルギーの柱として期待される水力発電の普及を促す。2011年度中に規制緩和を実施する」そうである。

 小規模水力発電、環境調査不要に 11年度内、政府方針 日本経済新聞 11.11.27

 本当にそれでいいのだろうか。国際エネルギー機関(IEA)は、「最善のプラクティスと効果的なサイト計画が使用されれば、小規模水力発電の影響は小さく、局地化されるだろう」と保証する。しかし、世界的にも名を知られるインド・ポンディシェリー大学の環境エンジニアであるTasneem Abbasi S. A. Abbasiは、そんな証拠はまったくない、小 水力発電所がまばらにしかない今は確かに大きな問題は起きていない。しかし、それが大流行りし、あらゆる落差、川、支流が利用されるようになれば、発電量1単位あたりの環境負荷は大規模ダムよりも大きくなるかもせいれないと警告している。

 大規模水力発電と同様、流れを遮り、動物の移動の障壁となり、蒸発で水が失われ、生物多様性も損なわれる。沈泥や富栄養化の問題も大規模ダムと変わらず、浅いだけに一層富栄養化しやすい。さらに、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンの排出でも大規模ダムと変わらず、これも浅いだけに、単位面積当たりの排出量は大規模ダムより大きくなるだろう。等々。

 小水力発電の大規模な利用は大規模ダムによる環境破壊の歴史の繰り返しになる恐れがある。その利用を考える国はあり得る問題の研究に投資し、用心深く進まねばならないという。

 バイオ燃料同様、何事も過ぎたるは及ばざるのごとし。

 1124

 堆肥の山行き場なし 許容値超の放射性物質 循環型農業に危機(福島民報 111124日 トップニュース)

 県内の酪農、畜産農家が生産する堆肥が行き場を失っている。敷地内には堆肥が山積みになり、処理のめどは立っていない。県の検査で半数を超える検体から暫定許容値を超える放射性セシウムが検出されたためだ。流通が制限された上、有機農家を中心に県内産堆肥を敬遠する動きもある。稲わらを畜産に使い、堆肥を稲作などに活用する農業の循環システムが危機に直面している。・・・

 「国は流通させるなと言うばかりで保管場所の指示がない。現状を分かっているのか」・・・全農県本部は堆肥を防水シートで覆うように呼び掛ける。担当者は「雨で堆肥の窒素分が用水路や地下水に流れ込むと水質汚染の恐れがある」と心配する。・・・「例年なら来年分の堆肥の注文を済ませている時期」。本宮市の50代の稲作農家の男性は気をもむ。同市の今年度産の稲わらに含まれる放射性セシウムは暫定許容値以下だったため畜産農家に納入できた。しかし、堆肥は許容値を超える検体が多数見つかった。現在も検査待ちが続き、男性は来年の作付けを見通せない。「仕入れができなければ、堆肥なしで来年稲作をするしかないか」・・・

 (農業情報研究所)福島農村は崩壊の瀬戸際にある。暫定規制値風評被害だけが問題なのではない。農村空間が行き場のない放射性廃棄物に埋め尽くされ、持続可能な農業生産など、もはや想像さえできなくなっているからだ。

 関連ニュース
 最終処分示されず 汚染稲わら「限界」 日本農業新聞 11.11.24

 1122

 トウモロコシ下落もタイソンフーズの利益は大幅減シカゴ商品取引所穀物等先物相場(期近):最新260取引日1122日のコメントから)

 トウモロコシがほぼ1年ぶりにブッシェル5ドル台に落ち込んだ。世界的不況で需要が減退するなか、ウクライナやロシアの復活で下落、ト割安となった小麦への配合飼料原料の切り替えも進む。当然の帰結だが、それでも世界最大の食肉加工会社・タイソンフーズの10月末で終わる第4四半期の利益は、穀物高騰と飼料コストの増大で前年同期の2億1300万ドル(一株ああたり57セント)から9700万ドル(同26セント)に下落した。

 Tyson Foods profit hit by higher grain, feed costs,Globe and Mail,11.21

 米国食肉産業の対日市場開放圧力も一段と強まる恐れがある。

 1119

 牧場主たちの雇われガンマン40人 ブラジル先住民首長を撃ち殺す

 ブラジル連邦先週民局(Funai)が18日、西部の先住民族・カイオヴァ・グアラニ(Kaiowa-Guarani)の首長が撃ち殺されたと発表した。部族が住むマットグロッソ・ド・スル州の村(Tekoha Guaiviry)をずきんをかぶり、重武装した”40人のガンマンが急襲、首長のニシオ・ゴメスを撃ち殺した。Funaiは、ガンマンは部族の追い出そうとしている牧場主に雇われたようにみえる。ローマカソリック教会が支援するインディアン・ミッショナリー・カウンシルのスポークスマンは、「どう見ても、牛を飼育し、サトウキビを植える土地を欲しがっている牧場主たちが、インディアンの権利の防衛を声高に叫んできたゴメスを殺すためにガンマンを雇ったようにしかみえない」と言う。

 Brazil: Chief Killed in Land Dispute,The New York Times,11.19

 将来の世界的食料不足が喧伝され、、食料価格が高どまりするなか、そのご利益に与ろうと、アグリビジネス(とそれを後押しするブラジル政治家)はアマゾン熱帯雨林ばかりか、そこに住む先住民まで抹殺することに狂奔している。

1110

 TPPをめぐる海外の動きと論調

  

 野田首相が今夕、TPP交渉参加を表明するそうである(TPP交渉参加、10日夕に首相表明 朝日新聞 11.10.10 1219分)。政府や民主党幹部は、国内のいかなる論議にも馬耳東風を決め込んだようだ。もはや、政府の暴走を止める手立てはない。ただし、2日のこの欄で書いたように、交渉に参加するころには現在の9ヵ国による交渉が終わっているか、さもなければ破産している 可能性もある。暴走が目指す目標が消えてしまっているかもしれない。

 日本の国益になるとかならないとか、そういう議論も必要だが、目を海外の動きや論調に向け、TPPは本当にアジアに平和と繁栄、アジアの民衆に安寧をもたらすのかどうか、もう少し全体的な視野から眺めることも必要ではないか。そのきっかけになればと、最近のいくつかの海外情報を挙げておく。

 

 TPP pact unlikely before Apec meet,Business Times,11.10(Malaysia)
 Stephanie Howard and Simon Terry: Let's insist on labels for GM food,The New Zealand Herald,11.10
 Warning on GM laws,The New Zealand Herald,11.10
 
Pacific trade deal faces tough choices,FT.com,11.9
    on Tuesday the senior Democratic and Republican congressmen and senators on the trade issue published a joint statement urging caution about allowing Japan to participate. Its inclusion is strongly opposed by the
domestically owned US car industry, which has fulminated against its inability to penetrate the Japanese market. Stephen Biegun, vice-president for international government affairs at Ford Motor Company, warns: “From the point of view of the agricultural sector it will be important to open up the Japanese market but the US ran a $60bn bilateral trade deficit last year, of which 70 per cent was autos, and there is no way that ag exports will reach even a fraction of that”.   
    The domestic
US auto industry is ambitiously proposing a remarkable innovation – that the TPP contain restrictions on exchange rate manipulation – with a view to extending such rules across trade deals in the future.Such demands are unlikely to be met. he strength of opposition suggests that the TPP faces a long struggle if it is ever to come into existence.
 China says US Apec goals too ambitious,The Straits Times(Singapore),11.7
  Sorely lacking jobs at home and looking for ways to cement the US presence in Asia, the Obama administration wants to drive forward the Trans-Pacific Partnership (TPP) free trade pact among nine nations on the sidelines of Apec.
 Top U.S. companies urge new Internet trade rules,The Star(Malaysia),11.4

 Tokyo takes twin-track approach to Beijing,China Daily,11.3
  the hotly debated Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement (TPP) may hamper China-Japan economic ties.
  "Obviously there is a China consideration," said Yang. "TPP is the economic part of Washington's 'return to Asia' strategy. It risks undermining the current economic cooperation framework such as APEC and ASEAN plus 3 (China, South Korea and Japan) and reducing China's economic influence."
 Don't weaken Pharmac for US drug lobby say Labour, Greens,The New Zealand Hedrald,10.2
 Leaked texts 'show US drug firms out to attack Pharmac'Don't weaken Pharmac for US drug lobby say Labour, Greens,The New Zealand Hedrald,10.26
 
Public health at risk in trade talks,The Sydney Morning Post,9.14
 US calls for IP drug protection in Pacific trade deal,The New Zealand Herald,9.13
 Trade deals need to benefit both sides ,Viet Nam News,6.30
 China embraces ASEAN for ‘Asian century’,The Jakarta Post,5.1
 
Pacific free-trade agreement 'threat to generic drugs',SciDev,4.12 

 

11月2

 

 さっぱり分からんTPP論議

 

 わけあって明日から来週半ばまで、このHPの更新をお休みする。置き土産というのも妙な言い方だが、前から言っていることでもあるし、今さら言っても誰も気にとめないだろうと腹にしまっておいたことを言っておきたい。

 

 というのは、耳をふさぎたくなるほどの大騒ぎなっているTPP論議のことだ。賛成派も反対派も、APECで総理が交渉参加を表明すればアメリカをはじめすべての参加国がもろ手をあげて歓迎、日本がすぐに交渉に参加できると思い込んでいる。だから大声で、参加すれば日本はどうなるこうなると怒鳴り合うのだ。しかし、すべての参加国がそんな具合に日本を受け入れるわけがない。とくにアメリカは、政府には通商交渉権限がないのだから、オバマ政府がすぐに日本の参加を認めるわけにはいかない。アメリカの通商交渉権限は憲法によって議会にのみ与えられており、議会が承認しない限り政府はいかなる通商交渉もできないからだ。

 

 総理がAPECで参加を表明したとすると、この承認手続きはそれから始まり、議会が承認するまでにどれだけの時間がかかるか。議員はすべて選挙区や支援団体の意向に逆らうわけにはいかない。実際、今までの多角的交渉や自由貿易協定交渉の失敗の多くは、アメリカ議員が地元や業界(繊維、砂糖、自動車、牛肉・・・)の利害のみで動くことからきたものだ。多くの分野の自由化や規制撤廃で大きな抵抗が予想される日本の参加ということになると、議会が議論している間に来年のTPP協定大枠合意期限が来てしまう恐れがある。

 

 総理がどうしても参加表明をしたいならすればいい。しかし、参加はいつになることやら。それなのに、今、何故この大騒ぎなのだ。私には「さっぱり分からん」。

1028

さっぱり分からん食品安全委の放射性物質食品健康影響評価

食品安全委員会が27日、「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価」を確定、厚生労働省へ評価結果を通知した。

評価の骨子は、放射線の健康への影響が見出されるのは通常の生活において受ける放射線量を除いた生涯における追加の累積線量として100Svを採用する、100Sv未満の健康影響については言及が困難、というもの。

ところで、これについての次のような食品安全委員会委員長の談話、理解できる人がいるだろうか。

 放射性物質の食品健康影響評価について

100mSvという値の根拠となった「科学的知見」については「内部被ばくのデータが極めて少なく評価を行うためには十分でなかったため」、「外部被ばくを含んだデータ」も用いたが、「外部被ばく自体の評価をしたものではない」。

「慢性的・低線量被ばく(累積吸収線量が500mSvに相当)」の影響については「様々な知見が存在」、「採用し得る知見がなかった」から、「広島・長崎の被ばくのデータを援用」した。

100mSv未満の健康影響については、「放射線以外の様々な影響と明確な区別ができない可能性」、「根拠となる疫学的データの対象集団の規模が小さいこと」、「曝露量の推定の不正確さ」などのために、「追加的被ばくによる発がん等の健康影響を証明できない」。「つまり、100mSvとは、健康への影響が必ず生じるという数値ではなく、・・・リスク管理機関が適切な管理を行うために考慮すべき値である」。(そんな値なら、食品安全委が言う必要はない。厚労省に任せておけばいい)

真摯な研究を疫学的データの対象集団の規模が小さいとか、「曝露量の推定の不正確とか言って切り捨て(そこから何か真実を見つけ出すのが専門家の使命ではないのか)、政治的理由(原爆擁護)で内部被ばくの影響を故意に無視、あるいは軽視した広島・長崎の被ばくのデータだけは何故信用するのか。さっぱり分からん。

1025

 政府農業再生基本方針 平地農業経営の規模を5年で2030㌶に 農村社会は崩壊

 政府は25日、全閣僚による「食と農林漁業の再生推進本部」を開き、農業再生基本方針と今後5年間の行動計画を正式に決定した。基本方針では、集落で中心となる個人や法人などに農地を集約し平地では一経営体当たり2030㌶への拡大を図るという。

 正気の沙汰とは思えない。新しい統計数字はまだ得られないが、2005年センサスによれば、平地地域の総耕地面積は1675000㌶ほど、総農家数は91万戸、販売農家だけを取れば73万戸ほどだ。この総耕地面積を一戸当たり2030㌶配分するとすると、84000戸から56000戸しか残らない。平地農村の農家数は現在の10分の1以下に減る。平地農村社会はどうなるのか。全閣僚、そろいもそろって想像力を欠いているとしか思えない。

1021

4年超も拡散防止せず遺伝子組み換え つくばの作物研 茨城新聞 10.21

農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所(つくば市観音台、門脇光一所長)が、拡散防止措置を取らずに遺伝子組み換え実験を行っていた問題で、同研究所は20日、実験室で4年以上にわたり、不適切な状態で実験を続けていたことを明らかにした。この問題で、文部科学省は同日、同研究所を厳重注意した。
同研究所によると、研究員が20071月から115月までの間、大豆の遺伝子を導入した大腸菌の培養の実験の際、実験室の扉を閉めるなど法律で定められた措置を怠っていた。
同研究所は819日、問題発生について文科省に報告。1014日の同省への最終報告までに、研究員の法令順守や安全管理のための教育訓練徹底と実験の監視体制の強化を行ったという。
同研究所企画管理室は「みなさんに迷惑をかけ申し訳ありません」としている。

1017

 北極海の氷 10年以内に消える ノルウェー極地研究所の新たな研究

 ノルウェー極地研究所(NPI)の新たな研究によると、北極の海氷の溶解は、今までの推定よりもずっと早く、一層劇的に進んでいる。これまでは北極海から氷が消えるのは50年-100年後と推定されていた。しかし、新たな研究によると、10年以内に北極海の氷はなくなるだろうという。

 The Arctic Sea may be free of ice in ten years,Norway Post,10.15
 

1014

 タイ大洪水は人災 原因は雨にあらず タイ前気象局長

 日本企業の活動も脅かすようになってようやく日本でも報じられるようになった現在のタイの大洪水、2004年の大津波を予測したことで知られる前タイ気象局長によると、原因は異常に厳しいモンスーンを災害に変えた人間活動である。災害をもたらした主な要因は、森林破壊、集水域における過剰建築、ダムと自然の水路の転換、都市のスプロール、 運河の詰りなど。彼は当局に繰り返し警告してきたが、気ちがいと言われたそうである。

 As Thailand Floods Spread, Experts Blame Officials, Not RainsThe New York Times,10.14

105

 フランス行政最高裁 ネオニコチネイド系殺虫剤で養蜂農家に理 農水省販売許可を取り消し 

 フランスの行政最高裁であるコンセーユ・デタ(最高裁ではありません)が103日、フランス農水省により2010年について与えられたネオニコチネイド系殺虫剤・Cruiser 350( 禁止されたGaucho RegentCruiserの後継製品としてシンジェンタ社が売り出したトウモロコシ種子処理剤)の販売許可を取り消した。この決定は、Cruiser 350がミツバチを殺したと非難してきた養蜂農家の正当性を認め、彼らに対する損害賠償への道を開く。

 フランス全国養蜂同盟(UNAF)は、追跡調査によって製品の無毒性を確かめるという付随措置を伴う1年ごとの許可というやり方では適切なコントロールにならない、長期的影響も確かめようがないと主張して きたが、コンセーユ・デタもこうした点を強調、農事法典により確立した10年間の販売許可という規則のいかなる例外規程にも対応しない故に、1年間の許可というのは違法であると判断した。

 Le Conseil d'Etat annule le droit de vendre le Cruiser 350 pour 2010AFP),Agrisalon,11.10.3

930

 フランス議会 ビスフェノールA(BPA)を含む食品包装用品の全面禁止へ

 フランス国民議会(下院)社会問題委員会が928日、BPAを含むあらゆる食品包装用品の製造・輸入・販売を禁止する社会党提案の法案を採択した。反対票はゼロで、賛成と棄権があっただけだった。106日に本会議に上程、採択される見通しだ。ただし、発効は、産業が代替品の開発を終え、科学者がその無害性を立証する201411日まで延ばされる。

 Une proposition de loi veut bannir le bisphénol A des emballages alimentaires,Le Monde,9.28

 委員会におけるこの法案採択の前日、フランス食品衛生・環境・労働安全機関(ANSES)は、BPAの影響とその使用状況を確認、最も感受性が強い乳児、幼児、妊婦の曝露を防ぐことを優先目標とみなす二つの報告を出した。影響に関しては、「非常に低レベル、すなわち規制のために使われる基準を顕著に下回るレベルの曝露でも」、動物における健康影響は確認され、人における健康影響も疑われるという。使用に関しては、飲食品包装用品、玩具、育児用品から医療機器まで、60に近い部門で使われているという。

 なお、BPAを含む哺乳瓶については、フランスも、EUもすでに製造・販売禁止を決めている(フランス ビスフェノールAを含む哺乳瓶の製造・販売を停止,10.6.25EU ビスフェノールA(BPA)を含む哺乳瓶の製造・販売禁止へ,11.2.26

98

 プラスチック・ボトルで飲用水中のヒ素を除去 安上がりで効果的 環境にも優しい 米国研究チーム

 米国モンマウス大学の研究チームが、食品の中に普通に見られる分子であるシステイン(アミノ酸の一種)でコーティングしたプラスチック・ボトルがヒ素に結合することを発見した。このようなプラスチック・ボトルが、バングラデシュだけでも3500万人、途上国全体では推定1億人の健康と命をを脅かしている飲用水中のヒ素を取り除く簡便で安上がりの方法を提供するかもしれないという。

 研究チームによると、実験室での実験で、これが非常に効果的で、費用がかからない方法であることが示された。この方法は安くて、地方でも利用できるプラスチックを使う。プラスチックのリサイクルに役立ち、使われる化学成分は無毒で安全だから、環境に優しいやり方でもあるという。

 Plastic bottles could clean arsenic-contaminated water,SciDev,11.9.7

831

 アマゾン森林を守るゴム樹液採取人、多数のガンマンに狙われていると保護を要請

 林内でゴムの樹液を採取する36歳のアマゾン・ジャングル守護者が多数の雇われガンマンに狙われているとブラジル当局に保護を要請した。パラ州の土地所有者が彼を殺した者に5万ドルの報奨を出すと殺し屋を募集しているためだという。

 [ブラジルでは世界穀物・食料価格の高騰が後押しする農業開発促進のために、アマゾン森林保護のための法制が緩められ、減速していたアマゾン森林破壊が再加速する状況にある(Analysis: An Amazonian battle,FT,com8.28;Brazil revisits forest code,Nature News,8.17Science has been nearly silent in Brazil’s Forest Code debate,Mongabay.com.8.9)。邪魔する者は皆殺しの雰囲気だ。そういう国でサッカー・ワールドカップだそうである]

827

 米国トウモロコシ主産地で殺虫性GMトウモロコシの根が重大な食害 Bt毒抵抗性の根虫が増殖

 米国トウモロコシの主産地であるイリノイやアイオワの畑で、殺虫性遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの根が、Cry3Bb1蛋白質が発する毒(Bt毒)に抵抗性を発達させたにウエスタン・コーン・ルートワーム西洋トウモロコシ根虫)による深刻な食害を受けている。イリノイ大学の昆虫学者・グレイ氏が調査したイリノイ東部の二つの郡の畑の多くの区域でトウモロコシの倒伏が見られる。ここではこの害虫の多数の成虫が見られ、集めるのは簡単だ。彼は第二から第三の節根が完全に破壊されていることも発見した。トウモロコシを土から取り除くのにシャベルは要らないという。

 これらの畑では長年にわたりトウモロコシ生産が続いており、生産者はCry3Bb1蛋白質を発現するBtハイブリッド種に依存してきた。アイオワでも同様なことが起きている。グレイ氏は、来年は大豆あるいは非ホスト作物との輪作など、別のやり方を考えるべきだと言う。

 Severe Root Damage to Bt Corn Confirmed in Northwestern Illinois ,soyatech.8.26

825

 エルニーニョ-ラニーニョの気候循環が熱帯地域の戦争と平和に強く影響 米国チームの統計研究

 米国研究チームがNature誌に発表した研究によると、自然の気候循環が熱帯地域の戦争と平和に強い影響を与えているらしい。熱帯諸国の武力紛争・内線のリスクは、エルニーニョ/南方振動(ENSO)の乾燥したエルニーニョの時には、涼しいラニーニャの時に比べて倍増する。研究チームは、世界をENSOの影響を強く受ける南米、アフリカ、オーストラリアの一部を含むアジア太平洋地域と、影響が弱い地域の二つに分け、第一のグループで1950年と2004年の間に起きた武力紛争と気候との関連を調べた。ENSOの影響を受ける国々では、ラニーニャの年に比べてのエルニーニョの年の年紛争リスクが3%から6%に増えたという。ただし、紛争の要因不作や食料不足などが何なのか、見極める必要があるという。

 Climate cycles drive civil war ,Nature News,8.24
 Climate cycles linked to civil war, analysis shows,Guardian.8.24

819

 ラウンドアップ除草剤=グルホサート 土壌と作物に有害影響 米政府科学者

 モンサント社が除草剤耐性遺伝子組み換え作物(ラウンドアップ・レディー作物)とセットで売り出し、世界のベストセラー除草剤となっているグリホサートを主成分とするラウンドアップ除草剤は土壌に有害な影響を及ぼすように見え、遺伝子組み換え作物の収量にも悪影響を及ぼす可能性がある。米国農務省(USDA)農業研究局(ARS)の微生物学者・ボブ・クレマーがそう言っている。

 彼によると、グリホサートの頻繁な使用は植物の根の構造に影響を及ぼし、15年に及ぶ研究はこの化学物質が根の真菌病を引き起こす可能性があることを示唆している。ラウンドアップ・レディー作物とラウンドアップ除草剤の使用の増大とともに目立つようになった最大の問題は除草剤耐性雑草の出現と繁茂だが、彼によると、土壌の下であまり目につかない問題も起きている。今までの研究は、グリホサートが作物の健康と生産を制限する真菌病の直接の原因であることは示していないが、データはその可能性を示唆している。同時に、研究は遺伝子組み換え作物の収量が通常作物より高いわけではなく、根の病気に関連した栄養欠乏が収量を制限しているらしいことも示しているという。

 彼は、一層の輪作とグリホサート使用の監視を考えるべきだと言う。

 Roundup herbicide research shows plant, soil problems,Reuters,8.12

76

 原発事故で時間が消えた

 アイルランド音楽、バラ、ミツバチの類まれな愛好家で、料理の名手でもある福島県本宮市の鹿山武彦氏(http://web.me.com/kayamahiko/rose_rose/rose_garden.html)のお宅に震災後初めてお邪魔した。原発事故は、三陸沿岸から関東沿岸の地層に詳しく、かねてそんな所に原発を造って大丈夫かと心配していた鹿山氏からも時間を奪ってしまったようだ。小生くらいの歳になり、原発など論外と考えてきた者にとっては、今更の反原発・脱原発運動や自然エネルギー推進など、決して時間を取り戻すものではない。鹿山氏によれば、「5月の天候が大変に良好だった所為で、バラはちょっとこれまで見られなかった咲き方をしました。・・・大自然が汚染されたにもかかわらず、バラの庭を訪れた郷土の人々を慰めるに充分でした。度々、古代ダマスク・バラの香しい姿を見に早朝早起きし、三脚を付け、撮影したり...」。5群のミツバチから分蜂した5群のミツバチの捕獲に今年は成功した。バラやミツバチが彼の時間を支えているように見えました。 

 小生はと言えば、震災で散乱した資料を分類して片づける気力もなく、新たな時間はないかと世界中を空しく探すばかり。田んぼ作りに感じる時間も、秋には止まるところもあるかもしれない。ただ、自然の営みは永遠だ。

72

 世界小麦価格暴落の翌朝 大手パンメーカーがパン出荷価格値上げ 世界穀物市場に転機?

 小麦価格の世界的高騰を受けて、大手パンメーカー各社は、1日から食パンや菓子パンなどの出荷価格を5%から7%程度値上げしした(パンの出荷価格が値上げ NHKニュース 71日)。皮肉にも、世界価格の指標をなすシカゴ商品取引所穀物先物相場は前日、米国における作付けが予想外に増えるという米農務省(USDA)の発表を受けて暴落した(農業情報研究所:シカゴ商品取引所穀物等先物相場(期近):最新260取引日)。

 期近(711日限)で見れば、トウモロコシはブッシェル6.29ドル、一気に今年1月のレベルにまで落ち込んだ。6月初めには8ドル近くに跳ねがっていたのが、614日に米議会上院がエタノール補助金の廃止を決めたことから原料トウモロコシの需要の先行きに黄信号がともり、一気に7ドルを割るところまで落ちた (農業情報研究所:米国上院 一転してエタノール補助金廃止法案を可決 トウモロコシ価格急落,11.6.17)。これに米農務省の作付け予想が追い打ちをかけたわけだ。

 ロシアの禁輸などで今年2月には9ドル近くまで跳ね上げっていた小麦も、ロシアの禁輸解除やヨーロッパの干ばつの緩和などで急落していた。6月初め以来トウモロコシよりも安くなり、トウモロコシの代わりに飼料に使おうかという畜産業者さえ現れる始末だ。この小麦にもUSDA作付け予想が追い打ちをかけた。630日、シカゴ期近相場は5.85ドル、ロシアの禁輸で世界的高騰が始まった直後の昨年7月のレベルまで、一気に戻ってしまった。

 これが今後どれほど続くかは予想の限りではない。しかし、これまでの需要の伸びの大きな要因をなしてきた米国のトウモロコシエタノール、EUの小麦エタノールなどのバイオ燃料への風当たりの強さを考えると、今までのような需要の伸びは考え難い。お天気次第とはいえ、少なくとも今後1年くらいは穀物価格はこの傾向が続く可能性が高い。ゴールドマン・サックスは、米農務省の供給データ発表後、トウモロコシと小麦の価格予測を26%切り下た(Goldman Slashes Price Forecasts on Corn, Wheat by 26% on USDA Supply Data,Bloomberg,7.2)。バイオ燃料用需要の増大という世界食料価格高騰の構造的要因にも大きな変化が見られるとすれば、高騰が続くというFAOOECDの世界食料価格長期見通しも一定の修正が必要になるだろう。世界穀物市場は大きな転機にさしかかっているように見える。

 パンメーカーも、早晩、再値下げを迫られるかもしれない。

71

 イギリス クラゲ大発生が原発をとめる

 スコットランドのトーネス原発(フランス電力公社=EDFが操業)の原子炉が、冷却のために使われる海水中のゴミを取り除くフィルターに大量のクラゲが見つかったことで手動停止した。クラゲ、海藻、その他のゴミがフィルターに詰まって冷却水の流れが減る現象は想定の範囲内で、原子炉は予防措置として、安全に停止に持ち込まれた。これに関連した放射性物質放出はなく、環境への影響はなかった。原発近くの海のクラゲの駆除を行っており、クラゲの数が減れば再開する。ただ、いつ再開するか、EDFのコメントは得られないという。

 Jellyfish shut down nuclear reactors,Guardian,6.30

 イギリスのクラゲ大発生の理由は分からないが、日本海では温暖化も一因と見られるクラゲの異常発生が見られる。これも温暖化が原発を機能不全に陥れる一例か?(干ばつのフランス 原発停止でブラックアウトの恐れ,11.5.17)。九州から日本海沿岸に立地する原発、想定外の事故が起きたなどと言わけしなくて済むように、くれぐれもご注意を!

621

 中国 干ばつから大洪水へ

 5月末まで史上最悪の干ばつに見舞われていた中国揚子江流域が、今は56年来の大洪水に襲われている。63日以来の4次にわたる大雨が揚子江下流、南西部、南部の諸省で洪水や土砂崩れを引き起こした。今までに3700万近くの人が影響を受け、直接的な経済的損害は54億ドル(4300億円)にのぼる(Floods put strain on dikes,China Daily,6.21。そして、雨はまだまだ続くということだ(写真: Chine : de nouvelles précipitations attendues,Le Monde,6.20)。

620

 核兵器保有国 核兵器調達と核武装計画近代化に今後10年で1兆ドル

 2030年までの核兵器全廃を目指し、ロシア、インド、米国、中国の要人が出席する今週のロンドン会合を主催する団体・Global Zeroによると、世界の9つの核兵器保有国は、来るべき10年の間に、総計1兆ドルを核兵器調達と核武装計画近代化のために支出する。この会合の狙いは、財政危機で防衛予算が圧縮を迫られている国々に とって核武装のコストが払いきれないほどに高いものであることを際立たせることにあるという。

 Nuclear powers expected to spend $1,000bn,FT.com,6.19

66

復興構想会議 被災地農地の「大規模集約化」促進で一致 効率主義が被災地の将来を危うくする

 東日本大震災「復興構想会議」は64日第8回会合で、津波で被災した平野部の小規模農地について、経営効率を上げるための大規模集約化を促す必要があるとの認識で一致したということだ。通常ではなかなか進まない小規模農家の切り捨てを、震災のどさくさに紛れて断行しようということか。火事場泥棒のようなものだ。小規模農家は被災地の雇用確保に重要な役割を演じるはずだ。小さな農地での作物作りは、とりわけ高齢者の元気の素になるだろう。今必要なのは、効率ではなく、効率主義の払拭だ。構想会議が効率主義者の集まりとすれば、被災地の将来は危うい。

63

ヨーロッパに広がる大腸菌 強毒で抗生物質が効かない新株 感染者の多くが致死的な溶血性尿毒症症候群

 生野菜が感染源と見られ、今までにドイツを中心にヨーロッパ10ヵ国の2000人に感染、18人を死亡させた大腸菌が猛毒を生み出し、しかも普通の抗生剤に抵抗性を持つ以前に見られなった株であることが判明した。感染源は最初、スペイン産キュウリとされたが間違いと分かり、まだ特定されていない。封じ込めは難しく、どこまで広がるか分からない。

 イギリスの感染者7人のうちの3人が溶血性尿毒症症候群を発症した。7人はすべてドイツ訪問者だった。保健当局は、ドイツに旅行するときには生のトマト、キュウリ、レタスを含む葉ものサラダを食べないように勧告している。恐ろしいことだ。

 German E. coli outbreak caused by previously unknown strain ,Nature News,6.2
 E coli outbreak: three UK cases have rare strain,Guardian,6.2

 スペインやオランダを始め、ヨーロッパの野菜農家の、風評被害は甚大だ。ロシアはEU全域からの野菜輸入を禁止した。日本からの渡航者も要注意だ。風評被害の補償はどうなるのだろうか。日本もEUも頭が痛い。EPAで慰め合う?

528

 ブラジル下院 アマゾン森林破壊促進法案を可決 アグリビジネス促進で森林破壊が加速

 524日夜か、25日朝、アマゾン森林の焼き払いや違法伐採を止めようと運動してきたブラジルの活動家が何者かによって撃ち殺された。そして25日、ブラジル議会下院は、アマゾン森林地保有者が保有地の80%を手つかずの森林として残す(農牧地として開拓が許されるのは20%まで)という農業者の義務を400ヘクタール未満の小農民には免除し、岸から30メートルまでは許されなかった川岸・湖岸の開拓を岸から15メートルまで許し、現在は認められていない山頂や山腹の開拓も許し、さらに20087月以前の違法伐採については再植林の義務も免除するなど、森林破壊防止のため規制を大幅に緩和する法律を採択した。米国等にないこのような規制のため農業の競争力が削がれ、いくらでもある国の農業開発余力を活かすことができないでいるという共産党やアグリビジネス開発を望むルーラリストA"と呼ばれる議会グループがこの規制緩和を後押しした。

 これによりアマゾン森林破壊は加速され、洪水・土壌侵食などの危険が増し、アマゾン地域の干ばつとサバンナ化が促進されると叫ぶ環境活動家が虐殺され、彼らの主張が踏みにじられたのである。この法案の審議自体が、すでにアマゾン森林破壊を加速していた。ブラジル宇宙研究所の最新の衛生画像は、103平方キロメートルだった20103月、4月の森林破壊面積が、2011年の同期には593平方キロメートルにまで急拡大したことを示している。議会における規制緩和の議論がその最も有力な理由という。破壊の中心地は、ブラジル最大の大豆生産州であるマトグロッソ州だ。

 そういうブラジルで、三井物産は、最近完全子会社化したマルチグレイン社を使い、今後5年でブラジルからの大豆輸出を50%増やすのだという。

 通常ならばこれは日本人も心に留めるべき重要ニュースとして、もっと早く、もっと詳しく伝えたはずだ。しかし、今はそんな気にもならない。それがどうした。原発事故がもたらした災厄に比べれば、そんなことはどうでもいいではないか。そうなってしまう。かくて、かつては重大ニュースとして取り上げた世界の多くの出来事を、ほとんど知らせることができないでいる今日このごろである。ご寛恕願いたい。

 Brazil: Amazon rainforest deforestation rises sharply,BBC,5.18
 
Amazon rainforest activist shot dead,Guardian,5.24
 
Brazil loosens restrictions on Amazon land use,Guardian,5.25
 
Brazil’s Congress debates changes to forest law that environmentalists say threatens Amazon(AP),Washington Post,5.24
 Mitsui to Boost Brazil Soy Exports 50% on Expansion in Food Commodities,Bloomberg,5.21
 ブラジル農業生産・穀物物流事業マルチグレイン社の完全子会社化 三井物産 11.5.9

45

シカゴ穀物相場 トウモロコシが小麦に迫る エタノールが肉食文明に転機をもたらすか?

 44日のシカゴ商品取引所の先物相場、飼料用・バイオエタノール用・食料用重要の増加に供給増加が追い付かず、今年31日現在の米国在庫がこの4年来最低レベルに落ち込んいたトウモロコシ米国中西部の悪天候(による作付の遅れの懸念)が追い打ち、期近相場としては08616日に記録した史上最高の7.7325ドルに迫る史上2番目7.6ドル代に達した。小麦も中国や米国における干ばつへの懸念から急伸したが、通常なら1.52.5ドルほど上回るトウモロコシとの差はわずか30セントにすぎなくなった。言われなけ ればどちらが小麦かトウモロコシか分からない。何よりも米国のバイオエタノールが、穀物の世界をすっかり変えてしまった。 米国のエタノール原料用トウモロコシ消費は2005/06年の4000万トンから2010/11年(予測)の12000万トンに、6年で3倍にも増え、米国国内生産量の40%、世界総消費量の14%を占めるに至っている。いくら生産しても追いつくはずがない。 アメリカ人が毎日のように肉・卵・乳製品を食べられるようになったのは、またそのような肉食文明のグローバル化をもたらしたのは、まさしく安価なトウモロコシの大量供給を可能にした戦後アメリカの農業革命だった。ところが、そのトウモロコシが小麦と変わらないほどの高い価格の穀物になってしまった。安価な動物製品を毎日食べ続ける時代は終わりを迎えつつある。エタノールは、まさしく文明を変える。

323

日本の放射性物質 スウェーデンに到達 低レベルで今のところ健康影響なし

Japanese radioactive material reaches Sweden,Radio Swededn,3.22
http://sverigesradio.se/sida/artikel.aspx?programid=2054&artikel=4414309

321

福島第一原発事故の深刻さは米国スリーマイル島事故と同じレベル5

 原子力安全・保安院が18日、福島第一原発13号機の事故について、事態の深刻さを示す国際原子力事象評価尺度の暫定評価を、「レベル5」に引き上げた。米国スリーマイル島の原発事故と同等の広範囲な影響を伴う事故というわけだ。

 しかし、こんな評価が許されるだろうか。炉心溶融が起きた点ではスリーマイル島も福島も同様だが、スリーマイル島では事故発生後16時間で冷却ポンプが作動、最も恐れられた水素爆発も回避して事故は収束に向かった。放出されたヨウ素131の量はわずか15キュリーほどにとどまったとされる。福島では水素爆発が既に複数回起きており、1週間を過ぎてなお3基または4基から放出され続ける放射性物質の量が既にスリーマイルの比ではないことも明白だ。これからいつまで続くかも分からない。その人や環境に対する影響は場所や雨風の具合で大きく異なるから評価は難しいが、スリーマイル島より小さく収まる保証はまったくない(スリーマイル島では、周辺公衆の被ばく線量は最大でも1ミリシーベルトであったという)。特に植物が地面 ・水から吸収して濃縮し、動物がさらに濃縮する周辺地域の農畜水産物への影響は、「ただちに健康への影響はない」などと楽観的に構えていられるレベルを超える恐れがある。

 レベル5にとどめるのは、そういう恐れはないと強弁し続けるためだろうか。それがチェルノブイリクラス(レベル7)の事故への展開を招かないことを祈るのみである(再臨界-爆発の可能性も完全には否定できない)。

37

ブラジル 外国の農地取得を抑制するルール制定へ 中国政府系ファンドが国の主権を危うくする

ブラジルが外国政府・国有企業・投機者の農地購入を阻止する一方、真のgenuine)民間部門投資家にこれを許すルールを準備している。ブラジルは昨年、中国が主導する外国政府が、自国の食料安全保障の強化のために新興市場で先を争って土地を取得しているという恐怖が広がるなか、すべての新たな農地投資を厳しく制限したが、農相は今、ブラジルの外国人土地所有権制限を厳正にするテクニカル・ペーパーを今月できるだけ早い時期に閣議に提出することを計画している。彼は、他の分野ではパートナーである国々も、ブラジルでの土地購入はわが国にとっての何らかの主権のリスクを創り出すと言う。農相はどこの国とは名指しはしていないが、アナリストは主要なターゲットは明らか、「政府系ファン」は中国ファンドを意味すると言っている。

 Brazil plans curbs on farmland speculators,FT.com,11.3.6
 http://www.ft.com/cms/s/0/6333b494-4819-11e0-b323-00144feab49a.html#axzz1FsFjqRfR
 Brazil in quest to seize farming opportunity,FT.com,11.3.6
 http://www.ft.com/cms/s/0/01d622fc-481b-11e0-b323-00144feab49a.html#axzz1FsFjqRfR

 ブラジルの主権を脅かすのは中国人による土地取得だけではない。あのカーニバルでさえメイド・イン・チャイナになってしまった。ブラジル繊維輸入協会会長によると、今年のカーニバルのショーの衣装の80%は、専ら中国からの輸入品になってしまった。

 Brazil’s carnival is ‘made in China’,FT.com,3.6
   http://www.ft.com/cms/s/0/c5985786-468c-11e0-967a-00144feab49a.html#axzz1FsFjqRfR

33

中国 ビスフェノールABPA)を含む哺乳瓶を禁止か

中国がEUにならい、BPAを含む哺乳瓶を禁止するかもしれない。3日の北京ニュースが保健当局者の発言として伝えた。衛生部は先月、パブリック・コメントを求めて合法的食品包装物質のリスト案を発表した。それによると、BPAはベビーフードと直接触れる容器への使用が禁止されることになっている。

China mulls banning BPA in baby bottles,Xinhua,3.3
http://news.xinhuanet.com/english2010/china/2011-03/03/c_13759288.htm

中国中央テレビの調査によると、中国人の70%が、国産品を信用jせず、輸入粉ミルクを選ぶそうである。現在開かれている人民政治協商会議は食品安全を最優先事項に据えている。

70% refuse domestic powdered milk,China Daily,2.28
http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-02/28/content_12089882.htm
CPPCC spokesman: Food safety 'a top priority',China Daily,3.3
http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-03/03/content_12105951.htm

安全性への懸念からひところの半分ほどに落ち込んでいた日本の中国からの生鮮野菜(生鮮・冷凍)輸入は、天候不順によって国産品価格が急騰した去年の秋以降、かつての勢いを取り戻した。安全よりも安さということか。BPA入り哺乳瓶のことを気にしている母親、子育て支援者はどれほどいるのだろうか[日本では、BPAを含むポリカーボネート製ほ乳びからのBPA溶出量は現行規格値(2.5ppm)よりはるかに低いとして特別の対策は取れらていない。 厚労省は、「諸外国をみても、現時点において、一般消費者にポリカーボネート製ほ乳びんの使用の中止を求めている国はありません」(「ビスフェノールAについてのQA2010115日更新)との認識だ]

226

フランスの青年農業者就農援助に学ぶ?TPP対策としてならまったく無効だ

25日、首相官邸で開かれた第3回食と「農林漁業の再生実現会議」で農林水産省が、1973年以来のフランスの青年農業者就農援助がフランス農業の若返りに劇的な成果を挙げている (40歳未満の経営者の比率が倍増)と紹介、管首相が大きな関心を示したそうである。こういう制度を導入することに敢えて異論を唱えるつもりはないが、フランスが農水省が言うような成果を挙げ ているかどうかについては疑問がある。まして、これがTPP参加のために導入されるのだとすれば、どんな効果も期待できない。

フランスのこの制度については、筆者が日本で初めて、1984年に紹介した(「フランスにおける青年農業者自立・就農援助政策青年農業者自立援助金(DJA)を中心に」 『レファレンス』18842月号)。その効果について、詳しく はこの論文(142頁)を参照されたいが、結論的には、DJAが自立就農数の増加にどれほど寄与したかの評価は不可能に近いDJAは、他の要因とともに、近年の自立就農数の安定化に寄与した」というのが言い得る最大限のことであろうと しか言えなかった。(自立とは、経営者としての自立、つまり新たな農業経営の創設のことである)

当時はフランス農政全体が大きな転換期にあった。1960年農業基本法、1962年農業基本法補完法が推進した構造改革政策(「生産性至上主義」に基づく 小規模農家切り捨て、大規模化政策)がもたらした農業・農村人口の減少は農村社会を崩壊させ、国土の均衡ある発展どころか、国土保全も危うくするまでになっていた。そのために、1970年代には、構造改革のこれらの悪影響を補正する様々な政策が導入されるようになる(→1980年農業基本法、さらには「多様な農業」、「小規模家族農業」を重視する80年代初頭のミッテラン左翼政権農政)。1970年代初期に導入された山岳地域特別補償金、最初は山岳地域に限定されていたDJAも、そうした政策の一環をなすものであった。若い経営者が増大したとしても、それはこれら政策のすべての結果であり、DJAがこれにどれほど寄与したかは測り難いのである。青年農業者の自立の最大の傷害が土地へのアクセスの困難であったことからすれば、DJA以外の土地政策の多くの手段がこれに関与していたことは間違いないだろう。

そして、40歳未満のプロ経営主*(共同経営者を含む)の数は、少なくとも統計で確かなところが知り得るかぎり、1988年以降減り続けている。1988年:206000人、2000年:162000人、2005年:129000人、2007年:107000人だ。プロ経営主全体に対する比率も、1988年に30.2%、2000年に32.9% であったものが、2005年には26.1%、2007年には24.5%と減っている(http://www.agreste.agriculture.gouv.fr/IMG/file/Gaf09p033-039(1).pdf,p.35)。

 *小麦にして12㌶以上相当の経済規模を有し、かつ0.75以上の年労働単位を使用する経営の経営主。

このような補助金も、他の適切な政策が伴わなければ、または就農意欲を萎えさせる他の状況(価格や所得の低迷など)のもとでは、効果は期待できない。TPP参加のためにこういう制度を導入してどんな効果があるというのだろうか。こんな制度があろうとなかろうと、TPP参加は、折角芽生えた若者の就農意欲 を挫くだけであろう。自由化が農業者の意欲の芽をことごとく 摘み取ってきたことに思いをいたすべきである。

フランスの農業経営数と40歳未満経営主の比率(1970年、79年、88年、2000年、2003年)

 

1970

1979

1988

2000

2003

全経営

経営数(1万)

158.8

126.3

101.7

66.4

59.0

40歳未満経営主(%)

17.6

16.6

24.2

26.2

23.2

プロ経営

経営数(1万)

48.0

51.5

61.2

39.4

36.7

40歳未満経営主(%)

8.6

9.8

18.8

21.0

19.4

Source:Agreste Cahiers No.2-Juillet 2007

 224日

東京新聞 村挙げてTPP参加反対の長野県中川村ルポ 政府は政治の努めを果たしていない

本日の東京新聞「こちら特報部」が、TPP参加に村を挙げて反対、20日には村長を先頭に農業団体、商工会、建設業協会、村議会などの約400人が反対を訴えてデモ行進した長野県上伊那郡中川村の様子を紹介している。 筆者は戦前のこの村{旧南向=みなかた村)に生まれ、小学生時代はその隣村(下伊那郡生田=いくた村、現松川町)で過ごした。かつての主産業は養蚕と製糸、それがすたれたのちは天竜川と河岸段丘に挟まれた帯状の平地でコメを作る一方、段丘の傾斜地を拓いてリンゴやナシの商業的果樹農業をいちはやく導入した進取の気性に富んだ村である。

デモに参加したコメ農家の斉藤さんは、「中山間地域対策や農業用水保全に補助金が出るからなんとかやっていける。TPP参加となればもうだめだ。農業の規模を大きくすればいいと政府は言うだろうが、斜面の農地が多いこのような中山間地では限界がある」と言う。

200本のリンゴを栽培するリンゴ農家の男性の「最大の悩みは後継者不足。二人の娘が嫁いだ先の夫はともに会社勤め。『いつかは農家を継いでくれるのでは』と期待していたが、TPP論議で暗雲が広がった」。男性の妻は、「これから農業をやる人にとっては不安だろう。TPPでテレビや自動車が売れても、村においい影響はない」と漏らす。

商工会副会長は。「TPPの本質は、米国と日本の貿易自由化交渉なのだろう。今は円高で日本で作ったモノが、外国で売れない。TPPの結果、外国産の安い品物がこれ以上入ってくれば、国産品の国内消費に響き、働く場所もなくなる」と指摘する。

しかし、斜面が多くて規模拡大には限界があることさえしらないらしい現場知らずの管首相は「参加に前のめりだ」。「デスクメモ」は、TPPには賛否があるが、「一村が村を挙げて反対という現実は重い。特定地域に不利益が集中することを避ける。それが本来の公共性であり、政治の努めだ。しかし、沖縄をみてもそうなっていない。政治の機能不全」と書く。

 TPP反対 長野・中川村の気勢 「生活破壊」 村挙げてデモ 商工会や建設業も一転参加 「山間部で大規模経営はムリ」 募る限界集落への不安  村長「政府は考える時間設けよ 東京新聞 2011224日 第2425面 

 「担い手の高齢化で日本の農業は存亡の危機にあるが、競争力のある農産物をつくり輸出を促進することなどで強い農業に変わるのも可能なはずだ。今こそ改革を急ぐときだ」(日経社説224日)。こういう輩もまったくの現場知らずだ。この100年、知恵を絞り、「強い農業」を作るために誰よりも努力してきたのが現場の農家だ。何も知らない人間からこんなことを言われる筋合いは全然ない。

 223

中国 消費者の70%近くがGM米に反対 情報不足も一因と専門家

中国グリーンピースが22日に発表した世論調査結果によると、中国消費者の70%近くが遺伝子組み換え(GM)米に反対している。グリーンピースは、大都市の代表として北京、上海、広州、小都市の代表として長沙、武漢を選び、また香港での調査のためにリサーチ会社も雇った。1855歳の1300人を対象とするこの調査によると、60%の人が米、油、豆乳を含むあらゆる種類のGM食品に反対だった。ベビーフードへのGM米使用の反対者は大都市で77%、小都市で83%にのぼった。

ただ、ほとんどの人は、いくつかのGM米が研究用に承認されていることも、20098月には農業部が二つのタイプのGM米に食品としての安全認証を与えていることも知らなかった。(かつてグリーンピースにより人間消費用に未承認のGM米が違法に栽培され、販売されていると告発されたことのある=中国で未承認GM米販売  中国米輸出販売にも影響―グリーンピース,05.4.15)湖北省の農業専門家は、中国はこのような技術を安全に使うための厳格な規制とメカニズムを有し、「反対は、一部は十分な情報がない結果だ」と言っている。彼によると、GM大豆油やGMトウモロコシは、今では国内市場で見られる食品の中で相当なシェアを占めている。

 Public has doubts over modified food ,China Daily,2.23
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-02/23/content_12060930.htm

何はともあれ、中国におけるでGM米商業栽培の承認は、政治的に大きなリスクを負うことになりそうだ。輸出市場を失うという経済的リスクも大きい。

 218

大手マスコミ、初めての?TPP参加論に対する疑念 TPPは自然消滅?

 中日新聞(東京新聞)の今日の社説が、「菅直人首相が宣言した「平成の開国」。海外の需要取り込みが狙いだというが、米国主導の環太平洋連携協定(TPP)にこだわり過ぎていないか。アジアを軽んじては日本経済に元気は戻らない」と論じている。大手マスコミとしては初めてのTPP参加論への疑念の表明ではなかろうか。そういえば、他の大手新聞も、TPPTPPと余り言わなくなったような気もする。TPPにこだわっていては「日本経済に元気は戻らない」とようやく悟ったのだろうか。財界でさえ、あまり騒がなくなった。 世界の孤児化を恐れねばならないのは、日本よりも米国の方だとようやく気付いたのだろうか。そして、言い出しっぺの管総理の命運は尽きかけている。TPP参加論は自然消滅に向かう可能性が高い。

 だからといって、米国への遠慮は要らない。もともと、日本の非農産品関税は、韓国やその他のアジア諸国と違い、ほとんどゼロに等しいところまで下がっている。ガット・WTOの自由化交渉が積み残している農産品関税やもろもろの非関税障の撤廃、サービス貿易自由化、知的財産権保護などにかかわる分野での日本の大幅譲歩がないかぎり、日本のTPP参加で米国が得る利益は何もない。従って、日本が様子見ではなく、これら分野で大幅譲歩の用意があると率先して確言しないかぎり、米国は日本の交渉参加さえ認めないだろう。それでも米国政府の政治的配慮はあるかも知れないと考えるとすれば、それは国際貿易体制にかかわるイロハも知らない無知を露呈するだけだ。米国憲法は、通商交渉権限を政府に与えていない。通商交渉権限を持つのは議会である。政府のすべての交渉は、議会の承認を得てしか始まらない。韓国が狂牛病規制を緩和または撤廃しなかったことで今なお韓米自由貿易協定批准を拒否する議員もいる米議会が、オーストラリアとの交渉で牛肉、砂糖、小麦などの関税撤廃を拒むような日本の態度を見て、Goサインを出すはずがない。

 日本の撤退は、むしろ交渉を混乱させ、遅らせる厄介者がいなくなったと歓迎される。日本国民も、まったく不毛な議論から解放され、今真になすべき議論に取りかかれる。管総理は、この非常時に「国民を不毛な議論に巻き込んだ」「大罪人」(北林寿信 「見逃せない首相の大罪 農業と国際競争力」 日本農業新聞 10.12.23 第3面 万象点描)として歴史に名を残すことになるだろう。

 *米国が結んだ自由貿易協定としては、北米自由貿易協定(カナダ、メキシコとの協定)、チリ、ペルー、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、オーストラリア、シンガポール、バーレーン、ヨルダン、モロッコ、オマーン、イスラエルとの協定があるだけだ。未批准の協定としては、コロンビア、パナマ、韓国との協定もあるが、韓国との協定を除けば成長著しいアジア諸国との協定は皆無、米州自由貿易協定交渉、南部アフリカ諸国との交渉もとっくの昔に破綻、ヨーロッパはほぼ完全にEUに取り込まれている。対して日本は、インド、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、シンガポールの中国、韓国を除くアジア主要国との経済連携協定を持っている。メキシコ、チリとの今協定もあり、ペルーとの交渉開始も決まっている。アメリカが急遽TPP参加を表明したのは、アジアでの孤児化を何としても回避したいという一心からだった。

 29(210日補訂)

  中国 食料インフレ抑制で基準金利引き上げ が、北部穀倉地帯は200年来の大干ばつ

 中国人民銀行(中央銀行)が28日、昨年10月以来3度目となる基準金利引き上げに踏み切った。預金と貸出の基準金利をそれぞれ0.25%引き上げる。昨年10月、12月の金利引き上げもかかわらず、消費者物価、特に食料品価格の上昇が止まらないからだ。昨年12月の中国の消費者物価指数は前年同月を4.6%上回り、対前月比でも6カ月続けて上昇した。人件費や世界的な資源価格の上昇もあるが、天候不順で供給不足となった野菜など食料品価格の上昇が大きく影響している。消費者物価指数のほぼ3分の1を構成する食品価格指数は、昨年10月、11月には前年同月をそれぞれ10.3%、12%上回った(OECD統計)。12月も9.6%だ(China's food prices rise over past week,Xinhua,1.26

 年明け以降も、南部の異常低温や北部の干ばつで、食料品価格の高騰が続いている。商務部の125日の発表によれば、中国農産物価格は1月第3週までの4週間、連続して上昇した。南部の低温と滞る輸送が主な原因だ。18の必須野菜の卸売価格は1週間に12.6上昇した(Chinese farm produce prices rise for fourth consecutive week before festival,Xinhua,1.25)。

 その上に今、中国の冬小麦の80%を生産する北部平原地帯が200年来と言われる干ばつに襲われている。640万ヘクタール、あるいは作付けられた小麦の35%が影響を受けている。国第二の小麦生産地域である山東省では、去年9月から12ミリの雨が降っただけである(Crops dry up as drought drags on,China Daily,2.9)。これが春にも続くか、今月の気温が下がれば、6月の収穫に決定的な影響が出る(UN: Drought endangers Chinese winter wheat,China Daily,2.9)。食料インフレはますます昂進する恐れがある。

 中国政府は、北アフリカ・中東で起きているような食料インフレの政情への影響を恐れている。しかし、経済成長を犠牲にした利上げも食料インフレ抑制につながらないかもしれない。お天気には誰もかなわない(China in fresh interest rate rise,FT.com,2.8)。

  関連情報
 
FAOSpecial Alert:http://www.fao.org/docrep/013/al975e/al975e00.pdfFAO中国干ばつ特別警報)
 U.N. Food Agency Issues Warning on China Drought,The New York Times,2.9FAO 中国干ばつで警告)
 http://www.nytimes.com/2011/02/09/business/global/09food.html?_r=1&ref=world
 
Wheat Jumps to Highest Since 2008 as Drought May Harm China Crop,Bloomberg,2.9(シカゴ小麦先物 中国干ばつで08年以来の最高値)
  http://www.bloomberg.com/news/2011-02-09/wheat-advances-nearing-29-month-high-as-drought-threatens-china-crops.html
 $1b to help battle worst drought in 60 years,China Daily,2.10
  http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-02/10/content_11972919.htm
  I
nflation fight must come first,China Daily,2.10
  http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2011-02/10/content_11973924.htm

 27

韓国大統領、食料危機に関する官民合同タスクフォースを提案

 韓国の李明博大統領が7日、食料の安定供給を確保する方法を研究する政府・民間合同タスクフォースを創設する必要があると語った。大統領報道官は、「気候変動によって世界全体が食料危機に苦しむ機会が増えている。農業・漁業産品(の供給)に関する政府挙げての戦略を立ち上げ、(関連した)研究を行うべきだ」と 言う。彼によると、大統領は、この問題を扱うための政府官僚と民間専門家で構成される国家的組織を作ることを提案したということだ。

 Lee suggests creation of government body on food crisis ,Yonhap,2.7
 http://english.yonhapnews.co.kr/national/2011/02/07/59/0301000000AEN20110207004300315F.HT

 韓国は工業製品輸出拡大のために、農業を犠牲に数多の自由貿易協定を結んできた。200708年の穀物等国際価格の急騰で国内食料品価格が急騰すると、現代重工業等大企業の新植民地 主義的海外進出(海外で取得した農地での自国食料・飼料の生産)を奨励・援助することで食料安全保障を確保する戦略に乗り出した。しかし、そんな戦略も実を結んでいない。国際価格高騰 (と輸出拡大のためのウォン安誘導)と(自由化が加速した) 国内生産体制の弱体化・天候不順・口蹄疫禍による生産・供給減少の挟み撃ち、韓国の食料インフレ率は、今やOECD主要国のなかでダントツのトップに躍り出た。いまさら何をしようというのだろうか。アメリカやEUとの自由貿易協定はもうやめた 、とでも?円高・デフレ日本も安心はできない。世界価格の高騰が始まった8月以来、インフレ率は急上昇している。 (下図の中国の12月はゼロではなく、まだデータがないことを示す)

 

 21

  マレーシア ケイマン諸島に次ぎデング熱対策のGM蚊をひそかに放出

 126日、マレーシアの医学研究所(IMR)が、デング熱を運ぶ蚊を減らすために英国バイテク企業・Oxitecが開発したGM蚊(英国企業、ケイマン諸島野外にGM蚊を大量放出 世界で初めて,10.11.12)をバハン州ベントン近くの無人の森林に放出したと発表した。放出は、一般国民はもとより、放出に反対してきた環境NGOにも知らせることなく、昨年1221日に行われた。その上、今年15日、マレーシア国内メディアは、バイオセーフティー局局長の発言として、先月に予定されていたGM蚊放出が悪天候で延期されたと伝えていた。ナジブ政府は透明性を一つの売り物にしてきた。政府の看板を傷つけてまで、なぜ放出を急がねばならなかったのだろうか。不可解である。

 Malaysia follows Caymans with surprise GM mosquito trial,SciDev,11.1.28
 http://www.scidev.net/en/news/malaysia-follows-caymans-with-surprise-gm-mosquito-trial.html
 A quiet release,The Star,11.1.30
 http://thestar.com.my/health/story.asp?file=/2011/1/30/health/7886740&sec=health
 Weather delays mosquito release,The New Straits Times,11.1.5
 http://www.nst.com.my/nst/articles/10azm/Article#ixzz1CfP8ovse 

 18

  2009年のインド農民自殺者17386人、この6年で最高 30分に1人が自殺 深まる農業危機

 インド国家犯罪記録(NCRB)のデータによると、2009年に自殺しのインド農民は、少なくとも17,368人に達した。2008年に比べると1,172人の増加で、この6年で最悪の記録である。自殺者の62%が、人口では3分の1を占めるにすぎないマハラシュトラ、アンドラ・プラデーシュ、カルナタカ、マディヤ・プラデーシュ、ケララの5州に集中している。90年代半ば以降、農業の商業化が特に進み、水不足も深刻化してきた地域である。インド農民の自殺に関する最大の研究の著者であるエコノミスト・K. Nagarajは、「農家人口は減っているのに自殺者の数は増加している。これは農業危機がなお燃え盛っていることを確認するものだ」と言う。

  1997-2003年の7年間の自殺者総数は113,872人、年平均16,267人だった。次の6年間(20042009年)の自殺者は102,628人、年平均17,105人だった。これは毎日47人、30分に1人が自殺していることを意味するという。

 17,368 farm suicides in 2009,Hindu,10.12.28
 http://www.thehindu.com/todays-paper/article996204.ece

 関連情報
 インド農民の自殺が急増 97-05年に15万人 商業・換金作物農業地帯に集中,07.11.12
  45% of farmers want to quit farming: Swaminathan,Hindu Business,10.12.31(
農民の45%が農業をやめたいと思っている
  http://www.thehindubusinessline.com/2010/12/31/stories/2010123152041600.htm
 Suicides Rise Across India,IPS,11.1.7(インド中で自殺が増加)
 http://ipsnews.net/news.asp?idnews=54057

2010

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 前原外相 全品目自由化を基本に来年早期に日豪EPA交渉再開

 オーストラリア訪問中の前原外相がエマーソン貿易相と会談、「すべての品目を自由化交渉の対象とするとした包括的経済連携に関する政府の基本合意*を踏まえ、「真剣な国内調整を進める」と強調。政治主導でEPA交渉妥結への突破口を切り開くと述べた。エマーソン貿易相は歓迎の意を示した」そうである。

  *http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/1106kihonhousin.html

 日豪EPA交渉、来年早期に再開 前原外相、豪貿易相と会談 日本経済新聞Web 2010/11/23 13:05
 http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819499E0E1E2E29B8DE0E1E3E3E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

 もはやTPP阻止などと悠長に構えている場合ではない。現政権は、日本農業はぶっ潰すことしかないとでも考えているようだ。この政権の下では、TPPを待つまでもなく、日本農業は破滅する。 こんな政府・外相を野放しにする民主党議員・党員も何を考えているのだろうか。この党には、党内で発言できるほどに農業が分かる人が一人もいないのだろうか。このままでは地方の反乱は避けられない。

 22日の政府と全国知事会議の協議で、知事会議側はTPPへの危機感を表明した上で、「農業の再生と開国をどう両立させるのか。食料安全保障についてどう考えるのか。農業に対する具体的な政策が示されていないため、農業関係者を中心に不安が広がっている」と指摘。農業の体質強化に向けた対策に加えて多面的機能を維持するための地域政策や環境政策もセットで示すよう注文を付けた」。これに対し、管首相は、「貿易(自由化)の問題に関わらず、若い人がもっと参加できる農業や(農産物などの)付加価値をうまく農業者に取り込めるような施策を展開したい」と答えたそうである。

 知事会議 TPPに危機感/山口県知事首相に要望 地域政策構築 日本農業新聞 20101123日 2
 Web:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=2565

 答えになっていない。それでも、農業についての質問に答えるにはこれだけ「覚えておけばいいんですから」、「首相とはいいですね」。辞めた法相とどこが違う?