農業情報研究所(WAPIC)

今日の話題:一覧

2012年

5月21日

 タスマニア オーストラリア初の鶏ケージ飼育禁止へ 来年は豚ストール飼いも

  

 Tasmania to ban battery hen farming,ABC,5.18

5月8日

 ロボット時代の酪農-アルプス農業の伝統的イメージをすっかり変える完全機械化スイス酪農

 Milk farming in the age of robots,swissinfo,5.7(オーディオ・スライドショー)

4月26日

 アマゾン森林破壊促進法”がブラジル議会を通過 大統領は拒否権行使か?

 ブラジル議会下院が25日、農業者・牧畜業者のアマゾン森林開拓を制限してきた森林法典修正法案の核心部分―河岸や山頂部の森林伐採規制の緩和や違法開拓に対する罰金の免除―を採択した。環境グループは2010年8月から2011年まで記録的に減速していたアマゾン森林破壊が再加速すると恐れる。森林破壊が減速したのは、一つにはルーラ前政府が衛生画像による監視や環境警察の破壊現場派遣などで取り締まりを強化したことによるが、 アマゾンで産する牛・大豆・木材・鉄鋼に対する世界需要が金融危機で一時的に落ちこんだことも大きく影響している。取り締まりには限界があり、法的規制が緩めば、森林破壊は間違いなく再加速するだろう。

 しかし、ルーラ政府を受け継いだ現ジルマ・ルセフ大統領は、これを座視するわけにはいかない。恐らく、この修正法案への署名を拒否すると見られる。

 Brazil's Congress approves changes to enviro law,Business Week4.25
 http://www.businessweek.com/ap/2012-04/D9UCA1T00.htm
  Brazilian congress adopts controversial land use law,Guardian,4.26
  http://www.guardian.co.uk/environment/2012/apr/26/brazil-amazon-forest-law

4月20日

  フランス北東部で破滅的凍害

 フランス本土のほぼ4分の1を占める北東部一帯が今冬の厳寒で破滅的凍害に見舞われている。40%から100%の小麦、大麦、ナタネが死滅したそうである。農業者団体は4月19日、EU補助金を受け取るために必要な輪作などの義務はとても守っていられないと、激甚自然災害事態宣言を発してこういう義務を免除するように欧州委員会に要請した。

 

 Gel hivernal : les agriculteurs demandent l'état de catastrophe naturelle dans le Grand Est,Le Monde,4.19

4月19日

  タイ 外部投資家の換金作物プランテーションが水を収奪、ターク県米農家が存亡の危機

 ミャンマーと国境を接するターク県ポップラ郡、他県から最近やってきたアグリビジネス投資家が地域の農地を借り上げ、バラ、トウモロコシ、ポテトなど、大量の水を食う大規模モノカルチャー・プランテーションを立ち上げた。これらプランテーションに水を奪われた地域農家は、水不足のために田んぼを売るほかなくなっているという。

 

 Farmers point finger at thirsty cash crops for water shortage,Bangkok Post,12.4.19

4月5日

  中国 新タイプのガッターオイル(再製食用油)製造の容疑者100人以上を逮捕

 中国警察当局が新しいタイプのガッターオイル製造の疑いで100人以上を逮捕した。以前に問題となったガッターオイルは家庭やレストランから出る廃食用油を新たな食用油として加工したものだったが(→中国 台所廃油から作られ、小食堂などで普通に使われる違法調理油の排除へ,10.7.20)、新しいタイプのガッターオイルは腐肉・内臓を含むと畜場の廃棄動物油脂から作られる。公安部が2日夜、これを作るのを専門にする13の地下作業場を閉鎖し、3200トンの新タイプのガッターオイルを押収したと発表した。

 Over 100 arrested for making new-type "gutter oil",Xinhua,4.3

 中国を旅行して食堂に入るのは相当な勇気がいる。料理にガッターオイルが使われているかどうか、外見では全然分からないからだ。

3月16日

 中国のレアアース輸出規制、日米欧のWTO提訴は騒ぎすぎ 環境破壊や他国の資源戦略的利用はどうでもいいのか

 日米欧(EU)が輸出枠設定、輸出税賦課などによる中国のレアアース(と一部レアメタル)輸出規制を不公正な貿易措置としてWTOに提訴した。日本の一部マスコミも、中国が世界生産の9割を占め、ハイテク製品の生産に不可欠なレアアースの価格がこの輸出規制で急騰、「日本や米欧企業の生産に支障が出ている・・・中国の輸出規制を放置すれば、企業生産への悪影響が一段と広がる。他の新興国などでも保護貿易主義の台頭を誘発しかねない」などと、中国叩きをけしかける(レアアース提訴 中国はWTOルールの順守を 読売新聞 3月15日付社説)。

 しかし、これは騒ぎすぎだ。第一、欧米企業のレアアース需要は、価格上昇が一つの契機となったとはいえ、いまや減少傾向にあり、中国の輸出枠さえこなせないのが現実だ。価格も急騰どころか低迷を続けてきた。その上、 レアアース埋蔵量では世界の3分の1ほどでしかない中国がこれほどの生産国となったのは、森林破壊、水汚染、放射能汚染(→スマートフォーン・・・がマレーシア住民を苦しめる 日本企業も参加のレアアース工場から放射性物質漏出の恐れ)など深刻な環境破壊を引き起こすレアアース鉱山の野放図な開発の結果にほかならない。2006-2007年以来、中国政府は、一定の環境基準を満たさないレラアース採掘を許可しないど、その生産管理を強化してきた。輸出枠設定などの規制はその結果にほかならない。輸出規制には環境保全という正当な根拠があるのである。

 上記社説は、「中国は・・・『環境と資源保護のため』と主張するが、自国企業に有利なように資源の囲い込みを狙っているのは明らかである」と、この正当な根拠を一顧だにしない。輸出規制によって中国国外の需要者のコストが中国国内の需要者のコストよりもくなるのは確かである。従って、輸出規制には中国企業を有利にしようとする戦略的側面があることは否定できない。それにもかかわらず、自国に豊かで他国に乏しい資源の戦略的利用は現代世界の支配的潮流ではないのか。最たるものの一つが米国の食料戦略だ。批判(非難)の矛先が中国だけに集中、米国をはじめとする他の資源大国に向かわないのは、それ自体が戦略的では ないのか。

 ともあれ、安価な中国のレアアース、レアメタルに依存しつづけようとする世界のハイテク産業の考え自体が、すでに時代遅れになりつつある。必要なのは、WTO提訴ではなく、そのような認識である。

 China Exclusive: Experts say no more cheap rare earths from China,Xinhua,12.3.13
 
The overstated fear for rare earths(Editorial),FT.com,12.3.13
 
Pourquoi la Chine restreint ses exportations de "terres rares",Le Monde,3.14(中国はなぜレラアース輸出を制限するのか) 
 
Terres rares : l'usine qui divise la Malaisie,Le Monde.12.3.16

3月14日

 オーストラリア連邦議会 アボリジニーコミュニティを核廃棄物処分地に

 アボリジニーや環境団体が猛反対し、法的係争も未決着のなか、オーストラリア連邦議会がアボリジニー所有地を低・中レベル核廃棄物の捨て場とする法案を採択した。

 Australia passes controversial nuclear waste bill,The Guardian,12.3.13
 
Traditional owners to fight nuclear waste dump,ABC,12.3.14

 関連情報:オーストラリア・アボリジニ 所有地への核廃棄物投棄に合意,07.5.25

3月7日

 農業は最悪の搾取の場 イギリスの話

 水も衛生設備も、照明・暖房・調理設備もないキャラバン(移動住宅)に12人の農業労働者が住んでいる。30人の労働者が構造的に危険で、文句を言おうものなら野球のバットを振り回す男に脅かされる寝室二つの家に住んでいる。違法なミニバンで運ばれる途中に事故に巻き込まれ、脚をなくした労働者。朝3時半からの搾乳に始まり一日12時間、週に6日間働かされる拘束された労働者。これらは、農業、食品加工等の労働者(多くは移民と見られる)を手配する事業者を規制するギャングマスター認可局(GLA)が最近見つけ出した極端な労働者搾取の例のほんの一端にすぎない。しかし、政府も農業者団体も、GLAの活動はビジネスに過大な負担をかける”レッド・テープ”(「繁文縟礼」、官僚的形式主義)だとして、労働者を保護するルールを火あぶりの刑に処することを計画している。南米やアフリカではない。イギリスの話だ。

 Attempts to stop exploitation by gangmasters must not be undermined,Guadian,3.4

 3月2日

 フィンランドで原発新設計画 オンカロには新たな核廃棄物受入れ能力はないと紛争勃発

  Fennovoimaが原発新設を計画しているが核廃棄物の最終処分場は他の2社の合弁会社であるPosivaが建設中のオンカロを利用するしかなく、オンカロの共有を要求している。しかし、Posivaはオンカロの設計はそんなことを想定して いないとお断りの姿勢だ。原発新設で最終処分場をめぐる紛争が起きている。

  Dispute over nuclear waste storage intensifies,Helsingin Sanomat,12.3.1

 それでも、最終処分のメドも立たないのに原発を大量に建設、破滅への道をひた走ってきた日本その他の国に比べればまだマシということか。 これらの国が放射能地獄から逃れる道は、もはやない。

  2月24日

 福島県 米の放射性セシウム100〜500ベクレルの地域の24年産米作付け容認へ県と市町村はセシウムの除染・低減、安全検査の確実な実施などを盛り込んだ計画書を策定し、同省に提出する。

 23年産米からキロ100〜500ベクレルの放射性セシウムが検出されてた地域で24年産米の作付けを認めるかどうか、国と市町村との調整が難航していたが、福島県が安全対策の徹底を前提として作付けを容認する方針を固め、農水省に伝えた。農水省穀物課は「県の考え方は尊重したい」としており、今月中にも当該地域の作付けを認める方針を発表するという。

 安全対策とは、「(1)反転耕やカリウム施肥などによる放射性セシウムの除染・低減(2)栽培から収穫、流通まで徹底したコメの管理(3)収穫された全てのコメの全袋検査」のことで、「県と市町村はセシウムの除染・低減、安全検査の確実な実施などを盛り込んだ計画書を策定」、農水省に提出するということだ。

 24年産米作付けで県方針 安全対策が前提 福島民報 12.2.24

 おかしな話である。何よりも急ぐべきは、田んぼ一枚ごとの土壌調査である。それなしには、それなしには、作付制限をするのか、除染するのか、稲 のセシウム吸収を抑える栽培方法を採用するのかなど、適切な対応策の選びようがない。なお、除染のために反転耕を行えば土は確実に死ぬことを覚悟せねばならない。植えても満足な収穫はないだろう。除染を要するような高濃度汚田んぼは、もはや生産機能を失っていると考えねばならない。

  2月6日

 イギリス人すべてが菜食に切り替えると自動車半減と同じ温暖化ガス削減効果

   イギリス・ランカスター大学のニック7・ ヒューイット教授の計算によると、イギリス人のすべてがベジタリアンになると、その温室効果ガス削減効果は道路を走る車を半減させると同じになるそうである。61種の食品について計算したところ、生鮮肉とチーズの温室効果ガス排出がトップになった。イギリス人が食べる食品の温室効果ガス排出量は二酸化炭素換算で1億6700万トン、これは菜食への切り替えで22%から26%減らせるという。

  Meat trade emissions equal to half of all Britain's cars,Independent,2.5


  2月2日

  福島市と川俣町が水田と畑計約4260ヘクタールを除染することを決めた。土中の放射性セシウムが植物に吸収されるのを抑える効果がある鉱物の散布や、通常の約2倍の深さ30センチ程度まで耕して表土と底土を入れ替える「反転」などの手法を採用するという。

 福島と川俣の全農地除染 避難区域除く4260ヘクタール 河北新報 12.2.2

 厳密には「除染」ではないが、作物による放射性セシウム吸収が減ったり、農業者と周辺住民の被曝が軽減できたりするならば、それなりの意味はある。ただし、作土と底土を入れ替える反転耕で農地は痩せ衰え、営農に耐えるほどの作物生育や収穫を確保するのは難しくなる可能性が高い。将来の農業復興を願うならば、取り返しのつかない結果を招かないように、反転耕「除染」にはよほど慎重であらねばならない(汚染度に応じた適切な対応を講じるための田畑一枚ごとの土壌調査が先決)。

 デンマーク 農家の農薬使用自主的削減に見切り 農薬使用税導入を、と環境大臣

 デンマーク議会の2004年農薬計画は農地での農薬使用の20%自主的削減を奨励した。ところが、デンマーク環境保護庁(EPA)の最新研究報告は、過去3年、農家の農薬使用量は減るどころか11%増え、環境損害は30%も増えていることを明らかにした。農業者は、使用量は増えても害が少ない農薬を使用しているから環境影響は最小限にとどまっている主張する。しかし、研究報告は、農業者は実際には法律で許される最も強力な農薬成分を選択していることを明らかにした。これを受け、環境大臣は、いまや農薬使用税を要請している。自主協定は機能しなかった、もっとタフな措置を取らねばならないと言う。公共部門や自治体の農薬使用は減ったが、農業者の農薬使用増加で全体としては全く減っていないという。

 Tax on farmers’ pesticide use proposed,Copenhagen Post,1.30
   http://www.cphpost.dk/news/national/tax-farmers%E2%80%99-pesticide-use-proposed

 1月17日

  BASF ヨーロッパ向けGM作物開発から撤退 高収量・干ばつ耐性品種などの研究開発はアメリカで継続

 ドイツ化学企業、BASFが16日、ヨーロッパ向けの遺伝子組み換え(GM)作物の研究開発から撤退、事業をGM作物への抵抗が少ないアメリカに移転させると発表した。植物科学分野のヘッドコーターをドイツ南西部のリンブルガーホフからノースカロライナのローリーに移し、ドイツとスウェーデンにある二つの小規模なサイトは閉鎖する。一部のGM作物開発はアメリカに移し、GMスターチポテト(Amflora, Amadea , Modena)、疫病( late blight)抵抗性ポテト(Fortuna)・スターチポテト、真菌(カビ)病抵抗性小麦など、専らヨーロッパでの栽培のために開発したきたGM作物の開発と販売はやめる。GM作物はヨーロッパの大多数の消費者、農民、政治家の受け入れるところとなっておらず、ヨーロッパ向けGM作物への投資の継続はビジネスとして意味をなさないという。

 ただ、植物バイオテクノロジーは21世紀の枢要な技術だと信じる。高収量や干ばつ耐性などストレス耐性に焦点を当てた世界市場向けGM作物の研究開発は続ける。これにはトウモロコシ、大豆、棉、キャノーラ、小麦などでのモンサント社との共同事業も含まれる。この共同開発から生まれた最初の製品である干ばつ耐性トウモロコシの米国での栽培が2011年末に承認されたという(農業情報研究所注)。

 BASF to concentrate plant biotechnology activities on main markets in North and South America,BASF News Release,12.1.16 
   関連ニュース
 
An end to GM crop development for Europe ,FT.com.12.1.16
 
Le géant de la chimie BASF stoppe sa production d'OGM en Europe,Le Monde,12.1.16
 
BASF stops GM crop development in Europe,Deutsche Welle,12.1.17

 農業情報研究所注:USDA:APHIS News Release;http://www.aphis.usda.gov/newsroom/2011/12/brs_actions.shtml。ただし、このトウモロコシ、低・中程度の干ばつに対して現在の通常品種よりほんのわずかばかり耐えるだけで、USDAは米国のトウモロコシ作付地の15%ほどで使えるだけと推定している。

 
Monsanto Corn Unlikely to Help Most Drought-Stricken Farmers, According to Union of Concerned Scientists ,soyatech.com,11.12.26

 1月11日

  その1 ??角田の鳥インフルは陰性!

 先日、国立環境研究所の検査で鳥インフルエンザ陽性とされた角田市のオオハクチョウ、北大の検査で陰性だったという。死骸発見時の県簡易検査での陰性から二転三転、検査体制は一体どうなっているのだろう。

 角田で発見のハクチョウ死骸 鳥インフルは陰性 河北新報 12.1.11

 その2 米国FDA、輸入ブラジルジュースから禁止殺菌剤検出

 米国食品医薬局(FDA)が今週月曜日、ブラジルからの輸入オレンジジュースの検査で米国では禁止されている殺菌剤・カルベンダジムを検出した。ブラジルからの輸入の全面禁止につながる恐れあり、フロリダでの凍害のリスクも加わり、火曜日のニューヨーク市場のオレンジジュース先物価格は34年ぶりの高騰を記録したという。日本もブラジルからオレンジジュースを輸入している。しっかり検査しているのだろうか。

 Orange juice at 34-year high on fungicide fears,.FT.com,12.1.10

  その3 ドイツ、スーパーの大半の鶏肉から抗生物質耐性バクテリア

  ドイツでは環境団体・地球の友が、国中のスーパーで買った鶏肉20のうち12のサンプルが抗生物質耐性バクテリアを検出した。日本は大丈夫か。

 Antibiotic-resistant chicken found in German supermarkets,Deutsche W,elle,12.1.10

  その4 タイの主要ダムが高水位 放出が遅れれば昨年の洪水の二の舞と専門家が警告

 

 1月6日

 新春早々めでたくもない話 角田(宮城県)のため池でA型鳥インフルエンザ

 

 宮城県は5日、角田市豊室の市之丞(いちのじょう)ため池近くで見つかったオオハクチョウ2羽の死骸のうち、1羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認されたと発表した。宮城県内で鳥インフルエンザウイルスの遺伝子が検出されたのは初めて。毒性の強い高病原性かどうかの確定検査を北海道大で実施しており、約1週間後に結果が判明するという。強毒性でないことを祈るのみ。

 

 鳥インフル陽性確認 角田のため池 河北新報 12.1.6

2011年

 12月22日

 その1:稲わら・・・に続き 製材くずも行き場なし 放射能汚染地域での農林業は放棄するほかないのでは

 

 「県内の製材所で製材時にくずとして出る樹皮の処分が滞り、各業者の仮置き場での保管が限界に近づいている。堆肥や、バイオマス発電の燃料としての需要が、放射性物質の付着でほぼ断たれているためだ。復興復旧関連の製材需要の伸びで廃棄物の樹皮はたまる一方で、業者は「一刻も早く処分方法を決めてもらわないと、事業が継続できない」と焦る。原木を出荷する林業への影響も懸念されている。・・・」(置き場限界 焦る業者 製材くず1カ月で4000トン 福島民報 11.12.22

 作物自体が汚染で用をなさず、それでも生産を続けるかぎり溜まり続ける行き場のない”放射性作物残渣”(稲わら、もみがら、製材くず・・・)、汚染地域での農林業活動は、もはや放棄するほかないのでは。

     

 その2:変貌するフランス農村景観 農地が2秒に26uずつ消えていく

 

 フランスの農業後継者が作る農民組合・「青年農業者」(世界に名だたる「フランス農業経営者連盟」・FNSEAの青年部)によると、フランスの農地が2秒に26uの割合で失われている。1960年に3600万fあった農地が2010年には2800万fにまで減った。主な要因は都市化。別の要因は、収益性が低い農地片の放棄と林地への転換。もっと大きな要因は、今年も2.3%下がった農業者の平均所得の低下である。

 

 Blog - Chaque seconde, 26 mètres carrés de terres agricoles disparaissent en France,Le Monde,12.21

 

 わが民主党政権は、フランスの青年農業者就農援助にならって後継者支援制度を創設、TPPにも負けない強い農業を作るという(フランスの青年農業者就農援助に学ぶ?TPP対策としてならまったく無効だ,11.2.26)。さぞかし、本家に負けない立派な成果があがるだろう。

 12月21日

  暫定規制値 or 暫定基準値

 

  厚労省が食品中に含まれる放射性セシウムの現行暫定規制値に代わる新たな規制値案をまとめた。以下は、これを伝えるマスメディアの報道の見出しである。

 

 食品の放射性物質 新たな基準方針 NHKニュース 11.12.20
 
乳児用は50ベクレルに 食品中の放射能で新基準案 朝日新聞 11.12.21
 一般食品100ベクレル 飲料水10ベクレル 放射性物質の新基準値案
 産経ニュース 11.12.20
 セシウム新基準値案に母親ら食の安全確保で歓迎
 福島民友 11.12.21
 
セシウム食品規制を強化へ…牛乳50ベクレル 読売新聞 11.12.21
 
4分類 規制値厳しく 新設の乳児用50ベクレル 牛乳は4分の1に 東京新聞 11.12.21
 厚労省:乳児用食品は50ベクレル…セシウム新規制値案
 毎日新聞 11.12.20

 

 これを見るだけでも、暫定規制値に基づく「公衆防護」システムへの各社の理解度を知ることができよう。「基準」としたのは 最低だ。何も分かっていない。

 

 国際放射性防護委員会(ICRP)の「放射能緊急時における公衆の防護のための介入に関する諸原則」に基づくこのシステムは、汚染食品からの被ばくで生じる確率的健康影響(がんや遺伝的影響)には「しきい線量」が存在せず、被ばくした線量が大きくなるほど発生する確率が大きくなることを前提としている。従って、現行暫定規制値として採用された介入のための「指標」を提示した原子力安全委員会報告も、「本指標は,飲食物中の放射性物質が健康に悪影響を及ぼすか否かを示す濃度基準ではなく,緊急事態における介入のレベル(防護対策指標)、言い換えれば,防護対策の一つとしての飲食物摂取制限措置を導入する際の判断の目安とする指標である」とわざわざ断っている。

 

 ICRPによれば、「防護措置の導入はいかなるものであれ、影響を受ける個人にいくらかのリスクをもたらし、また、財政的費用と社会的・経済的秩序の混乱によって社会に対して害を及ぼす」。正当化される介入のレベルとは、「回避される放射線損害を含めたある防護措置の便益が、その実施に付随する放射線に関係のないリスク、財政的費用、および社会的混乱といったような定量化できにくいその他の影響による損害より大きい」レベルでしかなく(ICRP Publication 63『放射能緊急時における公衆の防護のための介入に関する諸原則』 日本アイソトープ協会)、それ以下では健康悪影響がない「安全基準値」などそもそも存在しないのである。

 

 それにもかかわらず、不勉強なマスコミは介入のための「規制値」を「基準値」などと言うものだから、一体何の基準なの?「安全」基準としか考えられなくなってしまう。そして、この値以下のものも受け入れない「公衆」を風評加害者に仕立てあげるのである。いかに低線量でも、ゼロでないかぎり必ず「影響を受ける個人にいくらかのリスク」があるのだとすれば、風評というものもそもそも存在しないはずのものではないか?

 

 ただ、「規制値」と言うマスコミの言うことも鵜呑みにはできない。例えば読売新聞、「新規制値は、食品について1キロあたり1200ベクレルを指標とする米国や、同400〜1250ベクレルとする欧州連合(EU)と比べると相当に厳しい」と言うが、これは公衆が摂取する食品の1割程度しか汚染されていないという前提の下で設定されたものだ。5割が汚染されている(本当は全部汚染されているのかもしれないが)という仮定に基づく日本の規制値とは比較できない。東京新聞も「規制値」という言葉を採用するが、新たな規制値案が基づく被ばく限度・年1ミリシーベルトは、「日本で自然界から浴びる放射線とほぼ同じ。多くの食品に含まれる放射性カリウムによる内部被ばくは、年〇・一七ミリシーベルト程度とされる」などと余計な言葉を付け加える(食品のセシウム 新規制値案 母親「ゼロを目ざすべき」 農家「しっかり補償を」 「超えた場合も冷静に」識者 東京新聞 12月21日 朝刊 27面)。それで何が言いたいのか。食品に含まれる人工放射性物質からの年1ミリシーベルトの被ばくなど問題外と言いたいのだろう。そうでなければ、だからこそ「食品に含まれる人工放射性物質からの」の追加被ばくは極小にとどめねばならないと、さらに付け加えるはずだ。

 12月17日

 その1:日本「終息」宣言

 

 野田首相が16日、東電福島第一原発事故の「収束」を宣言した。いつもは大本営発表を鵜呑みにして垂れ流すだけの大手マスコミも、これにはさすがに大騒ぎ、海外メディアも呆れかえっている。

 

 しかし、メディアは「終息」を「収束」と聞き違えただけではないのか。コモンセンスを欠く故に自分が残忍極まりないと自覚することもできない政府が、この日、権力の座を脅かす者は放射能で皆殺しにする決意を確認した。放射性廃棄物のバラマキで、日本全国、汚染のない地域はなくなりつつある。国民は、もはや国外逃亡しか生き残る術がない。つまり、日本終息宣言だ。

 

 この日の「時期尚早」な宣言は、決して間違っていない。

 

 其の2:レバ刺しも食べられないなんて! 嘆くうら若き女性は牛飼育現場を知れ!

 

 牛のレバーの表面だけではなく内部にも腸管出血性大腸菌がいること分かったと、厚労省が生レバーの提供は禁止する意向を示した。テレビでも報道されたが、これを聞いた焼肉店の常連客といううら若き女性が、ユッケもレバ刺しも食べられなくなるなんて信じられないと大嘆き。しかし、かねて私の敬愛する 北海道僻地の引退した獣医さんの話を聞き、写真を見れば、ああもういっぱい食べてしまったと反吐を吐くことになるかもしれない。

 

 牛の肝臓は生で食べないように そりゃおかしいぜ 獣医さんの嘆き 2011年7月7日
 
それでもレバ刺しを食べますか? 同上  2011年12月15日

 

 要するに、「牛に大量の穀物が投与されるようになってから、牛の内臓は悲 鳴を上げている」。「現代の肉牛は多かれ少なかれ、肝膿瘍になっている。肝臓に膿がたまるのである。こうした肝臓は、目視で判断し屠場では廃棄されるが、健康な肝臓など殆どないと言って良いだろう」。「牛たちは懸命に頑張っているが、過酷な飼養環境をこうした肝臓は表している。そうしたことを知っている側からの提案である。牛の肝臓は決して生で食べるべきでない」。 

 12月15日

 バイオ燃料が世界の食料生産用地を奪い取る

 世界ランドラッシュの主たるドライバーは、価格高騰が急き立てる食料生産と思われてきた。しかし、 International Land Coalition (ILC)が12月14日に発表した最も包括的な研究によると、7100万fに及ぶ世界の大規模土地取得の6割近くがバイオ燃料部門によるものだ。 特にアフリカでは、この比率は65%を超える。バイオ燃料が世界の貧しい国から食料生産用地を奪取しつつある。

 →ILC,Land Rights and the Rush for Land(http://www.landcoalition.org/cpl/CPL-synthesis-report

 12月12日

 韓国最高裁 韓米FTAの研究を求める判事166人の建議書を検討へ アメリカも発効までにはまだ時間と慎重

 

 仁川地裁のキム・ハヌル裁判長は9日「韓米自由貿易協定(FTA)の研究のためのタスクフォース(特別作業班)を設置するよう求める」という建議書を、同地裁の金鍾伯(キム・ジョンベク)所長を通じ、大法院(日本の最高裁判所に相当)の梁承泰(ヤン・スンテ)長官に提出した。

 キム裁判長は建議書で「投資家・国家間訴訟制度 (ISD)など、FTAに関する法的な問題についてタスクフォースが意見をまとめ、国民に示すべきだ」と主張した。キム裁判長は建議書の提出に当たり、裁判官166人の同意を得たという。

 これに対し大法院は「梁長官が裁判所事務局に対し、キム裁判長の建議書について検討するよう指示した」と発表した。

 

 韓米FTA:裁判長がタスクフォース設置求める建議書提出 朝鮮日報 11.12.10
 類似報道:
166 judges submit anti-FTA proposal,Yonhap,11.12.12

 

 強行採決で議会の承認を得たとはいえ、韓米FTAの発効は前途多難。韓国政府は来年1月1日発効に向けて懸命だが、米国も発効までにはまだ時間がかかるとじらす。先週火曜日と水曜日、ワシントンで開かれたワーキング・レベルの会合でタイムテーブルが話し合われたが、結局はまとまらなかったという。

 

 U.S. seeks more time for implementing FTA with S. Korea: report ,Yonhap,11.12.12

 12月6日

 TPPとは「トータリー・プレフェンシャル・パートナーシップ」=「全く差別的パートナーシップ」 貿易「不自由化」協定だ 浜矩子氏

 浜矩子氏が12月4日付の東京新聞の「時代を読む」というコラムで、貿易「自由化」を求めてTPP!TPP!と叫ぶ人を、TPPが目指すところは貿易自由化ではなく、貿易の「不自由化」だと痛烈に皮肉っている。氏は、人はTPPが例外なき貿易自由化につながるというが、それはその内側だけで関税引き下げや制度統一を進めようとするもので、WTOの無差別原則に反し、「TPPが目指すところは、例外なき貿易自由化どころか、例外なき囲い込み貿易とさえ言える」、そう考えていたら、TPPという頭文字が「トータリー・プレフェンシャル・パートナーシップ」、つまり「全く差別的パートナーシップ」の略称にみえてきたと言う。

 まったくの正論だ。ガットの創設者たちは、関税同盟結成による世界経済ブロック化が第二次世界大戦につながったと、「無差別」を戦後国際貿易体制の基本原則に据えた。従って、自由貿易協定、関税同盟などによる「差別的貿易圏」は原則的に認めず、すでに存在していたベネルックス関税同盟(1948年発足)のようなごく小規模なものに限って例外的に認めたにすぎない。ところが、「戦乱のヨーロッパ」から抜け出すために「アメリカ合衆国」にならった「ヨーロッパ合衆国」の創設を究極目標に掲げる欧州経済共同体(EEC)という大規模関税同盟が創設され、これに対抗する巨大な北米自由貿易圏が誕生するうちに、肩身の狭かったはずの地域貿易圏が、いつの間には貿易自由化の本流に踊り出るようになった。日本も10年ほど前、GGAT/WTOの下での多角的交渉を通じての貿易自由化の追求から二国間・地域協定の追求に向けて大きく舵を取り、メキシコや東南アジア諸国との「経済連携協定」を次々と結んだ。

 いまでは、それが原則的に認められないものであること、法的にはその発足がWTOの承認に服さねばならないこと、そんなことを知る人さえいなくなりつつあるのではないか。経済投合の理論は、地域協定による「貿易転換効果」(例えば、最も生産効率が高く、輸出競争力がい域外国から、関税撤廃がなければ輸出できなかった低効率域内国への部品調達=輸入の転換)が「貿易創出効果」に勝れば、世界経済全体の効率が低下すると教えている。しかし、いまや、経済学者と言われる人さえ、「貿易転換効果」など、あたかも知らないかのように(あるいは、本当に知らないのかもしれない)ふるまう。

 政治家も、学者も、ガット創設の歴史と経済統合の理論を一から学びなおすべきときだ。

 12月3日

 韓国判事170人 韓米FTAがの研究開始を最高裁に要請

 およそ170人の韓国判事が手を携えて米韓FTAが米国を一方的に利する 不平等協定でないかどうか研究を始めるように最高裁に圧力。

 Judges set to propose study into potential unfairness of U.S. FTA Yoanhap 11.12.2
 関連
 裁判官のFTA批判 大法院長が懸念示す=韓国 Yoanhap(聯合ニュース) 11.12.2
 韓国の米国に対する貿易依存度 過去最低 Yoanhap(聯合ニュース) 11.12.2

 11月28日

 橋下圧勝

 TPPに狂奔する政治家も、大阪人も「GNH」(国民総幸福量)より「GNP」、何はさておき経済再建だ。教育現場は政治介入をはねのけ、「自分の体験の上に存在し、経験によって大きくなるという心の中の龍」を「鍛錬」、雨風と寒さをしのぐための家と着物があり、ご飯と少々の野菜と魚があり、豊かな自然さえあれば、ジャンクフードも、暖かいシャワーも、洗濯機も、冷蔵庫も、車も、テレビも、スマホもなくても幸せと言う、戦争直後の私のような子どもを育てよう。多くの日本国民も、震災直後、そういう生活を志したのではなかったか。

 11月27日

  小水力発電の環境影響調査が不要に?小水力の大規模利用の環境影響は大規模水力発電と変わらないと国際専門家

 「政府は周辺環境に影響の少ない小規模な水力発電を設置する際に自然公園法などに基づく環境アセスメントを不要とする方針を固めた。設置までの手続きを簡素化することで再生可能エネルギーの柱として期待される水力発電の普及を促す。2011年度中に規制緩和を実施する」そうである。

 小規模水力発電、環境調査不要に 11年度内、政府方針 日本経済新聞 11.11.27

 本当にそれでいいのだろうか。国際エネルギー機関(IEA)は、「最善のプラクティスと効果的なサイト計画が使用されれば、小規模水力発電の影響は小さく、局地化されるだろう」と保証する。しかし、世界的にも名を知られるインド・ポンディシェリー大学の環境エンジニアであるTasneem Abbasiと S. A. Abbasiは、そんな証拠はまったくない、小 水力発電所がまばらにしかない今は確かに大きな問題は起きていない。しかし、それが大流行りし、あらゆる落差、川、支流が利用されるようになれば、発電量1単位あたりの環境負荷は大規模ダムよりも大きくなるかもせいれないと警告している。

 大規模水力発電と同様、流れを遮り、動物の移動の障壁となり、蒸発で水が失われ、生物多様性も損なわれる。沈泥や富栄養化の問題も大規模ダムと変わらず、浅いだけに一層富栄養化しやすい。さらに、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンの排出でも大規模ダムと変わらず、これも浅いだけに、単位面積当たりの排出量は大規模ダムより大きくなるだろう。等々。

 小水力発電の大規模な利用は大規模ダムによる環境破壊の歴史の繰り返しになる恐れがある。その利用を考える国はあり得る問題の研究に投資し、用心深く進まねばならないという。

 バイオ燃料同様、何事も過ぎたるは及ばざるのごとし。

 11月24日

 堆肥の山行き場なし 許容値超の放射性物質 循環型農業に危機(福島民報 11年11月24日 トップニュース)

 県内の酪農、畜産農家が生産する堆肥が行き場を失っている。敷地内には堆肥が山積みになり、処理のめどは立っていない。県の検査で半数を超える検体から暫定許容値を超える放射性セシウムが検出されたためだ。流通が制限された上、有機農家を中心に県内産堆肥を敬遠する動きもある。稲わらを畜産に使い、堆肥を稲作などに活用する農業の循環システムが危機に直面している。・・・

 「国は流通させるなと言うばかりで保管場所の指示がない。現状を分かっているのか」・・・全農県本部は堆肥を防水シートで覆うように呼び掛ける。担当者は「雨で堆肥の窒素分が用水路や地下水に流れ込むと水質汚染の恐れがある」と心配する。・・・「例年なら来年分の堆肥の注文を済ませている時期」。本宮市の50代の稲作農家の男性は気をもむ。同市の今年度産の稲わらに含まれる放射性セシウムは暫定許容値以下だったため畜産農家に納入できた。しかし、堆肥は許容値を超える検体が多数見つかった。現在も検査待ちが続き、男性は来年の作付けを見通せない。「仕入れができなければ、堆肥なしで来年稲作をするしかないか」・・・

 (農業情報研究所)福島農村は崩壊の瀬戸際にある。”暫定規制値”や”風評”被害だけが問題なのではない。農村空間が行き場のない”放射性廃棄物”に埋め尽くされ、持続可能な農業生産など、もはや想像さえできなくなっているからだ。

 関連ニュース
 
最終処分示されず 汚染稲わら「限界」 日本農業新聞 11.11.24

 11月22日

 トウモロコシ下落もタイソンフーズの利益は大幅減シカゴ商品取引所穀物等先物相場(期近):最新260取引日の11月22日のコメントから)

 トウモロコシがほぼ1年ぶりにブッシェル5ドル台に落ち込んだ。世界的不況で需要が減退するなか、ウクライナやロシアの復活で下落、ト割安となった小麦への配合飼料原料の切り替えも進む。当然の帰結だが、それでも世界最大の食肉加工会社・タイソンフーズの10月末で終わる第4四半期の利益は、穀物高騰と飼料コストの増大で前年同期の2億1300万ドル(一株ああたり57セント)から9700万ドル(同26セント)に下落した。

 Tyson Foods profit hit by higher grain, feed costs,Globe and Mail,11.21

 米国食肉産業の対日市場開放圧力も一段と強まる恐れがある。

 11月19日

 牧場主たちの雇われガンマン40人 ブラジル先住民首長を撃ち殺す

 ブラジル連邦先週民局(Funai)が18日、西部の先住民族・カイオヴァ・グアラニ(Kaiowa-Guarani)の首長が撃ち殺されたと発表した。部族が住むマットグロッソ・ド・スル州の村(Tekoha Guaiviry)を”ずきんをかぶり、重武装した”40人のガンマンが急襲、首長のニシオ・ゴメスを撃ち殺した。Funaiは、ガンマンは部族の追い出そうとしている牧場主に雇われたようにみえる。ローマカソリック教会が支援するインディアン・ミッショナリー・カウンシルのスポークスマンは、「どう見ても、牛を飼育し、サトウキビを植える土地を欲しがっている牧場主たちが、インディアンの権利の防衛を声高に叫んできたゴメスを殺すためにガンマンを雇ったようにしかみえない」と言う。

 Brazil: Chief Killed in Land Dispute,The New York Times,11.19

 将来の世界的食料不足が喧伝され、、食料価格が高どまりするなか、そのご利益に与ろうと、アグリビジネス(とそれを後押しするブラジル政治家)はアマゾン熱帯雨林ばかりか、そこに住む先住民まで抹殺することに狂奔している。

11月10日

 TPPをめぐる海外の動きと論調

  

 野田首相が今夕、TPP交渉参加を表明するそうである(TPP交渉参加、10日夕に首相表明 朝日新聞 11.10.10 12時19分)。政府や民主党幹部は、国内のいかなる論議にも馬耳東風を決め込んだようだ。もはや、政府の暴走を止める手立てはない。ただし、2日のこの欄で書いたように、交渉に参加するころには現在の9ヵ国による交渉が終わっているか、さもなければ破産している 可能性もある。暴走が目指す目標が消えてしまっているかもしれない。

 日本の国益になるとかならないとか、そういう議論も必要だが、目を海外の動きや論調に向け、TPPは本当にアジアに平和と繁栄、アジアの民衆に安寧をもたらすのかどうか、もう少し全体的な視野から眺めることも必要ではないか。そのきっかけになればと、最近のいくつかの海外情報を挙げておく。

 

 TPP pact unlikely before Apec meet,Business Times,11.10(Malaysia)
 Stephanie Howard and Simon Terry: Let's insist on labels for GM food,The New Zealand Herald,11.10
 Warning on GM laws,The New Zealand Herald,11.10
 
Pacific trade deal faces tough choices,FT.com,11.9
    on Tuesday the senior Democratic and Republican congressmen and senators on the trade issue published a joint statement urging caution about allowing Japan to participate. Its inclusion is strongly opposed by the domestically owned US car industry, which has fulminated against its inability to penetrate the Japanese market. Stephen Biegun, vice-president for international government affairs at Ford Motor Company, warns: “From the point of view of the agricultural sector it will be important to open up the Japanese market but the US ran a $60bn bilateral trade deficit last year, of which 70 per cent was autos, and there is no way that ag exports will reach even a fraction of that”.   
    The domestic US auto industry is ambitiously proposing a remarkable innovation – that the TPP contain restrictions on exchange rate manipulation – with a view to extending such rules across trade deals in the future.Such demands are unlikely to be met. he strength of opposition suggests that the TPP faces a long struggle if it is ever to come into existence.

 China says US Apec goals too ambitious,The Straits Times(Singapore),11.7
  Sorely lacking jobs at home and looking for ways to cement the US presence in Asia, the Obama administration wants to drive forward the Trans-Pacific Partnership (TPP) free trade pact among nine nations on the sidelines of Apec.
 Top U.S. companies urge new Internet trade rules,The Star(Malaysia),11.4

 Tokyo takes twin-track approach to Beijing,China Daily,11.3
  the hotly debated Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement (TPP) may hamper China-Japan economic ties.
  "Obviously there is a China consideration," said Yang. "TPP is the economic part of Washington's 'return to Asia' strategy. It risks undermining the current economic cooperation framework such as APEC and ASEAN plus 3 (China, South Korea and Japan) and reducing China's economic influence."
 Don't weaken Pharmac for US drug lobby say Labour, Greens,The New Zealand Hedrald,10.2
 
Leaked texts 'show US drug firms out to attack Pharmac'Don't weaken Pharmac for US drug lobby say Labour, Greens,The New Zealand Hedrald,10.26
 
Public health at risk in trade talks,The Sydney Morning Post,9.14
 
US calls for IP drug protection in Pacific trade deal,The New Zealand Herald,9.13
 
Trade deals need to benefit both sides ,Viet Nam News,6.30
 
China embraces ASEAN for ‘Asian century’,The Jakarta Post,5.1
 
Pacific free-trade agreement 'threat to generic drugs',SciDev,4.12 

11月2日

 さっぱり分からんTPP論議

 

 わけあって明日から来週半ばまで、このHPの更新をお休みする。置き土産というのも妙な言い方だが、前から言っていることでもあるし、今さら言っても誰も気にとめないだろうと腹にしまっておいたことを言っておきたい。

 

 というのは、耳をふさぎたくなるほどの大騒ぎなっているTPP論議のことだ。賛成派も反対派も、APECで総理が交渉参加を表明すればアメリカをはじめすべての参加国がもろ手をあげて歓迎、日本がすぐに交渉に参加できると思い込んでいる。だから大声で、参加すれば日本はどうなるこうなると怒鳴り合うのだ。しかし、すべての参加国がそんな具合に日本を受け入れるわけがない。とくにアメリカは、政府には通商交渉権限がないのだから、オバマ政府がすぐに日本の参加を認めるわけにはいかない。アメリカの通商交渉権限は憲法によって議会にのみ与えられており、議会が承認しない限り政府はいかなる通商交渉もできないからだ。

 

 総理がAPECで参加を表明したとすると、この承認手続きはそれから始まり、議会が承認するまでにどれだけの時間がかかるか。議員はすべて選挙区や支援団体の意向に逆らうわけにはいかない。実際、今までの多角的交渉や自由貿易協定交渉の失敗の多くは、アメリカ議員が地元や業界(繊維、砂糖、自動車、牛肉・・・)の利害のみで動くことからきたものだ。多くの分野の自由化や規制撤廃で大きな抵抗が予想される日本の参加ということになると、議会が議論している間に来年のTPP協定大枠合意期限が来てしまう恐れがある。

 

 総理がどうしても参加表明をしたいならすればいい。しかし、参加はいつになることやら。それなのに、今、何故この大騒ぎなのだ。私には「さっぱり分からん」。

10月28日

さっぱり分からん食品安全委の放射性物質食品健康影響評価

食品安全委員会が27日、「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価」を確定、厚生労働省へ評価結果を通知した。

評価の骨子は、放射線の健康への影響が見出されるのは通常の生活において受ける放射線量を除いた生涯における追加の累積線量として100Svを採用する、100Sv未満の健康影響については言及が困難、というもの。

ところで、これについての次のような食品安全委員会委員長の談話、理解できる人がいるだろうか。

 放射性物質の食品健康影響評価について

100mSvという値の根拠となった「科学的知見」については「内部被ばくのデータが極めて少なく評価を行うためには十分でなかったため」、「外部被ばくを含んだデータ」も用いたが、「外部被ばく自体の評価をしたものではない」。

「慢性的・低線量被ばく(累積吸収線量が500mSvに相当)」の影響については「様々な知見が存在」、「採用し得る知見がなかった」から、「広島・長崎の被ばくのデータを援用」した。

100mSv未満の健康影響については、「放射線以外の様々な影響と明確な区別ができない可能性」、「根拠となる疫学的データの対象集団の規模が小さいこと」、「曝露量の推定の不正確さ」などのために、「追加的被ばくによる発がん等の健康影響を証明できない」。「つまり、100mSvとは、健康への影響が必ず生じるという数値ではなく、・・・リスク管理機関が適切な管理を行うために考慮すべき値である」。(そんな値なら、食品安全委が言う必要はない。厚労省に任せておけばいい)

真摯な研究を疫学的データの対象集団の規模が小さいとか、「曝露量の推定の不正確とか言って切り捨て(そこから何か真実を見つけ出すのが専門家の使命ではないのか)、政治的理由(原爆擁護)で内部被ばくの影響を故意に無視、あるいは軽視した広島・長崎の被ばくのデータだけは何故信用するのか。さっぱり分からん。

10月25日

 政府農業再生基本方針 平地農業経営の規模を5年で20〜30fに 農村社会は崩壊

 政府は25日、全閣僚による「食と農林漁業の再生推進本部」を開き、農業再生基本方針と今後5年間の行動計画を正式に決定した。基本方針では、集落で中心となる個人や法人などに農地を集約し平地では一経営体当たり20〜30fへの拡大を図るという。

 正気の沙汰とは思えない。新しい統計数字はまだ得られないが、2005年センサスによれば、平地地域の総耕地面積は167万5000fほど、総農家数は91万戸、販売農家だけを取れば73万戸ほどだ。この総耕地面積を一戸当たり20〜30f配分するとすると、8万4000戸から5万6000戸しか残らない。平地農村の農家数は現在の10分の1以下に減る。平地農村社会はどうなるのか。全閣僚、そろいもそろって想像力を欠いているとしか思えない。

10月21日

4年超も拡散防止せず遺伝子組み換え つくばの作物研 茨城新聞 10.21

農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所
(つくば市観音台、門脇光一所長)が、拡散防止措置を取らずに遺伝子組み換え実験を行っていた問題で、同研究所は20日、実験室で4年以上にわたり、不適切な状態で実験を続けていたことを明らかにした。この問題で、文部科学省は同日、同研究所を厳重注意した。
同研究所によると、研究員が20071月から115月までの間、大豆の遺伝子を導入した大腸菌の培養の実験の際、実験室の扉を閉めるなど法律で定められた措置を怠っていた。
同研究所は819日、問題発生について文科省に報告。1014日の同省への最終報告までに、研究員の法令順守や安全管理のための教育訓練徹底と実験の監視体制の強化を行ったという。
同研究所企画管理室は「みなさんに迷惑をかけ申し訳ありません」としている。

10月17日

 北極海の氷 10年以内に消える ノルウェー極地研究所の新たな研究

 ノルウェー極地研究所(NPI)の新たな研究によると、北極の海氷の溶解は、今までの推定よりもずっと早く、一層劇的に進んでいる。これまでは北極海から氷が消えるのは50年−100年後と推定されていた。しかし、新たな研究によると、10年以内に北極海の氷はなくなるだろうという。

 

 The Arctic Sea may be free of ice in ten years,Norway Post,10.15
 

10月14日

 タイ大洪水は人災 原因は雨にあらず タイ前気象局長

 日本企業の活動も脅かすようになってようやく日本でも報じられるようになった現在のタイの大洪水、2004年の大津波を予測したことで知られる前タイ気象局長によると、原因は異常に厳しいモンスーンを災害に変えた人間活動である。災害をもたらした主な要因は、森林破壊、集水域における過剰建築、ダムと自然の水路の転換、都市のスプロール、 運河の詰りなど。彼は当局に繰り返し警告してきたが、気ちがいと言われたそうである。

 

 As Thailand Floods Spread, Experts Blame Officials, Not RainsThe New York Times,10.14

10月5日

 フランス行政最高裁 ネオニコチネイド系殺虫剤で養蜂農家に理 農水省販売許可を取り消し 

 フランスの行政最高裁であるコンセーユ・デタ(”最高裁”ではありません)が10月3日、フランス農水省により2010年について与えられたネオニコチネイド系殺虫剤・Cruiser 350( 禁止されたGaucho、 RegentCruiserの後継製品としてシンジェンタ社が売り出したトウモロコシ種子処理剤)の販売許可を取り消した。この決定は、Cruiser 350がミツバチを殺したと非難してきた養蜂農家の正当性を認め、彼らに対する損害賠償への道を開く。

 フランス全国養蜂同盟(UNAF)は、追跡調査によって製品の無毒性を確かめるという付随措置を伴う1年ごとの許可というやり方では適切なコントロールにならない、長期的影響も確かめようがないと主張して きたが、コンセーユ・デタもこうした点を強調、農事法典により確立した10年間の販売許可という規則のいかなる例外規程にも対応しない故に、1年間の許可というのは違法であると判断した。

 Le Conseil d'Etat annule le droit de vendre le Cruiser 350 pour 2010(AFP),Agrisalon,11.10.3

9月30日

 フランス議会 ビスフェノールA(BPA)を含む食品包装用品の全面禁止へ

 フランス国民議会(下院)社会問題委員会が9月28日、BPAを含むあらゆる食品包装用品の製造・輸入・販売を禁止する社会党提案の法案を採択した。反対票はゼロで、賛成と棄権があっただけだった。10月6日に本会議に上程、採択される見通しだ。ただし、発効は、産業が代替品の開発を終え、科学者がその無害性を立証する2014年1月1日まで延ばされる。

 Une proposition de loi veut bannir le bisphénol A des emballages alimentaires,Le Monde,9.28

 委員会におけるこの法案採択の前日、フランス食品衛生・環境・労働安全機関(ANSES)は、BPAの影響とその使用状況を確認、最も感受性が強い乳児、幼児、妊婦の曝露を防ぐことを優先目標とみなす二つの報告を出した。影響に関しては、「非常に低レベル、すなわち規制のために使われる基準を顕著に下回るレベルの曝露でも」、動物における健康影響は確認され、人における健康影響も疑われるという。使用に関しては、飲食品包装用品、玩具、育児用品から医療機器まで、60に近い部門で使われているという。

 なお、BPAを含む哺乳瓶については、フランスも、EUもすでに製造・販売禁止を決めている(フランス ビスフェノールAを含む哺乳瓶の製造・販売を停止,10.6.25;EU ビスフェノールA(BPA)を含む哺乳瓶の製造・販売禁止へ,11.2.26)

9月27日

  背筋が凍るような思い 時代逆戻りの判決 推認だけの小沢秘書有罪判決

 

 「直接証拠が乏しい中、判決は『知っているはずだ』、『怪しい』という推測を多用し被告間の共謀関係など重要な部分を認定しており、背筋が凍るような思いだ。推定無罪が原則である刑事裁判の判決は、被告が無罪になる可能性の芽を丁寧に摘む必要があるのに、考慮した跡が見られない。冤罪を生みかねないこうした論法がまかり通れば、安心して社会活動ができなくなるってしまう。検察側は満足するだろうが、時代が逆戻りしたような判決だ」(元検事・落合洋司弁護士、東京新聞 11.9.27 26面)

9月22日

低線量放射線被ばくは癌のリスクを増すか フランス研究者が回答に近づく

 100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでは、それによって癌のリスクが増えたことを示すデータがなく、従ってこの程度の放射線を浴びても健康には何の影響もないという説と、安全な被ばくのレベルはないという説が争っている。今のところ前者の説が圧倒しているが、この関係が近い将来、ひっくりかえるかもしれない。フランスの研究者が、放射線被ばくが誘発する甲状腺癌には、通常の孤発性甲状腺癌と異なる特有の遺伝子特性があることを初めて示したからだ。今までは個々の癌をを誘発したのが被ばくなのか、他の要因なのか区別できなかったために、100ミリシーベルト以下でリスクが増すというデータが得られなかっただけかもしれない。この研究は近い将来、この問題にもっと確かに答えることを可能にするだろうという。

 Une "signature" des cancers liés à une forte irradiation,Le Monde,9.20

9月14日

 バイオマス発電所焼却反灰から放射性セシウム
 

  岩手県奥州市から購入した木材チップを発電燃料にしている能代市鰄渕の能代バイオマス発電所で、焼却灰から1キロあたり最大3300ベクレルの放射性セシウムが検出された。埋め立て処分が可能な国の基準(1キロ当たり8千ベクレル以下)を下回っているが、地域住民に配慮し、同発電所では8日以降、奥州市の業者からのチップ購入を見合わせているということだ。。

 

 焼却灰からセシウム、能代のバイオ発電所 岩手産チップ使用 さきがけ 11.9.14

 

 原発事故は、原発への代替が求められるバイオマス発電も不如意にする。

9月13日

 被災地に火事場泥棒出没

 鹿野道彦農相はが13日の閣議後の記者会見で、経営意欲のある若手農家らに農地を売ったり貸したりする農家に対し、助成金を交付する制度の導入を検討していることを明らかにした。小規模な農家に実質的に離農を促し、農地を集めて規模を拡大。生産効率を高めるのが狙い。2001年度第3次補正予算に経費を計上して東日本大震災の被災地で先行実施した上で、12年度から全国に広げる考えという。

   農地売却・賃貸に助成金検討 農水省、被災地で先行実施 河北新報 11.9.13
  →大臣会見 
平成23年9月13日(火曜日)

 まさに火事場泥棒。震災に加えてのこの追い討ちで農山漁村は空っぽになるだろう。1960年農業基本法、1962年農業基本法補完法による農業構造改革で農村が空っぽになりかけたフランスは、1970年代になって大慌てで山地特別補償金、青年農業者(後継者)就農援助金、地域社会を破壊する規模拡大を抑制するための構造規制強化に踏み出したが時すでに遅し、いまや郵便さえ週の半分も開かない村がいっぱいだ。農業栄えて村滅びる。その二の舞だ

9月10日

Fukushima: six months on – gallery,The Guardian,11.9.9

  China's South-North water diversion resettlement - in pictures,The Guardian,11.9.9

9月8日

 プラスチック・ボトルで飲用水中のヒ素を除去 安上がりで効果的 環境にも優しい 米国研究チーム

 米国モンマウス大学の研究チームが、食品の中に普通に見られる分子であるシステイン(アミノ酸の一種)でコーティングしたプラスチック・ボトルがヒ素に結合することを発見した。このようなプラスチック・ボトルが、バングラデシュだけでも3500万人、途上国全体では推定1億人の健康と命をを脅かしている飲用水中のヒ素を取り除く簡便で安上がりの方法を提供するかもしれないという。

 研究チームによると、実験室での実験で、これが非常に効果的で、費用がかからない方法であることが示された。この方法は安くて、地方でも利用できるプラスチックを使う。プラスチックのリサイクルに役立ち、使われる化学成分は無毒で安全だから、環境に優しいやり方でもあるという。

 Plastic bottles could clean arsenic-contaminated water,SciDev,11.9.7

8月31日

 アマゾン森林を守るゴム樹液採取人、多数のガンマンに狙われていると保護を要請

 林内でゴムの樹液を採取する36歳のアマゾン・ジャングル守護者が多数の雇われガンマンに狙われているとブラジル当局に保護を要請した。パラ州の土地所有者が彼を殺した者に5万ドルの報奨を出すと殺し屋を募集しているためだという。

 [ブラジルでは世界穀物・食料価格の高騰が後押しする農業開発促進のために、アマゾン森林保護のための法制が緩められ、減速していたアマゾン森林破壊が再加速する状況にある(→Analysis: An Amazonian battle,FT,com8.28;Brazil revisits forest code,Nature News,8.17;Science has been nearly silent in Brazil’s Forest Code debate,Mongabay.com.8.9)。邪魔する者は皆殺しの雰囲気だ。そういう国でサッカー・ワールドカップだそうである]

8月27日

 米国トウモロコシ主産地で殺虫性GMトウモロコシの根が重大な食害 Bt毒抵抗性の根虫が増殖

 米国トウモロコシの主産地であるイリノイやアイオワの畑で、殺虫性遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの根が、Cry3Bb1蛋白質が発する毒(Bt毒)に抵抗性を発達させたにウエスタン・コーン・ルートワーム西洋トウモロコシ根虫)による深刻な食害を受けている。イリノイ大学の昆虫学者・グレイ氏が調査したイリノイ東部の二つの郡の畑の多くの区域でトウモロコシの倒伏が見られる。ここではこの害虫の多数の成虫が見られ、集めるのは簡単だ。彼は第二から第三の節根が完全に破壊されていることも発見した。トウモロコシを土から取り除くのにシャベルは要らないという。

 これらの畑では長年にわたりトウモロコシ生産が続いており、生産者はCry3Bb1蛋白質を発現するBtハイブリッド種に依存してきた。アイオワでも同様なことが起きている。グレイ氏は、来年は大豆あるいは非ホスト作物との輪作など、別のやり方を考えるべきだと言う。

 Severe Root Damage to Bt Corn Confirmed in Northwestern Illinois ,soyatech.8.26

8月25日

 エルニーニョ−ラニーニョの気候循環が熱帯地域の戦争と平和に強く影響 米国チームの統計研究

 米国研究チームがNature誌に発表した研究によると、自然の気候循環が熱帯地域の戦争と平和に強い影響を与えているらしい。熱帯諸国の武力紛争・内線のリスクは、エルニーニョ/南方振動(ENSO)の乾燥したエルニーニョの時には、涼しいラニーニャの時に比べて倍増する。研究チームは、世界をENSOの影響を強く受ける南米、アフリカ、オーストラリアの一部を含むアジア太平洋地域と、影響が弱い地域の二つに分け、第一のグループで1950年と2004年の間に起きた武力紛争と気候との関連を調べた。ENSOの影響を受ける国々では、ラニーニャの年に比べてのエルニーニョの年の年紛争リスクが3%から6%に増えたという。ただし、紛争の要因―不作や食料不足など―が何なのか、見極める必要があるという。

 Climate cycles drive civil war ,Nature News,8.24
 
Climate cycles linked to civil war, analysis shows,Guardian.8.24

8月19日

 ラウンドアップ除草剤=グルホサート 土壌と作物に有害影響 米政府科学者

 モンサント社が除草剤耐性遺伝子組み換え作物(ラウンドアップ・レディー作物)とセットで売り出し、世界のベストセラー除草剤となっているグリホサートを主成分とするラウンドアップ除草剤は土壌に有害な影響を及ぼすように見え、遺伝子組み換え作物の収量にも悪影響を及ぼす可能性がある。米国農務省(USDA)農業研究局(ARS)の微生物学者・ボブ・クレマーがそう言っている。

 彼によると、グリホサートの頻繁な使用は植物の根の構造に影響を及ぼし、15年に及ぶ研究はこの化学物質が根の真菌病を引き起こす可能性があることを示唆している。ラウンドアップ・レディー作物とラウンドアップ除草剤の使用の増大とともに目立つようになった最大の問題は除草剤耐性雑草の出現と繁茂だが、彼によると、土壌の下であまり目につかない問題も起きている。今までの研究は、グリホサートが作物の健康と生産を制限する真菌病の直接の原因であることは示していないが、データはその可能性を示唆している。同時に、研究は遺伝子組み換え作物の収量が通常作物より高いわけではなく、根の病気に関連した栄養欠乏が収量を制限しているらしいことも示しているという。

 彼は、一層の輪作とグリホサート使用の監視を考えるべきだと言う。

 Roundup herbicide research shows plant, soil problems,Reuters,8.12

8月8日

 72年ぶりコメ先物取引 初日から中断 原発影響で買い殺到 取引成立せず

 コメ先物72年ぶり復活 直後に中断、東穀取は値付かず 日本経済新聞 11.8.8
 コメ先物、初日から中断…原発影響?買い殺到 読売新聞 11.8.8

 当然の結果だ。そもそも、こんな時に先物取引を始めたのがアホとしか言いようがない。今年はどれほどのコメが市場に供給されるのか、まったく見当もつかない。 価格安定に役立つとか、投機を助長するとか、そういう論議以前の問題だ。筆者が白熱する議論を傍観してきたのはそのためだ。

7月30日

 独仏フォア・グラ戦争勃発

 世界最大のドイツ・アヌーガ食品メッセが、今年はフランスのフォア・グラ出品を歓迎しないと発表した。フランスがこれに真っ向から反発、さながら独仏フォア・グラ戦争の様相を呈してきた。27日、ピエール・ルルーシュ貿易担当相がドイツ大使を召喚、ドイツは貿易差別を禁じるEU法を守っていないと非難した。ブリュノ・ル・メール農業・食料・漁業・農村地域・国土整備大臣は、もしフオア・グラの出展が許されないなら、世界最大の食品フェアをボイコットすると脅かした。これは、フランスがドイツのヴァイスヴルストを禁止するようなものだと言う。

 ドイツでは、動物福祉活動家が、フォア・グラをメッセから排除せよと運動してきた。フォア・グラは、暗く、身動きもできないケージにアヒルやガチョウを閉じ込め、ひたすら脂肪太りさせることで作られる。彼らにしてみれば、これは動物虐待の産物だ。ヨーロッパでは、ドイツをはじめとする12の国がフォア・グラの生産を禁じている。しかし、フランスは、重要な調理遺産として、これに特別な保護を与えてきた。フォア・グラを作るためのgavageと呼ばれる家禽の強制肥育技術は、古代エジプトにまで遡るという。

 Foie gras snub ruffles French feathers,Deutsche Welle,7.29

  戦争とはいえ、のどかなものだ。こんな戦争にうつつを抜かしていられるヨーロッパがうらやましい。日本の放射性物質との戦いは、まさに生活と命をかけた戦いだ。これに敗れれば、「日本列島沈没」だ。

7月29日

 セシウム 筋肉にたまる→筋肉はがんにならない→放射性セシウム汚染食品は食べても安全

 「セシウムが体に入ったときの性質は・・・筋肉に取り込まれる。だが筋肉はがんになりにくい」(福士政広・首都大学東京放射線学科長)」(東京新聞 11.7.28 3面 「腐葉土 飛び火 じわり広がるセシウム禍」)

 「セシウムは筋肉にたまる。だが、危険という証拠はない。チェルノブイリ事故後も筋肉のがんは確認されていない(山下俊一・福島県立医大副学長)」(東京新聞 11.7.28 24面 特報)

 それなら、これまで国が取った放射性セシウム対策の多くは無駄ということになる。汚染稲わを牛に食べさせても、その牛を人間が食べても、何の問題もないということになる。「規制値」を設ける意味も分からない。

 しかし、変だ。筋肉にたまったセシウムが周辺の別組織を攻撃しない保証はない。「発がん性にとどまらず、セシウムは、臓器を動かす筋肉や臓器そのものに影響する。(チェルノブイリ事故は)免疫力低下によるさまざまな病気、心筋梗塞や泌尿器系の病気を引き起したと思われる事例が報告されている(原子力資料情報室・渡辺美紀子)」(東京新聞 11.7.26 25面 特報)。

7月28日

 先日(26日)、農業起源の汚染で緑藻に占拠されるフランス・ブルターニュの海辺の様子を伝えたばかりですが、中国青島シティの沿岸も大変なことになっているようです。

 Green algae in E China's Shandong may continue to spread,xinhua,7.27

 

  なお、ブルターニュの海辺で死んだイノシシは18頭にまで増えた。緑藻の分解(腐敗)で出る硫化水素に当たったという見方が有力だ。人の海辺への立入は7月8日以来禁止されている。

 Algues vertes : la découverte de 18 sangliers morts relance la polémique ,Le Monde,7.26

 日本にとっても他所事ではない。農水省は、原発事故後に17都県で生じた家畜の排せつ物(敷料を含む)は譲渡しないこと、当該家畜排せつ物を原料とした堆肥を生産しないことなどを通知した。これによって家畜排せつ物、植物性堆肥原料、堆肥が滞留する場合には適切に管理せよという(高濃度の放射性セシウムが含まれる可能性のある堆肥等の施用・生産・流通の自粛について)。しかし、「適切な管理」とはどういうことだ。「どう処理すればいいのか」・・・「自粛が長引けば堆肥舎や市の堆肥センターの収容能力を超える。しかし、ふん尿は止められない」(堆肥施用・流通の自粛 ふん尿処理 現場苦悩 再開基準早く示して 日本農業新聞)。結局は水系に排出され、大規模な水汚染につながらないだろうか。放射能汚染に加え、ブルターニュや青島の二の舞だ。 どうしたらいいのだ。世界の何処にもお手本はない。

 

7月26日

 工場畜産地帯、フランス・ブルターニュの海辺でイノシシが死亡 繁茂する緑藻の毒性論議に火

 

  7月24日日曜日、工場畜産が集中、毎年緑藻に埋め尽くされるするブルターニュ地方・コート=ダルモールの海辺で、新たに8頭のイノシシの死骸が発見された。これが、緑藻とそれが放出する有毒ガスの危険性をめぐる論議に火をつけた。

  La mort de huit sangliers près d'une plage bretonne relance le débat sur les algues vertes,Le Monde,7.25

 海を埋め尽くすほどの緑藻の繁茂は、工場畜産が吐き出す大量の糞尿や廃水に含まれる窒素がもたらす富栄養化の結果である。農業起源環境汚染の典型であり、フランス政府は1990年代初め以来、廃水処理場の設置を中心とする汚染対策を講じてきた。しかし、これらの対策の効果には限界がある。農民同盟や環境活動家は、農家の活動停止や頭数削減にまで踏み込まなければ汚染は減らせないと主張してきた。

 しかし、「子どもはなまじこんなぼろを身にまとうくらいなら何も着ていない方がましな、ひどい身なりをしている。靴や靴下は、それはもう贅沢品である。六、七歳の美少女が棒きれで遊んでいる。見るだけでもいたましくなるぼろをまとってほほえんでいる」(アーサー・ヤング フランス紀行 叢書・ウニベルシタス 139頁)と言われるようなかつての極貧から工場畜産によって抜け出したばかりのブルターニュ農民にとって、頭数削減は、それを口にすることさえ「タブー」であった(北林寿信 追いつめられるブルターニュの「工場畜産」 地上 2002年6月号)。

 「農業起源環境汚染」は一向に止まらない。2009年夏、藻が発する有毒ガスによって馬が死んだ後の2010年、政府は、改めて緑藻と闘う計画を立ち上げた。ただし、この闘いの標的も汚染源(農業=畜産)ではなく、糞尿処理(メタン化)に向けられた。サルコジ大統領は、メタン化施設の設置こそ最優先せねばならないと叫ぶ。

 Algues vertes : Sarkozy défend les agriculteurs et promet de l'aide,Le Monde,7.8

 工場畜産起源の水系汚染をどう減らし、どう防ぐか、フランスに与えられた永遠の課題である。

7月25日

 環境に優しく、健康的な肉食のためのガイド

 肉食大国・アメリカの環境ワーキンググループ(Environmental Working Group)が、環境や気候変動への影響を減らす上に健康にもいい食べ方のガイドとなる報告書を発表した。この報告から、代表的食品の生産から廃棄物処理までの間の(ライフサイクルの)温室効果ガス総排出量を比較した 下のグラフを紹介する。

 

7月22日

 アフリカの角 何百万人もが飢える中 アジアや湾岸諸国に輸出するために外国投資家が大量の穀物を収穫している

 恐るべき干ばつでエチオピアで430万、ソマリアで300万、ケニアで350万、ジプチで12万の人々が飢餓のふちをさまよう中、エチオピアに30万ヘクタールの土地を確保したインド企業をはじめとする外国投資家が、奴隷のごとく閉じ込められた児童が40℃の炎天下で働く農場で、大量の輸出用作物を生産している。(Famine and abundance rub shoulders in Ethiopia,swissinfo,11.7.21)

7月6日

 原発事故で時間が消えた

 アイルランド音楽、バラ、ミツバチの類まれな愛好家で、料理の名手でもある福島県本宮市の鹿山武彦氏(http://web.me.com/kayamahiko/rose_rose/rose_garden.html)のお宅に震災後初めてお邪魔した。原発事故は、三陸沿岸から関東沿岸の地層に詳しく、かねてそんな所に原発を造って大丈夫かと心配していた鹿山氏からも時間を奪ってしまったようだ。小生くらいの歳になり、原発など論外と考えてきた者にとっては、今更の反原発・脱原発運動や自然エネルギー推進など、決して時間を取り戻すものではない。鹿山氏によれば、「5月の天候が大変に良好だった所為で、バラはちょっとこれまで見られなかった咲き方をしました。・・・大自然が汚染されたにもかかわらず、バラの庭を訪れた郷土の人々を慰めるに充分でした。度々、古代ダマスク・バラの香しい姿を見に早朝早起きし、三脚を付け、撮影したり...」。5群のミツバチから分蜂した5群のミツバチの捕獲に今年は成功した。バラやミツバチが彼の時間を支えているように見えました。 

 小生はと言えば、震災で散乱した資料を分類して片づける気力もなく、新たな時間はないかと世界中を空しく探すばかり。田んぼ作りに感じる時間も、秋には止まるところもあるかもしれない。ただ、自然の営みは永遠だ。


鹿山邸のミツバチが一番好むという玄関前のオレガノの花(2011年7月)。

岩手内陸山村の田んぼ(6月下旬):田植えが遅れ、雑草が茂るが、ここのコメはまず大丈夫だろう。

濃霧に包まれた八甲田のブナ林(6月下旬):永遠に変わることなかれ。

7月2日

 世界小麦価格暴落の翌朝 大手パンメーカーがパン出荷価格値上げ 世界穀物市場に転機?

 小麦価格の世界的高騰を受けて、大手パンメーカー各社は、1日から食パンや菓子パンなどの出荷価格を5%から7%程度値上げしした(パンの出荷価格が値上げ NHKニュース 7月1日)。皮肉にも、世界価格の指標をなすシカゴ商品取引所穀物先物相場は前日、米国における作付けが予想外に増えるという米農務省(USDA)の発表を受けて暴落した(農業情報研究所:シカゴ商品取引所穀物等先物相場(期近):最新260取引日)。

 期近(7月11日限)で見れば、トウモロコシはブッシェル6.29ドル、一気に今年1月のレベルにまで落ち込んだ。6月初めには8ドル近くに跳ねがっていたのが、6月14日に米議会上院がエタノール補助金の廃止を決めたことから原料トウモロコシの需要の先行きに黄信号がともり、一気に7ドルを割るところまで落ちた (農業情報研究所:米国上院 一転してエタノール補助金廃止法案を可決 トウモロコシ価格急落,11.6.17)。これに米農務省の作付け予想が追い打ちをかけたわけだ。

 ロシアの禁輸などで今年2月には9ドル近くまで跳ね上げっていた小麦も、ロシアの禁輸解除やヨーロッパの干ばつの緩和などで急落していた。6月初め以来トウモロコシよりも安くなり、トウモロコシの代わりに飼料に使おうかという畜産業者さえ現れる始末だ。この小麦にもUSDA作付け予想が追い打ちをかけた。6月30日、シカゴ期近相場は5.85ドル、ロシアの禁輸で世界的高騰が始まった直後の昨年7月のレベルまで、一気に戻ってしまった。

 これが今後どれほど続くかは予想の限りではない。しかし、これまでの需要の伸びの大きな要因をなしてきた米国のトウモロコシエタノール、EUの小麦エタノールなどのバイオ燃料への風当たりの強さを考えると、今までのような需要の伸びは考え難い。お天気次第とはいえ、少なくとも今後1年くらいは穀物価格はこの傾向が続く可能性が高い。ゴールドマン・サックスは、米農務省の供給データ発表後、トウモロコシと小麦の価格予測を26%切り下た(Goldman Slashes Price Forecasts on Corn, Wheat by 26% on USDA Supply Data,Bloomberg,7.2)。バイオ燃料用需要の増大という世界食料価格高騰の構造的要因にも大きな変化が見られるとすれば、高騰が続くというFAOやOECDの世界食料価格長期見通しも一定の修正が必要になるだろう。世界穀物市場は大きな転機にさしかかっているように見える。

 パンメーカーも、早晩、再値下げを迫られるかもしれない。

7月1日

 イギリス クラゲ大発生が原発をとめる

 スコットランドのトーネス原発(フランス電力公社=EDFが操業)の原子炉が、冷却のために使われる海水中のゴミを取り除くフィルターに大量のクラゲが見つかったことで手動停止した。クラゲ、海藻、その他のゴミがフィルターに詰まって冷却水の流れが減る現象は想定の範囲内で、原子炉は予防措置として、安全に停止に持ち込まれた。これに関連した放射性物質放出はなく、環境への影響はなかった。原発近くの海のクラゲの駆除を行っており、クラゲの数が減れば再開する。ただ、いつ再開するか、EDFのコメントは得られないという。

 Jellyfish shut down nuclear reactors,Guardian,6.30

 イギリスのクラゲ大発生の理由は分からないが、日本海では温暖化も一因と見られるクラゲの異常発生が見られる。これも温暖化が原発を機能不全に陥れる一例か?(干ばつのフランス 原発停止でブラックアウトの恐れ,11.5.17)。九州から日本海沿岸に立地する原発、想定外の事故が起きたなどと言わけしなくて済むように、くれぐれもご注意を!

6月21日

 中国 干ばつから大洪水へ

 5月末まで史上最悪の干ばつに見舞われていた中国揚子江流域が、今は56年来の大洪水に襲われている。6月3日以来の4次にわたる大雨が揚子江下流、南西部、南部の諸省で洪水や土砂崩れを引き起こした。今までに3700万近くの人が影響を受け、直接的な経済的損害は54億ドル(4300億円)にのぼる(Floods put strain on dikes,China Daily,6.21。そして、雨はまだまだ続くということだ(写真: Chine : de nouvelles précipitations attendues,Le Monde,6.20)

6月20日

 核兵器保有国 核兵器調達と核武装計画近代化に今後10年で1兆ドル

 2030年までの核兵器全廃を目指し、ロシア、インド、米国、中国の要人が出席する今週のロンドン会合を主催する団体・Global Zeroによると、世界の9つの核兵器保有国は、来るべき10年の間に、総計1兆ドルを核兵器調達と核武装計画近代化のために支出する。この会合の狙いは、財政危機で防衛予算が圧縮を迫られている国々に とって核武装のコストが払いきれないほどに高いものであることを際立たせることにあるという。

 Nuclear powers expected to spend $1,000bn,FT.com,6.19

6月6日

復興構想会議 被災地農地の「大規模集約化」促進で一致 効率主義が被災地の将来を危うくする

 東日本大震災「復興構想会議」は6月4日第8回会合で、津波で被災した平野部の小規模農地について、経営効率を上げるための大規模集約化を促す必要があるとの認識で一致したということだ。通常ではなかなか進まない小規模農家の切り捨てを、震災のどさくさに紛れて断行しようということか。火事場泥棒のようなものだ。小規模農家は被災地の雇用確保に重要な役割を演じるはずだ。小さな農地での作物作りは、とりわけ高齢者の元気の素になるだろう。今必要なのは、効率ではなく、効率主義の払拭だ。構想会議が効率主義者の集まりとすれば、被災地の将来は危うい。

6月3日

ヨーロッパに広がる大腸菌 強毒で抗生物質が効かない新株 感染者の多くが致死的な溶血性尿毒症症候群

 生野菜が感染源と見られ、今までにドイツを中心にヨーロッパ10ヵ国の2000人に感染、18人を死亡させた大腸菌が猛毒を生み出し、しかも普通の抗生剤に抵抗性を持つ以前に見られなった株であることが判明した。感染源は最初、スペイン産キュウリとされたが間違いと分かり、まだ特定されていない。封じ込めは難しく、どこまで広がるか分からない。

 イギリスの感染者7人のうちの3人が溶血性尿毒症症候群を発症した。7人はすべてドイツ訪問者だった。保健当局は、ドイツに旅行するときには生のトマト、キュウリ、レタスを含む葉ものサラダを食べないように勧告している。恐ろしいことだ。

 German E. coli outbreak caused by previously unknown strain ,Nature News,6.2
 E coli outbreak: three UK cases have rare strain,Guardian,6.2

 スペインやオランダを始め、ヨーロッパの野菜農家の、”風評被害”は甚大だ。ロシアはEU全域からの野菜輸入を禁止した。日本からの渡航者も要注意だ。風評被害の補償はどうなるのだろうか。日本もEUも頭が痛い。EPAで慰め合う?

5月29日

南フランスに巨大太陽光発電施設がオープン 

 アルプ・ドゥ・オートプロバンス県のレ・メに登場した15ヘクタールほどの土地に敷き詰められた太陽光パネル。18.2メガワットの生産能力を持ち、約8000の世帯に年間2600万キロワットの電力を供給する。
 本年末には200ヘクタールに拡大、100メガワットの電力を生産するという。
Huge solar photovoltaic farm opens in France - big picture,The Guardian,5.26

 

5月28日

 ブラジル下院 アマゾン森林破壊”促進”法案を可決 アグリビジネス促進で森林破壊が加速

 5月24日夜か、25日朝、アマゾン森林の焼き払いや違法伐採を止めようと運動してきたブラジルの活動家が何者かによって撃ち殺された。そして25日、ブラジル議会下院は、アマゾン森林地保有者が保有地の80%を手つかずの森林として残す(農牧地として開拓が許されるのは20%まで)という農業者の義務を400ヘクタール未満の”小農民”には免除し、岸から30メートルまでは許されなかった川岸・湖岸の開拓を岸から15メートルまで許し、現在は認められていない山頂や山腹の開拓も許し、さらに2008年7月以前の違法伐採については再植林の義務も免除するなど、森林破壊防止のため規制を大幅に緩和する法律を採択した。米国等にないこのような規制のため農業の競争力が削がれ、いくらでもある国の農業開発余力を活かすことができないでいるという共産党やアグリビジネス開発を望む”ルーラリストA"と呼ばれる議会グループがこの規制緩和を後押しした。

 これによりアマゾン森林破壊は加速され、洪水・土壌侵食などの危険が増し、アマゾン地域の干ばつとサバンナ化が促進されると叫ぶ環境活動家が虐殺され、彼らの主張が踏みにじられたのである。この法案の審議自体が、すでにアマゾン森林破壊を加速していた。ブラジル宇宙研究所の最新の衛生画像は、103平方キロメートルだった2010年3月、4月の森林破壊面積が、2011年の同期には593平方キロメートルにまで急拡大したことを示している。議会における規制緩和の議論がその最も有力な理由という。破壊の中心地は、ブラジル最大の大豆生産州であるマトグロッソ州だ。

 そういうブラジルで、三井物産は、最近完全子会社化したマルチグレイン社を使い、今後5年でブラジルからの大豆輸出を50%増やすのだという。

 通常ならばこれは日本人も心に留めるべき重要ニュースとして、もっと早く、もっと詳しく伝えたはずだ。しかし、今はそんな気にもならない。それがどうした。原発事故がもたらした災厄に比べれば、そんなことはどうでもいいではないか。そうなってしまう。かくて、かつては重大ニュースとして取り上げた世界の多くの出来事を、ほとんど知らせることができないでいる今日このごろである。ご寛恕願いたい。

 Brazil: Amazon rainforest deforestation rises sharply,BBC,5.18
 
Amazon rainforest activist shot dead,Guardian,5.24
 
Brazil loosens restrictions on Amazon land use,Guardian,5.25
  Brazil’s Congress debates changes to forest law that environmentalists say threatens Amazon(AP),Washington Post,5.24
 Mitsui to Boost Brazil Soy Exports 50% on Expansion in Food Commodities,Bloomberg,5.21
 
ブラジル農業生産・穀物物流事業マルチグレイン社の完全子会社化 三井物産 11.5.9

5月26日

ル・モンド紙特派員の飯館・浪江訪問記。

http://www.lemonde.fr/japon/infographe/2011/05/25/dans-les-vallees-irradiees-au-nord-ouest-de-fukushima_1526974_1492975.html

5月14日

西欧を襲う記録的干ばつ 世界穀物市場にまたも大波か

 小麦等穀物の世界的大生産国・フランスが猛烈な干ばつに襲われている。小麦はまもまく捻実期に入るが、雨がほとんどない上に、4月の平均気温は平年より4℃も高かった。これは、1900年以来、2007年に次ぐ二番目の記録だ。1959年以来最も乾燥した最近数週間だ。おかげで、牛の餌となる草の収穫は普段の年の30%から50%少ない。90%を天水に頼る小麦も、水が足りないために成長が止まり、品種によっては立ち枯れも始まっている。大麦や菜種も減収が避けられない様相だ。農水省は5月11日、65万ヘクタールの休耕地の利用を例外的措置として認めた

。全国農業経営者連盟(FNSEA)は、穀物生産者に対して、藁を家畜生産者に提供するように要請した。
 同じく西欧の穀物主要生産国であるドイツやイギリスも似たような状況だ。干ばつで穀物禁輸や輸出制限に走ったロシアやウクライナの国際市場への復帰が見通されるなか、ようやく落ち着き始めたように見える世界穀物市場だが、今年もまた大津波に襲われる恐れが出てきた。

 La sécheresse sévit en France, les agriculteurs sur le qui-vive,Le Monde,5.12
 
European hot spell is bad for consumers, good for speculators,Deutsche Welle,5.13

4月19日

復興構想会議、お前は何様だ 復興の主役はあくまでも被災地住民だ

 今日の東京新聞のトップ記事は、御厨 貴・復興構想会議議長代理からの聞き書きである。見出しは「3・11から 日本の新モデルをつくろう」である。氏によると、東日本大震災で、日本は「政治も社会、文明も「災後」の時代に入ったのだそうである。今後議論が本格化する政府の復興構想会議では、「東日本、西日本を含めて再創造する話に持っていく必要があります。地方から出た意見をオーソライズしながら、年末までには日本の全体像を示せればと思います。国が大きなテーマを示し、国民は新しい国のモデルを開発するぐらいの自覚を持つことが大切です」ということだ。

 さっぱりわからぬ。復興構想会議、地方、国、国民はそれぞれどういう役割を担うのか、何をどういう順序でするのか、誰か分かりますか。ひょっとして、会議が、従って政府が高尚な日本の全体像を示すまで、地方も、国民も、指をくわえて復旧・復興に取りかかるのは待っていろとでもいうのだろうか。 農家も、漁家も、みんなそれまで座って待っていろというのだろうか。

 そもそも、政府を含む彼(ら)は自分を何様と思っているのだろうか。活力があり、無限の可能性を持つ街とか、都市とか、人が集住する空間は、その空間のなかに住むさまざまな人々が、さまざまな利害をぶっつけ合い、ときに争いながら、自然発生的にできていく(創造されていく)ものだ。復興の主役は、あくまでも被災地住民である。ところが、彼(ら)が主役を乗っ取ろうとしているかのようだ。テクノクラートが描いた都市計画どおりに作り上げた街は、災害にはめっぽう強いかもしれないが(もちろん盲点はいくらでもある)、面白くもなく、活気もなく、創造力もない、がんじがらめの「管理空間」にすぎない。それが新しい日本のモデルだとでもいうのだろうか。彼(ら)が演じるべき役割は、被災地住民が主役を演じられるような枠組み、環境の確保であり、それに限られる。さもないと、東日本も西日本も、つまり日本全体が死んでしまう。

4月15日

復興構想会議 山を削ってニュータウン?洪水・土砂崩れの大災害を助長するだけだ

 昨日、日本社会のモデルとなる「創造的な復興」という指針を掲げる首相の諮問を受け、東日本大震災復興策の青写真を政府に提言する復興構想会議の初会合が開かれた。首相や一部委員は、津波被害を避けるために山を削った高台に町を作ろうなどと言っている。とんでもない話だ。山を削ったらろくなことはない。今世界中で起きているように、洪水や土砂崩れによる大災害を招くだけである。今避難している人々が「いつの日にか帰らん」と望むのも、山を削り、川を埋めた「ニュータウン」などではない、先祖代々の歴史が刻まれた「山は青きふるさと 水は清きふるさと」だ。そういうふるさとの再興をこそ目指すべきだ。

4月14日

シカゴ穀物相場 小麦とトウモロコシがついに逆転 食料と飼料、農業と畜産に何が起きるのか

4月13日のシカゴ商品取引所先物相場、トウモロコシの方が小麦より高いという前代未聞の珍現象が起きた。小麦がブッシェル7.526ドル、トウモロコシがブッシェル7.554ドルだ。しかし、これを珍現象と言っていられるだろうか。小麦の方が安いとなれば、家畜飼料のトウモロコシから小麦へのシフトが起きるだろう。今後の食料と飼料、農業と畜産に何が起きるのか、まったくわけの分からないことになってきた。

4月5日

シカゴ穀物相場 トウモロコシが小麦に迫る エタノールが肉食文明に転機をもたらすか?

 4月4日のシカゴ商品取引所の先物相場、飼料用・バイオエタノール用・食料用重要の増加に供給増加が追い付かず、今年3月1日現在の米国在庫がこの4年来最低レベルに落ち込んいたトウモロコシ米国中西部の悪天候(による作付の遅れの懸念)が追い打ち、期近相場としては08年6月16日に記録した史上最高の7.7325ドルに迫る史上2番目の7.6ドル代に達した。小麦も中国や米国における干ばつへの懸念から急伸したが、通常なら1.5〜2.5ドルほど上回るトウモロコシとの差はわずか30セントにすぎなくなった。言われなけ ればどちらが小麦かトウモロコシか分からない。何よりも米国のバイオエタノールが、穀物の世界をすっかり変えてしまった。 米国のエタノール原料用トウモロコシ消費は2005/06年の4000万トンから2010/11年(予測)の1億2000万トンに、6年で3倍にも増え、米国国内生産量の40%、世界総消費量の14%を占めるに至っている。いくら生産しても追いつくはずがない。 アメリカ人が毎日のように肉・卵・乳製品を食べられるようになったのは、またそのような肉食文明のグローバル化をもたらしたのは、まさしく安価なトウモロコシの大量供給を可能にした戦後アメリカの農業革命だった。ところが、そのトウモロコシが小麦と変わらないほどの高い価格の穀物になってしまった。安価な動物製品を毎日食べ続ける時代は終わりを迎えつつある。エタノールは、まさしく文明を変える。

3月23日

日本の放射性物質 スウェーデンに到達 低レベルで今のところ健康影響なし

Japanese radioactive material reaches Sweden,Radio Swededn,3.22
http://sverigesradio.se/sida/artikel.aspx?programid=2054&artikel=4414309

3月21日

福島第一原発事故の深刻さは米国スリーマイル島事故と同じレベル5?

 原子力安全・保安院が18日、福島第一原発1〜3号機の事故について、事態の深刻さを示す国際原子力事象評価尺度の暫定評価を、「レベル5」に引き上げた米国スリーマイル島の原発事故と同等の広範囲な影響を伴う事故というわけだ。

 しかし、こんな評価が許されるだろうか。炉心溶融が起きた点ではスリーマイル島も福島も同様だが、スリーマイル島では事故発生後16時間で冷却ポンプが作動、最も恐れられた水素爆発も回避して事故は収束に向かった。放出されたヨウ素131の量はわずか15キュリーほどにとどまったとされる。福島では水素爆発が既に複数回起きており、1週間を過ぎてなお3基または4基から放出され続ける放射性物質の量が既にスリーマイルの比ではないことも明白だ。これからいつまで続くかも分からない。その人や環境に対する影響は場所や雨風の具合で大きく異なるから評価は難しいが、スリーマイル島より小さく収まる保証はまったくない(スリーマイル島では、周辺公衆の被ばく線量は最大でも1ミリシーベルトであったという)。特に植物が地面 ・水から吸収して濃縮し、動物がさらに濃縮する周辺地域の農畜水産物への影響は、「ただちに健康への影響はない」などと楽観的に構えていられるレベルを超える恐れがある。

 レベル5にとどめるのは、そういう恐れはないと強弁し続けるためだろうか。それがチェルノブイリクラス(レベル7)の事故への展開を招かないことを祈るのみである(再臨界-爆発の可能性も完全には否定できない)。

3月7日

ブラジル 外国の農地取得を抑制するルール制定へ 中国政府系ファンドが国の主権を危うくする

ブラジルが外国政府・国有企業・投機者の農地購入を阻止する一方、”真の”(genuine)民間部門投資家にこれを許すルールを準備している。ブラジルは昨年、中国が主導する外国政府が、自国の食料安全保障の強化のために新興市場で先を争って土地を取得しているという恐怖が広がるなか、すべての新たな農地投資を厳しく制限したが、農相は今、ブラジルの外国人土地所有権制限を厳正にするテクニカル・ペーパーを今月できるだけ早い時期に閣議に提出することを計画している。彼は、他の分野ではパートナーである国々も、ブラジルでの土地購入はわが国にとっての何らかの主権のリスクを創り出すと言う。農相はどこの国とは名指しはしていないが、アナリストは主要なターゲットは明らか、「政府系ファン」は中国ファンドを意味すると言っている。

 Brazil plans curbs on farmland speculators,FT.com,11.3.6
 http://www.ft.com/cms/s/0/6333b494-4819-11e0-b323-00144feab49a.html#axzz1FsFjqRfR
 Brazil in quest to seize farming opportunity,FT.com,11.3.6
 http://www.ft.com/cms/s/0/01d622fc-481b-11e0-b323-00144feab49a.html#axzz1FsFjqRfR

 ブラジルの主権を脅かすのは中国人による土地取得だけではない。あのカーニバルでさえ”メイド・イン・チャイナ”になってしまった。ブラジル繊維輸入協会会長によると、今年のカーニバルのショーの衣装の80%は、専ら中国からの輸入品になってしまった。

 Brazil’s carnival is ‘made in China’,FT.com,3.6
   http://www.ft.com/cms/s/0/c5985786-468c-11e0-967a-00144feab49a.html#axzz1FsFjqRfR

3月3日

中国 ビスフェノールA(BPA)を含む哺乳瓶を禁止か

中国がEUにならい、BPAを含む哺乳瓶を禁止するかもしれない。3日の北京ニュースが保健当局者の発言として伝えた。衛生部は先月、パブリック・コメントを求めて合法的食品包装物質のリスト案を発表した。それによると、BPAはベビーフードと直接触れる容器への使用が禁止されることになっている。

China mulls banning BPA in baby bottles,Xinhua,3.3
http://news.xinhuanet.com/english2010/china/2011-03/03/c_13759288.htm

中国中央テレビの調査によると、中国人の70%が、国産品を信用jせず、輸入粉ミルクを選ぶそうである。現在開かれている人民政治協商会議は食品安全を最優先事項に据えている。

70% refuse domestic powdered milk,China Daily,2.28
http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-02/28/content_12089882.htm

CPPCC spokesman: Food safety 'a top priority'
,China Daily,3.3
http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-03/03/content_12105951.htm

安全性への懸念からひところの半分ほどに落ち込んでいた日本の中国からの生鮮野菜(生鮮・冷凍)輸入は、天候不順によって国産品価格が急騰した去年の秋以降、かつての勢いを取り戻した。安全よりも安さということか。BPA入り哺乳瓶のことを気にしている母親、子育て支援者はどれほどいるのだろうか[日本では、BPAを含むポリカーボネート製ほ乳びからのBPA溶出量は現行規格値(2.5ppm)よりはるかに低いとして特別の対策は取れらていない。 厚労省は、「諸外国をみても、現時点において、一般消費者にポリカーボネート製ほ乳びんの使用の中止を求めている国はありません」(「ビスフェノールAについてのQ&A」2010年1月15日更新)との認識だ]。

 

 2月26日

フランスの青年農業者就農援助に学ぶ?TPP対策としてならまったく無効だ

25日、首相官邸で開かれた第3回食と「農林漁業の再生実現会議」で農林水産省が、1973年以来のフランスの青年農業者就農援助がフランス農業の若返りに劇的な成果を挙げている (40歳未満の経営者の比率が倍増)と紹介、管首相が大きな関心を示したそうである。こういう制度を導入することに敢えて異論を唱えるつもりはないが、フランスが農水省が言うような成果を挙げ ているかどうかについては疑問がある。まして、これがTPP参加のために導入されるのだとすれば、どんな効果も期待できない。

フランスのこの制度については、筆者が日本で初めて、1984年に紹介した(「フランスにおける青年農業者自立・就農援助政策―青年農業者自立援助金(DJA)を中心に―」 『レファレンス』1884年2月号)。その効果について、詳しく はこの論文(142頁)を参照されたいが、結論的には、DJAが自立就農数の増加に”どれほど寄与したかの評価は不可能に近い”、”「DJAは、他の要因とともに、近年の自立就農数の安定化に寄与した」というのが言い得る最大限のことであろう”と しか言えなかった。(自立とは、経営者としての自立、つまり新たな農業経営の創設のことである)

当時はフランス農政全体が大きな転換期にあった。1960年農業基本法、1962年農業基本法補完法が推進した構造改革政策(「生産性至上主義」に基づく 小規模農家切り捨て、大規模化政策)がもたらした農業・農村人口の減少は農村社会を崩壊させ、国土の均衡ある発展どころか、国土保全も危うくするまでになっていた。そのために、1970年代には、構造改革のこれらの悪影響を補正する様々な政策が導入されるようになる(→1980年農業基本法、さらには「多様な農業」、「小規模家族農業」を重視する80年代初頭のミッテラン左翼政権農政)。1970年代初期に導入された山岳地域特別補償金、最初は山岳地域に限定されていたDJAも、そうした政策の一環をなすものであった。若い経営者が増大したとしても、それはこれら政策のすべての結果であり、DJAがこれにどれほど寄与したかは測り難いのである。青年農業者の自立の最大の傷害が土地へのアクセスの困難であったことからすれば、DJA以外の土地政策の多くの手段がこれに関与していたことは間違いないだろう。

そして、40歳未満のプロ経営主*(共同経営者を含む)の数は、少なくとも統計で確かなところが知り得るかぎり、1988年以降減り続けている。1988年:20万6000人、2000年:16万2000人、2005年:12万9000人、2007年:10万7000人だ。プロ経営主全体に対する比率も、1988年に30.2%、2000年に32.9% であったものが、2005年には26.1%、2007年には24.5%と減っている(http://www.agreste.agriculture.gouv.fr/IMG/file/Gaf09p033-039(1).pdf,p.35)。

 *小麦にして12f以上相当の経済規模を有し、かつ0.75以上の年労働単位を使用する経営の経営主。

このような補助金も、他の適切な政策が伴わなければ、または就農意欲を萎えさせる他の状況(価格や所得の低迷など)のもとでは、効果は期待できない。TPP参加のためにこういう制度を導入してどんな効果があるというのだろうか。こんな制度があろうとなかろうと、TPP参加は、折角芽生えた若者の就農意欲 を挫くだけであろう。自由化が農業者の意欲の芽をことごとく 摘み取ってきたことに思いをいたすべきである。

フランスの農業経営数と40歳未満経営主の比率(1970年、79年、88年、2000年、2003年)

 

1970

1979

1988

2000

2003

全経営

経営数(1万)

158.8

126.3

101.7

66.4

59.0

40歳未満経営主(%)

17.6

16.6

24.2

26.2

23.2

プロ経営

経営数(1万)

48.0

51.5

61.2

39.4

36.7

40歳未満経営主(%)

8.6

9.8

18.8

21.0

19.4

Source:Agreste Cahiers No.2-Juillet 2007

 2月24日

東京新聞 村挙げてTPP参加反対の長野県中川村ルポ 政府は政治の努めを果たしていない

本日の東京新聞「こちら特報部」が、TPP参加に村を挙げて反対、20日には村長を先頭に農業団体、商工会、建設業協会、村議会などの約400人が反対を訴えてデモ行進した長野県上伊那郡中川村の様子を紹介している。 筆者は戦前のこの村{旧南向=みなかた村)に生まれ、小学生時代はその隣村(下伊那郡生田=いくた村、現松川町)で過ごした。かつての主産業は養蚕と製糸、それがすたれたのちは天竜川と河岸段丘に挟まれた帯状の平地でコメを作る一方、段丘の傾斜地を拓いてリンゴやナシの商業的果樹農業をいちはやく導入した進取の気性に富んだ村である。

デモに参加したコメ農家の斉藤さんは、「中山間地域対策や農業用水保全に補助金が出るからなんとかやっていける。TPP参加となればもうだめだ。農業の規模を大きくすればいいと政府は言うだろうが、斜面の農地が多いこのような中山間地では限界がある」と言う。

200本のリンゴを栽培するリンゴ農家の男性の「最大の悩みは後継者不足。二人の娘が嫁いだ先の夫はともに会社勤め。『いつかは農家を継いでくれるのでは』と期待していたが、TPP論議で暗雲が広がった」。男性の妻は、「これから農業をやる人にとっては不安だろう。TPPでテレビや自動車が売れても、村においい影響はない」と漏らす。

商工会副会長は。「TPPの本質は、米国と日本の貿易自由化交渉なのだろう。今は円高で日本で作ったモノが、外国で売れない。TPPの結果、外国産の安い品物がこれ以上入ってくれば、国産品の国内消費に響き、働く場所もなくなる」と指摘する。

しかし、斜面が多くて規模拡大には限界があることさえしらないらしい現場知らずの管首相は「参加に前のめりだ」。「デスクメモ」は、TPPには賛否があるが、「一村が村を挙げて反対という現実は重い。特定地域に不利益が集中することを避ける。それが本来の公共性であり、政治の努めだ。しかし、沖縄をみてもそうなっていない。政治の機能不全」と書く。

 TPP反対 長野・中川村の気勢 「生活破壊」 村挙げてデモ 商工会や建設業も一転参加 「山間部で大規模経営はムリ」 募る限界集落への不安  村長「政府は考える時間設けよ 東京新聞 2011年2月24日 第24、25面 

 「担い手の高齢化で日本の農業は存亡の危機にあるが、競争力のある農産物をつくり輸出を促進することなどで強い農業に変わるのも可能なはずだ。今こそ改革を急ぐときだ」(日経社説、2月24日)。こういう輩もまったくの現場知らずだ。この100年、知恵を絞り、「強い農業」を作るために誰よりも努力してきたのが現場の農家だ。何も知らない人間からこんなことを言われる筋合いは全然ない。

 2月23日

中国 消費者の70%近くがGM米に反対 情報不足も一因と専門家

中国グリーンピースが22日に発表した世論調査結果によると、中国消費者の70%近くが遺伝子組み換え(GM)米に反対している。グリーンピースは、大都市の代表として北京、上海、広州、小都市の代表として長沙、武漢を選び、また香港での調査のためにリサーチ会社も雇った。18〜55歳の1300人を対象とするこの調査によると、60%の人が米、油、豆乳を含むあらゆる種類のGM食品に反対だった。ベビーフードへのGM米使用の反対者は大都市で77%、小都市で83%にのぼった。

ただ、ほとんどの人は、いくつかのGM米が研究用に承認されていることも、2009年8月には農業部が二つのタイプのGM米に食品としての安全認証を与えていることも知らなかった。(かつてグリーンピースにより人間消費用に未承認のGM米が違法に栽培され、販売されていると告発されたことのある=中国で未承認GM米販売  中国米輸出販売にも影響―グリーンピース,05.4.15)湖北省の農業専門家は、中国はこのような技術を安全に使うための厳格な規制とメカニズムを有し、「反対は、一部は十分な情報がない結果だ」と言っている。彼によると、GM大豆油やGMトウモロコシは、今では国内市場で見られる食品の中で相当なシェアを占めている。

 Public has doubts over modified food ,China Daily,2.23
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-02/23/content_12060930.htm

何はともあれ、中国におけるでGM米商業栽培の承認は、政治的に大きなリスクを負うことになりそうだ。輸出市場を失うという経済的リスクも大きい。

 2月21日

牛タン仕入れ値急騰で専門店悲鳴 昨秋比4割高 仙台(華北新報 2月21日)

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/02/20110221t15014.htm

1月の豪雨と今月上旬のサイクロンで供給不足に陥ったオーストラリア産牛タンの仕入れ値が急騰、仙台市内の牛タン専門店が悲鳴をあげているそうである。2003年の米国の狂牛病騒ぎで輸入先をオーストラリア産に切り替えたのが裏目に出た。それにしても、「仙台のシンボル」と言われる牛タンがなぜ外国産なのか。商売を広げすぎ、一頭から一枚しか取れないタン (人間と違い、牛には二枚舌、三枚舌はない)を地元産だけで手当てできるはずもないからだ。筆者は仙台経由で東北地方に出かけるとき、必ずと言っていいほど仙台で途中下車する。本場のずんだ餅を食べたいからだ。ベジタリアンというわけではないが、牛タンは食べる気がしない。へそ曲がりで、仙台名物などと言われると、ますます食べたくなくなる。「市内中心部のある専門店は「牛タンは仙台のシンボル。観光客や地元の人には、気軽な値段で楽しんでもらいたい」と仕入れの値下がりを切に願っている」そうだが、筆者は一向に困らない。

 2月18日

大手マスコミ、初めての?TPP参加論に対する疑念 TPPは自然消滅?

 中日新聞(東京新聞)の今日の社説が、「菅直人首相が宣言した「平成の開国」。海外の需要取り込みが狙いだというが、米国主導の環太平洋連携協定(TPP)にこだわり過ぎていないか。アジアを軽んじては日本経済に元気は戻らない」と論じている。大手マスコミとしては初めてのTPP参加論への疑念の表明ではなかろうか。そういえば、他の大手新聞も、TPP、TPPと余り言わなくなったような気もする。TPPにこだわっていては「日本経済に元気は戻らない」とようやく悟ったのだろうか。財界でさえ、あまり騒がなくなった。 世界の孤児化を恐れねばならないのは、日本よりも米国の方だとようやく気付いたのだろうか。そして、言い出しっぺの管総理の命運は尽きかけている。TPP参加論は自然消滅に向かう可能性が高い。

 だからといって、米国への遠慮は要らない。もともと、日本の非農産品関税は、韓国やその他のアジア諸国と違い、ほとんどゼロに等しいところまで下がっている。ガット・WTOの自由化交渉が積み残している農産品関税やもろもろの非関税障の撤廃、サービス貿易自由化、知的財産権保護などにかかわる分野での日本の大幅譲歩がないかぎり、日本のTPP参加で米国が得る利益は何もない。従って、日本が様子見ではなく、これら分野で大幅譲歩の用意があると率先して確言しないかぎり、米国は日本の交渉参加さえ認めないだろう。それでも米国政府の政治的配慮はあるかも知れないと考えるとすれば、それは国際貿易体制にかかわるイロハも知らない無知を露呈するだけだ。米国憲法は、通商交渉権限を政府に与えていない。通商交渉権限を持つのは議会である。政府のすべての交渉は、議会の承認を得てしか始まらない。韓国が狂牛病規制を緩和または撤廃しなかったことで今なお韓米自由貿易協定批准を拒否する議員もいる米議会が、オーストラリアとの交渉で牛肉、砂糖、小麦などの関税撤廃を拒むような日本の態度を見て、Goサインを出すはずがない。

 日本の撤退は、むしろ交渉を混乱させ、遅らせる厄介者がいなくなったと歓迎される。日本国民も、まったく不毛な議論から解放され、今真になすべき議論に取りかかれる。管総理は、この非常時に「国民を不毛な議論に巻き込んだ」「大罪人」(北林寿信 「見逃せない首相の大罪 農業と国際競争力」 日本農業新聞 10.12.23 第3面 万象点描)として歴史に名を残すことになるだろう。

 *米国が結んだ自由貿易協定としては、北米自由貿易協定(カナダ、メキシコとの協定)、チリ、ペルー、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、オーストラリア、シンガポール、バーレーン、ヨルダン、モロッコ、オマーン、イスラエルとの協定があるだけだ。未批准の協定としては、コロンビア、パナマ、韓国との協定もあるが、韓国との協定を除けば成長著しいアジア諸国との協定は皆無、米州自由貿易協定交渉、南部アフリカ諸国との交渉もとっくの昔に破綻、ヨーロッパはほぼ完全にEUに取り込まれている。対して日本は、インド、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、シンガポールの中国、韓国を除くアジア主要国との経済連携協定を持っている。メキシコ、チリとの今協定もあり、ペルーとの交渉開始も決まっている。アメリカが急遽TPP参加を表明したのは、アジアでの孤児化を何としても回避したいという一心からだった。

 2月10日

 シカゴ・トウモロコシ先物 史上最高レベルに接近 米国のエタノール原料用消費の増大が最大の元凶?

「シカゴ商品取引所穀物等先物相場(期近):最新260取引日」のコメント

 2月9日(2月10日補訂)

  中国 食料インフレ抑制で基準金利引き上げ が、北部穀倉地帯は200年来の大干ばつ

 中国人民銀行(中央銀行)が2月8日、昨年10月以来3度目となる基準金利引き上げに踏み切った。預金と貸出の基準金利をそれぞれ0.25%引き上げる。昨年10月、12月の金利引き上げもかかわらず、消費者物価、特に食料品価格の上昇が止まらないからだ。昨年12月の中国の消費者物価指数は前年同月を4.6%上回り、対前月比でも6カ月続けて上昇した。人件費や世界的な資源価格の上昇もあるが、天候不順で供給不足となった野菜など食料品価格の上昇が大きく影響している。消費者物価指数のほぼ3分の1を構成する食品価格指数は、昨年10月、11月には前年同月をそれぞれ10.3%、12%上回った(OECD統計)。12月も9.6%だ(China's food prices rise over past week,Xinhua,1.26

 年明け以降も、南部の異常低温や北部の干ばつで、食料品価格の高騰が続いている。商務部の1月25日の発表によれば、中国農産物価格は1月第3週までの4週間、連続して上昇した。南部の低温と滞る輸送が主な原因だ。18の必須野菜の卸売価格は1週間に12.6上昇した(Chinese farm produce prices rise for fourth consecutive week before festival,Xinhua,1.25)。

 その上に今、中国の冬小麦の80%を生産する北部平原地帯が200年来と言われる干ばつに襲われている。640万ヘクタール、あるいは作付けられた小麦の35%が影響を受けている。国第二の小麦生産地域である山東省では、去年9月から12ミリの雨が降っただけである(Crops dry up as drought drags on,China Daily,2.9)。これが春にも続くか、今月の気温が下がれば、6月の収穫に決定的な影響が出る(UN: Drought endangers Chinese winter wheat,China Daily,2.9)。食料インフレはますます昂進する恐れがある。

 中国政府は、北アフリカ・中東で起きているような食料インフレの政情への影響を恐れている。しかし、経済成長を犠牲にした利上げも食料インフレ抑制につながらないかもしれない。お天気には誰もかなわない(China in fresh interest rate rise,FT.com,2.8)。

  関連情報
 FAOSpecial Alert:http://www.fao.org/docrep/013/al975e/al975e00.pdf(FAO中国干ばつ特別警報)
 U.N. Food Agency Issues Warning on China Drought,The New York Times,2.9(FAO 中国干ばつで警告)
 http://www.nytimes.com/2011/02/09/business/global/09food.html?_r=1&ref=world

  Wheat Jumps to Highest Since 2008 as Drought May Harm China Crop,Bloomberg,2.9(シカゴ小麦先物 中国干ばつで08年以来の最高値)
  http://www.bloomberg.com/news/2011-02-09/wheat-advances-nearing-29-month-high-as-drought-threatens-china-crops.html

 $1b to help battle worst drought in 60 years,China Daily,2.10
  http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-02/10/content_11972919.htm

  Inflation fight must come first,China Daily,2.10
  http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2011-02/10/content_11973924.htm

 2月7日

韓国大統領、食料危機に関する官民合同タスクフォースを提案

 韓国の李明博大統領が7日、食料の安定供給を確保する方法を研究する政府・民間合同タスクフォースを創設する必要があると語った。大統領報道官は、「気候変動によって世界全体が食料危機に苦しむ機会が増えている。農業・漁業産品(の供給)に関する政府挙げての戦略を立ち上げ、(関連した)研究を行うべきだ」と 言う。彼によると、大統領は、この問題を扱うための政府官僚と民間専門家で構成される国家的組織を作ることを提案したということだ。

 Lee suggests creation of government body on food crisis ,Yonhap,2.7
 http://english.yonhapnews.co.kr/national/2011/02/07/59/0301000000AEN20110207004300315F.HT

 韓国は工業製品輸出拡大のために、農業を犠牲に数多の自由貿易協定を結んできた。2007−08年の穀物等国際価格の急騰で国内食料品価格が急騰すると、現代重工業等大企業の”新植民地 主義”的海外進出(海外で取得した農地での自国食料・飼料の生産)を奨励・援助することで食料安全保障を確保する戦略に乗り出した。しかし、そんな戦略も実を結んでいない。国際価格高騰 (と輸出拡大のためのウォン安誘導)と(自由化が加速した) 国内生産体制の弱体化・天候不順・口蹄疫禍による生産・供給減少の挟み撃ち、韓国の食料インフレ率は、今やOECD主要国のなかでダントツのトップに躍り出た。いまさら何をしようというのだろうか。アメリカやEUとの自由貿易協定はもうやめた 、とでも?円高・デフレ日本も安心はできない。世界価格の高騰が始まった8月以来、インフレ率は急上昇している。 (下図の中国の12月はゼロではなく、まだデータがないことを示す)

 

 2月1日

  マレーシア ケイマン諸島に次ぎデング熱対策のGM蚊をひそかに放出

 1月26日、マレーシアの医学研究所(IMR)が、デング熱を運ぶ蚊を減らすために英国バイテク企業・Oxitecが開発したGM蚊(英国企業、ケイマン諸島野外にGM蚊を大量放出 世界で初めて,10.11.12)をバハン州ベントン近くの無人の森林に放出したと発表した。放出は、一般国民はもとより、放出に反対してきた環境NGOにも知らせることなく、昨年12月21日に行われた。その上、今年1月5日、マレーシア国内メディアは、バイオセーフティー局局長の発言として、先月に予定されていたGM蚊放出が悪天候で延期されたと伝えていた。ナジブ政府は透明性を一つの売り物にしてきた。政府の看板を傷つけてまで、なぜ放出を急がねばならなかったのだろうか。不可解である。

 Malaysia follows Caymans with surprise GM mosquito trial,SciDev,11.1.28
 http://www.scidev.net/en/news/malaysia-follows-caymans-with-surprise-gm-mosquito-trial.html
 A quiet release,The Star,11.1.30
 http://thestar.com.my/health/story.asp?file=/2011/1/30/health/7886740&sec=health
 Weather delays mosquito release,The New Straits Times,11.1.5
 http://www.nst.com.my/nst/articles/10azm/Article#ixzz1CfP8ovse 

 1月27日

  鳥インフルエンザ シベリアから?

 養鶏場における高病原性鳥インフルエンザが日本各地に広がっている。京都産業大学鳥インフルエンザ研究センターの大槻公一教授は、「その背景には、渡り鳥が子育てをするシベリアなどの営巣地に鳥インフルエンザウイルスが入り込み、去年の夏以降流行した可能性があり、この冬、野鳥が越冬などのために南下し日本に渡ってくる過程でウイルスの混じったふんを落とすなどして、各地で感染が広がっているのではないかとみています」と言っているそうである(鳥インフル ウイルス北からか、NHKニュース 2011年1月26日)。素人にはよく分からない話だ。野鳥は鳥インフルエンザに感染しても発症しないと言われるが、今流行にているH5N1の場合は違う。事実、各地で渡り鳥の死骸からこのウィルスが検出されている。これら渡り鳥の死因はH5N1感染だろう。こんなウィルスに感染した渡り鳥がどうしてはるばるシベリアから飛んで来られたのか。素人には分からない。感染源はもっと近い所、場合によっては死骸が見つかった場所の近くにあるのではないか、そう考えるほうが自然に思われるのだが・・・。渡り鳥ばかりに注意を向けていると足をすくわれる恐れがないだろうか。

 1月19日

  畑作物に生産目標 農水省

 本日付日本農業新聞によると、「農水省は18日までに、2011年度からの戸別所得補償制度の推進体制を明らかにした。都道府県や各地域に設置する水田農業推進協議会は「農業再生協議会」に衣替えし、事務局や運営主体はこれまで通り行政、農業団体のいずれも担当できるようにする。協議会などが主体になる米の生産調整の仕組みも維持する。麦や大豆といった畑作物は国の食料自給率目標50%の達成に向け、行政が主体的に推進。12年産からは県別に生産数量目標を設定する方針だ」そうである。

 畑作物の生産数量目標は戸別所得補償制度の対象となる麦、大豆、ソバ、ナタネなどで設定、食料・農業・農村基本計画で定めた2020年度目標(参照:食料自給率50%達成のための小麦・大豆等生産目標 荒唐無稽な農水省素案,10.3.13)達成に向けて毎年度国の目標を定め、都道府県別に生産数量を設定する。都道府県は加入する生産者が生産数量目標を設定する際のルールを定める。当面、県段階の生産数量目標は、播種前契約委数量(麦)や出荷・販売契約数量(大豆など)を基に設定される努力目標となるが、将来的には生産者に生産拡大を促すような仕組みを検討する予定という。

 しかし、「生産者に生産拡大を促すような仕組み」とはどんなものなのか。小麦の1961年の収穫量は178万トンで、20年目標(180万トン)に近かった。多くは、夏に稲を作り、冬季に麦を作る水田二毛作がこれを可能にしていた。このような二毛作が途絶えた今(転作麦は減反または生産調整で夏季には遊ばせている水田で作られる)、小麦の収穫量は40万トンにまで落ち込んでいる。1952年には生産量52万トン(20年目標は60万トン)だった大豆は20万トンほどに落ち込んでいる。

 どうしてこんなことになったのか。貿易自由化・グローバル化と基本法農政が生産構造と消費構造を完全に変えてしまったからだ。転作という問題解決策も、成功のための技術的・経済的条件を欠いている。転作成功に不可欠な汎用田は限られており、一律転作は多くの地域(県)に湿田での転作を強要している。ときに水浸しの水田に立っていることさえ見られる転作大豆は低品質・低収量で、大量に輸入されるようになった油糧種子としての輸入大豆に代替すべくもない。生産(転作)拡大を促す政策措置は持続不能な財政負担を生んだ。万能と喧伝される戸別所得補償制度も、財源捻出のために生産基盤整備予算を半減させてしまった。おまけにTPPだ。TPPは、麦や大豆の輸入に影響を与えるような国内生産奨励「貿易歪曲的補助金」の支出を決して許さないないだろう。どんな「生産者に生産拡大を促すような仕組み」があるというのだろうか。 罰則付き作付強制?

 1月17日

 この頃イングランド・レーク地方に流行るもの、羊泥棒にトラクタ泥棒 グローバリゼーションが元凶

   ピーター・ラビットの生地、農場がもや にかすんで延々と続くのどかなレーク地方の丘陵地帯が犯罪の波に呑み込まれた地上最後の地になった。

 
  (Andrew Allen of Windermere, England)

 羊泥棒の波は、最近の穀物価格の記録的高騰とともやってきた。値上がりは穀物だけではなく、とりわけラムにも及んだ。世界の需要が増えると同時に、ニュージーランドなど主産国の生産規模が縮み、ラムの生産者価格は2008年に比べて35%上がっている。例えば、この地方の羊農民の一人であるアレンは去年9月、45頭の羊を盗まれた。当局によると、価格高騰がラムやマトンの闇市場を繁盛させている。盗まれた羊は間に合わせのと畜場で処理され、小規模食品雑貨店、パブ、一銭を惜しむ消費者に売られる。盗まれるのは羊だけではない。トラクタや農業機械の盗難も急増している。当局は、穀物価格高騰の利益に与ろうと競って耕地を増やしている東欧の農民に盗んだ機械を売りつける組織犯罪が増えているためと見る。

 Sheep thefts in Britain likely connected to rising global food prices,WP,1.16
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/01/15/AR2011011503157.html?wpisrc=nl_headline

 1月8日

  2009年のインド農民自殺者1万7386人、この6年で最高 30分に1人が自殺 深まる農業危機

 インド国家犯罪記録(NCRB)のデータによると、2009年に自殺しのインド農民は、少なくとも17,368人に達した。2008年に比べると1,172人の増加で、この6年で最悪の記録である。自殺者の62%が、人口では3分の1を占めるにすぎないマハラシュトラ、アンドラ・プラデーシュ、カルナタカ、マディヤ・プラデーシュ、ケララの5州に集中している。90年代半ば以降、農業の商業化が特に進み、水不足も深刻化してきた地域である。インド農民の自殺に関する最大の研究の著者であるエコノミスト・K. Nagarajは、「農家人口は減っているのに自殺者の数は増加している。これは農業危機がなお燃え盛っていることを確認するものだ」と言う。

  1997-2003年の7年間の自殺者総数は113,872人、年平均16,267人だった。次の6年間(2004−2009年)の自殺者は102,628人、年平均17,105人だった。これは毎日47人、30分に1人が自殺していることを意味するという。

 17,368 farm suicides in 2009,Hindu,10.12.28
 http://www.thehindu.com/todays-paper/article996204.ece

 関連情報
 インド農民の自殺が急増 97−05年に15万人 商業・換金作物農業地帯に集中,07.11.12
  45% of farmers want to quit farming: Swaminathan,Hindu Business,10.12.31(農民の45%が農業をやめたいと思っている
  http://www.thehindubusinessline.com/2010/12/31/stories/2010123152041600.htm
 Suicides Rise Across India,IPS,11.1.7(インド中で自殺が増加)
 http://ipsnews.net/news.asp?idnews=54057

 1月6日

 ピークに近いオーストラリア北東部の洪水

 スライドショー(ニューヨーク・タイムズ)

 

 Australia Floods Nearing Peak,The New York Times,201.1.6
 http://www.nytimes.com/2011/01/06/world/asia/06australia.html?_r=1&ref=world
 MELBOURNE, Australia — Floodwaters appeared to be at or near their peak across much of tropical, northeastern Australia on Wednesday, with inundations affecting 40 towns and cities, as an army general was named to lead efforts to cope with the disaster.

2010年

 12月22日

 リビア企業のコメ生産参入で先祖伝来の土地から追われるマリの村人たち
 
スライドショー
  ニューヨーク・タイムズ
世界 土地投資(収奪)関連情報:文献リスト参照)
 それでも、”Organizations like the United Nations and the World Bank say the deals for farmland, if done equitably, could help feed the growing global population by introducing large-scale commercial farming to places without it.”(国連や世銀のような機関は、農地取引は、もし公平になされるならば、大規模商業的農業を欠くところにこれを導入することで、増大する世界人口を養うのを助けることができると言う-13枚目の写真の説明書き)

 12月20日

 TPP参加と農業は両立できる 朝日社説が暴論(意見・論評に転載

 12月17日

 カリフォルニア州 キャップ・アンド・トレードで温室効果ガス排出削減に本腰

  キャップ・アンド・トレードによる温室効果ガス排出削減を唱導してきたオバマ大統領が態度をひるがえすなか、カリフォルニア州がこの方式の排出取引プログラムの導入を正式に決めた。2012年から実施されるこのプログラムは、温室効果ガス排出を1990年レベルにとどめるために、2020年までに現在(2012年)の排出量を15%減らすことを目指す。360のビジネスの600施設をカバーする。

 California Air Resources Board gives green light to California’s emissions trading program,California Environment Protection Agency,2010.12.17
  http://www.arb.ca.gov/newsrel/newsrelease.php?id=170

  プログラムは360のビジネスの600施設をカバーする。企業はGHG排出に特定の制限を受けるわけではないが、それぞれが相応の排出許容量を設け、全体としての排出許容量は年に2%ずつ削減する。企業は、配分された許容量の範囲にとどめるために排出を減らすか、過剰分を償うために他の汚染者から排出権を買わねばならない。自身の排出の8%までは、GHG排出を減らす森林管理や農畜産部門への投資でオフセットできる。これには外国の森林保全も含まれ、既にチアパス(メキシコ)、アクレ(ブラジル)と協定を結んだ。また、ニューメキシコ、ブルティ ッシュ・コロンビア、オンタリオ、ケベックとの炭素取引の枠組みを作ることも計画しているという。

 いまやアメリカの一州になったかのごとき日本も見習ったらどうだ。

 関連ニュース
 California gives green light to carbon trade,Reuters,12.16
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE6BG0J320101217

 12月16日

 ランドグラブ 土地問題を話すな 逮捕されるか、殺されさえする エチオピア農村コミュニティの恐怖(BBC)

  Land grab fears for Ethiopian rural communities,BBC News,10.12.15(エチオピア)
  http://www.bbc.co.uk/news/business-11991926

 また、BBC World Service radio on 15 December.

 大規模農場を造成する外国企業に大量の土地をリースすることで農業の近代化を図ろうとする「新たな農業政策がエチオピアの辺鄙な低地地域における政治的弾圧につながっている、とBBCは知った。

 政府反対派活動家は、新政策の直接の結果として、地方の多くの農民が逮捕され、10人が殺されたと主張する。

 地方のある人は匿名で、”今は土地問題について自由に話すことができない。逮捕されるか、殺されることさえある。国の南西部に住むすべての先住民にとって、今は暗黒の時代だ”と言う」。  

 12月15日

  韓国口蹄疫 京畿道にも 首都圏を介し、全国に拡散する懸念も

 京畿道でも口蹄疫発生、警報レベル引き上げ 聯合ニュース 10.12.15
 http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2010/12/15/0800000000AJP20101215002300882.HTML

 慶尚北道に続き、京畿道の楊州市と漣川郡でも、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が確認された。口蹄疫の拡散を受け、政府は危機警報レベルを従前の「注意」から「警戒」に引き上げ、対策本部長を次官から長官に格上げした。

 農林水産部は15日、楊州市と漣川郡の養豚農家計2戸で口蹄疫の発生が確認されたと明らかにした。それぞれ豚1200頭を飼育しており、農場主は同じだという。

 今回の口蹄疫は、先月29日に慶尚北道・安東で発生。今月に入り同道で感染が拡大していた。別の道で感染が確認されたのは初めて。特に、京畿道で発生した口蹄疫は、新しい口蹄疫ウイルスが発生した可能性も高く、今回の口蹄疫事態が新しい局面に入る見通しだ。政府当局が京畿道での防疫に失敗すれば、口蹄疫ウイルスが人口密集地域の首都圏を介し、全国に拡散する懸念もある。

 15日現在までに報告された口蹄疫疑い例は48件で、このうち、安東、醴泉、栄州、英陽の慶尚北道4地域・34件が陽性と判明している。また、これとは別途に、予防のため殺処分・埋立処分した韓牛(韓国在来種のウシ)農家4戸でも口蹄疫が確認され、全体では9地域・38件を数える。

 今回の口蹄疫発生により、これまでに農家850戸の牛、豚など15万2462万頭の家畜が殺処分・埋立処分された。

 12月14日

  米農務省研究者 牛口蹄疫ウィルスが最初に取りつく場所を特定

 米国農務省(USDA)の研究者が、牛口蹄疫を引き起こすウィルスが最初に取りつく牛の部位の特定に成功した。牛の鼻腔を通して口蹄疫ウィルスに曝露したちょうど6時間後に、ウィルスは喉の特定の場所である鼻咽腔(nasopharynx)の表皮細胞を選んで取りついた。この発見は、新たなワクチンの開発につながる可能性があるという。

  USDA Scientists Discover How Foot-and-Mouth Disease Virus Begins Infection in Cattle,USDA:ARS,2010.12.13
 http://www.ars.usda.gov/News/docs.htm?docid=1261

 12月13日

カンクン 失われたものの大きさに気づかぬ大バカたち

 京都議定書を単純延長するかどうかを焦点に、メキシコで開かれていた気候変動枠組み条約の第16回締約国会議(COP16)が閉幕した。延長問題の結論は、来年のCOP17以降に先送りされた。日本にとっては、最悪の事態をひとまず回避した形だ。延長反対を主張し続けた日本の姿勢が、今回の決定に少なからず影響を及ぼしたと言えよう(読売12月12日社説 COP16閉幕 「京都」の延長は何とか避けた)。

 菅直人首相は11日、COP16で、議長案が採択されたことについて「非常に大きな成果があった。日本の原則的な立場はしっかり守りつつ、米国と中国を国際的な枠組みに入れていくことについて、大変大きな前進を得られた」と評価した(毎日 COP16:新合意案を採択し閉幕 途上国支援基金も)。

 京都議定書の単純延長論に与しない日本政府の一貫した交渉姿勢に敬意を表するとともに、COP17に向けた更なるリーダーシップを期待したい(COP16の結果についての米倉会長コメント)。

 皆、日本外交の大きな成果と称える。日本が失ったものの大きさには誰も気がついていない。「2020年までに1990年比25%削減」という掲げたばかりの削減目標をいとも簡単に取り消した無定見日本に対する信用は完全に失墜した。日本、少なくとも現日本政府は、まともに付き合える相手ではないと見放された。日本が今後何を言おうと、誰もが、ああそうですか、勝手におやりなさい、こっちは無関係ですと言うだけだろう。気候変動問題での日本の出番は終わった。「COP17に向けた更なるリーダーシップ」など取りようがない。

 問題は気候変動にかかわるだけではない。再開が予想されるドーハラウンド貿易交渉等の国際交渉でも、日本の言うことは聞き流されるだけだろう。これは外交政策だけではなく、国内政策の問題でもある。すべて、言うことが、風船のように軽い、軽い。 ちょっとした風の吹き回しで、どこにでも飛んで行ってしまう。

  昨日、一昨日の二日で見た映画5本:「銀嶺の果て」(志村 喬・三船敏郎・若山セツ子 脚本:黒澤明 監督:谷口千吉)、「男ありて」(志村 喬・三船敏郎・岡田茉莉子.)、「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたちCAFÉ DE LOS MAESTROS」、「ルンバ!RUMBA」、「アイスバーグ!L'ICEBERG」

 12月11日

   リンカーンの信念―南北分離を扇動してのはいるの少数派―を強めた1860年のアメリカ奴隷人口地図 

 12月9日付の」ニューヨーク・タイムズ紙が、1860年のセンサスに基づき、当時の最も重要な科学機関であったUnited States Coast Surveyが作成した奴隷人口の分布図を掲載している。

 

 この地図は、南北分離が”州の権利”の概念ではなく、労働システムの防衛によって駆り立てられたものだという多くの人々の信念を再確認させた。この地図によると、反乱を率いたサウス・カロライナは人口の大多数が奴隷であった二つに州のうちの一つである。分離に抵抗したテネシー東部やバージニア西部には奴隷はほとんどいない。このような地図は、分離は少数者が扇動したものであり、南部連邦主義者が十分な時間と支援を与えられれば逆転できるというリンカーン大統領の信念を強めたに違いない。この地図はすぐに公衆の注意を惹き、南北戦争の間、繰り返し複製されたという。

  Visualizing Slavery,The New York Times,2010.12.9
  http://opinionator.blogs.nytimes.com/2010/12/09/visualizing-slavery/?ref=opinion

 拡大図を含め、次のリンクを参照されたい。 

 12月8日

韓国 野生マガモに強毒性鳥インフルエンザ

 「農林水産食品部は7日、全羅北道・益山で捕獲した野生のマガモ1羽から強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が検出されたと発表した。韓国で渡り鳥から鳥インフルエンザの抗原が検出されたのは今回が初めて。 同道は、鳥インフルエンザが道内に拡大すれば農家に大きな打撃を与えるのは避けられないとみて、8日早朝から緊急防疫を始めた。」

 益山で強毒性鳥インフルウイルス検出、緊張高まる 聯合ニュース 12月8日 10時40分
  http://japanese.yonhapnews.co.kr/

 12月6日

 米韓FTA合意 「勝負にならない」と日本産業界の悲鳴 経済的利益は取るに足りずとワシントン・ポスト

 12月3日、韓国の米産牛肉輸入条件には触れないまま、米韓政府がFTAに合意した。どちらの議会も簡単に承認しないだろうが、仮に発効となっても、どちらの経済的利益 も大したことない。それなのに、新聞は、「勝負にならない」 米韓FTA合意に日本企業が悲鳴(産経)、米韓FTA:産業界に募る焦り 強まる自由化圧力(毎日)などと騒ぎ立てる。

 毎日新聞は、”ホンダの伊東孝紳社長は韓国・現代自動車について「向上心とスピードがあり、脅威」と語る。09年の米国自動車市場では、金融危機の影響で全体が前年比21%減と落ち込む中でも、現代は価格競争力などを武器に大手で唯一、8.9%増と販売台数を伸ばした。10年も勢いは衰えず、4〜6月期には起亜自動車と合わせたシェアが日産自動車を上回った。日本の大手からは「日本も米国とFTAを結び同じ土俵に立たせてほしい」と不満が漏れる”、”薄型テレビで韓国勢の存在感はさらに圧倒的だ。北米市場で09年にサムスン電子は27.3%でトップで、ソニー(15.1%)、パナソニック(8.1%)などを突き放す。10年の市場で目玉の3D(三次元)映像対応テレビでも「韓国勢が席巻した」(アナリスト)。「日本もFTAを加速しないとサムスンの背がますます遠くなる」(電機大手)との悲鳴が上がる”などと、専ら産業界の日本政府に対する不平を代弁する。

 しかし、そもそも、ここで取り上げられているような韓国企業と日本企業の勢いの差は、米韓FTAがない今現在生じているのであり、それはFTAの存否と無関係である。しかも、この差は、逆に韓米FTAがなく、日米FTAがあったとしても埋められるものではない。日本が200万円で売る車を韓国は205万円(米国の車の関税率は2.5%)で売らねばならず、日本が10万円で売るテレビを韓国が10万5000円で売らねばならないとして、どうしてこの差が消え、あるいは逆転するというのだろうか。

 4日のワシントン・ポストの社説も、このFTAの経済的利益は双方ともに取るに足りず、車販売への影響なら為替変動の方が大きいと言っている。そして、米韓FTAの利益は政治的利益だという。それにひきかえ、日本の新聞はどうしてこうも真実を見ないのだろうか。産業界のイデオローグになり下がってしまったのだろうか。

 Free trade with South Korea,The Washington Post,12.4
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/12/03/AR2010120306372.html?wpisrc=nl_headline

 韓国が200万円で売る車を日本は205万円で売らねばならず、韓国が10万円で売るテレビを日本が10万5000円で売らねばならなくなるからといって「競争にならない」と悲鳴を上げるような日本産業には、いずれ未来はない。こんなことで不平を言う前に、真に環境に優しい車や家電製品の開発と販売に没頭すれば、未来は自ずと開けるだろう。

 オーストラリア穀倉地帯をを襲った大洪水⇒オーストラリア最大の穀作地帯で大洪水 日本向け小麦輸出も当分途絶える?

 12月3日

  1.COP16 日本に「化石賞」

 メキシコ・カンクンで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)に合わせ、国際環境NGOが「生みの親なのに京都議定書を壊そうとしているとして日本を「化石賞」(交渉を後退させることで最も重要な役割を演じている国に贈られる)受賞国に選んだ。 日本政府代表団が、2012年にスタートする京都議定書の第二約束期間の約束に、2020年までに1990年比25%削減というコペンハーゲン(COP15)合意の約束を書き込まないと宣言してしまったからだ。アメリカや中国が義務的削減目標を受け入れない以上、「すべての主要排出国による公平な枠組みの構築」と「意欲的な目標の合意」というこの約束の前提条件が満たされないからだという。しかし、これでは交渉は後退するばかりだ。京都議定書は気候変動に関する唯一の拘束力を持つ協定であり、これを無効にするような態度は中国やアメリカを拘束力ある協定から一層遠ざけるだけだろう。コペンハーゲン合意の約束の貫徹は、「すべての主要排出国による公平な枠組みの構築」と「意欲的な目標の合意」の「前提条件」である。管政府は、世界の気候変動との闘いを破滅に追い込んだ政府として歴史に名を残したいのだろうか。 このところ存在感が薄れるばかりだった管日本が、一躍世界に名を売った。

  China says some at climate talks want to kill Kyoto,Reuters,12.3
  http://www.reuters.com/article/idUSTRE6AR1OI20101204
  Climate talks sour as Japan backs away from Kyoto,Deutshe Welle,12.3
  http://www.dw-world.de/dw/article/0,,6290245,00.html?maca=en-rss-en-all-1573-rdf
  Cancun climate talks-Day 4,The Washington Post,12.2
  http://live.washingtonpost.com/cancun-climate-talks--day-4-.html
  Cancún climate change summit: Japan accused of threatening Kyoto protocol,The Guardian,12.2
  http://www.guardian.co.uk/environment/2010/dec/02/japan-stance-kyoto-protocol
  Japan Under Fire for Abandoning Kyoto Pact,IPS,12.1
 http://ipsnews.net/news.asp?idnews=53742

 なお、ついでに読売新聞にも化石賞を贈りたい⇒COP16 京都議定書の単純延長は論外(12月3日付・読売社説)

  2.現場の声 「経営拡大に直結せず」 戸別補償・規模加算導入

 戸別所得補償制度で、国がコメ農家の農地拡大を促す「規模加算」の導入方針を決めた2日、東北の農業関係者の間には、農業の競争力強化を狙う政策の意義や効果に懐疑的な見方が広がった。
 政府方針の決定を受け、石巻市の専業農家で宮城県青年農業士会長の小原田良一さん(39)は「拡大しようとする人にはチャンスだが、迷っている」と戸惑いを見せた。
 小原田さんは現在、水田8ヘクタールを耕作し、規模拡大を検討している。しかし、本年産米で全農が農家に支払う概算金は前年比3600円も下落した。周辺の農地価格は5年前と比べて3分の1になったが「今は、来年の運転資金も用意できない。大規模化すれば大型の農業機械が必要になるし…」とため息を漏らす。
 品質にこだわる農家は首をかしげた。有機栽培米などを手掛ける宮城県加美町の専業農家伊藤丈夫さん(63)は「規模拡大を促されても品質管理や作業上、難しい。農家はみんな手いっぱい。高齢化が進む農村は労力も少ない」と話した。
 みどりの農協(宮城県美里町)の相沢成典組合長は「土地改良事業が早く始まった地域では、土地の集約化は既に進んでいる。規模加算によって、すぐに大規模農家が増えて農業に競争力が付くとは思えない」と政府の狙いを疑問視した。
 「大規模な農家を選別していくやり方は、今の制度と矛盾する。大規模化を推進した自民党農政に逆戻りしたようだ」と批判するのは、43ヘクタールでコメや枝豆を作る農事組合法人「新興エコファーム」(大仙市)の細川良喜代表理事(61)。
 「戸別所得補償の財源を生み出すため、国は土地改良事業の予算を大幅に減らした。(規模加算に伴う)今回の財源も、必ずどこかにしわ寄せが来る」と懸念を示した。

 河北新報 2010年12月3日 http://www.kahoku.co.jp/news/2010/12/20101203t71032.htm

 12月1日

 農水省 2011年産米生産数量目標決定 需給が緩まないようにと、ついに800万トン割れ

 新米価格が安値を更新するなか(農水省:平成22年産米の相対取引価格(平成22年10月))、農水省は主食用米の需給が緩まないようにと、2001年産米の生産数量目標を前年産米から18万トン引き下げた。2年続きの引きさげで、ついに800万トンを割ってしまった(795万トン)。問題は、米消費減退に従うばかり、消費拡大の意欲がまったく見られないことだ。このままでは農家の生産意欲は衰えるばかり、気候変動、それに伴う気象災害の頻発、水不足などによる世界的な需給逼迫で輸入食料依存のリスクが高まるなか、最も頼りなる国産米の確保さえ難しくなるだろう。

 今日の日本農業新聞の「論説」は「来年度米生産目標/需要拡大にも力尽くせ」と題し、短期的にはともかく、「中長期的には、現行対策を点検、米の生産・流通現場の声を聞き、不十分なものを明らかにすることだ。決定的に弱いのは消費拡大策だ。国内消費はこの10年間で実に100万トンも減った。減産だけでなく、需要を生み出す対策をもっと打つべきだ。農水省は、消費者や米小売りの動向調査である消費量調査を止めているが、消費実態をつかまないで適切な対応策が打てるのか疑問である」と論じている。農水省は、適切な需要拡大策を講じるための手段さえ放り出してしまった。

 「コメ消費/自給率ポイント制で拡大を」と題する今日の河北新報の社説は、「自給率アップへ向け、「食料自給率ポイント」制度を導入したらどうだろう。家電や住宅を対象にしたエコポイントの自給率版だ。これまでの農業政策は生産者に焦点を当ててきた。そのこと自体は当然である。だが、結果としてもたらされたのが自給率の低下であったのも事実である。目先を消費者側にも向けて、国産農産物の消費拡大を本格的に図る」と提案している。米粉でパンを焼く「パン焼き器が、各家庭に1台、まるで炊飯器のように普及したら、夜、寝る前にタイマーでセットするのが炊飯器であれ、パン焼き器であれ、いずれにしろ元となるのはコメだ。農業の閉塞(へいそく)感を打ち破り、食料自給率を右肩上がりに変える「救世主」になるかもしれない」と言う具体案には余り賛成できないが(米粉パンが広範なパン党を満足させるとは思わない)、「農業の多面的な機能や生物多様性にも視野を広げれば、もっと有効な制度になるかもしれない」という提言には賛同できる。有機、減農薬、環境保全などの生産方法や独自の品質を武器にした産直jや産消連携が結果的に米消費拡大に結びついている多くの例が既にある。米消費減退が止まらないのは、 こうした取り組みを積極的に支援してこなかった政府の怠慢のせいでもある。

 11月30日

  韓国 慶尚北道の韓牛5頭が口蹄疫陽性 前日の豚口蹄疫確認に続く 日本では高病原性鳥インフルエンザ

 農林水産食品部が30日、慶尚北道安東市の韓牛(韓国在来種のウシ)農家で飼育されていた韓牛5頭から、口蹄疫(こうていえき)陽性反応が出たと明らかにした。韓牛は全頭殺処分し、農家半径500メートル以内でも予防的殺処分を行っている。韓牛農家は、前日、豚の口蹄疫感染が確認された()2つの養豚場から8キロほどしか離れていない。農林水産食品部は口蹄疫緊急行動指針に基づき、慶尚北道と安東市に移動制限措置を取った。口蹄疫発生農家では家畜を殺処分し、周辺の消毒、予察活動など緊急防疫措置を取っている。また、感染拡大を防ぐために、韓牛農家から半径20キロ以内の牛2万2000頭も処分するという。
 安東で韓牛の口蹄疫感染も確認、5頭を殺処分 聯合ニュース 10.11.29
 http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2010/11/30/0800000000AJP20101130001800882.HTML
 S. Korean cattle test positive for foot-and-mouth ,Yonhap,11.30
 http://english.yonhapnews.co.kr/business/2010/11/30/29/0501000000AEN20101130003300320F.HTML

 日本でも29日、農林水産省が島根県において高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたと発表した。「当該農場の飼養家きんの殺処分及び焼埋却、移動制限区域の設定等の必要な防疫措置を実施」する。
 島根県における高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜の確認及び「高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部」の設置について 農林水産省 2010年11月29日
 http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/101129_1.html
  追加情報(11月30日 14:40):島根、鶏2万3千羽の殺処分開始 鳥インフル強毒性か(asahi.com 13:59)

  11月29日 

  韓国 慶尚北道で豚の口蹄疫

 農林水産食品部が29日、慶尚北道・安東の養豚場2カ所で口蹄疫(こうていえき)の疑いがあった豚を検査した結果、陽性反応が出たと明らかにした。

 慶尚北道・安東で豚の口蹄疫、検査で陽性反応 聯合ニュース 10.11.29
 http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2010/11/29/0800000000AJP20101129003300882.HTML

 慶尚北道は韓国南東部に位置し、韓国が自国領土と主張する竹島(韓国名:独島)を管轄するとされている。

  11月25日

  1.ゲンゴドウダン?! サクブツ?! わけの分からぬテレビ言葉

 今朝、時計代わりにつけっぱなしにしていたテレビ(NHK)から、ゲンゴドウダンという言葉が耳に飛び込んできた。どうやら、北朝鮮の砲撃のことを言っているらしい。どうも、テレビ日本語がおかしい。かなり前から気になっているのが、農作物の作物をサクブツと読んでいることだ。最近は慣れてしまったが、はじめのうちは何のことか分からなかった(ちなみに、岩波国語辞典<第5版>には、サクブツとは「ある人が作った絵・彫刻・文章など。作品。サクモツと読めば別語。」と書いてある。しかし、テレビには怖いものなしだ)。丁度半世紀前、「作物学」(サクモツガク)や「作物栽培学」(サクモツサイバイガク)を講義して下さった故戸苅義次先生、川田信一郎先生も、雲の上からゴンゴドウダンとお怒りのことと思う。

  2.就活くたばれデモ  「勤労感謝の日」 札幌など全国4都市で大学生

 就活早期化おかしいぞ 札幌と道外3都市で大学生が抗議デモ 北海道新聞 11月24日
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/261516.html

 筆者も入学した日から安保闘争に明け暮れ、勉強どころではなかったが、砂川判決について書けという憲法概論の試験では優(だったような気がする)を取るなど、就活で勉強に身が入らない今の学生よりまだマシだったような気がする。筆者が敬愛する知床の獣医さんは、「受験する学生の側にも問題がないわけではない。大企業の競争率が2.5倍程度に対して、中小企業では求人数以下である。学生側に大企業志向が大きいというのである。いっそのこと農業に目を向けてもらいたいものであるが、汚くきつい仕事もお好みでないようである」(そりゃおかしいぜ 2010年10月24日)とおっしゃっているが、学生も反旗をひるがえし始めたとすれば歓迎すべき変化の兆候だ。

  11月23日

 前原外相 全品目自由化を基本に来年早期に日豪EPA交渉再開

 オーストラリア訪問中の前原外相がエマーソン貿易相と会談、「すべての品目を自由化交渉の対象とするとした包括的経済連携に関する政府の基本合意*を踏まえ、「真剣な国内調整を進める」と強調。政治主導でEPA交渉妥結への突破口を切り開くと述べた。エマーソン貿易相は歓迎の意を示した」そうである。

  *http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/1106kihonhousin.html

 日豪EPA交渉、来年早期に再開 前原外相、豪貿易相と会談 日本経済新聞Web 2010/11/23 13:05
 http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819499E0E1E2E29B8DE0E1E3E3E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

 もはやTPP阻止などと悠長に構えている場合ではない。現政権は、日本農業はぶっ潰すことしかないとでも考えているようだ。この政権の下では、TPPを待つまでもなく、日本農業は破滅する。 こんな政府・外相を野放しにする民主党議員・党員も何を考えているのだろうか。この党には、党内で発言できるほどに農業が分かる人が一人もいないのだろうか。このままでは地方の反乱は避けられない。

 22日の政府と全国知事会議の協議で、知事会議側はTPPへの危機感を表明した上で、「農業の再生と開国をどう両立させるのか。食料安全保障についてどう考えるのか。農業に対する具体的な政策が示されていないため、農業関係者を中心に不安が広がっている」と指摘。農業の体質強化に向けた対策に加えて多面的機能を維持するための地域政策や環境政策もセットで示すよう注文を付けた」。これに対し、管首相は、「貿易(自由化)の問題に関わらず、若い人がもっと参加できる農業や(農産物などの)付加価値をうまく農業者に取り込めるような施策を展開したい」と答えたそうである。

 知事会議 TPPに危機感/山口県知事首相に要望 地域政策構築 日本農業新聞 2010年11月23日 2面
 Web:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=2565

 答えになっていない。それでも、農業についての質問に答えるにはこれだけ「覚えておけばいいんですから」、「首相とはいいですね」。辞めた法相とどこが違う?

 シンガポール、香港への売り込みに成功したニュージーランド放し飼い鶏卵農場

 

 2012年にはEUがバッテリー飼育を禁止、ニュージーランドもこれに続く。世界の規制の変化をにらみ、会社は放し飼いの鶏を増やしてきた。アジアには巨大な放し飼い鶏卵市場がある。二つの新たな市場向けに、週に2000ダースの出荷が期待されるという。

 NZ cage free eggs break into Asia,The New Zealand Herald,11.13
 http://www.nzherald.co.nz/business/news/article.cfm?c_id=3&objectid=10689507

  11月20日

  今年の大洪水を生き残ったタイ・アユタヤの試験中の洪水耐性稲

 左:11月4日 右:水が引いた後の11月11日

  Flood-resistant rice developed,Bangkok Post,11.19
  http://www.bangkokpost.com/business/economics/207113/flood-resistant-rice-developed

  11月19日

東京高裁 7月参院選の1票の格差は違憲 ならば地域住民生活の「地域格差」は誰が是正する?

  1票の格差が最大5倍だった今年7月の参議院選挙の定数配分を違憲だとして東京都の有権者が選挙無効を求めた訴訟で、東京高裁が17日、「長期間、不平等状態の是正措置が講じられなかったことは、有権者をその居住場所で差別することになり、国会の裁量権を超え憲法に違反する」と判決した。ところで、このような1票の格差をもたらした地域住民の生活にかかわる「地域格差」も一向に「是正」されない。 多く地方では、安心して子供を埋める産院さえ不足している。これも「居住場所で差別すること」ではないのか。これが是正されないのは、一つには、過疎・農村地域や地方小都市の利益を代表する議員が少なすぎるからではないか?政策の方向を決めるのは、現実には「議員」の数であって、有権者の数ではない。有権者の数に比例し て議員が選ばれるのなら、地域格差の拡大に誰が歯止めをかけるのだろうか。1票の価値の平等は、「代表民主制の基盤」(原告代理人弁護士)などでは決してない。その逆でもあり得る。

  11月17日

道の駅産地直販でTPP参加に備えよ

  今日の東京新聞の【私説・論説室から】によると、「道の駅」の産直で農業競争力を強化して環太平洋連携協定(TPP)参加に備えよということだ。論説委員か何か知らないが、道の駅での産直が大人気を博しているとたまたま聞き、こういうところで「農家が農協を通さず、消費者と直接、向き合って販売」すれば競争が促され、競争力が上がる、「日本の農業活性化に役立っているのは農林水産省ではなく、道の駅で産直を認めた国土交通省だ。産地直売で地方が活性化する」、「ばらまき補助金だけが農業再生戦略ではない」と初めて知った、のだそうである。

 産地直売で農業活性化も 東京新聞 2010年11月17日 第5面
 ウエブ版:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2010111702000046.html

 TPPで大量に入って来る安価な穀物、大豆、砂糖、食肉・食肉製品、乳製品・・・・・・・と何の関係があるというのだろうか。全然次元の違う話だ。こういう手合いが早くTPP参加をと政府の尻を叩いている。ついでに言えば、産地直売所の運営主体は道の駅=国土交通省ではなく、市区町村、第3セクター、農協、生産者(グループ)等さまざまだ。その数や売り上げ、利用者数は年々増えており、それぞれが地方の活性化に貢献している。ただ、大都会での農産物直販を支援する農水省の「仮設型直売システム普及事業(マルシェ・ジャポン・プロジェクト)」は、去年の事業仕分けで廃止となった。安価な輸入食品を売りまくるスーパーなどの「民業」を圧迫すると恐れた仕分け人がいたからだいう話があるが、そうでなくても、人の命に直接かかわる「医師確保と救急・周産期対策 補助金」さえ半減させた仕分けの当然の帰結ではあっただろう。

  11月12日

  タイ 大洪水による冠水で死滅する稲

 洪水が来るのがあと2週間遅かったら収穫を終わっていたのにと、洪水による冠水で収穫目前だった稲をすべて死なせるほかなくなって茫然とするタイ農婦。

 

  Drowned Hopes,Bangkok Post,11.12
  http://www.bangkokpost.com/news/local/205939/drowned-hopes

 英国企業、ケイマン諸島野外にGM蚊を大量放出 世界で初めて

 デング熱を運ぶ蚊を減らすために英国バイテク企業、Oxitecが開発した遺伝子組み換え(GM)蚊がケイマン諸島で大量の放たれた。このGM蚊の雄が普通の雌の蚊と番って生まれる幼虫は、抗生物質、テトラサイクリンがないとある酵素が蓄積して死ぬ。これが昨年、試験的に初めて野外に放出され、今年5月から10月の間に大規模に放出された。

 しかし、これが国際的に公表されたのは、先週(11月4日)のアメリカ熱帯医学・衛生学会年次大会においてであった。イギリスの研究NPO、 EcoNexus のコーディネーターのRicarda Steinbrecherは、先月名古屋で開かれたGMOの安全性問題に取り組む第5回カルタヘナ議定書締約国会合でも報告がなかったと驚いている。

 彼女は、ケイマンの試験の完全な長期環境影響アセスメントが行われるまでは、最近発表されたマレーシアの試験も行うべきでないと言っている。

 GM mosquito wild release takes campaigners by surprise,SciDev,11.11
  http://www.scidev.net/en/news/gm-mosquito-wild-release-takes-campaigners-by-surprise.html( ビデオ付き)

  11月11日

米韓 FTA最終決着に失敗

 オバマ米大統領と李韓国大統領の間で今日にも最終合意かと見られていた自動車と牛肉をめぐる交渉が決裂、韓米FTAはいつ発効するのか、またも見通しが立たなくなった。

 S. Korea, U.S. fail to reach deal on bilateral FTA,Yonhap,11.11
 http://english.yonhapnews.co.kr/national/2010/11/11/18/0301000000AEN20101111008600315F.HTML
 U.S.-South Korea Trade Pact Still Not Set,The New York Times,11.11
 http://www.nytimes.com/2010/11/12/world/asia/12prexy.html?_r=1&ref=world

  11月10日

  30ヵ月齢制限撤廃よりもFTAの早期承認を 米国牛肉輸出業界

 米国が韓国の自動車市場の一層の開放(自動車税や燃費・排出基準の改廃など)や30ヵ月齢未満の牛からの牛肉・牛肉製品への輸入規制(BSE対策)の撤廃を求めて膠着状態に陥っている韓米自由貿易協定(FTA)をめぐる交渉が最終局面を迎えている。両国大統領の会談で明日(11日)にも決着する可能性がある。ただ、30ヵ月齢制限は韓国国民の最大の関心事であり、韓国大統領も譲歩するわけにはいかない。他方、米国では、モンタナ選出の民主党上院議員、ボーカス上院財政委員会委員長が交渉に当たるカーク通商代表に対し、30ヵ月齢制限の撤廃がないかぎり、議会は協定を批准しないと釘を刺している。

 そんななか、米有力シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所の上席研究員が、牛肉生産者はそんなことに拘っていて協定発効が遅れることや、韓国消費者の米国牛肉に対する反感が高まることを恐れていると話した。米国が輸出する牛肉の90%以上が30ヵ月齢未満の牛からのもので、韓国とカナダ、オーストラリアとの交渉が決着する前に協定が発効すれば韓国の40%の牛肉輸入関税が15年をかけて年に2.5%ずつ下げられる。しかし、遅れ れば関税引き下げから得られる利益がこれらの国に奪われるから、制限撤廃よりも交渉妥結を優先せよと言う。

 U.S. Beef Exporters Urge Speed, Not Changes, in South Korea Trade Pact,Bloomberg,11.10
 http://www.bloomberg.com/news/2010-11-09/u-s-beef-exporters-urge-speed-not-changes-in-south-korea-trade-pact.html

  11月8日

  TPP 政府の「参加先延ばし」で大手マスコミがまたも大騒ぎ

 6日のEPA関係閣僚会合で、「交渉参加を目指す」との文言は削除した環太平洋連携協定(TPP)関係国との協議開始を盛り込んだ「経済連携の基本方針」を決定した。これを参加決定の「先延ばし」と、大手新聞が大騒ぎしている。 「菅首相は「世界の潮流から取り残されつつあるという危機感を持っている」と6日の閣僚委員会で述べたではないか。その危機感に立脚した確固たる政治判断を示さなければ日本は自滅してしまう」(産経、8日)、「悠長なことを言っている場合ではない。国内景気は回復にめどが立たず、尖閣諸島や北方領土をめぐる外交情勢は危機的だ。米国との連携を強くし、アジアの経済の活力を取り込む政策の実行は一刻を争う」(日経、7日)、「これは放置できない。円高ドル安で採算が悪化している輸出企業は、ただでさえ工場の海外移転を活発にしている。これ以上、工場の国内立地が不利になる環境になれば、雇用への影響はより深刻になる」(朝日、8日)。

 これが誇大妄想であることは既に指摘した(環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加国の関税概況:日本参加の損得は?)。たった数パーセントの米、豪、ニュージーランドの工業品関税が撤廃され てもその利益はちょっとした円高で吹き飛ぶ程度のもの、輸出増大による景気浮揚効果はほとんど期待できない。他方、農産物は津波のように押し寄せ てくる。どう考えても、農業や関連産業が受ける被害の方が大きい。これを防ぐための農業等対策には巨額の財政支出が必要になり、今でも耐えられないほどの財政赤字がますます増える。財政赤字の拡大は、財政政策による景気対策の選択肢をますます減らす。超低金利の景気浮揚効果はほとんどないが、これをやめるわけにもいかない。妙な言い方だが、デフレ政策と超低金利政策に変わりようがないとすると、「日本が投機マネーの餌食にされて」円高も進む。「バブル崩壊後の日本で超低金利とデフレが続くなかで、ドルを円に換えて一年も持っていて、円をドルに戻すと、円高が進んだ分に応じた差益が得られる。しかもこれほどの安全投資はない。日本政府が赤字を膨らまし、それを埋める国債を超低金利ででも日本国民が働いて買い続ける限りは、この超低金利とデフレの仕組みが維持され、したがって投機のための円需要によって円高が進むためだ」(石田力 「米中通過戦争の末路」 『世界』 2010年12月号 23頁)。TPP不参加 がどうして「日本の自滅」や「工場の海外移転」 の加速につながるのか。TPP参加の報酬は、「国内の景気回復」の「めど」を一層立たなくさせ、「工場の海外移転」を一層加速させることだ

  それでも、読売新聞の全国世論調査によると、TPPに日本が参加すべきだと思う人は61%で、「参加すべきでない」18%を大きく上回ったそうである(TPP参加支持61%、民主支持層では71%)。それもそうだろう。大新聞(とテレビ)のすべてが、上に述べたようなことには一切触れず、何の根拠も示すことなく、TPP参加の利益、不参加の不利益を言いふらす。「世論」はそれが作り出す。そして、それが政府を動かす。将来何が起きようと、責任は新聞とテレビにある。

  11月6日

  「TPP反対」東北で拡大 農協や自治体、活動を活発化  河北新報 2010年11月4日

  環太平洋連携協定(TPP)を含む貿易自由化の基本方針が9日に閣議決定されるのを前に、東北の農協や自治体が危機感を募らせている。関係者は「TPPに参加すれば、農業や地域社会は壊滅する」と懸念。反発の動きを加速させている。・・・・・・・・・・

  11月2日

政府 農業改革推進本部設置 自由化で農業は改革どころか総崩れ

 玄葉光一郎国家戦略担当相が2日、閣議後記者会見で、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を含む貿易自由化への基本方針を9日に閣議決定することを明らかにした。政府はこれに先立ち、経済連携協定(EPA)関係閣僚委員会を開き、農業に関する改革推進本部(本部長・菅直人首相)の設置を決めたという。「TPPに参加した場合、安価な農産物輸入で国内農業は打撃を受ける。このため、農業改革推進本部では戸別所得補償の拡充のほか、競争力を強化するための構造改革や農産物の輸出振興策などを協議する」(朝日新聞:http://www.asahi.com/politics/update/1102/TKY201011020181.html)という。

 ということは、TPP参加を決めるということだろう。これは順序が逆だ。日本が輸入に頼る小麦、トウモロコシ、大豆など基礎食料(飼料)作物の世界における生産が不安定化し、価格も激動する時代、食料の安定供給を確保するためにはこれらに代わる基礎食料作物(基本的にはコメ)の国内生産と利用の増加で自給率を高めるしかない。確たる国境保護があれば、そのための農業改革も不可能ではない。しかし、 TPPで国境が開かれれば農業は総崩れ、改革のチャンスは永遠に失われる。改革を望むならば、何よりも国境保護を確保せねばならない。それなしに自然・社会的条件の違いによる海外 (TPPとなると、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、そして将来はカナダ、タイもあり得る)農業との競争力の格差を埋めようとすれば、国家財政がパンクするか、一村に一人、あるいはそれ以下の農業 (経営)者しか残らないような「構造改革」をするしかない。どっちにしても持続不能だ。 現閣僚はそんなことも分からないらしい。もはや、「倒閣」以外に日本を救う道はないのだろうか。

  11月1日

TPP、日本参加なら全9カ国と個別合意を 米政府

  日本経済新聞によると、自民党の小野寺五典「影の内閣」外相が今月15日に訪米した際米通商代表部のビーマン代表補代理(日本担当)が、「日本の参加には、協定締結・交渉中の計9カ国すべてとの個別合意が必要になる」伝えたそうである。当然のことだ。日本参加となれば、アメリカ自動車産業 の損害が予想される(日本の輸入関税はゼロで、米国の乗用車輸入う関税も2.5%にすぎないが、SUV、バン、ピックアップトラックを含む「ライトトラック」にはトラックと同じ25%の輸入関税が課される)。自動車産業や労組は猛反対、通商交渉権限を持つ議会は、簡単には政府に交渉権限を委譲しないだろう。日本参加で中国まで出てくるとすればなおさらだ。せっかく進みはじめたTPP交渉が頓挫しかねない。といって、政府は日本参加を無下に断るわけにはいかない。こういう形で、日本参加をやんわり牽制したと考えるべきだろう。 それでも参加するというなら、「具体的な交渉にあたっては保険、郵政、電気通信などの分野での非関税障壁や政府調達なども対象」とし、「米国産牛肉輸入に関する月齢年齢制限の全廃や米国自動車産業の対日輸出促進」などがなければ議会が納得しない、ということだ。

  環太平洋協定、全9カ国と個別合意を 米が日本に伝える 日本経済新聞 2010年10月31日
  http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E1E2E2E3E18DE1E2E3E2E0E2E3E28297EAE2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000

  10月30日

貿易自由化と農業/「両立可能」の根拠示さねば

  中央・大手新聞がこぞって環太平洋経済協定(TPP)参加をと政府の尻をたたく(大手新聞TPP社説 そろいもそろって無知蒙昧の恥さらし 米国も逃げ出す日本参加にラッパ吹く)のを腹に据えかねたのか、ついに地方紙が声をあげた。今や、気骨ある新聞人は日本から消えてしまったのかと恐れていたが、地方には残っていた。喜ぶべきことだ。「貿易自由化と農業/「両立可能」の根拠示さねば」と叫ぶのは、河北新報の10月30日の社説だ。TPP参加論はあまりに唐突に出てきたもので、来月13、14の両日に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに参加の是非に関する結論を出すというが、これは「貿易と農業という国の根幹にかかわる重大案件である。1カ月余で結論を得ようというのはあまりにも拙速ではないか」。論者は次のように続ける。

 「首相は全閣僚を前に、自由化と「10年後の日本農業や国土保全との両立は可能だ」と述べた。この言葉は重い。参加を決めるのなら、両立できるとする根拠を示さなければならない。そうしなければ、議論は深まらず、農業関係者が募らす不安に応えたことにもならず、何より自らが「必要」と語った国民の理解が得られまい。急ぎ丁寧に説明するべきだ。TPPは1年後の妥結を目指し太平洋を囲む9カ国で交渉が進む。・・・・・・先ごろのインドを含め日本がこれまでに締結した12カ国・地域個々との経済連携協定(EPA)では、協議の中でコメや牛肉を含む主要農産物を関税撤廃の例外扱いにできた。しかし、TPPではそれが困難になる。しかも、この枠組みには米国やオーストラリアといった農業輸出大国が並ぶ。安価な輸入農産物が大幅に増え、国内産の市場が大きく奪われかねない。現在800%近い関税が輸入障壁となって守られているコメも、関税がゼロとなればその打撃は計り知れない。生産者団体が「日本農業が崩壊する」と危機感を抱くのは当然のことだ。・・・・・・国際競争力を備えた農業経営体をいかに育てるのか。構造改革をどう進め、いかに食料自給率を上げるのか。農地・国土が荒廃しないよう、貿易で得た利益を農業・農村にどう再配分するのか。聞きたいことはまだまだある。それらを示さずに「見切り発車」を決め込むならば、将来に禍根を残すことになりかねない。国民の声を聴き理解を得るために全力を挙げるべきだ」。

 http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2010/10/20101030s01.htm

 まさに正論だ。しかし、中央紙は至極当然のこのような正論を吐くこともできないほどに堕落してしまった。中央紙に頼っていては進路を誤る。これからは地方紙の時代だ。東京に住む私は、今年、 日本農業新聞とFinancial Times以外の新聞の購読をやめた。その他の農業関係専門紙は寄贈いただいている。駅売りで買うのは 東京新聞だけだ。あとはなくても全然困らない。唯一楽しみな囲碁や将棋の棋譜も、近頃はネットで十分に堪能できる。

  10月26日

環太平洋経済協定の損得は 政府試算乱れ打ち 経産省「不参加損失10兆円」 農水省「参加損失7兆円」

  ということだそうである(日本経済新聞10月27日:http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819481E0E5E2E2938DE0E5E3E2E0E2E3E29F9FE2E2E2E2

 しかし、こんな試算、当たるも八卦当たらぬも八卦の類のことだ。気にすることはない。シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、メッキコ、チリ、2002年のシンガポールと の協定を皮切りに、2005年から2008年にかけて次々発効したFTAの交渉に際しては、常にこんな試算が行われてきた。しかし、発効後に どんな効果あったか、なかったか、検証された例はない。これら国との貿易が世界全体との貿易に占めるシェアと、これらの国との貿易収支の発効前後における変化を示した次の図を見てどう判断するか。これらのFTAの目立った効果は貿易黒字の縮小だけのように見えないこともない。とすると 、輸入増加が失業の増加につながった可能性 もある。

  10月26日

干ばつでアマゾン河大支流の水位が100年以上まえからの最低に

 Drought brings Amazon tributary to lowest level in a century,Guardian,10.26
 http://www.guardian.co.uk/world/2010/oct/26/amazon-drought-tributary-rio-negro-climate-change

 水上交通を不能にすることで大量の雨林住民を孤立させ、気候変動の地域への影響に対する懸念をかきたてた厳しい干ばつに続き、 ブラジル北部のアマゾン川最大支流の一つの水位が1世紀来最低に。

 

  10月22日

リニア新幹線 ルート決着 誰が歓迎?

 JR東海のリニア中央新幹線・東京−名古屋間は南アルプスを貫く直線ルートで事実上決着し、東京−名古屋間だけでも建設費が5兆円超という大事業が実現に向け走りだしたそうである。しかし、こんな事業を誰が歓迎するのだろうか。少なくとも筆者は、どんな危険が潜むかもしれないこんな乗り物に乗るつもりはない(もっとも、完成時にはこちらの寿命も尽きているかもしれないが)。沿線住民も心配の種が増えるだけだろう。電磁波の健康影響は携帯電話基地局周辺地域の比ではないだろう。世界に先駆けての建設は、経済のためは人の命も犠牲にすることを厭わないことで世界一であることの証左かもしれない。

  10月19日

東南アジアに大洪水

 パキスタンの破局的大洪水も記憶に新しい今、タイ、ベトナム等東南アジア諸国でも洪水が大暴れしている。その上、超大型台風がフィリピンを襲い、中国を狙っている。地球はどうなってしまうのだろう案じられるこのごろだ。

 ここに掲げるのはタイのほとんど全土を今襲っている洪水の写真 (バンコク・ポスト紙)の一例である。このほか多くの写真は

 

  10月16日

国後島に白いヒグマ サケ捕獲に有利で生きのびる?ダーウィンの自然選択の一例?

 本日付東京新聞の特報ページによると、ビザなし交流で国後島を訪れた野生動物調査団が昨年の2頭に続き、今年は3頭の白いヒグマを確認した。突然変異で生まれた白いヒグマの子が何らかの理由で生き残っているらしい。調査団の大泰司紀之北大名誉教授は、白い体毛が水中から判別しにくいため、サケが捕りやすかったと見られる点に注目、天敵のオオカミに発見されやすいリスクもあるが、オオカミ海氷を渡ってきたとしても少数だったはずと推測している。厳しい「生存闘争」を生き抜くために少し でも有利な変異が保存される「自然選択」の一例ということだろうか。ダーウィン『種の起源』があげる無数の例の一つに加えることができそうだ。

 「<自然>のもとでは、構造あるいは体質のごく軽微な差異でも、生活のための闘争における精密につりあった尺度を変化させ、それによって保存されることができる」。「人間の願望や努力はいかにはかないものであることか。・・・・・・<自然>の産物は人間の産物よりもはるかに<本物の>性質をもつはずだということ、また自然の産物はもっとも複雑な生活条件にたいして無限によりよく適応しており、明らかにはるかに高度の技能の刻印をもっていることを、うたがうことができるであろうか。」(岩波文庫版 上 116ページ)

 (もしダーウィンが生きていたら、遺伝子組み換えの「技能」をどう言うだろうか。思いあがった科学者や技術者には想像もできないだろうが)

  10月12日

WWFインドネシアのビデオカメラ、スマトラ虎生息地森林を破壊しているブルドーザーをとらえる

  Camera catches bulldozer destroying Sumatra tiger forest,WWF Indonesia,10.12
 
http://www.wwf.or.id/en/?20583/Video-otomatis-rekam-pembukaan-lahan-di-koridor-penting-Harimau

 WWFがインドネシア・リアウ州の森の中に仕掛けたビデオカメラが、スマトラ虎が生きていくために不可欠な森林を、オイルパーム・プランテーションの拡大のために破壊しているブルドーザーの姿をとらえた。今年5月と6月、カメラはスマトラ虎の雄がカメラの前を横切る姿をとらえたが、その1週間後、カメラはまさしくその場所で、オイルパーム・プランテーションのために木を刈りはらっているブルドーザーをとらえた。その翌日、今度は破壊された光景の中をスマトラ虎が歩いているところをとらえたという。

 

  10月7日

  東北地方米収入 前年割れも 戸別補償で支えきれず 日本農業新聞試算

 日本農業新聞の試算によると、2010年産米の価格が大きく下がった東北地方では、米戸別所得補償モデル事業の定額部分・変動部分がともに交付されても、米の収入が09年産を下回る可能性があるそうである。おまけに農水省が年内を目指していた米戸別所得補償モデル事業の定額部分(10アール当たり1万5000円)の支払いが、事務作業の遅れのために一部地域で年明け以降にずれ込む見通しが明らかになった。今年産米の概算金の大幅引き下げなどで苦しくなっている稲作農家の資金繰りへの影響は必至。やはり日本農業新聞が読者を対象に行った「管改造内閣と農政に関する意識調査」によると、「内閣支持率は47.5%で、不支持(51.8%)が上回った。菅直人首相は9月に内閣を改造したが、支持率が前回(今年7月)の53.1%より下がった。政党支持率は民主党23.7%、自民党37.8%、次の衆院選での投票先(比例区)は民主党20.4%、自民党38%で、いずれも自民党が民主党を大きく上回った」そうである。

 「米価下落で東北地方 収入前年割れも 戸別補償支えきれず」(日本農業新聞 10月7日1面)、「戸別補償 定額公布一部遅れ 資金繰りに影響必至」(同)、「農政「評価」2割 内閣支持5割切る 本社読者意識調査」(同、10月6日1面、Web:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=1566

  10月6日

 韓国 キムチ作りのシーズンに白菜が急騰 大統領の人気にも影響

  冬季の韓国家庭に欠かせないキムチ作りが始まろうとしているこの時期に、材料となる白菜の価格が急騰している。近年の値段は一玉2000ウォンほどで安定していたが、今は10000ウォンもする。悪天候で生産が40%も減ったのが原因とされるが、野党は反対論が根強い政府の4大河川整備事業で農地が大きく減ったことにも一部の原因があると主張しており、大統領の人気も損なう恐れがある。韓国農民団体は急遽300万玉、10万トンを供給すると決めたが、政府も27%の輸入関税を年末まで廃止すると決定した。

 Farmers group set to supply 10,000 tons of cabbage,Yonhap,10.6
 http://english.yonhapnews.co.kr/business/2010/10/06/15/0501000000AEN20101006005500320F.HTML

  10月5日

 新米が安値 古米と逆転も 「コメ過剰でこれまでは考えられなかった特異現象」

 コメ余りの中、全農が農家に支払う概算金を大幅に引き下げたこともあって、2010年産米は安値で始まった。もはや古米となった09年産より、新米の方が安く販売されるケースも出ている。思わぬ逆転現象に消費者は喜んでも、東北のコメ流通関係者や生産者からは嘆き声が聞こえてくる。
 「本当は反対ですよね。新米の方が安いなんて」。仙台市青葉区にあるスーパーのコメ売り場で、不思議そうに話したのは40代の主婦。
 目の前に並ぶコメの価格は宮城県産の新米ひとめぼれが10キロで3280円。対して09年の宮城県産ササニシキは3780円。銘柄は違うが、新米の方が安い。  ・・・・・・「コメ過剰でこれまでは考えられなかった特異現象が起きている」。全農宮城県本部の渋谷潤太郎副本部長は、販売価格の混乱を懸念する。生産者側の落胆も大きい。「新米がこのレベルのスタートでは、先行きが思いやられる。こんな値段で果たしてこの先、誰がコメを作っていくのだろうか」。4ヘクタール余りの水田でコメを作る大崎市古川の専業農家佐々木浩さん(49)のため息は深い

 河北新報 2010年10月4日

  10月2日

  首相所信表明 環太平洋協定参加を検討 「あまりにも唐突で独断的」 農業と地域経済に大打撃必至(日本農業新聞 2010年10月2日)

 「菅直人首相は1日の衆参両院本会議で所信表明演説を行った。首相は「有言実行内閣の出発」として「先送りしてきた重要政策課題の実行」に取り組むと表明。外交では「環太平洋戦略的経済パートナーシップ(TPP)協定などへの参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と述べ、経済連携協定(EPA)を加速する方針を示した。TPPは関税撤廃の例外を原則認めない自由貿易協定(FTA)で、米国やオーストラリアも参加を予定する。日本が加われば、農業は壊滅的な打撃が必至だ。既に野党からは批判が上がっており、管政権の農業・農村に対する姿勢が問われそうだ。」

 農業は地域の基幹産業であり農業だけでなく地域経済にも大打撃、「日本政府は、これまでTPP参加に慎重な姿勢だった。それが一転して理由も明らかにせず、首相が所信表明で取り上げたのはあまりにも唐突で独断的にすぎよう。・・・・・・」

  9月29日

 韓国農民 韓中FTA阻止!とソウル議事堂近くで抗議デモ

 
 Jakarta Post:http://www.thejakartapost.com/news/2010/09/29/no-fta.html

  9月27日

 米国産牛肉 月齢緩和を検討 前原外相がクリントン米国務長官に表明

  日本農業新聞 2010年9月25日 Web(会員登録<無料>が必要):http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=1329

 「前原誠司外相は23日、ニューヨークで行ったクリントン米国国務長官との会談で、20カ月齢以下に限定している米国産牛肉に対する日本の輸入制限について、「月齢制限緩和を一つの可能性として検討し、できるだけ早く方向性を出したい」との意向を表明した。日米両国は今月から、米国の飼料規制など牛海綿状脳症(BSE)対策などを専門家段階で技術協議を始めたばかり。科学的な検証結果が出る前の外相の踏み込んだ発言に、農業者や消費者から不信感が高まりそうだ。
 日米外相会談について日本側の説明によると、前原外相は会談で「双方の受け入れ可能な解決に向けて現実的な議論をしていきたい」と発言。クリントン長官は「そういう議論を楽しみにしている」と応じたという。 ・・・・・・」

  9月23日

  バッタの異常発生に怯えるオーストラリア養蜂家 殺虫剤・フィプロニルがミツバチを一掃する恐れ

 75年来とも言われるバッタの大発生で小麦等の被害が心配された今年のオーストラリア、国をあげての防除計画が功を奏し、いままでのところは大きな被害は免れている。しかし、これはミツバチ群に多大な影響を与える殺虫剤・フィプロニルの大量散布のお蔭である。今またバッタの大量孵化が報告されるなか、養蜂業者が懸念を強めている。NSW養蜂家協会の会長は、当局はバッタの神経組織に作用することで即効性の あるフィプロニルの散布に踏み切るだろう、それはミツバチの巣箱を一掃してしまう恐れがある、まだ分かっていないほとんど致死的な問題もあると案じている。

 Beekeepers on alert for fipronil locust spray,ABC Rural News,9.23
  http://www.abc.net.au/rural/news/content/201009/s3019739.htm 
  More than 100 locust hatching reports for NSW,ABC Rural News,9.23
  http://www.abc.net.au/rural/news/content/201009/s3020083.htm
  Locust hatchings spread across Victoria,ABC Rural News,9.23
  http://www.abc.net.au/rural/news/content/201009/s3019784.htm
 National plan for locust plague,ABC Rural News,6.21
 http://www.abc.net.au/rural/news/content/201006/s2932289.htm
 Farmers brace for locust battle ,Australian,6.15
 http://www.theaustralian.com.au/business/industry-sectors/farmers-brace-for-battle-in-locust-war-zone/story-e6frg95o-1225879641605

 関連情報:フランス、フィプロニル殺虫剤を販売停止に,04.2.24

  9月21日 

  遺伝子組み換えサーモン、独立専門家委員会さらなる研究を要請

 食べても安全という遺伝子組み換えサーモンの米国FDA科学者による分析(米国食品医薬局(FDA) 遺伝子組み換え(GM)サーモンは食べても安全)を議論した独立専門委員会が、提出された研究では長期的に見た安全性は証明できないなどと、一層の研究の必要性を強調、FDAが承認すべきという結論を出さなかった。FDAはこれに拘束されることはないが、すんなり承認とはいかなくなったようだ。

 FDA hears concerns over approving genetically modified salmon,The Washington Post,9.20 
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/09/20/AR2010092005967_2.html?sid=ST2010092005969
 Des experts préconisent plus d'études avant la commercialisation du saumon OGM,Le Monde,9.21
 http://www.lemonde.fr/planete/article/2010/09/21/saumon-ogm-des-experts-preconisent-plus-d-etudes-avant-sa-commercialisation_1413803_3244.html

  9月18日 

 コメ概算金 上乗せ、東北で拡大 農協への出荷も促す狙い(河北新報 10.9.17)

   農家から販売委託を受けた際に全農が前金として支払う2010年産米概算金の大幅引き下げを受け、東北の各農協が独自に上乗せする動きが広がっている。8割以上の農協が実施を決めた秋田のほか、青森、岩手、宮城で上乗せを決定する農協が相次いだ。農家経営の支援に加え、集荷率低下を防ぎたい農協側の狙いがある。・・・・・・  

  http://www.kahoku.co.jp/news/2010/09/20100917t72012.htm

  9月17日

 @ 多剤耐性菌院内感染問題 患者不在医療機関たたき 犯人捜しより専門家養成を 東京新聞 10.9.17(24面)

 「厚労省がやっているのは犯人捜しで、医療機関に圧力をかけ、自分たちの権威を知らしめるのが目的としか思えない。現場を知らない医系技官たちの体質の表れだ」、「耐性菌の拡大は医療上の問題で警察まで乗り込んでくるのは異常。医者のなり手がいなくなる。医療機関たたきが過ぎれば、最後には日本の医療システムがつぶれる」(現役検疫官の木村盛世医師)

 「これではアシストバクター[どこにでも生息する毒性の弱い菌。健康な人では問題はないが、抵抗力の弱った人が感染すると重症化するケースがある]に感染した患者を受け入れる病院がなくなってしまう。そうなれば、たらい回しにされる患者が一番の被害者だ」(上昌広弘・東京大学医科学研究所特任教授)

 厚労省は「アシストバクターを感染症法の届け出対象に加える方向で検討を始めているが、上氏は『それより、早急に院内感染の専門家を養成すべきだ』と指摘する。」 

  Aアメリカの貧困人口4400万 調査を始めた51年前以来の最高に

  2009年センサスで、所得が4人家族で約2万2000ドルの貧困レベル以下の家庭に住む人口が4400万人、アメリカ人の7人に1人にのぼることが分かった。これは51年前に調査を始めて以来、最大の数字。

 About 44 million in U.S. lived below poverty line in 2009, census data show,The Washington Post,9.16
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/09/16/AR2010091602698.html

  9月11日

農業関係者ショック「死活問題」 宮城10年産米の概算金激減  河北新報 10.9.11

 全農県本部が10日決めた2010年産米の概算金は、主力のひとめぼれ(60キロ、1等)が過去最低の8700円となった。本年度、モデル対策で始まった戸別所得補償制度で、農家所得は一定程度下支えされるとはいえ、1万円を大きく割り込む事態に、農業関係者の間には不安と動揺が広がっている。・・・・・・

 

  9月3日

  バーガー・キング インドネシア熱帯雨林を破壊するSinar Mas Groupからのパームオイル調達を停止 

 ユニリーバ、ネスレなどに続き、アメリカのファストフード大手のバーガーキングも9月2日、もはやSinar Masとその関連会社グループからパームオイルをを買わないと発表した。Sinar Masのパームオイル部門をなすSmartの開拓のやり方の最近の監査の結果、それが「わが社の企業責任もコミットメントに反する」ことが明らかになったという。(AFP)

 Fast-Food Giant Cuts Ties With Sinar Mas,Jakarta Globe,9.2
 http://www.thejakartaglobe.com/business/fast-food-giant-cuts-ties-with-sinar-mas/394297

 関連情報
 
ネスレ インドネシア金光集団からのパームオイル調達を停止 雨林・泥炭地破壊の恐れ,10.3.19
 ユニリーバ インドネシア企業からのパームオイル調達停止第二弾 森林破壊の疑い,10.2.25

 9月2日

  GMナタネ汚染 「国側の見解とは裏腹」 「農業に深刻な影響を及ぼす可能性」

 「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」が6月13日に行った『第7回GMナタネ抜取隊』と6月20日に交雑雑草の調査について、同会HP上で発表した。8月24日の本欄で取り上げたように、農水省は「遺伝子組換えセイヨウナタネが繁殖して非組換えのナタネ類を駆逐したり、組み換えられた遺伝子が非組換えナタネ類との交雑によって拡がったりする可能性が極めて低い」という調査結果を発表しているが、同会HPでは、「GMナタネについて、国側では大きな拡散性はないという見解をとっており、外来生物並みの扱いでしかありません。しかしながらわたしたち中部の会による活動の経過からは・・・ @GMナタネの自生に歯止めがかからない A交雑によるさらなる拡散の危険が見えてきた B交雑によるさらなる拡散の危険が見えてきたなど、農水省の見解とは裏腹の状況が明白といわざるを得ないのが実情です」とされ、さらに、「このまま放置すれば、名古屋港から三重県に至る90km以上の区間がGMナタネばかりではなく、GM雑草にも汚染されることにもなりかねず、近い将来、国道23号沿線の農業に深刻な影響を及ぼす可能性を否定できません」とまで書かれている。

 http://www.kit.hi-ho.ne.jp/sa-to/100613-nukitoritai.htm
 http://www.kit.hi-ho.ne.jp/sa-to/100620-yokkaichi.htm

 除草剤耐性雑草はアメリカ農業の将来に大きな影を投げかけるまでになっているが、農水省には危機意識どころか、問題意識さえないようだ。

 参考:米国野生地に2種の除草剤耐性GMキャノーラが定着 米国初の発見,10.8.6、GM作物への過剰依存がその環境・経済便益を削り取る アメリカの新研究,10.4.14

 8月28日

  フィリピン イギリスからの牛肉輸入を解禁

 フィリピン農業省が28日、10年に及んだイギリスからの牛肉輸入禁止を解除した。国際獣疫事務局(OIE)の5月の総会で、イギリスが狂牛病(BSE)について”管理されたリスク”国であると認められたのを受けた措置である。神経組織やその他の特定危険部位は除き、また健康で起立歩行が可能な(ダウナーカウでない)すべての月齢の牛からの骨なし肉・骨付き肉の輸入が許される。パッケージにはと畜と牛肉の生産の日付が表示されねばならない。

 UK beef import ban lifted,Business World,8.28
 http://www.bworld.com.ph/main/content.php?id=16742

 8月27日

 昨日の本欄で、09年産米の7月の相対取引価格は60キロ当たり14,9214円、日本農業新聞の試算によると10年度に導入された戸別所得補償モデル対策の変動払いの基準価格を595円下回るレベルであり、10年産の変動支払いが財源不足に陥る懸念がある、という日本農業新聞の記事を紹介した。

 これについて、郡司農林水産副大臣は26日の記者会見で、「今の、その出されております数字というのは、21年産米でございまして、これは、当然、出来秋から1年を経過し、今が、6月を過ぎて、新しいものとの端境期になるわけでありますから、一番値段が下がってくるというような傾向というものが、これ、あるだろうというふうに思っております。したがいまして、これから以降の22年度の相対の額が、どのような推移を示すかということに、そのものをもって推し量るというようなことは、なかなか言えないのではないか、これからの獲れてくる量、質、そういうものを含めて、まだ、私どもは注意深く見守っていかなければいけないというふうに思っております。・・・22年産米の価格動向、これから見通すようなことをきちんとやっていきたいというふうに思いますし、また、在庫状況、相対取引の価格等を、注視をしてまいりたいと、このように思っているところでございます」、「私どもがモデル事業で実施をしておって、これ以上に下がった場合、1万5千円というモデル事業の、それを下回った場合でも、適正に、私どもの方で、できる範囲のものだろうと、このように思っておりまして・・・」と言っている。

 http://www.maff.go.jp/j/press-conf/v_min/100826.html

 価格動向、在庫状況がこれ以上悪化しないという材料はどこにあるのだろう。もっと悪化すると予想できる材料は、やはり昨日紹介した東京新聞の記事でも知られるように山ほどある。副大臣はそれでも対応できると言うが、対応できるかどうかは本質的な問題ではない。変動支払い、非生産的な追加財政支出を不可避にするような、既に起きている価格下落がそもそもの問題なのではないか。これを止めるような新たな仕組みが緊急に必要だ。それは、少なくとも、今考えられているような「戸別所得補償制度」ではない。

 8月26日

  09年産米相対取引価格 戸別補償基準下回る 日本農業新聞試算

 農水省が25日、09年産米の7月の相対取引価格が60キロ当たり14,9214円(全銘柄平均、流通経費・包装代込み)になったと発表した。日本農業新聞が試算 したところ、10年度に導入された戸別所得補償モデル対策の変動払いの基準価格(60キロ当たり11,978円)を595円下回っていることが分かったという。この基準価格に流通経費分の2000円を上乗せした13,978円と7月の相対取引価格から包装代(154円)と消費税を抜いた13,383円を比較した。これは7月だけのことではなく、昨年12月から8ヵ月連続で基準価格を下回っている。対策の対象となる10年産の値下がりへの懸念が広がっており、変動払いの財源負担をめぐる議論が高まるだろうという。

 日本農業新聞 10年8月26日 1面

 今日の東京新聞の「こちら特報部」によると、今年は豊作になりそうだが消費低迷で米の在庫がだぶつき、生産者が手にするお金は1俵(60キロ)1万円を切る地域が続出しそうな雲行きになってきた。しかも、戸別所得補償制度が値下がりの一因になっている。今月18日、ほかより1,500円前後も高値がつく佐渡産などのコシヒカリに対し、JA全農新潟県本部は前年比1,400円減の12,300円の仮渡し金を決定した。9月中旬に新米の仮渡し金を決定するJA宮城の関係者は、「新潟は値下げで売り抜けようとしている。今年は下げざるを得ないな」と頭を抱える。どこの産地も同じ、産地間でのダンピング競争に発展する恐れがある。消費が激減、米在庫はだぶつき、米価が下がっても消費は増えるわけでもない。そのなかで、卸売業者が所得補償があるのだからと値下げを要求する動きも出てくる恐れがある。”1俵12,000円を想定した補償制度。1万円割れが現実味を増す中、農業関係者からは「現場を知らない机上の空論だ」「国の狙いは農家を減らし、米価を戻し支出を減らすことではないか」との声も。”

 東京新聞 10年8月26日 24−25面

 年間一人当たり米消費が西アフリカのセネガルやコートジボワールをも下回って60キロを割る現状では、決め手となる解決策を見つけることは至難だ。しかし、少なくとも「戸別所得補償制度」が 米余りの解決策にならないことだけは確かである(それは現在の米の生産(または面積)と完全に切り離されねばならない)。政治家、政府は「現場を知らない机上の空論だ」といった「農業関係者」の「声」にどう答えるのだろうか。

 8月24日

  農水省が遺伝子組換え植物実態調査結果(平成18年〜平成20年分) を発表

 「今回の調査結果は、遺伝子組換えセイヨウナタネが繁殖して非組換えのナタネ類を駆逐したり、組み換えられた遺伝子が非組換えナタネ類との交雑によって拡がったりする可能性が極めて低いことを示しています」

 http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/100823.html

 それにしても、COP10をまじかに控え、今、何故この発表なのか。農水省への信頼を損なうだけではないか。

 マスコミでさえ、農水省の調査はどうなっているのと訝るほかないだろう。

 遺伝子組み換えナタネ 自生 読売新聞 10年5月21日
 http://chubu.yomiuri.co.jp/tokushu/cop10/cop100521_1.htm
 遺伝子組み換え、雑草にも イヌガラシが交雑か 中日新聞 10年7月4日
 http://www.chunichi.co.jp/article/feature/cop10/list/201007/CK2010070402100016.html

  参考:米国野生地に2種の除草剤耐性GMキャノーラが定着 米国初の発見(http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/news/10080601.htm)

 8月20日

   再生砕石にアスベスト 駐車場や工事現場 身近な場所でアスベストが野ざらしに

 今月18日、東京新聞が、「建物を解体したコンクリート塊などを再利用した砂利「再生砕石」に、人体に有害なアスベスト(石綿)を含む建築資材が混入しているケースが多数あることが、市民グループが、東京、埼玉、神奈川の一都二県の約百三十カ所で行った調査で分かった。解体された建築資材の分別や処理が不十分だったためとみられる。再生砕石は、駐車場や工事現場で広く使われており、全国でアスベストが身近な場所で野ざらしになっている可能性がある」と報じた

 「環境省によると、アスベストの再生砕石への混入は過去に二例ある。和歌山県橋本市のケースでは、二〇〇八年十月、工場解体で出たスレート材ががれき類とともに処理施設に運び込まれ、再生砕石に混入していたことが、県の調査で判明した。さいたま市の県施設跡地の再生砕石からも昨年八月にスレート片が見つかった。建設リサイクル法を所管する国土交通省は「ほかでも混入している可能性は否定しないが、実態は不明」。環境省は「スレート片からの飛散状況の測定データもなく、健康リスクは判断できない」としている。」ということだ。

 再生砕石にアスベスト 駐車場、工事現場で利用(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010081890070704.html)

 これに続く江東区亀戸の事務所解体現場のルポ記事(19日)は、「二階部分から作業員が内壁のスレート板を手で外し、そのまま下に落とすと、板は砕けてほこりが舞った−。狭い敷地には折れ曲がった鉄骨やプラスチック板、コンクリートのがれきなどが散乱。本来、破砕してはいけないスレート板も大小さまざまに砕け、多数混じる。「これはまずい。分別しきれない」。近隣からの通報で駆けつけた労基署や区の職員が、顔をしかめた」と書く。「解体現場にはシートの囲いがなく、ほこりを抑える水まきもあまりされず、作業員はマスクをしていなかった。職員らに応対した現場責任者らしい男性は、アスベスト建材を確認する事前調査や作業計画、スレート片の処理方法などを尋ねられたが、詳しい説明ができない様子。記者の質問にも「スレート片は後で集めて処理業者に運ぶ」と繰り返すだけだった」。「男性作業員に話を聞くと「アスベストがある現場とは言われてなかった」。吹き付け材に比べ、スレートの板など固形建材は非飛散性とされ、気にしないのだという。「見れば(アスベスト入りと)分かるし、割れれば飛ぶさ。でも、吹き付けの除去で、もうたくさん吸ってるからね」。

 アスベスト材散乱 スレート破砕 解体現場ルポ(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010081990070602.html)

 そして今日、「川崎市川崎区の住宅地にある駐車場で、アスベスト(石綿)を原料とした建築資材のスレート材の破片が砂利に混じって大量に放置されている。建物解体で出たがれき類を再利用する「再生砕石」にスレート片が混入する問題が明らかになっているが、この駐車場の破片は業者が建物解体で扱った廃材をそのまま捨てたらしい。リサイクル過程以外でもスレート片は身近な場所に流出しているようだ」という。

 アスベスト混入 リサイクル以外でも(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010082002000036.html)

 恐ろしいことである。国民の健康を守るべき役所は何をしていたのか。東京新聞の調べで、「環境省と建設リサイクル法を所管する国土交通省が、二〇〇八年十二月には混入の可能性を認識しながら、その後発覚した埼玉、和歌山県の事例を「特異なケース」などとして有効な対策を講じなかったことが、当時の審議会資料などから分かった」。「環境省の担当者は本紙の取材に「〇六年の廃棄物処理法改正などでアスベスト含有建材の処理に関する規制を強化し、業者向けのマニュアルを作って啓発にも取り組んできた。自治体でも指導しており、分別解体の徹底が現場で守られていないとは、想定しなかった」と説明した」ということである。

 「再生砕石」アスベスト混入 国、08年に可能性認識(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010082090072008.html)

 現場作業員同様、国民も、「もうたくさん吸ってるからね」と泣き寝入りするしかないのだろうか。

 8月19日

 米国で卵リコール 3億8000万個 サルモネラ汚染で

 アイオワの企業が、5月19日以来出荷した3億8000個の卵の回収に乗り出した。これらの卵は、ここ数年のうちで最大規模の発生をみているサルモネラ感染症の感染源と見られる。サルモネラ感染は、収平均50例ほど報告されるの が通例だが、今年の6月、7月には週に200例も報告された。多くの州では5月以来急増している。食品医薬品局(FDA)、疾病管理予防センター(CDC)、州当局が疫学調査を実施、1人以上の感染者が食べたレストランやイベントの多くがアイオワの1社から卵を買い入れていたことが分かったという。

   Salmonella Enteritidis Outbreak in Shell Eggs,FDA,8.16
  http://www.fda.gov/Food/NewsEvents/WhatsNewinFood/ucm222684.htm

    Egg Recall Is Expanded After Salmonella Outbreak,The New York Times,8.19
     http://www.nytimes.com/2010/08/19/business/19eggs.html?_r=1&ref=health

    Egg recall tied to salmonella grows to 380 million,AP,8.18
    http://hosted.ap.org/dynamic/stories/U/US_MED_TAINTED_EGGS?SITE=AP&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT&CTIME=2010-08-18-21-16-09

 8月18日

 モンサント 連邦政府に対する第二四半期ロビー活動に2億円

 農業バイテク企業・モンサントが2010年第二四半期(4-6月)、連邦政府・議会に対するロビー活動に218万ドルを支出した。モンサントの特許権使用をめぐり、目下、司法省がアンチトラスト法侵犯の疑いで調査している。アンチトラストと農業における整理統合問題で司法省と議会に働きかけた。また、米農務省による遺伝子組み換え作物の承認に関しても連邦政府に働きかけた。支出額は前年同期の246万ドルより減ったが、今年第一四半期の208万ドルよりは増えたという。(AP)

 Monsanto spent $2.18 million lobbying gov't in 2Q,Business Week,8.16
 http://www.businessweek.com/ap/financialnews/D9HKRO6O0.htm

 8月13日

  バッタの大群がマダガスカルの農業を脅かしている

 FAOが12日、マダガスカルで作物を食べつくすバッタが異常発生する恐れがあると発表。まだ完成するに至っていない数知れないバッタの群れが形成され、通常はそこにとどまっている国の南西コーナーから移動、東部・北部に拡散しはじめた。バッタの数が増えるの止め、異常発生の域に達するのを防ぐためには、10月中旬に始まる雨季の前に、数ヵ月に及ぶキャンペーンが必要という。マダガスカルは、いまは乾燥して涼しい時期でバッタの増殖には適さない。しかし、来春まで続く雨季の湿った暑い天候は急速な増殖を促す。このバッタは、常に群れを作るとは限らない。集団の密度が一定の限度に達するバッタの体の化学物質が変化、これが行動・生態・生理の変化を生んでた大群を作る。成虫は一日に自身の体重―2g−ほどの生の餌を食べる。平均的な群れの非常に小さな一部でさえ、一日に2500人分の食料を食べるという。

  Locust swarms threaten agriculture in Madagascar,FAO,8.12
  http://www.fao.org/news/story/en/item/44696/icode/

8月9日

台湾、米国産牛肉輸入に関する国民投票要求キャンペーンが失敗に

 台湾消費者財団が8日、米国の30ヵ月齢以上の牛からの骨付き牛肉、ひき肉、くず肉、脊髄の輸入を認める昨年11月の政府決定を拒否し、米国との再交渉を求める国民投票を要求するキャンペーンが、一部は政治的介入のために失敗に帰したを発表した。国民投票の提案を国民投票審査委員会に提出するには6ヵ月以内に86万人の署名を集める必要があったが、これだけの署名を集めることができなかったという。

 Meddling implied in poll on US beef,Taipei Times,8.8
 http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2010/08/08/2003479835.

8月5日

元気のないねぶた

ねぶたと竿灯を見たきた。竿灯はさすがだったがねぶたには元気がなかった。とくにラッセ、ラッセの掛け声乗った跳ね踊りが低調、熱気が感じられない。世の中の流れ、みんな冷めてしまったのだろうか、心配だ。

7月26日

韓国 固有生物種100種、国家気候変動生物指標に指定

 韓国国立生物資源館が気候変動に敏感なため持続的な調査と管理が必要な生物100種を国家気候変動生物指標(CBIS)に指定した。CBISに指定された生物は脊椎動物18種、無脊椎動物28種、植物44種、菌類・海藻類10種で、いずれも朝鮮半島固有種。朝鮮半島の生物多様性の変化を効果的に監視し、予測することで気候変動適応能力を高め、固有の自生生物資源の保全と管理に役立てる意味があるという。

  聯合ニュース(7.25):http://japanese.yonhapnews.co.kr/itscience/2010/07/25/0600000000AJP20100725000300882.HTML

 

7月20日

ヒトはいまなお進化を続けている

 1万年前、中国南部の人々がコメの栽培を始めると、彼らはすぐに穀物を発効させてアルコール飲料を作ることができることを知った。それとともに、飲酒が生き残りを深刻に脅かし始めた。というのも、中国南部のほとんどすべての人々がアルコールから自分を守る変異遺伝子を持つようになり、コメ栽培の後を追うように中国以外の人々にも広がったからである。この変異遺伝子はアルコールを急速に分解、無毒だが顔を赤くする化学物質に変える。こうして、アジア人の多くの子孫に、アルコールを飲むと顔が赤くなるという遺産を伝えることになった。今年1月、中国科学院の研究者が記述した新たな遺伝子の拡散は、最近のヒトの進化、地方的条件に反応する特定のヒト集団の遺伝的変化の一例である。

 北京ゲノミックス研究所の科学者は先月、ヒトの遺伝的変異のもう一つの驚くべき最近の例を発見した。チベット人の間に、3000年前に低酸素レベルに対処するために変異した一セットの遺伝子が発見されたというのである。多くの人々は、ヒトははるか昔に進化を停止したと想定してきたが、最近は、ヒトの進化はまだ続いているという証拠が増えてきた。 ・・・・・・

 Adventures in Very Recent Evolution,The New York Times,7.20
  http://www.nytimes.com/2010/07/20/science/20adapt.html?ref=science

 もっと最近の例は⇒パプアニューギニア部族に遺伝的プリオン病抵抗性 「ダーウィン的自然淘汰の証明」と英国研究者,09.11.20。しかし、ヒトはいま、ヒトと栽培植物も含めた現在地球を支配する多くの生物の適応も不可能にする(大絶滅を招く)ほどに急速な地球環境の変化を作り出していないだろうか。

7月16日

世界的異常気象で世界穀物相場が急騰

シカゴ穀物先物相場 ロシア猛暑・干ばつで小麦が13ヵ月ぶりにブッシェル6ドルに迫る。米国中西部の高温・干ばつでトウモロコシも半年ぶりに4ドルに迫る(

なお、ロンドン飼料用小麦も先週末の119.50€/トンから131.15€/トン、パリ製粉用小麦も同じく150€/トンから165€/トンに急騰している。 

7月15日

低コストの技術が農業を後押し、牽引用雄牛6100頭を農民に配る―モザンビーク政府

紹介がやや遅くなってしまったが、モザンビーク政府が食料生産を後押しするために、動物牽引などの低コストの技術の利用を促進している。ソアレス・ニャッカ農相は、動物牽引は耕作面積を増やすことができるだけでなく、農民が生産物を市場に運ぶのを助け、田舎の他の輸送需要にも応えることができると言う。今年は6100頭の”雄牛”(よその国では”トラクタ”となるところだ)を農民に配る計画だ。同時に、「農業所得を増やすための適正技術を普及させる」農業普及プログラムを拡張する。今年はさらに、2000年2月の洪水で大損害を被った3150ヘクタールの灌漑計画復旧にも取り組むという。

 Low cost technology to boost agriculture,Mozambique News Agency:AIM Report,No.401, 11th May 2010
  http://www.poptel.org.uk/mozambique-news/newsletter/aim401.html#story2

7月14日

砂糖大輸出国・タイが初めて砂糖を輸入

世界第2の砂糖輸出国・タイが、国内の品不足のためにこの30年で初めて砂糖を輸入する。輸入いっても、既に輸出に割り当てられている砂糖を買い戻すということだ。タイは例年、砂糖を700万トンほど生産、500、万トンほどを輸出する。今年初め、国際砂糖価格の急騰で、政府管理の国内価格の方が安いという異例の事態が起きた。このために、業者は国内市場に販売する気にならず、近隣諸国への密輸出に駆りたてれらた。販売量を制限するスーパーも現れる始末だ。

そこで、政府は既に輸出市場の割り当てた砂糖を7万5000トンほど買い戻すことにした。先週金曜日に25の国際貿易業者を招き、買い戻しのためのオークションを行った。ブンゲ社、ルイ・ドレフュス社を含む3社からの最低価格のオファーがあったということだ。

 Sugar buyback will lift supplies,Bangkok Post,7.14
 http://www.bangkokpost.com/business/marketing/186125/sugar-buyback-will-lift-supplies
 Bangkok buys sugar for first time in 30 years,FT,7.13
 http://www.ft.com/cms/s/0/508e30b2-8e60-11df-964e-00144feab49a.html

7月13日

英国研究者が、小麦が化学農薬の助けなしに、いかにして自分を病害虫から護ることができるのかを解き明かそうと、収量増加を目指す長期に及ぶ育種の過程で失われた小麦原種からの遺伝子を調べている。植物は自分を守る天然の毒を生成する能力を持っていたはずだ、11000年の育種の努力が自然に存在したはずの強力な何かを排除してしまったと考える。

 Ancient wheat may help reduce need for pesticides,ABC rural news,7.13
 http://www.abc.net.au/rural/news/content/201007/s2951840.htm

7月12日

1. ヨーロッパが記録的猛暑に襲われている。ドイツでは週末、冷房システムのオーバーヒートで高速鉄道列車3本が運転停止を余儀なくされた。車内温度は50℃に達したという。

  German rail operator evacuates overheated trains amid heat wave,Deutsche Welle,7.11
  http://www.dw-world.de/dw/article/0,,5782196,00.html?maca=en-rss-en-all-1573-rdf

2.イタリア食品産業は、ハム、チーズ、ワインなどの海外の偽造で年間7兆円近く(600億ユーロ)の損害を受けているそうである。カリフォルニア・キャンティなど、アメリカが特にひどい。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでイタリア製品として売られているもので実際にイタリアで生産されたのは2%にすぎない。

 Food piracy 'costs Italy 60 bn euros a year',ANSA,7.7
  http://www.ansa.it/web/notizie/rubriche/english/2010/07/07/visualizza_new.html_1850401775.html

7月10日

李承憲・米バ―ジニア大学教授(物理学)らが9日、韓国軍哨戒艦沈没事件に関して都内で会見、韓国合同調査団の分析結果に疑問を提起したそうである。調査団は艦体と魚雷から「非結晶質酸化アルミニウム」が検出され、魚雷内のアルミニウムが「爆発の溶解と急冷却で変化した結果」と説明、これを魚雷爆発の決定的証拠にあげたが、李教授は模擬実験の結果、調査団と異なる「非結晶質酸化アルミニウム」を多く検出した。教授は、「ほかにも調査団のデータや分析は矛盾し科学的に説明できない。一部に捏造の可能性もあり、魚雷攻撃との結論を実証できない」と指摘したという(「調査結果に疑問」 米大教授「一部捏造も」 東京新聞 2010年7月10日 第4面)。多くの韓国人も調査結果を信用していないことは、地方選挙で対北強硬路線を取る与党が大敗したことに示されている。それなのに岡田外相国連安全保障理事会がこの事件に関して北朝鮮を名指しすることなく「攻撃」を非難する議長声明を採択したことを受け、「北朝鮮の攻撃に対する国際社会としての明確なメッセージだ」と評価する談話を発表したということだ(同新聞 第3面)。マスコミも、これに何の疑問も呈さない。科学に政治を先行させると思わぬ逆効果を招きかねない危険がある。

7月9日

1. 魁皇、日馬富士、安美錦、高見盛・・・観客と一体となり、一瞬の勝負に向けて気持ちを高めていく彼らの姿がもう見られない。力士の闘志も萎え、いずれ大相撲の全面崩壊にもつながるだろう。多くの相撲ファン、とりわけテレビの前で地元出身の力士を応援する地方、異国の人々は、心にぽっかり穴が開いた感じだろう。後から勝負の結果だけを伝えるダイジェストなど、興ざめを誘うだけだ。

2.7月8日に開かれた「食料・農業・農村政策審議会 平成22年度 第3回 畜産部会」が「生産から流通、販売にわたる酪農及び肉用牛生産のあり方を根本的に考え直す時期にきており、中長期的な視点に立ったビジョンを示し、政策の転換を図らなければならない」とする「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(案)」を答申した。

 「酪農及び肉用牛生産は、そもそも人間にとって食料にならないものを牛に給餌し、牛肉、牛乳・乳製品等の形で人間に食料を供給するのが本来の姿である。また、酪農及び肉用牛生産は、人間にとって重要な動物性たんぱく質の供給源であるとともに、飼料生産による水田の有効利用等を通じた農地や環境の守り手であると同時に、地域を支える重要な産業、食育の場であるなど、様々な役割・機能を有している。こうした酪農及び肉用牛生産の役割や機能を維持・発展させていくためには、輸入飼料への依存体質から脱却して、自給飼料を有効活用し、食料自給率の向上と環境負荷の低減、資源循環に資する酪農及び肉用牛生産に転換し、地域や経営における生産条件、生産者の創意工夫や主体性を活かした多様な経営の実現を図らなければならない」という。

 まさに、輸入トウモロコシを主体とする配合飼料に依存する戦後の規模拡大・効率化路線からの大転換である。特に「肉用牛については、食肉卸売市場における評価が脂肪交雑に偏りがちであることから、主に黒毛和種の生産においては、その特徴である脂肪交雑の多い霜降り牛肉の生産に重点を置く傾向が強く、結果として、このことが輸入された飼料原料を主体とする濃厚飼料への依存度を高める一因となった。一方で、消費者においては、霜降り牛肉だけでなく、健康志向の高まりを背景に、脂肪交雑は多くない牛肉に対する嗜好も増えている」からと、「適度な脂肪交雑の和牛肉等の生産を促すとともに、こうした牛肉の販路の確立を図る必要がある」としたことは画期的だろう。

 飼料価格の高騰もこのような「基本方針」の転換を促すことはなかった。この転換を後押ししたのは、明らかに口蹄疫である。飼料価格高騰は、多くの犠牲を生みながらも何とかやり過ごすことができた。しかし、土地非利用型大規模畜産は、今回のような口蹄疫 に見舞われればひとたまりもないことがはっきりした。それが転換を決定的にしたとすれば、口蹄疫の教訓は最大限に生かされたことになる。

7月7日

 農水省が「食料・農業・農村政策に広く国民の皆様の声を反映させ、国民の合意に基づいた政策の推進に資するため、「食料・農業・農村政策審議会」の委員を広く一般から募集」している。ただし、20歳未満と70歳以上の者は応募できないそうである。理由は不明である。

 http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo02/100706_1.html

7月3日

下北半島に広がる耕作放棄地 放棄の要因は多様だ。一般的所得補償などでは到底もとに戻らない。環境(景観)保全、雇用創出・・・何でもいい、農業の多面的機能実現のために耕す元気な篤志家の出現と、その志を支える特別助成だけが回復を可能にするだろう。

6月25日

インドネシア・パプア州の森林の中に暮らす未知の狩猟採集部族発見

 インドネシア2010年センサスで、パプア州の遠隔地森林内に住む狩猟採集民族が発見された。”Koroway”と呼ばれ、およそ3000人で構成されるこの遊動部族は独自の言葉を話し、森林の中の動物や植物を食べて暮らす。ミッショナリーの報告を受けて現地に向かったセンサス官は、最寄り永住村落からボートで移動したのち、さらに2週間歩いて、ようやく彼らのテリトリーの端っこに辿りついた。ここに一番近い都市は、外国からの大々的投資も呼び込んで巨大な食料生産団地を作る計画があるメラウケである。パプアでは先月、世界最小のワラビーなどの新種が発見されたばかりだ。
 Indonesia census turns up Papua tribe living in trees,Reuters,10.6.24
 http://in.reuters.com/article/idINIndia-49607120100624

6月21日

6月半ば以来の大雨洪水・土砂災害による中国南部の死者は、621日午前8時現在、175人に達した。行方不明者も107人に上る。

Death toll of south China floods rises to 175 by Monday morning,xinhua,6.21, 13:39:27
http://news.xinhuanet.com/english2010/china/2010-06/21/c_13360676.htm

(桂林市:2010617日)

6月17日

 ミネラル、アミノ酸、繊維に豊み、水要求が少ないために地域の半乾燥気候に適しているが、貧者の食べ物との烙印を押され、サトウキビ、ジャガイモ、ヒマワリ、ワタやその他の穀物のように儲からないために地域の農業システムから消滅しつつある雑穀の”ragi”(シコクビエ)等の伝統的作物の復活に向け、個人としては初めての種子バンクを立ち上げたインド・カルナカータの農民。気候変動でますます価値が大きくなるだろうこれら種子の消滅を防ぐ最善の方法は、このようにして現実の農業システムのなかにこれらを復活させることだという。

 INDIA:Farmers Push Comeback of Cereal of the Poor,IPS,6.17
 http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=51868

2008年 

 

6月27日(フィリピン 転覆フェリーに大量の殺虫剤 遭難者救助・捜索を中止)

先週土曜日の台風によるフェリー転覆の遭難者の救助・捜索活動が中止された。このフェリーがデルモンテの10トンの有機塩素系殺虫剤 (エンドスルファンまたはベンゾエピン)を積んでいたことが発覚、ダイバー等が毒物に曝される恐れが出たためだ。このような化学物質を運ぶためには事前に許可を受けねばならない。しかし、船会社はこの手続きを怠っており、捜索に当たる沿岸警備隊も農薬が積まれていたとは知らなかった。訪米中のアロヨ大統領は、救助・捜索活動を中断、環境汚染を避けるために農薬拡散を防ぐのを優先せよと米国から指示した。

 Coast Guard didn’t know about pesticide in ferry--official,Inquirer,6.27
 (UPDATE 3) Pesticide found inside ferry; search haltedl,Inquirer,6.27

 
Arroyo to NDCC: Stop spread of pesticide found inside ferryl,Inquirer,6.27

  これが海水中の拡散すれば、魚を初めとする海洋生物にとってはもちろん、沿岸地域住民も破局的な環境汚染に直面することになる。 こんな毒物を、恐らくは専用保管施設もないフェリーで、しかも無許可で運ばせたデルモンテ・フィリピンは、何を考えているのだろう。バナナ農園で大量に撒き続けるうちに、環境汚染や人の健康被害など眼中になくなってしまったのだろうか。

 

6月25日(オーストラリア人 世界肥満オリンピックがあれば金メダル)

 メルボルンのベーカーベーカー心臓研究所が20日に発表した「オーストラリアの未来の肥満爆弾」と題する研究によると、オーストラリアが米国を抜いて世界一の肥満国になった。この研究で、オーストラリア人成人の26%、400万人近くが肥満であることが分かった。この数字は、25%という米国人に関する数字を僅かながら凌ぐ。研究所のサイモン・スチュワート予防心臓病学部長は、「もしそういものがあるとすれば、我々はいまや、世界肥満オリンピックで金メダルを獲得するだろう」と言う。ニコラ・ロクソン保健相は、1年以内に実施されるジム会費割引などの体重減らし国家戦略を作りたいと言う。

 研究は2005年に行った1万4000人のオーストラリア人成人の身長と体重の計測結果を示す。オーバーウェートまたは肥満と見做されるボディマス指数(BMII)25以上の人は900万人で、99年より200万人増えた。肥満者は400万人と推定され、99年から100万人増えた。

 45歳から64歳までの中年層では、男性で10人に7人、女性で10人に6人がBMI25以上だった。これらデータの分析で、肥満が原因となる心臓病で入院する人の数は、今後20年で70万人増えるだろうことも分かった。

 Australia wobbles way to top of most obese league,Financial Times,6.21,p.2

 

6月24日(オーストラリア 農業部門が輸送部門に続く第二の温室効果ガス排出源に)

  オーストラリア農業部門が排出する温室効果ガスがこの10年で急増、同国第二の温室効果ガス排出源になった。ペニー・ワング連邦気候変動相が発表した数字によると、農業部門からの排出量はこの10年で3.8%増加、国の全排出量の15.6%を排出する輸送部門に次ぐ大排出源になったという。

  農業部門排出量の70%を占める畜産部門からの排出量は5%近く減った。牛の数は14%増えたが、羊の数が48%も減ったためだ。代わりに、米生産、作物残滓焼却、サバンナ焼却、農地土壌からの排出が30%増えた。この増加の74%はサバンナの焼却による排出増加、13%は農地土壌からの排出の増加だった。

 Agriculture's carbon emissions rising fast,ABC rural news,6.24
 
http://www.abc.net.au/rural/news/content/200806/s2284297.htm

 

6月18日(安く、消費者も増えるスウェーデン”グリーン・ミルク”)

 スェーデン酪農団体の新たな研究が、環境に優しい牛乳(グリーン・ミルク)の生産コストは高く、高価格は消費者を遠ざけるという”仮定”を粉砕した。

 研究は、化学肥料や農薬のコストを回避することで、グリーン・ミルクは安く、牛1頭当たりの利益も大きくなることを示した。また、このミルクのパックに手を伸ばす消費者も増えている。

 ”Green” Milk More Profitable than ”White”,Radio Sweden,6.17
 
http://www.sr.se/cgi-bin/International/nyhetssidor/artikel.asp?ProgramID=2054&Format=1&artikel=2139538

 

6月12日(インド・カルナタカ、肥料不足に農民が暴力的抗議 警察の発砲で1人が死亡)

 6月9日、肥料不足への抗議に集まった農民が警察のバスやジープに放火する暴徒となった。警察が催涙ガスで追い散らし、騒ぎは漸く収まった。 翌10日は、やはり暴徒化した農民に警察が発砲、1人が死亡し、13人が怪我を負った。抗議は他の地域にも広がっている。

 Fight for fertilisers,Hindu Business,6.10
 Fertilizer shortage triggers violence in Dharwad,Hindu,6.10
 Farmers’ protest turns violent, man killed in police firing,Hindu,6.11

 インドだけではない。肥料の供給不足と価格高騰に対する抗議は世界中に広がっている。しかし、高騰した原油・食料・飼料価格と同様、肥料価格も長期にわたって高止まりするだろう。購入化学肥料依存から脱却しないと、どんな農業経営も成り立たなくなるだろう。江戸までとは言わない。第二次大戦直後に戻る機会だ。

 

5月13日(アイオワ食肉工場で300人以上の移民労働者逮捕、「地方経済にとって破滅的」)

 12日、アイオワ・ポストヴィルのカシェル[ユダヤ教の戒律に従って作られた最高度に清浄な食品]食肉工場が移民取締り当局に今年最大の手入れをうけ、300人以上の労働者が逮捕された。この工場は800人から900人を雇用する米国最大のカシェル工場で、逮捕者は不法滞在、あるいは盗まれた身分証明書の所持や社会保障番号の不正使用が疑われる。工場は一時的に閉鎖された。地元では大変な恐怖が広がっている。ノーザーンアイオワ大学で移民問題を専門にするマーク・グレイ教授は、「これは地方経済にとって絶対的に破滅的だ」と言っているということだ。

 Hundreds Are Arrested in U.S. Sweep of Meat Plant,The New York Times,5.13
 
http://www.nytimes.com/2008/05/13/us/13immig.html?adxnnl=1&ref=us&adxnnlx=1210669219-W+CiouydEKpHfPdSKi6D/A

 

4月28日(タイ養豚農場のバイオガス発電 国連がCDMプロジェクトとして認証)

 タイ中部・ノーンブワの養豚農場の豚排泄物からのバイオガス発電事業がCDM(クリーン開発メカニズム)プロジェクトとして国連に認証された。農場所有者は、農場で飼う1万5000頭ほどの豚の排泄物からバイオガスを生産する7000万バーツ(2億3000万円)の施設を設置した。農場に電気を供給する1.4メガワットの発電施設に、1日5000㎥のバイオガスがパイプで運ばれる。余った電気はタイ電力公社(EGAT)に売られる。
 
 養豚農場は先進国と炭素クレジットを取引する10年間のライセンスを得た。最初の炭素クレジットは、今年10月にデンマークに売られる予定だが、日本やドイツからの儲かる申し出もあった。国では1000万頭の豚が飼われており、国中の養豚農場が協力すれば、年に400万トンのCO2取引も可能だが、UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)の厳格な要件を満たすための政府支援が必要という。

 Pig farm licensed to trade carbons by UN,Bangkok Post,4.27
 
http://www.bangkokpost.com/270408_News/27Apr2008_news06.php

 

4月24日(2月1人1ヵ月当たり米消費量が史上最低、止まらぬ生産世帯の消費減)

4月18日、農林水産省が今年2月の1人1ヵ月当たり米消費量を発表した。昨年12月には近年で初めて前年同月よりも増加(0.1%)、特に消費世帯では今年1月まで2ヵ月続きで前年同月を上回り(それぞれ0.5%、0.2%)、パン等の値上がりで米への回帰は始まったかと思われたが、2月には一転、前年同月に比べて0.9%減少、史上最低の4,582グラムに落ち込んだ。特に生産世帯の減少が大きく(前年同月比で1.8%減)、一時消費世帯で見られた消費回復も、生産世帯ではまったく見られない。農村地域では、都市では山を越えたファスト・フード、ジャンクフードの消費が、なお増え続けているのだろう。米価格が暴騰、世界中で米騒動が起きているが、日本だけは別世界のようだ。所得レベルが高く、エンゲル係数も低い。食料品値上げラッシュも、食べ方を変えるほどの影響力を持たないのだろう。

http://www.maff.go.jp/j/press/soushoku/keikaku/080418.html

4月11日(小麦自給の夢達成の砂漠国・サウジ 2016年まで小麦生産撤退 輸入国に)

1970年代の石油ブームで稼いだ大金を使って小麦自給の夢を実現した砂漠の国・サウジアラビアが方向転換、2016年までかけて小麦生産から段階的に撤退する計画を立てている。これにより、この湾岸の国が世界トップ15穀物輸入国になる。現在の石油ブームで、小麦価格が高騰する現在の世界市場からでも十分に輸入する金がある。2009年から20年ぶりに輸入を始め、輸入で不足分を埋めながら、2016年まで年に12.5%ずつ生産を減らしていく。小麦生産から撤退するのは水がますます希少になるからだ。国に河川も湖沼もなく、雨も年に100ミリも降らない。農業を続けるための十分な水がない。現在は深い地下水に頼っているが、これも危機的状況にある。石油価格が上昇する今年こそ、小麦か、それとも枯渇に向かう水のどちらを選ぶか決めるチャンスだという。 
 Saudis to phase out wheat production
,FT,4.11

 

4月10日(バルセロナ 船で水を輸入へ 最悪の干ばつで非常手段)

 スペイン第二の大都市・バルセロナが、生きている者誰の記憶にもない最悪の干ばつで非常事態に瀕している。来月、フランスのマルセーユから船で水を輸入するという前例のない手段を取る。
 今年の冬は異常に温暖で、乾燥、降水は平年の3分の1しかなかった。干ばつは特に北西部でひどく、18ヵ月も続いている。バルセロナの500万住民に水を供給する貯水池の水は満水時 の20%しかない。 
 Barcelona plans to import water by ship
,FT.com,4.10

 

4月2日(アルゼンチン農民ストで食料品店の棚は空っぽ)

 国内食料品価格高騰を抑制するための輸出税引き上げに抗議する農民の20日間にわたるストライキで、首都その他のアルゼンチンの都市の食料供給が干上がってしまった。農民は、多くの農産物が都市に届かないように、14の農業州の400地点で道路封鎖を続けている。大量の牛乳が捨てられ、トマト、ニンジン、バナナ、オレンジはトラックの中で腐り、牛肉は過去6日間、首都の肉屋やスーパーで買えず、餌不足で数百万のひよこも溺死させられた。・・・

 ARGENTINA: Empty Shelves, Drowned Chicks as Farm Strike Rages,IPS,4.1
 
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=41823

 日本の農民はどんなに虐げられても大人しいから、政治家も、役人も、多くの学者・都市民も、農業の効率化は考えても、農村・農家の苦境は平然とほったらかしている。食料危機にでも襲われないと、目が覚めないだろう。

3月28日(フィリピン ファストフード店 ご飯一杯の量を半分に 米不足回避で政府に協力)

 世界米在庫が25年来の低レベルに落ち込むなか、フィリピンのファストフード・チェーンが米不足の回避で政府に協力、客に出す米一皿の量を半分にする。600の店舗を持つ国最大の食堂チェーン・ジョリビー・フーズは、中華ファストフード店で4月1日から実施する。マクドナルドも250での実施を考えている。どちらもハーバーガーの販売から営業を始めたが、フィリピン人の10人に8人は朝・昼・晩の3食とも米を食べ、今一番売れているのはライス付きのフライドチキン、チキンフィレ、ソーセージなどだ。

 しかし、フィリピンは世界最大の米輸入国、今年は国内生産の不足を補うために180〜210万トンの輸入を予定している。ところが、ベトナム、タイ、オーストラリアなどの米輸出国も減収で、国内市場の需要を満たすのに四苦八苦している。去年はフィリピンに140万トン売ったベトナムも、今年は100万トンしか供給できない。去年12月から今年3月までの3回のオークションで、フィリピンが購入できたのは予定の3分の2にとどまる。しかも、3月の平均入札価格は1月よりも50%も上昇、トン当たり708ドルにもなった。

 政府は、普通は一皿200〜250グラムのご飯を残す客が多く、毎日1250トンのご飯が捨てられると、一皿の量を減らすようにファストフード店に要請した。政府はトウモロコシをもっと食べることも推奨している。3月15日にWBCスーパーフェザー級チャンピオンの座に就いたマニー・パッキャオも試合前にトウモロコシを食べていたと、米の代わりにトウモロコシを食べるように勧めている。

 Philippine chains halve rice portions,FT.com,3.26

 今さら何を言っても遅い。こういう事態になったのも、そもそもバナナ、サトウキビなど、輸出のための巨大プランテーション農業を優先、国際社会の強制(WTO だけでなく、国際開発機関も援助の条件として規制緩和・自由化を強要する)もあって米など基礎食料の輸入自由化を推進し、その生産体制が弱体化するに任せてきたからだ。近頃は、バイオ燃料推進で、水田の自動車燃料原料生産用地への転換さえ進む。安価な輸入食料依存を減らさねばならないという2年前の国連開発計画の警告(国連開発計画 アジア途上国は農業を重視 安価な輸入食料依存を減らさねばならない,06.7.3)は、未だにまともに受け止められていない。これは、どこか の馴染みの深い国にとっても他人事ではない。

3月27日(タイ政府 低所得者を米価格高騰から救済へ そのかたわら、災害と借金地獄で自殺する生産者も)

 米価格急騰が引き起こす消費者の負担を軽減するために、政府は安く販売するための210万トンのストックを取りおく。商業大臣によると、年に900万トンから1000万トンの国内消費の10%ほどは、5キロのパックで、来月から実費で、低所得世帯向けに売られる。大臣は、「米価格は100年来の高さに達し、これはタイ農民にはいいことだ。しかし、国内消費者を高価格から保護するために、そのストックの一部を手頃な価格で市場に販売する」が、価格はもっと上がるから、農家は売り急ぐなと言う。26日の価格は、1年前のトンあたり6,450バーツの倍近い11,840〜12,000バーツにまで上がった。政府は、メーカーによる肥料の退蔵を抑えるための措置を含むコスト削減策も準備中という。

 Govt setting aside cheaper rice for public.Bangkok Post,3.27

  ただ、この高価格の恩恵に与れない農民も少なくはない。26日、収穫を前に大部分の米を害虫にやられ、高米価で得た金で借金を返済する夢を立たれた8人家族を養う47歳の米農民が首吊り自殺をした。46トンの収穫を46万バーツで販売する予定が、5トンしか獲れなかった。妻は、農業・農業協同組合銀行やその他の金貸しからの50,000バーツの借金を返す方法が見つからない、家族は常に米作りに依存してきたが、借金暮らしから抜け出せたことはないと嘆く。

 Indebted farmer kills himself.Bangkok Post,3.27

 この3年間雨なしの干ばつで、返せる当てのない重い負債を抱え、貧窮のどん底に沈む村人たちもいる。

 Misery for drought-hit villagers.Bangkok Post,3.27

3月25日(タイ中部 米価格高騰で米泥棒が横行 農民は田んぼで寝ずの番)

米価格高騰でタイ中部の最高級米生産地帯で米泥棒が横行している。泥棒は夜間に田んぼに侵入、稲を持ち去るから、農家は第二期作の米の収穫に大童になっている。多くの村の農民が、稲を盗難から守るために一日の大部分を田んぼで過ごす。夜遅くに田んぼで働いている者は誰でも泥棒と思われるから、収穫作業は大急ぎ、最小限の時間で済ませる。夜間田んぼを見回る自警団を組織した地区もある。大部分の田んぼは家から遠いところにあるから、夜は盗みに絶好の時間になる。

  Farmers rush to harvest rice,Bangkok Post,3.24
  http://www.bangkokpost.com/240308_News/24Mar2008_news10.php
 Thieves making off with rice crops at night,Bangkok Post,3.23
 
http://www.bangkokpost.com/230308_News/23Mar2008_news06.php

3月6日(「家禽」は「家畜」ではないから人道的と殺方法法に服さない 米地裁)

サンフランシスコ地裁が、家禽は「家畜」(livestockは、辞書的には、deadstock=死んだ農場資産=農具に対し、生きた農場資産を意味する)ではないから人道的と殺方法法(Humane Methods of Slaughter Act)に服さないと、米農務省(USDA)が50年前からのこの法律の解釈を誤っているという米国人道協会(HSUS)の訴えを退けた。HSUSの論拠は、この言葉は農場で”有用な”動物を包含するという1958年の辞書の定義であったが、判事は、立法の経緯はlivestockは家禽を含まないという議会のはっきりした(unambiguous)意図を示していると判断した。(家禽が農具でないことは明白、かつ生きた農場資産でないとしたら、一体何?)

 Judge Rules Poultry Are Not 'Livestock',Cattle Network,08.3.5
 
http://www.cattlenetwork.com/beef_cattle_hot_topics_content.asp?contentid=202983

2月26日(南アフリカ、象狩り再開へ)

象の数を減らすために、南アフリカが13年続いた職業的ハンターの利用の禁止を解除する。1995年に禁止が実施されて以来、南アの象の数は9,000頭から2万頭に増えた。南ア最大のクルーガー国立公園は、数千の象が毎日300ポンドの植物を食べるために、林地から草地に変わり、倒れた木が無残な姿をさらす。象の何よりの標的は樹齢数世紀のバオバブで、牙で裂かれ、徐々に倒れる。周辺農作物の被害も大きい。とはいえ、他の場所への移動、不妊処置、公園の拡大などの他の対処方法も取る。殺すのは最後の手段という。

South Africa to Resume Elephant Culling,The Washington Post,2.26
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/02/25/AR2008022500970.html

 

2月20日(暖冬がスェーデン林業労働者の仕事を奪う 地面が柔らかく、重機が林床損傷のリスク)

冬季としては異例の暖かさで凍らず、柔らかすぎる地面て重機が使えないスウェーデン南部の林業労働者が休業を強いられている。不可欠の収入はなくなるが、林床損傷のリスクが高すぎる。気象専門家は、スウェーデン南部では冬がなくなってしまったと結論している。延びた秋が春に移ろうとしており、春の花も見え始めた。通常の冬なら、12月から2月まで、氷点下の気温が何日も続くが、それが起きていない。

Warm Weather Cancels Forestry Work,Radio Sweden,2.19
http://www.sr.se/cgi-bin/International/nyhetssidor/artikel.asp?ProgramID=2054&Nyheter=&format=1&artikel=1902643

2月19日(世界最貧国・バングラデシュのグラミーン銀行が最富裕国・米国の貧者救済へ)

銀行から借りられない貧しい婦人に対する零細企業立ち上げ資金貸付(マイクロファイナンス)で知られるバングラデシュのグラミーン銀行が、初めて先進国に進出した。先月、米国・ニューヨークの移民婦人に対して5万ドルの貸付を行った。今後5年の間にニューヨーク市で1億7,600万ドルを貸し付ける計画で、その後全米に拡大する。ノーベル賞を受賞したムハマッド・ユヌス総裁は、サプライム危機の今が好機と言う。米国には信用問題から銀行口座を持てない人が2,800万人おり、また4,470万人は金融機関に限られたアクセスしかできない。彼らは、 質屋や給料日払い貸付業者(payday lenders)などの消費者金融に頼ることになる。payday lendersは一週間に1,560%もの高利を取ることができる。アメリカ消費者連盟によると、payday lendersは昨年、480億ドル(5兆円)の貸付を行った。景気減速とともに質も急増しているという。

 Bangladeshi's aid for US poor,Financial Times,2.16,p.4

2月13日(ニュージーランド 干ばつで家の壁が割れ、基礎が移動、地面も沈下)

干ばつが都会の家に影響を与え始めた。修繕に大枚をはたくオーナーも現われている。特に北部沿岸では、壁に割れ目が入り、土台が動き、地面が沈下を始めている。地下水がないために下水管が詰まり、水気を失った地盤が下がったために木の根も露出している。芝刈りも危険な作業になった。住民は、新に露出した根にぶつかって芝刈り機がぶっ壊れたと言う。

Drought puts cracks in homes,NZ Herald,2.13

2月5日(米国食品・農業団体、土壌・環境保全よりもトウモロコシ増産を)

アメリカ食肉協会(American Meat Institute)をはじめとする米国の40以上の食品・農業団体が先週金曜日(1日)、トウモロコシなど需要増加が著しい一部作物の適切な量の作付けを妨げる米農務省(USDA)の政策の修正を求めるシェーファー新農務長官宛書簡に署名したそうである。書簡は、土壌侵食を減らし、あるいは環境を改善するために農地をもともとの自然植生地に転換させる連邦保全休耕プログラム(CRP)の下で政府と交わした契約の早期解除を求める農業者を罰する07年9月の米農務省(USDA)の決定を非難している。環境保全や農業生産の長期的持続可能性は犠牲にしても、商品需要の増加に柔軟に対応せよということだ(Ag Groups Push USDA To Revisit Its Policy On Contracts For Corn, Other Crops,Cattle Network,2.4)。食肉最大手のタイソン・フーズは先月末、牛・豚・鶏飼料の価格高騰で第一四半期は40%減益と発表したばかりだ(Earnings Slide 40% at Tyson Foods,TheNew York Times,1.29)。過剰となったと畜能力を整理するための大規模リストラも始まった(Tyson Begins Layoffs At Emporia, Kan., Beef Plant,Cattle Network,1.31)。環境など構っていられるか、ということか。

2月1日(ケニア、大統領選挙をめぐる抗争下、野党議員二人目の犠牲、警官が射殺)

アナン前国連事務総長の和解に向けた努力にもかかわらず、1月31日、大統領選選挙結果をめぐる部族間抗争が続くケニアで警官が野党議員を射殺、混乱にますます拍車がかかっている(Kenya: Policeman Shoots Dead MP And Woman)。ケニアはアフリカで最も政治的に安定している国と見られてきたが、様々な部族が共存を強要された旧植民地国家の安定とはいかに脆いものか。 自然資源の希少化は政治不安定にますます拍車をかけるだろう。環境教育にかかわる国際協力隊員としてナクル国立公園に赴任したばかりのわが長女(写真)もJICAから帰国を命じられたようだ。政治的混乱はケニア国民だけでなく、彼女同様にケニアのために懸命に尽くしてきた人々の運命も変える。しかし、普通の日本人にとってはケニアは遠い国、日本のマスコミ報道ではケニア情勢などまったく知ることができないのは仕方がないことなのだろう。大騒ぎしている米国大統領選など、実はどうでもいいことにも見えるのだが。

2007年

12月27日(西オーストラリア、記録史上最も暑いクリスマス。州都で44.2℃)

ウエスト・オーストラリア州が猛暑に襲われ、ブッシュ・ファイアーが多発、消防士はテンテコマイしている。州都・パースの気温は44.2℃、記録開始以来最も暑いクリスマスイブ、クリスマス、ボクシングデーとなった。他方、27日、ニュー・サウス・ウエールズ州の一部地域に対しては、豪雨、降雹、洪水を伴う激しい雷警報が出された。

 Record heat spurs bushfires in west,Australian,12.27
 
Storm warnings for Sydney,Sydney Morning Herald,12.27

12月18日(中国、物価上昇抑制のため、主要農産物等の輸出還付税停止へ)

中国が小麦、米、とうもろこし、大豆など主要農作物、加工済み粉製品など84品目の輸出税還付を今月20日から停止する。主要農作物の輸出を抑えることによって国内供給量を確保し、主要農作物や植物油、肉や卵など一次産品の値上がりに伴う構造的なインフレを防ぐのが目的という。
 主要農作物の輸出税還付制度、20日から廃止へ  人民網日本語版 
12.18
 China scraps exports rebates for 84 agri-products,xinhua.net,12.17

  12月8日(中国 BSEで輸入禁止の日本産牛肉密輸事件が多発)

中国で、BSE発生により輸入が禁止されている日本産牛肉の密輸事件が多発している。上海空港だけでも今年62日〜1121日までに、1度に30キロ以上の日本産牛肉が持込まれた案件は33件に上り、合わせて3099.57キロが押収された。日本産牛肉の販売価格は通常、中国産牛肉の十数倍〜数十倍で大きな利益が出るため旅行者を装って不法で日本産牛肉を持込む事件が後をたたないということだ。中国国家質量監督検験検疫総局は4日、中国の農業と牧畜業生産の安全と国民の健康を保障するため、不法な持込みの取締りを強化する意向を明らかにしたという。
日本産牛肉の大規模密輸事件が多発中 上海 人民網日本語版 1110
日本産牛肉、不法持込みの取締りを強化 人民網日本語版 125

11月14日(米国ジョージア州 知事が率いて雨乞い祈祷式)

今週火曜日、近隣諸州ととも50−100年来とも言われる干ばつに襲われ、飲み水の供給制限さえ余儀なくされる非常事態に見舞われたジョージア州の知事が、教会と州の分離を主張する一部団体の反対にもかかかわらず、まじめくさった数百人の人々とともに雨乞いの祈祷を行った。効き目はいかに?今週はじめの予報によると、火曜日には少しばかり雨の可能性があり、水曜日にはもっと降る可能性がある。しかし、その後の今週いっぱい、雨の可能性はほとんどないという。
 Ga. governor prays for rain at Capitol,AP,11.13;Ga. governor prays for rain amid drought,AP,11.12

11月10日(空しい”戸別所得補償法案”参院通過)

民主党提案の”戸別所得補償”法案が参議院を通過した。しかし、衆議院で葬られるのは確実、衆議院を通過したとしても制度設計はなお未熟で 実行はおぼつかない。かといって、これをめぐる議論のなかから、それに代わるべき新たな農政や目指すべき農業の方向が見えてきたわけでもない。なんとも空しい話だ。若林農相は、「結局現在の農業構造を維持していくというような作用が強く出るのではないかということが懸念される」と民主党案を批判するが、その目指すところは、専ら(面積規模の)大規模化によって実現される「効率的な安定的な農業の経営によってその生産の相当部分がこれらの経営によってまかなわれるということを目標にした農業構造」でしかない(若林農林水産大臣記者会見概要,07.11.9)。この路線の破綻は、規模拡大や集落営農に真面目に取り組んだきた人ほど大きな、場合によっては破滅的な打撃を受けている今年の米価下落がはっきり示している。「最も競争力が強い世界の競争者と同じ価格で原料を世界市場に売りさばくことを唯一の目標として定めるならば、破滅への道を走ることになる」、「農業のための大きな公的支出は、それが雇用の維持・自然資源の保全・食料の品質の改善に貢献するかぎりでのみ、納税者により持続的に受け入れられる」としたような1999年フランス農業基本法が目指した方向はどこからも出てこない。

11月5日(フランス ブルターニュ海面漁業者 ガソリン価格高騰の補償を求めて港湾燃料庫を封鎖)

およそ300人のフィニステール県海面漁業者が今朝、かねて要求してきたガソリン価格を受忍可能なレベルに戻すための十分な措置が獲得できないとブレスト商業港の燃料貯蔵庫を封鎖、周辺交通は大混乱。バルニエ農相は、水曜日に彼らの代表者と会い、要求に応えるための補完措置を提案すると示唆しているが、漁業者は、ミミッチー援助ではなく、価格高騰補償援助のシステム[とりわけ、補償財源捻出のための魚に対する付加価値税の1−2%の引き上げ]設置が提案されない限り、この会見も拒否する構えだ。Les pêcheurs bloquent les dépôts de carburant de Brest et Lorient,Ouest-France,11.5

11月3日(中国 刈り取りが惜しまれる黄金色、収穫期を迎えた広西の棚田)

「広西チワン族自治区融水苗族自治県の小桑苗寨では、もち米の稲の刈り入れ時期を迎えた。どこまでも続く段々畑に黄金色の稲が実り、見事な景観で刈り取るのが惜しまれる」ということだ。

人民網日本語版:黄金色の段々畑、刈り入れの時期を迎える(11.1)
http://j.peopledaily.com.cn/2007/11/01/jp20071101_79022.html

10月17日(干ばつの豪州 フィードロットから牛が消え、穀物・牧草・野菜の種さえ不足の恐れ)

干ばつに伴う飼料コストの上昇、豪ドル高、輸出減少でオーストラリアのフィードロット(牛肥育工場)の牛の数が先月来減少、能力の59%しか利用されていない。とりわけ小規模業者の打撃が大きく、誰もがコスト削減に苦心惨憺している(Feedlot numbers fall away as conditions get tougher,ABC,10.16)。と畜に出される牛の数は、先週、16%増加した。特に打撃の大きなニュー・サウス・ウェールズでは前年同期より43%も増えた(Slaughter figures on the rise,ABC,10.16)。他方、オーストラリア生産者は、穀物、牧草、野菜、あらゆる作物の世界的種子不足に頭を悩ませている。ニュージーランドと米国の種子不足が報告される一方、中国が世界のカリフラワーの50%近くを栽培するなど、生産が急拡大する中国とインドなど途上国が大量の種子を飲み込むことになるからだ。牛もいない。作物の種もない。飲み水さえない。EPAで日本農畜産物市場の一層の開放を迫るオーストラリア政府と、日本の財界・東大教授連・一部マスコミだけが残るということになるかもしれない。

10月11日(オーストラリア 家畜整理で小麦価格が反転 生体牛輸出は記録的レベル 穀物農家は早々と刈り取りで、収量は平年の4分の1)

7-8月以来急騰してきたオーストラリア小麦国内価格が突然下落に転じた。干ばつ不作見込みが修正されたからではない。飼料価格高騰でフィードロットや養豚場が家畜の整理を始め、飼料需要が急減したからだ(Wheat prices fall,ABC,10.10)。干ばつとインドネシア経済の好調で、生体牛輸出頭数も記録的レベルに。インドネシアへ8月の輸出頭数は、昨年同期比で70%増加、6万1000頭に達した(Cattle exports at record high,ABC,10.11)。他方、ニュー・サウス・ウエールズでは、これ以上待っても無駄と、穀物農家がいつもより数週間早く刈り取りを始めた。収量は平年の4分の1になりそうという(Early harvest underway in northern NSW,ABC,10.11)。なにやら終末的様相だ。

10月9日(米余り 主食用消費増大は絶望、国民の8割は食料自給率が「低い」)

今日の日本農業新聞第1面に、“狂った計画 07年米激震 米余り 最安値 農家に衝撃”、“2005年予測 米消費2割減 農水省 主食外の開拓探る”、“日本の食料自給率 「低い」が8割 全中調べ”の3本の記事が並んだ。米の最安値は需要が減少する中での民主導生産調整が失敗したためということのようだ。生産調整を強化せねばということか。他方、農水省は“「主食用としての米の消費が大幅に伸びることはない」と判断した”。しかし、これでは食料自給率引き上げはお手上げだ。8割がその引き上げ望む国民が朝飯を米食にする回数を週に1回増やすだけでも状況は大きく変わるはずだが、小麦等の国際価格上昇に伴う食品価格の全般的上昇のなかで、売り上げを伸ばしたのは、安い、早いのファスト・フード店、マクドナルドや吉野家などだけという(日経、108日)。外国産食材の値上がりも、米消費増大 =自給率向上には一向に結びつきそうにない。

10月8日

(英国、悪天候でハロウィーンまでにカボチャが売り切れ)

夏の雨続きのために、英国のカボチャ生産が大きく落ち込む。英国最大のリンカーンシャーのカボチャ農場の収穫は例年より30%減る。色づきも悪く、生産者は緑のカボチャを出荷前にヒーターで暖めてオレンジ色にしている。アメリカも同様だから、北半球全体で不足することになるだろう。ハロウィーンまでにカボチャが売り切れてしまいそうだ。供給不足と色を着けるためのコストで、店頭価格は15%ほど上昇するだろう(Pumpkin farms face horrible harvest,Guardian,10.8

(アフガニスタン/米国 ケシ畑に除草剤散布のアヘン撲滅戦略に道?)

アフガニスタン史上最高のアヘン収穫を受け、ホワイトハウスや国務省などの米国当局者が、アフガニスタン政府にケシ撲滅のための除草剤=グリホサートの散布を認めるように説得を強めている。アフガニスタン政府、米軍、ヨーロッパ外交官の中には、タリバンに格好の宣伝材料を与える、特に除草剤が農民の作物を破壊することになれば政治的リスクは非常に大きいと懐疑論があるが、カルザイ大統領は、今や従来の反対の立場を見直しつつあるという(U.S. Renews Bid to Destroy Opium Poppies in Afghanistan,The New York Times,10.8) 。今度は米国による農薬逆テロですか。それとも、除草剤耐性GM作物の売り込み準備?

9月16日(ノルウェー山地農業)

牛や羊に新鮮な草を食べさせるノルウェーの高地放牧場移牧シーズンが秋の訪れととともに幕を閉じつつある。しかし、山地農業自体の衰退とともに、羊や牛が山の草を食べた後に搾乳にやってくる簡素な木の小舎と納屋からなる伝統の”seter”(写真)も消滅の危機に曝されている。2005年から2006年までの1年間で100近くのseterは閉鎖された。なお、1150が散在するが、家畜がまったくいない空っぽのものが増えているMountain farms disappearing,Aftenposten,9.14)

9月11日(スーパーからの農民・小規模店防衛作)

英国保守党(トーリー党)がスーパーマーケットが地方小規模店や農民を絞め殺すのを防ぐための措置を提案する。計画法の調整によって郊外スーパーの数を制限し、また市町村議会にスーパーに対する駐車料金を課す権限を与えることを試みる。さらに、法定のスッパー行動基準の強化により、農民がスーパーの行動を独立監視機関に“内密に”訴えるチャンスも与える。農民は道理に合わない価格や契約を強要されて抗議すると報復されるのを恐れているからだ(Tories back farmers and small shops in fight with supermarkets,Guardian,9.11)。日本でも郊外大型店出店規制が強化されたが、中心市街地衰退に歯止めをかけるのが狙いで、農家の締め付けを防ぐといった発想はないように見える。

9月5日(移民労働力依存の米国農業)

移民規制と不法移民取締り強化による労働力不足を恐れる米国農民がメキシコ国境に事業を移すケースが増えている。(写真)カリフォルニアから事業の一部を移した一企業・Valley Harvesting & Packing.Inc.のために、メキシコ中部でブロッコリを収穫する労働者(Short on Labor, Farmers in U.S. Shift to Mexico,The New York Times,9.5)

7月23日(トラの赤ちゃんとウサギが共存)

浙江省温嶺市の動物園で生まれて2カ月のトラの赤ちゃん4匹が、近くに住むウサギ2羽と友達になった。トラの赤ちゃんとウサギはかくれんぼをして参観客の目を楽しませているという(浙江省温嶺 トラの赤ちゃんとウサギが友達に、人民網日本語版 7月23日) 。ノルウェーでは山羊の群れの中に山から降りてきたトナカイの子が入り込み、山羊はこれを受け入れ、トナカイも山羊の階級秩序を受け容れているらしい。山羊の乳は決して飲まないが、一日中行動を共にしているという(Reindeer calf joined goat herd,Aftenposten,7.13)。牛と野生の熊の共存(Herd of Cows Adopts Young Wild Boar in France,Spiegel International,6.2)といい、動物の世界に何か異変が起きているのだろうか。それとも動物には当たり前のこのなのだろうか。

7月10日(遺伝子組み換え)

日大研究チームが進化の過程で陸上植物が失ったノリ(水中植物)の光合成に関係する遺伝子を組み込んだシロイヌナズナが、背丈が大きく、二酸化炭素の吸収量も30%増えたという研究成果を発表した。バイオ燃料の原料増産や森林の二酸化炭素吸収量を増やすことに応用できる可能性があると見ているという(「光合成を増強、植物大型化 日大 遺伝子組み換えで成功」 日本経済新聞 7月10日朝刊・社会面、光合成:ノリの遺伝子でナズナの能力増強 日大のチーム 毎日新聞 200779日)。進化の過程で陸上植物がこの遺伝子を棄てたのはそれなりの事情があったからだろう。この進化のメカニズムはまったく分かっていないのだから、地球上のすべての陸上植物にとって”外来者”であるこんな遺伝子組み換え植物が導入されれば、現在の地球生態系に何が起きるか分からない。研究者には分かっているのだろうか。地球の未来に責任を持てるのだろうか。専門家は黙っていていいのだろうか。

7月9日(地球温暖化、ライブ・アース、マドンナ)

気候変動問題に対する人々の意識を高めるゴア前米副大統領が組織した7大陸におけるライブ・アースに参加したポップスター・マドンナが”偽善”と攻撃されている。米テレビ・ネットワークのフォックスが、ロンドン・ライブの大見出しになった彼女の慈善組織・レイ・オブ・ライト財団が、米国でトップクラスの汚染企業であるアルミニウム企業・アルコアやフォード・モーターに420万ドル(5億円超)の投資をしていることを暴いた。マドンナはノー・コメント、ライブ創始者のケヴィン・ウォールは、彼女や他のどんなアーチストにもそれぞれの過去がある、問題は将来だと彼女をかばっている(Star's carbon footprint out of step with Live Earth ideals,The Age,7.9)。(ライブで何が変わるのだろうか。どうでもよさそうに見える。大事なことは有効な政策の練り上げと実施だ)

6月25日(省エネ、気候変動、中国)

中国南京市事務所が33℃までエアコンを使わないことになった。地方政府が中央政府の省エネ要請に応える動きの兆候という。中国は2010年までの5ヵ年計画で、国内総生産(GDP)単位あたりのエネルギー消費を20%減らす、あるいは毎年4%減らすことを目標にしているが、去年は1.23%しか減らなかった。中央政府は今月初め、エネルギー節約の必要性を訴える1週間のキャンペーンを始めた。キャンペーンの一環として、公共交通やバイクの利用や家庭でのエアコン利用の削減も要請されている(No air conditioning for government offices in E China city until 33 Celsius degree,xinhau,6.24)

6月14日(気候変動と農業生産)

フィンランドの野生ブルーベリーが多くの地で豊作と予想される。ただし、昨夏の熱波で一部の場所のブルーベリーの藪が完全に枯れたために、全体としての収量は平年を僅かに上回るだけと予想さえる(Prospects for blueberry crop look promising this year,Helsingin Sanomat,6.13)。温暖化で農業生産が増えると予想される数少ない地域・北欧の将来を予兆するような話だ。

6月12日:(バイオエタノール、米国))

(バイオエタノールブームで米国トウモロコシの輪作放棄・連作化が進んでいるが)米国農務省農業研究局(ARS)の研究者が、ガソリンとジーゼルの代わりに輪作トウモロコシ・大豆から生産されるバイオエタノール・ジーゼルを使うと温室効果ガス排出が40%減り、耕運・作付・施肥・収穫などに必要なガソリンやジーゼルの量が多くなる連作トウモロコシからのバイオ燃料を利用する場合に比べ、排出削減効果は2倍になることを明らかにした。ただし、スィッチグラスやハイブリッドポプラを原料とするバイオ燃料の利用の排出削減効果は、輪作トウモロコシ・大豆の場合のさらに3倍になるという(ARS:Biofuel Crops Double as Greenhouse-Gas Reducers,07.6.8)。

6月9日:(反グローバリゼーション)

多くのドイツ農民はハイリンゲンダムG8サミットに対する反グリーバリゼーション活動家の目標に共感を抱いている。 しかし、この共感は、彼らの生計が脅かされると突然消滅した。今や、今週初めに活動家が彼らの畑を踏む荒らしたときに作物にもたらされた損害を誰が補償するのかと問いかけている。活動家自身の態度は補償するつもりはないとはっきりしている(Farmers Demand Payment For Trampled Fields, Activists Won't Cough Up,Spiegel Internatinal,6.8)。

6月8日:(バイオ燃料、ブラジル)

スイスでブラジルなど新興国からのバイオ燃料の輸入モラトリアムまでもが提案されるなか(スイス緑の党 バイオ燃料輸入停止を主張 バイオ燃料エコ・バランス研究を受けて,07.6.7)、伊藤忠がブラジル国営石油会社・ペトロブラスと組んでサトウキビ原料の自動車燃料・エタノールの生産に乗り出す。北東部ペルナンブコ州でサトウキビを栽培するほか、エタノール精製工場を5-7ヵ所建設して年間27万ロリットルを生産、将来は日本向け生産・輸出の大型拠点に育成する(”エタノール 伊藤忠 ブラジルで生産” 日本経済新聞 07.6.8 企業総合面)。環境に優しいとされるバイオ燃料、商売として一度燃え出すと、すべてを焼き尽くす まで止まらない。

6月7日:(中国農業・食料、バイオ燃料)

中国で豚肉価格が急騰している。農業部によると、豚肉価格は29%、生きた豚の価格は71%も去年を上回る。 民政部は豚肉をはじめとする食料品の価格が急騰するなか、低所得都市世帯に食料補助金を出すように地方政府に要請した。豚肉価格の急騰は、公式には300頭、民間情報では10万頭、あるいはそれ以上を殺したとされる”blue-ear病”の勃発で豚の供給が減ったのが原因という見方が一部にあるが、農業アナリストは、問題の根源は、大部分はトウモロコシからなる豚飼料価格の高騰にあるという。エタノール生産のための需要増大で、過去9ヵ月のトウモロコシ価格は、大豊作にもかかわらず30%も上昇している(As pork prices soar, Chinese put brakes on corn for ethanol,Christian Science Monitor,5.31;Local governments asked to subsidize low-income families amid price hike,xinhua.net,6.2)

6月6日:(気候変動と農業生産)

米国農務省農業研究局(ARS)とコロラド州立大学の研究者が、大平原地帯のエコロジーへの地球温暖化の影響を探る研究で、大気中二酸化炭濃度と気温の上昇が土壌中の炭素と窒素の減少を引き起こすことを明らかにした。地球温暖化の結果、牧草の窒素濃度が低下、消化を促進するために窒素分に富む草を必要とするコロラドやワイオミングの飼育放牧動物だけでなく、同じ草を食む野生動物にも悪影響を与える恐れがあるという(ARS:Global Warming May Lower Grassland Quality,07.5.30)。

6月4日:(気候変動と農業生産)

暖冬・春のお陰でデンマークのイチゴ・シーズンが例年よりも2週間早く始まった。42年間イチゴ農家を続けてきた82歳の農場主は、記憶のかぎりでは5月に収穫が始まったことはない。最近の気候変動影響予測が示した地球温暖化が北欧農業にもたらす恩恵を先取りしたかのようだ。ただ、農家は喜んでばかりもいられない。豊作で価格下落は必至だからだ。それに、ポーランドやリトアニアからの収穫労働者の到来も間に合わない(Warm weather gives strawberry boom,Copenhagen Post,6.1)。

6月2日:(自然、フランス農業・農村)

フランス北西部農場で牛と野生の熊が仲良く共存(Herd of Cows Adopts Young Wild Boar in France,Spiegel International,6.2)。