中国 農地植林計画停止で食料安保のための最低限の農地確保へ

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.12

 中国政府が107万fの農地を森林に転換する計画の中断を決定した。第11次5ヵ年計画期間(2006-2010年)に最低1億2000万fの農地を保存するという約束を果たすためだ。2005年、政府は、この計画期間の間に130万fの農地に植林する計画を発表したが、農地の急速な減少で計画中断を余儀なくされたという。

 China suspends farmland reafforestation plan,xinhua.net,9.11

 ただ、2006年に取り決めらた26万7000fほどの植林は継続する。また、政府は、農地を森林に転換する農家の所得を補填するための補助金の支払も継続するという。 さらに、農村家庭のための基礎穀物用農地の建設やエネルギー供給を助ける新たな基金の立ち上げで、既に完成した植林プロジェクトの地固めも図る。

 農地再植林[退耕還林]計画は1999年にスタートし、今までに2430万fの脆い傾斜地農地が森林に転換された。現在、中国には1億2207万fの農地があるが、地方政府による乱開発が止まらない。国の食料供給を確保するために1億2000万を維持するという現計画期間の最低目標の達成が危ぶまれる状況になっている(減少続く中国の耕地面積 2010年末に維持すべき最低レベルに接近,07.4.14)。

 農地植林停止で農地減少に多少の歯止めはかかるかもしれない。ただ、これによって救われる農地は、本はいえば農地生態系を含む生態系の破壊で持続可能な農業生産を脅かしてきた過剰開発農地だ。このような弥縫策に頼るしかなくなっているのだとすれば、これは中国の食料安保政策の重大な行き詰まりを象徴するものと受け止めるしかない。