減少続く中国の耕地面積 2010年末に維持すべき最低レベルに接近

 農業情報研究所(WAPIC)

07.4.14

  中国国土資源部が4月12日、「2006年度全国土地利用変更調査結果報告」を発表した。全耕地面積は2005年10月から2006年10月までの1年間に30万7000f減少して1億2200万f(人口1人あたり0.087f)になった。第11次五カ年計画(2006〜2010年)要綱は、2010年末までは1億2000万fを下回ってはならないとしており、この目標達成のためには2005年末以後5年間の平均減少面積は43万3000f以下にとどめねばならない。最初の1年間はこれを下回る減少にとどまったとはいえ、最低レベルに向かって接近を続ける厳しい趨勢に変わりはない。

 http://www.mlr.gov.cn/pub/gtzyb/gtzyxw2/gtzyxw/t20070412_80256.htm

 国土資源部は、このような耕地減少にもかかわらず、この結果はマクロ経済調整、土地転用承認の厳しい統制、土地の保全的利用促進、政府の土地管理の努力が功を奏しつつあることを示すと言う。

 建設用地への転換は32万9000fほどで、第10次5ヵ年計画(2001−05年)期間中の年平均よりも25%少なかった。そして、この建設用地の半分以上は実際には着工されておらず、今回の調査対象期間以前に承認されたもの、この間に失われた耕地の大部分は再植林に利用された。

 建設用地化、自然災害、再植林などによる壊廃耕地総面積は67万4000fに達したが、再開墾された耕地も36万7200fに達し、耕地面積は差し引きで前年より30万6800ヘクタール減少にとどまったという。

 しかし、地方政府による違法な耕地取得が依然としてはびっており、この間に3万7000fが違法に建設用地化を承認された。急速な都市化と経済拡張が耕地喪失を速めている。今年、政府は加熱した固定資産部門への投資や地方政府による違法な耕地収容を抑制する一連の措置を取った。昨年は大量の耕地を取り上げる大規模住宅都市、ゴルフコース、競技場の建設を禁止した。

 しかし、チャイナ・デーリー紙によると、中国土地科学学会の一研究者は、地方政府は既に建設承認を得た大量の土地を持っており、「耕地保護のカギは建設用地の管理にある」、「わが国の都市は急速に成長しており、上海や香港のように土地利用率と建築密度を高めている」と警告している。

 Arable land bank continues decline,Chaina Daily,4.13
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2007-04/13/content_849615.htm

 その上、耕地喪失は、砂嵐(黄砂現象)の年々の激化が示すような急速な砂漠化の進行や気候変動に伴う自然災害 (洪水、土砂崩れなどによる耕地流亡)の増加で加速される恐れもある。

 関連情報
 
中国 2010年までの耕地面積維持目標は達成困難 土地管理強化へ,06.6.24