農業情報研究所>農業・農村・食料>有機農業>ニュース:19年5月29日
フランス有機農業躍進の報に落とし穴 「工業化」される有機農業
この2月、フランスの有機農業の躍進と、倫理的理由による若者の有機食品選好について伝えた(フランス有機農業躍進 若者の多くは動物福祉)を理由に有機食品を選ぶ 値段は気にしない 農業情報研究所 19.2.2)。しかし、少なくとも「2018年1年間に有機農業に転換したフランス農業経営数は6200と記録的に多かった」ことを理油に有機農業生産が躍進しているというならば、この話は割り引いて考える必要がありそうだ。
というのも、こうした有機農業経営には、「味覚的にも、農学的にも、環境面でも有機農業の理念を逸脱した」、季節外れの作物を生産する「工業的経営」が含まれているからだ。特にブルターニュやペイ・ド・ロワールの大規模温室果実・野菜栽培経営だ。
NGOや調理シェフに支えられた有機農業者が有機農業の<工業化>のリスクを告発、全国有機農業者連盟(FNAB)は<有機農業の工業化ノー!冬季のトマトなんてありえない>と叫ぶ。<植物生産で温室に頼ることを制限して有機農業の工業化と闘う>よう農相に要請するということだ。その矛先は温室栽培を容認するEUの有機農業規則にも向かうことになるだろう。
Des
agriculteurs et des chefs cuisiniers s’élèvent contre « l’industrialisation » du bio.Agri Mutuel,19.5.29
ヨーロッパの有機農業に関する話、こんな落とし穴に気をつけねばならない。
関連:« Plus le marché bio va se développer, plus, statistiquement, il y aura de fraudes »,Le Monde,19.5.29