台湾 米国産牛肉輸入規制緩和 議員は超党派で政府非難 消費者団体、台北市はボイコット宣言

農業情報研究所(WAPIC)

09.10.27

 米国産牛肉の輸入規制を緩和するという先日の台湾衛生局(DOH)の発表(台湾 米国産牛肉のBSE関連輸入規制を緩和 30ヵ月齢未満の牛の骨付き肉の輸入禁止を解除,09.10.24)に、超党派の議員や消費者団体がこぞって政府を非難、郝龍斌台北市長は、一定の米国牛肉製品をボイコットする取引団体の結成を発表した。

 これを伝える新たなニュースによると、前に伝えられたのとは異なり、台湾が新たに輸入を許可する牛肉・牛肉製品は30ヵ月齢未満の牛からの骨付き肉だけでなく、挽肉、一定の屑肉や加工肉製品にも及ぶ。さらに、30ヵ月未満の牛の脳・眼・脊髄・頭蓋は、SRM(特定危険部位)のリストから外されている(OIE及び米国基準そのものだ)。

 楊志良局長は議会で、台湾が30ヵ月齢未満の牛からの骨付き肉だけに市場を開放する協定を確保できなかったのは残念で、交渉結果に満足はしていないが、受忍はできると言ったそうである。米国はすべての牛肉・牛肉製品の市場開放を要求していた、これもギブ・アンド・テイクということらしい。彼によると、11月10日から、SRMに汚染されていない30ヵ月未満の牛からの骨付き肉、挽肉、一定の屑肉、加工牛肉の輸入が許される。

 しかし、台湾大学の陳順勝神経学教授は、DOHは30ヵ月齢未満の牛の脳・眼・脊髄・頭蓋について”不正確な情報”を国民に伝えたと批判する。これら(に汚染された肉)の輸入が禁止されないことになったが、これら4部位は、WHOやOIEによっても、扁桃や回腸遠位部よりもはるかにリスクが高いと言う。

 DOHは、輸入条件遵守を確保すると言うが、挽肉や加工肉では、どんな肉が使われたか見極めようがない。

 かくて、政党はこぞって政府を非難、消費者財団は政府が決定を覆さなければボイコットを始めると言い、台北市長はボイコット同盟結成を宣言することになる。高雄市政府も、再交渉すべきという声明を出した。

 しかし、政治的にも経済的にも米国に強く依存する台湾、政府が再交渉を考えることなどありそうもない。

 US beef deal angers lawmakers,Taipei Times,10.27
 http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2009/10/27/2003456947

 Mayor Hau says Taipei City to launch boycott against select US beef products
 http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/05/20/2003456961

 日本に対する市場開放圧力も強まるばかりだろう。民主党政府、準備はできているのだろうか。