農業情報研究所


イギリス:GM遺伝子、人間の消化管に発見

農業情報研究所(WAPIC)

2002.7.18

 食品基準庁(FSA)が、遺伝子組み換え(GM)食品からの遺伝子(DNA)が人間の消化管のバクテリアに移転し、生き残る可能性は極度に低いと発表した('Extremely low' risk of GM transfer,7.11)。これは、FSAの独立アドバイザーがEUで承認されたGMトウモロコシ中の特殊な遺伝子(抗生物質抵抗性マーカー)の存在について懸念を表明したために行なわれた一連の研究の結論だという。

 今年科学誌に発表されるであろう最も最近の研究によると、人間のボランティアの現実の生活の条件においては、いかなるGM物質も人間の消化管の中で生き残っていない。人間または動物の胃腸管を模擬した実験室で創出された環境中では若干のDNAが生き残ったが、研究は人間または動物の消化管中のバクテリアにより吸収されている機能をもったDNAの存在の可能性は極度に低いと結論したという。

 しかし、これには解釈の問題があるようだ。最近の研究そのものは未公表だから、正確なところは分からない。だが、6月17日のガーディアン紙は、同じ研究について、英国の研究者によりGMDNAが人間の消化管バクテリアに発見され、深刻な保健上の問題を提起したと報じている(GM genes found in human gut,Guardian Unlimited,7.17)。

 同紙によれば、研究者は、過去に腸下部を切除し、結腸切開袋を使用している7人のボランティアにGM大豆を含むバーガーとミルクセーキを与えた後、正常な12人と大便を比較した。「比較的大きな比率のGMDNAが小腸を通過して生き残っていた」。これは、正常な人ではまったくなかった。しかし、GMDNAがバクテリアを通して腸に移転するかどうか見るために、研究者は袋の中の便を取り、培養した。7のサンプル中の3のサンプルで、バクテリアがGM食品からの除草剤耐性遺伝子を非常な低レベルで吸収していることが発見された。報告は、「組み換え遺伝子は小腸を通って生き残っているが、人間の結腸では完全に退化しているようにみえる」と付言している。

 一人の専門家は、研究には不適切な部分があるが、中心的発見の重要性は消えないと言う。それは、人々が抗生物質マーカー遺伝子を胃に取り込む可能性があり、人々が広範に利用している抗生物質が効かなくなってしまう可能性を示唆している。そして、これは、たった一食の後の非常な低レベルでも起こりえるという。

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