四国遍路(ほぼチャリで)

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遍路について

地図
遍路に持っていった地図

四国八十八ヶ所

遍路とは、四国八十八ヶ所のお寺にお経を納めて回ることです。
それぞれのお寺で、本堂(ご本尊がまつられています、お寺によってご本尊は異なる)と大師堂(弘法大師空海がまつられています)の2ヶ所で お経をあげて、納札(おさめふだ、自分の住所氏名などを書いた紙、名刺代わりですな)を納めて、納経所(寺務所)で納経帳(白衣や掛け軸でも可)に 宝印をもらいます。いわば大人のスタンプラリーです。
また、納経の際にお寺のご本尊が印刷された「おすがた」と呼ばれる紙をもらえます。いわば大人のトレーディングカードです。
先輩遍路さんや町の人に道を聞いたりして次のお寺や町を目指したり、やどやに泊まったり、どうぐやで食料や道具を買ったり、 時には周りのお遍路さんとパーティーを組んだりする旅は大人のMMORPGと呼べるかもしれません(さっきから不謹慎すぎるだろ)。

お遍路用語集

お遍路には独特の用語があります。いくつかをナマイキにも解説してみます。間違ってたらゴメンナサイ。

札所【ふだしょ】
四国八十八ヶ所のお寺のことです。
88ヶ所になったのはお大師様が定めたからじゃなく、近年になってお寺同士が取り決めたからだそうです。
1番から88番までありますが、順番どおりに回らなくてもいいし、いつ・どのお寺からスタートしてもいいらしいです。 なんとなく1番から始めて88番で終わりたいのがヒトのサガ。
打つ【うつ】
お寺におまいりすることです。
「今日は5番から12番まで打った」と言ったら「今日は5番から12番までおまいりした」ということです。
一気に全部の札所(お寺)を回ることを「通し打ち」と呼びます。何回かに分けて回る(「区切り打ち」と呼ぶ)人もたくさんいます。
納経【のうきょう】
お経を納めることです。
本当は般若心経を写経して納めるのですが、お堂の前で唱えるだけでもいいことになってるっぽい。
般若心経だけじゃなく開経偈とか大師宝号とかいろいろ唱えるものがあります。専用の経本が売られています。
当たり前ですが、お経もあげずに納経所に行って宝印だけもらうなんてのは単なるスタンプラリーです (結局のところは「自己満足」なので、それでいいという人もいるし、それでも納経所で納経させてくれますが)。
同行二人【どうぎょうににん】
お遍路さんは一人で四国を回っていても、常にお大師様が一緒にいてくれるという意味。
チャリで一周すればその意味は身をもって体感できる(はず)。
お接待【おせったい】
お遍路さんに飲食や金銭、ときには宿泊を無償あるいは安価に提供すること。
白装束を着たお遍路さんは弘法大師そのものです。四国の人はそんなお大師様を手厚くもてなしてくれます。 また「私はお寺を回れませんので、代わりにその功徳を分けてください」という意味もあるそうです。当たり前ですが、こちらからお接待を期待しちゃダメです。
挨拶【あいさつ】
お寺や遍路道で出会ったお遍路さんにはコンニチハと一声かけましょう。
団体バスのお遍路さんには9割方無視され、クルマ遍路さんには半分ぐらい無視され、歩きやチャリのお遍路さんにはほぼ無視されません。
などと下らない統計をとっているのは修行が足りない証拠。

お遍路装備

お遍路に必要なモノを、いくつかナマイキにも解説してみます。間違ってたらゴメンナサイ。
各アイテムは札所のお寺(売ってないところもある)やその前にあるお店、京都の東寺などで購入できます。 僕は京都の東寺で大体揃えてから四国へ向かいました。

納経帳【のうきょうちょう】
お寺のお堂でお経をあげた後、納経所で宝印をいただきます。1ヶ寺300円です。
すべての札所で納経した納経帳の価値は、自分で集めて回った人にしか絶対に理解できないと思う(いやマジで)。
納札【おさめふだ】
お堂でお経をあげて納める札。
本堂と大師堂に納めます。日付や住所氏名などを書き込みます。100枚100円、200枚150円、200枚100円など売ってる場所で値段はさまざまです。
八十八ヶ所を全部回ると88*2=176枚必要です。
またお接待をして下さった方には一枚差し出すのが礼儀だそうです。
お線香とローソク【おせんこうとろーそく】
本堂と大師堂であげます。各ローソク1本、線香3本です。
他人の点けたローソクから火を点けるとその人の業をもらってしまうそうなので、自前のライターかマッチを用意しましょう (団体遍路さんはガンガン他人のローソクで火を点けていたんですが、引率の先達の人は何も言わないのかな)。
線香とローソクとライターを収納できる墓参用のケースに入れておくと便利(500円ぐらいで売ってます)。
最初にドバっと買って持って行くより、少しずつ現地調達したほうがいいと思います。
僕は、2束100円ぐらいの線香を減ってきたら補充してました。
コレが本当のセンコウ投資(って某お寺の納経所のおじさんが言ってた)。
経本【きょうほん】
般若心経など、巡拝に必要なお経が書いてあります。四国遍路専用のものです。
お経を暗記していても、見ながら唱えるのが正式な作法らしいです。
白衣【びゃくえ】
「お遍路の最中にいつ行き倒れてもいいです」という覚悟の死に装束。
コレを着ていると一発でお遍路さんだと分かってもらるし、自分にとっても「お遍路をしている」という自覚が生まれます。
白くて目立つので、交通安全対策にもなるかも。
袖なしタイプは笈摺(おいずる)と呼びます。暑い季節はコレがオススメ(日焼けには注意)。
納経所で白衣に宝印をいただくこともできます。こちらは1ヶ寺200円です。
なお、四国(と高野山)以外でお遍路さんの格好をしていると絶対浮きます。 ヘタすると高額なツボを売る人とか祈祷と称していかがわしい行為をする人に間違えられる可能性もあるので注意が必要です。
金剛杖【こんごうじょう】
お大師様の化身の杖。
チャリ遍路ではどうにもこうにも持ち運べません(うまいことチャリに装着している方もいました)。あっても無くても(僕は持たなかった)。
菅笠【すげがさ】
頭にかぶる三角のアレ。
お寺は聖域ですので脱帽が基本ですが、菅笠は法具なので取らなくてもよいことになってます。
チャリ遍路だとどうにもこうにも(僕はかぶらなかった)。
輪袈裟【わげさ】
首にかけるカラフルなアレ。
お坊さんの袈裟の簡易バージョン。食事・トイレの際は外しましょう。
チャリ遍路だとどうにもこうにも(僕はつけなかった)。
持鈴【じれい】
チリーンと鳴るアレ。
お経をあげる際に鳴らしたりします。チャリだとどうにもこうにも(僕は持たなかった)。
野宿の際に荷物にぶら下げて防犯対策にしている先輩遍路さんもいました。サスガ。
数珠【じゅず】
アレ。念珠ともいいます。
持たずにおまいりしてる人もたくさんいました。
僕は東寺でお遍路グッズ(グッズっていうな)をそろえたときに、お坊さんに勧められて購入しました。

その他装備

その他、旅をする上で役に立ったものをいくつかナマイキにも挙げてみます。

タオル
必須です。最低2枚は持っていきましょう。
民宿などはタオルの用意がないところがありますのでバスタオル代わりにもなります。
雨の日は頭に巻けば最高の雨具です(視界が妨げられない)。
四国は排気ガス規制が東京都よりユルイっぽいので、某都知事が見たら激怒しそうなぐらいトラックが黒煙を吐きながら走ってます。 トンネルが排気ガスでモクモクのところもあるので、そうしたところではタオルで口と鼻を隠して昭和の銀行強盗スタイルで走り抜けましょう。
速乾Tシャツ
必須です。ユニクロで1,000円ぐらいで売ってます。チャリ遍路は汗をかきまくります。
洗濯機はあるが乾燥機が無い、という場合でも一晩で乾きます。
サンダル
靴よりコレです。人間の皮膚に優る防水素材はありません。雨が降ったら濡れる。全てを受け入れるのが修行です。サンダル焼けには注意(それも勲章です)。
ヒップバッグ
各札所を打つときに、納経帳やお線香・ローソク、経本などを入れて持ち運びます。
お遍路さん専用のカバン(山谷袋とか頭陀袋とか巡礼パックとか呼ばれます)も売ってますが、別に何でもいいです。
僕は大昔にジーンズメイトで2,000円ぐらいで買ったヒップバッグを使いました。
チャック付きビニール袋
ドラッグストアとかホームセンターとか100円ショップなどで売ってるアレです。
大切な納経帳を濡らさないためにも、コレに入れて持ち運ぶことをオススメします。
他にもハミガキとかシャンプーとか入れるのに便利。
腕時計(カシオのPROTREK)
時計は必須です(そりゃそうだ)。
納経所はキッチリ朝7時から夕方5時までです(冬季の山間部のお寺など一部例外あり)。ある意味「お役所仕事」です。時間が分からないとどうにもなりません。
カシオのPROTREKと書いた理由は、「高度計と方位計が付いている」からです。
高度計は山の上のお寺に行くときや、峠を越えるときに「あと(タテに)300mだ」とか「あと(タテに)100m登ったら休憩しよう」とかの目安や励みになります。
方位計はあったほうがいいです。初めての遍路は絶対何回か迷います。地図と方位計とニラメッコする機会は必ず訪れます。
『四国遍路ひとり歩き同行二人』
お遍路さん必携の地図です。なきゃダメ。お遍路さんはみんな持ってます。
札所への道順のほか、札所周辺の宿泊施設・コンビニ・コインランドリーなどが詳しく掲載されています。
「へんろみち保存協力会」という各遍路道に道しるべを設置したり草刈りなどの活動をしている団体が出版しています。 この地図の売り上げの一部がこうした活動の資金にあてられているそうです。
一般の本屋さんには売ってないです(東京だと八重洲ブックセンターで売ってます)。いくつかの札所で購入できるほか、取り寄せ販売も可能です。
『るるぶ四国八十八ヶ所』
東京〜徳島〜北九州を結ぶ「オーシャン東九フェリー」のお遍路割引券が付いています。フェリーを利用する人は是非。
八十八 → 8+8=16 → 16%ということで、運賃が約16%割引になります。
割引券だけじゃなく、各札所の解説なども載っていて、「さすがるるぶ」という感じです。
宿泊施設等の情報は違った意味で「さすがるるぶ」という感じです。
『ツーリングマップル中国・四国』
バイク用の地図です。
本当はチャリンコ用の地図が欲しいのですが、無いのでバイク用です。
クルマ用のはサイズがデカイから持ち運びに難アリ。
『四国遍路ひとり歩き同行二人』は遍路道しか載っていないので、ルートから外れてしまった場合や、フェリー乗り場からお寺までのルートを調べる場合、 札所以外の観光スポットに行きたい場合(修行はどうした)などに使います。
しかし、なぜか徳島市内は県道の番号がコロコロ変わるのであんまり役に立ちませんでした。
ちなみに、登山用の携帯ナビ(ガーミン)をハンドルに装着しているツワモノのチャリ遍路さんもいらっしゃいました。
折りたたみ傘
雨の中、チャリで走ってるときは雨ガッパを着ますが、お寺の中で雨ガッパはどうなのよ、ということで折りたたみ傘は必須です。
夜食事しに行ったりするときに雨だったという場合にも、無いと不便です。

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