非定型BSE 強病原性で人間の弧発型CJDの稀な型に似る 既に人間に感染している恐れ

農業情報研究所(WAPIC)

08.9.13

 ヨーロッパや米国で最近発見された高齢牛に多い非定型BSE(BASE)は、古典的BSEやその人間版である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)よりも感染性と病原性が強い上に、MM2型と呼ばれる人の稀なCJDに非常に似た症候や脳損傷のパターンを持つことを示唆する新たな研究が発表された。

 フランスの新興病及び革新的テラピー研究所のEmmanuel E. Comoyとイタリア、米国の研究者によるこの研究は、BASEが既に、そうと知られることなく人々に感染しているかもしれないという恐怖を呼ぶ。研究者は、BSEから人を護る措置の緩和を求める衝動は抑えねばならないと言う。

 研究者は古典的BSEとBASEに感染した牛の脳のホモジェネートを、以前に古典的BSEに感染すると実証されたカニクイザルの脳に接種した。BASEに感染したサルは生存期間が短く、古典的BSEやvCJDを接種された動物に見られるのと異なる症状の進展、組織変化、プリオン蛋白質のパターンが見られた。BASE感染牛と同じ国に住むMM2型の孤発性CJDの4人に3人の患者と同じ生化学的特徴を発見したという。

 この結果は、霊長類におけるBASEの病原性は古典的BSEよりも強い可能性を示し、弧発性CJDのように見える一般的ではない一団の疾患との関連の可能性をめぐる疑いを引き起こす。古典的BSEの退潮にもかかわらず、BSE汚染製品による偶然の汚染から人々を護るために現在設けられている措置を緩和したいという衝動は抑えるべきだという。

 Emmanuel E. Comoy et al,Atypical BSE (BASE) Transmitted from Asymptomatic Aging Cattle to a Primate,LoS One,08.8.20
  http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0003017

  関連情報
 伝達性確認の非定型BSE 従来の対策で動物も人間も護れると英専門委員会,07.8.27