農業情報研究所>環境>気候変動>ニュース 2018年1月17日
「大型車天国」の北米自動車ショー トランプだけではない 市民の心変わりが必要だ
今年の「北米国際自動車ショー」は、米国勢が荷台付きのピックアップトラック、日本勢がスポーツタイプ多目的車(SUV)を目玉とし、さながら「大型車天国」の様相となったそうである。東京新聞は、自動車各社トップが「パリ協定」からの離脱を表明した「トランプ氏を意識し、米国への貢献をアピール」しようとしたために、電気自動車(EV)化で大気汚染防止を目指す世界的な潮流に逆行するこんな動きが生まれたのだと批判的です。
北米自動車ショーは大型車天国EV化に背 米政権と並走(核心) 東京新聞 18.1.17
しかし、自動車の「大型化」が何故大気汚染防止をめざすEV化の世界的潮流に逆行するのでしょうか。EV化こそ大気汚染防止の切り札だと思わせるこの言い方が気になるのです。この際、CO2排出を減らすためには電気自動車化よりも小型化・軽量化の方が重要であることを示すマサチュセッツ工科大学の研究:Personal
Vehicles Evaluated against Climate Change Mitigation Targetsを紹介しておこう思います。
それによりますと、ライフサイクルのCO2排出量(gCO2/㎞)は、少しも環境に優しいところがないガソリン車である三菱のミラージュ(192gCO2/㎞)の方が、米国のEVパイオニアのTeslaのモデル(226
gCO2/㎞)よりも少なかったといいます。これは、前年の“大きな電気自動車は小さな普通自動車よりもライフサイクル温室効果ガスが多くなる可能性がある”というノルウェー科学技術大学の研究を裏付けるものです。EV
自動車各社、環境に優しいを売りにしたいなら、EV神話から解き放たれ、何よりも小型化・軽量化を追求すべきです。しかし、そのためには、トランプ大統領だけではなく、消費者の心変わりも必要です。
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