農業情報研究所農業バイテクニュース: 2017年11月2日

米国 除草剤ジカンバ空中散布で非GM作物に大損害 ジカンバ承認取り消しも

今年、米国で作付けられた大豆の4%ほどに相当する360万エーカー(約150万㌶)以上の大豆が、除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)作物に使われる除草剤・ジカンバ(除草剤の一種)耐性遺伝子組み換え(GM)大豆(Roundup Ready 2 Xtend soybeans)及び棉( Bollgard II® XtendFlex™ の被害を受けた。被害はGM作物に散布されたジカンバが非GM作物の畑に飛来して引き起こしたものだ。被害は非GM大豆ばかりでなく、トマト、スイカ、メロン、ブドウ、カボチャ、有機野菜、家庭の庭、樹木にも及んでいる。米国環境保護局(EPA)が111日、連邦レベルの緊急対応を要請したという。

Crops in 25 States Damaged by Unintended Drift of Weed Killer,The New York Times,17.11.1

被害の報告は今年春に出始め、10月半ばに2708件に達した。ただし、被害が全て報告されているわけではなく、実際の被害はこの5倍にもなると推定される。ジカンバが承認されたのは1960年代末なのにどうして今年になって?今までは出芽前に土壌に施用されていたが、大豆が成長したあとに空中散布することも承認されたからだ。被害報告は、空中散布が認められた34の州のうちの25州から出ている。

ジカンバの空中散布を認めたとき、EPAはジカンバを販売するモンサント、BASFDupont3社に対し、これが2年間の期限付き承認であると伝えている。3社は、風速毎時10マイル以上のときに散布を禁止するという新たな指示を出した。しかし、EPAの除草剤担当官は、来シーズン向けに取られる新たな措置でも被害を大きく減らなければ承認取り消しもあり得ると言っている。今年最大の被害を受けたアーカンソーの担当官は、既にジカンバ使用の禁止に向けて動いているという。

関連情報

Monsanto’s Weed Killer, Dicamba,Divides Farmers,The New York Times,17.9.23

米農務省 モンサントの除草剤・ジカンバ耐性GM大豆・棉を承認 農業情報研究所15.1.19