農業情報研究所農業バイテクニュース:2015年1月19日

米農務省 モンサントの除草剤・ジカンバ耐性GM大豆・棉を承認

 モンサント社によると、米国農務省(USDA)が1月15日、同社のジカンバ(除草剤の一種)耐性遺伝子組み換え(GM)大豆(Roundup Ready 2 Xtend soybeans)及び棉( Bollgard II® XtendFlex™ cotton)を承認する決定を発表した(今までのところ、USDAのHPではこの決定に見られない)。近々、フェデラルレジスター(連邦官報)に掲載するという。

 モンサントのチーフ技術オフィサーのロブ・フレーリー博士は。「この発表は世界中の農民にとって重要な一里塚を画する。雑草は世界中の農業運営にとって中心的有害生物をなしており、作物が必要とする栄養分、陽光と利用可能な水資源へのアクセスを制限している。我々は農業の効率を改善し・また農家が消費者のための食料を増産するのを助ける追加的ツールを提供することに興奮している」と言う。

 USDA Deregulates Monsanto’s Next-Generation Weed Control Trait Technology,Monsanto,15.1.15

  新たな大豆と棉は、増殖する厄介者・グリホサート耐性雑草を殺すために、ジカンバとグリホサートを組み合わせた新たな除草剤に耐性を持つように開発されたものだ。これが認められれば、他の植物を皆殺しにしかねないジカンバ(ベトナム戦争で枯葉剤として使われた)の使用量が飛躍的に増えるだろう。従って、多くの消費者・環境・農民団体が新たな Xtendシステムに強く反対してきた。USDAとモンサントの予測では、この承認でジカンバの使用量は現在の14倍に増える。大豆への使用は最大500倍にも増える。これにより、農民家族の農薬暴露のリスクが増えるだろう。ジカンバに敏感な果実、ナッツ、野菜などの生産者は、ジカンバのドリフトで彼らの農場が台無しにされると恐れる。除草剤使用の増加は新たな耐性雑草を増やすだけとも言う。

 USDAはこれらの問題をどうクリアしたのだろうか。今のところ分からない。なお、商品化は、なお環境保護局(EPA)の承認を待たねばならない。

  関連ニュース

 UPDATE 1-USDA approves Monsanto's new GMO soybeans, cotton,Reuters,15.1.15

 関連情報

 米農務省 2,4-D耐性GMトウモロコシ・大豆を承認 農業・環境・健康への「記念碑的脅威」と批判グループ(農業情報研究所),14.9.19

 参考

 2,4-D- and Dicamba-tolerant Crops — Some Facts to Consider,Purdue Extension.12,11