AMラジオに高感度を求めるなら
アナログチューニングかもー!

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 このたび販売開始したPLLマーカーの開発段階で感じたこと、それは 「AMラジオに高感度を求めるなら、現在もアナログチューニングなのかも?」 について書きます。

 この 「現在も、アナログチューニングかも?」 には、「昔は、アナログチューニングだった」 という背景があります。この背景、PLLマーカー開発段階で久しぶりに思い出しました。

 どういう背景か? と言えば、PLL搭載ラジオを最初に見たとき私たちは 「デジタル回路が発する雑音で、小さな信号が埋もれてしまうのでは?」 と感じました。極端な例で言えば、パソコンのそばでAMラジオを聴く感じです。この当時はラジオメーカーも、「雑音対策は十分だ」 と言っていたような記憶があります。その後、PLL搭載ラジオは普通になり、すっかりPLL起因の雑音を忘れていました。

 PLLマーカー開発段階では、回路にAMラジオを近づけて実験を繰り返しました。数cmまで近づけると、雑音が確認できます。「サー」 と言う感じで、白色系に聴こえる雑音です。使っているのは 「PLL周波数シンセサイザ」 と呼ばれる回路ですが、主な雑音源は 「周波数デバイダ」 と呼ばれるデジタル回路だろうと思います。

 この雑音が、AMラジオの感度に影響を与えているのではないか? と思うのです。もう少し具体的に言えば、PLL搭載ラジオはデジタル雑音が目立たないように、わざと感度を落としているのではないのか? というわけです。

 具体的な製品例で、このことを考えてみます。現在販売中のラジオで最高感度は、SONY ICF-EX5MK2 であろうと思います。SONY の製品紹介では、「エクストラ感度 (別格の高感度)」 と謳っています。このラジオは、アナログチューニングです。
 ICF-EX5MK2 のデジタルチューニング版が、ICF-M780N です。こちらに 「エクストラ感度」 の表記は無く、商品の特長にも感度に関する記載はありません。SONY のデジタルチューニングラジオの最高峰は、ICF-SW7600GR でしょう。この製品紹介にも、高感度に関する記載はありません。私は旧モデルの ICF-SW7600G を持っていますが、並べて聴き比べれば ICF-EX5MK2 のほうが優れているのは明らかです。

 このようにデジタルチューニングラジオが高感度化できないのは、デジタル回路が発する雑音に原因があると思います。回路的には ICF-EX5MK2 並みの高感度化も達成可能なのでしょうが、感度を高めればデジタル雑音が目立ってしまうから、あえて感度を落としているのではないかと思うのです。なにしろラジオと言う商品は、アンテナを内蔵しています。デジタル回路のすぐそばに、アンテナです。この点では、外部アンテナが前提の通信機タイプの受信機のほうが有利なのです。

 DSPラジオや、SDR (Software-Defined Radio) などが人気のご時勢です。もしラジオに高感度を求めるなら、デジタル回路を持たないアナログチューニングラジオのほうが有利なのだろうと思います。ラジオが高感度であればあるほど、夜間の遠距離放送がフェージングで途切れることが少なく快適に聴けます。

 でも、アナログチューニングは周波数設定が・・・
そこで、PLLマーカーです!

では、また


2017年12月11日
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