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逢えないなんてこんなに辛い



第4巻618番 【大神郎女】(おほみわのいらつめ)
さ夜中に 友呼ぶ千鳥 物思ふと わび居る時に 鳴きつつもとな
夜中に 相手を呼んで千鳥が鳴いているの あなたを想いながら独り寝している 悲しい気持ちでいる夜なのに

第4巻700番 【大伴宿禰家持】(おおとものすくねやかもち)
かくしてや なほや退らむ 近からぬ 道の間を なづみ参ゐ来て
こんなにまでして来たのに やっぱり追い返されるのか 遠い道のりを苦労して逢いに来たのに

第4巻713番 【丹波大女娘子】(たにはのおほめのをとめ)
垣穂なす 人言聞きて 我が背子が 心たゆたゆ 逢はぬこのころ
周りの人が あれこれ噂するを気にしてるのでしょうか 心が迷って この頃は逢いにも来てくれない

第4巻715番 【大伴宿禰家持】(おおとものすくねやかもち)
千鳥鳴く 佐保の川門の 清き瀬を 馬打ち渡し いつか通はむ
千鳥鳴く 川下の清い川べりを 馬を走らせ あなたに逢いに行けるのは いつのことだろう

第4巻783番 【大伴宿禰家持】(おおとものすくねやかもち)
一昨年の 先つ年より 今年まで 恋ふれど なぞも 妹に逢ひ難き
一昨年の その前の年から 今年まで ずっと恋い慕っているのに どうしてあなたに逢えないのだろう

第4巻785番 【大伴宿禰家持】(おおとものすくねやかもち)
我がやどの 草の上白く 置く露の 身も惜しかえあず 妹に逢はざれば
私の家の庭の 草の上に白くつく露のように 儚く消えてしまう命であっても あなたに逢えないのなら 惜しくもないよ

第8巻1498番 【大伴坂上郎女】
暇無み 来ざりし君に霍公鳥 われかく恋ふと行きて告げこそ
暇がないからと訪ねて来ないあの人に ホトトギスよ私がこんなに恋慕っていると告げておくれ

第12巻3122番
心なき 雨にもあるか人目守り 乏しき妹に今日だに逢はむを
無情の雨だなぁ 普段人目を憚り、逢う機会が少ないあの人に 今日こそは逢いたいのに