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愛しいあの人は人の妻



第1巻20番 【額田王】近江大津京の宮廷をあげて大々的な薬猟が 蒲生野(今の滋賀県蒲生郡)でくりひりげられたおり、額田王が作った歌君は大海人皇子(後の天武天皇)
茜さす 紫野ゆき標野ゆき 野守は見ずや 君が袖振る
あかね色に輝く紫草の野を 御料地を行き来しているあなた そんなに袖を振って私に合図なさったら 野の番人に見られてしまうわ


第1巻21番【大海人皇子】額田王への返歌  額田王は大海人皇子の兄(天智天皇)の妻でした。
紫草の 匂える妹を憎くあらば 人妻ゆえに我恋いめやも
紫草の色があざやかにはえるように美しいあなたを いやなわけがあれば すでにあなたは人妻であるのに なぜこんなにも恋焦がれよう

第10巻1999番 【秋の雑歌より 】(七夕はこの時代の四季では秋になります。)
赤らひく 色ぐはし児を しば見れば 人妻故に 我恋ひぬべし
頬を赤く染めた 繊細な美しさのあなたを何度も見てうちに 人妻と知っていながら 私は恋しくなってしまうんだよ
牽牛を愛する織姫のひたむきさと伝説の美しさに、作者は織姫のファンになったのでしょうか