12月の章 12月31日『シロイオゼヨリ…』(前篇)


「まだ、それほどたいした量じゃないなぁ・・」 

「えっ!?」 
 
『これは早く雪下ろしをしなくては・・』 と言うとばかり
思っていたのに隊長の返事は意外だった。

「本当に怖いのは、屋根の雪が、
下に積もった雪と くっついたときなんや」

「雪どおしが引っ張り合って、小屋をつぶすんだよ」

「明日からまた寒波が来そうだから、
まあ軽く練習で雪を落としておこうか」

あんなに積もっているのに、軽く練習だなんて・・・
私たち2人はそうとう驚いた。



12.25 初めて雪を下ろす 軽く練習らしい・・



12.26 寒波襲来 吹雪の かんばの丘
翌日から、第1級の寒波襲来で、
尾瀬は猛吹雪となった。

風はうなり声をあげ、
横殴りの雪が終日続いた。

「かんばの丘」に我々がつけた
山スキーの跡など、
あっという間に
かき消されてしまった・・・。



  (残念ながら吹雪の写真は あまり撮してないです


12月30日、吹雪は収まった。 
小屋周辺を点検に廻る。 異常なし。

見回りが終わると、隊長は、雪におおわれた尾瀬沼に向かって進み始めた。
さかんにストックであちこち沼をつついている。 ちゃんと調べるポイントがあるらしい。

「もう大丈夫や!」  「沼の上を渡れるよ」

「おおっ!!」 
ついに尾瀬沼の上を山スキーで渡れるようになったのか!



「今日は三平下の小屋と峠付近も、様子を見にゆこう」

ここ数日間小屋に閉じこめられていたので、
外にでられるのがなんだか嬉しい!

私たちは、携帯無線機を持ち
テルモスに熱い飲み物を入れて出発した。

いつもは、ラッセルがあるので縦1列になって
行動するのが常であるが、
初めての尾瀬沼歩きとあって
今日は列を作らず、歩いていく。

『そうだ、記念に1枚』
前をゆく、隊長とウミさんを パチリ!




12.30 初めて尾瀬沼の上をゆく
 


三平峠まで、シールをつけグイグイ登る。
ウミさん先頭を譲らず峠までトップを切った。


先頭で到着のウミさん


峠からの眺めは、最高だった。
真白の尾瀬沼に、我々のトレース
遠く会津駒ヶ岳までがはっきりと見える。

テルモスの熱いミルクティーがやけに美味しい。


12月31日『シロイオゼヨリ』(後編)に続く




12.30 雪の尾瀬沼から会津駒ヶ岳