12月の章 12月31日『シロイオゼヨリ…』(後編)






 12.31  風雪に耐える アオモリトドマツの老木
12月31日、
いよいよ朝の定時交信の時間がきた。

『・・こちら越冬隊・・こちら越冬隊 』
『・・感度いかがでしょうか?・・ザザッ・・』

『・・ハイ・・感度良好です・・ピッ・・』

『・・電報を・・おねがいします・・ザザッ・・』


昨日の夜の隊長の話だ。
「今年は読まれるかなぁ・・」
「なんのことですか?」

「実は、越冬隊は毎年NHKに、電報を送っているんだ。」
「へぇ〜」

「紅白歌合戦に応援の電報を送っているんだよ。
・・・白組ガンバレってね。」
「ほぉ〜」

なんかおもしろい話のようだぞ。

「ところが、同じく白組に電報を送ってくる所があるんだよ」
「えっどこなんですか?」
ウミさんと私は興味津々だ。

「南極越冬隊なんだ。」
「そして、南極越冬隊の電報がいつも読み上げられているんだ・・」

そうかぁー、長い越冬生活にたった1度だけ
外に向けて電報を発信する。 

それが、読まれるかどうか聞くこともできないが、
なんか楽しいアイデアのような気がする。

「隊長、今年も送りましょうよ!!」
「そうしよう!」


『・・ザザッ・・』
『・・どうぞ・・電文を・・読んで下さい・・ピッ・・』

『・・シログミ ガンバレ・ アカグミニ マケルナ・ 
オオユキ ノ・シロイ オゼヨリ・ 
オウエンシテイマス
オゼ トウキ・ エットウタイヨリ
・・

・・・以上です・・ザザッ・・』


     

2003年もあとわずかです、今年は新しくHPを立ち上げた記念の年でした。
たくさんの方の訪問ありがとうございました。 来年もよろしくお願い致します。

なかなか & なか子 


1月の章 埋もれゆく標識