1月の章 1月 30日 除雪隊 入山

1月30日、
除雪隊の入山日

吹雪はやみ、
久しぶりの快晴となった。

燧ヶ岳が見えたのは、
ほぼ2週間ぶりにもなるだろう。


ビジターセンター(旧)は、
屋根の傾斜がゆるい作りなだけに


早く積もった雪を下ろさないと
今にも雪で潰されそうである。

除雪隊の人たちが来たら
はやく雪下ろしをしてもらわねば・・


でも、手つかずのこの雪は
なんと綺麗なんだろう!!

1.30 久しぶりに姿を見せた、燧ヶ岳と
今にも、雪に埋もれそうな 旧ビジターセンター


檜枝岐村から、待望の除雪隊が到着したのはお昼前であった。

「お疲れ様でーす!!」 
「ラッセル大変だったでしょう。」
久しぶりに人に会えて、なんだか顔を見るのがまぶしい。

「なかなかさんら越冬隊が、雪の中に埋まっとーでないかと、
休みとらずにここまで来ただよー。」

隊長のアキさんが、大声で笑いながら声をかけてくれた。

嬉しい言葉だ。


到着した除雪隊7人の装備は驚きだ。

山スキーは木製、 ビンディングはカンダハーのワイヤー型
ストックはなんと竹製
各自の尻皮は、熊・鹿・むじな・キツネと自分が猟でしとめた動物の毛皮だ。

さすがに冬は熊撃ちなどの猟で生活をしているだけに、
この出で立ちは、まさに猟師!! すごい! 決まっている。



1.30 小型除雪機も登場し、大量の雪を除雪する

「いっぷく、つけたら
まずビジターにかかるべ」

「屋根が平らだから、
小型除雪機も使えるべぇ」

打ち合わせは、
2〜3言で終わってしまう。
なんだか頼もしいぞ。

除雪作業は、
さすがに手慣れていて速い。

我々だけでは何日もかかってしまう
雪の量なだけに
除雪がどんどん進んでゆくのは
気持ちがよい。

応援隊のありがたさをつくづく感じた。



夕食は一度に10人にも増えたが、
ここまでもう何度も「まかない当番」が回ってきただけに、
もう何人になってもどーんと来いっという感じで余裕だ。 

夕食を囲んで今夜は、話が盛り上がる。
クライマックスは、今まで見たことがないような
大鷲を撃った話や、大熊撃ちの話だ。

「熊がいたぞ!」という合図の声や
追い込んでいくときの声を実演してくれる。

獲物を見つけた時の合図の声は、人の話す声ではなく、
「ふぃーふぃーっ!!」とか「ほぉーほぉーっ!!」とか動物的な叫びで
それは、原始からの声に聞こえた。

猟にはちゃーんと役割分担があって
周りから、徐々に追い込んでいって、最後に仕留める。
仕留めた獲物は、頭(かしら)がそれぞれの働きに応じて分配するそうだ。

ほかでは聞けない話なだけに、わくわくしながら聞き入った。


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