最終章 4月10日 越冬のおわり


みるみる雪は溶けてきた。

長い冬の間
雪に閉ざされていた大江川が、
1日ごとにその姿を現してきた。

雪どけ水は力強く流れてゆく。
上空には、トビが気持ちよさそうに舞っている。

春の息吹のすばらしさが、
ひしひしと伝わってくる。

大江川に沿っていくと一部分に
土が見えている。

その土の色がとてもまぶしく感じる!!



 4.9 大江川、土の色がまぶしい



4.9  大江川の雪はみるみると溶かされてゆく



カンバの丘に登ってみる。

春の光を浴びたカンバの樹の影が
とても美しい!!

山スキーでカンバの樹林帯を歩くと
爽やかな風が、とても気持ちよい。

この影からも春が感じられる。

午前中に越冬小屋の周辺を
のんびり歩いた後、


4.9  カンバの樹の影がとても美しい



4.9  玄関前の除雪おわる

いよいよ、明日上山してくる
引き継ぎの人たちを出迎えるために、

我々の越冬生活の最後の仕事、
正面玄関の除雪にかかる。

引き継ぎの人たちが
正面玄関から入れるように
ていねいに除雪する。

雪の階段も作る。

この時期は、まだまだ雪が多いため
雪の階段を下って玄関に入ることになる。

長い冬の間、閉ざされていた
正面玄関の囲いをついにはずした。

薄暗かった越冬小屋の中に
光が差し込み、ぱっと明るくなった。

「ああっ越冬生活が終わったんだ」
この一瞬、長かった越冬生活が
ほんとうに終えた気がした。





翌日の4月10日、引き継ぎを無事終えた。

我々はゆっくりと三平下から
冬路沢に向かうルートを登った。

冬路沢のピークでザックを下ろし休憩をとる。




振り返ると燧ヶ岳・そして小さく至仏山も望める。
ここが昨日まですごしてきた尾瀬と、下の世界との分かれる峠だ。

  


正面には、今から下ってゆく景色が広がる。 
今日は遙か遠くに白い富士山まで見えている。



「出発しようかぁ〜」
隊長の最後のかけ声を合図に
私たち3人は静かにスキーを滑らせ始めた・・。

厳冬日誌を、見ていただいてくれた皆さん長い間ありがとうございました。

20年以上も前のことがはたして書けるか不安でしたが
みなさんのBBSのご声援でここまで来ることができました。

1枚の写真とはすごいもので、じーっと見ていると
撮したときの事が思い出されて来るのには驚かされました。

これから尾瀬はシーズンに入ります。 いつまでも、自然のままに美しい尾瀬であり続けてほしいと、
心から願いながらこの日誌を終えたいと思います。  なかなか

『 厳冬日誌 』 完


特別編@Aも作りました

特別編@ 雪どけからアカシボ