4月の章 4月1日 春のおとずれ


「ついに4月がやってきた!!」

これほどまでに、
4月の声を待ち望んだことは
今までなかった。

太陽の光は確実に
強くなってきているのがわかる。

日中は暖かい日が多くなった。

雪はゆっくりと溶かされてきて、
とうとう、小屋の屋根が見え始めてきた。


あれだけぎっしりと食材を入れていた
食料庫も、ついに底が見えてきた。

残り少なくなってきた生野菜のキャベツは
よれよれで、ほとんど白色になっている。


4.1  雪はゆっくりと溶けてきて、小屋の屋根が見えはじめてきた




 4.1 雪が割れて、大江川が見えるようになってきた
新聞紙に巻いて、冬の長い期間、
真っ暗な室(むろ)に入っているだけに
もう緑色ではなくなっているのだ。

「下山したら “ま緑色”の“シャキシャキ”した
キャベツが絶対食べたいよね」

こんなセリフも、長い冬を越してきた証のように
心地よく響いて聞こえる。

外へ出ると、大江川も雪が割れて、
河面が顔を出してきた。

春の訪れが目に見えてわかることが、
すごく嬉しい。



「今日は、沼尻の除雪と点検に行くよ〜」
隊長の声もなんだか、軽やかだ。

「雪が締まっているので、クロカンで大丈夫ですね」
ウミさんの声も、軽やかだぞ。

携帯無線機を持って、雪が締まった尾瀬沼を
クロカンで軽快に渡ってゆく。

なにせ沼尻までは「真っ直ぐ一直線」に
行けるなんて、この時だけだ。  きもちがいい!!



4.1  クロスカントリー・スキーで軽快に尾瀬沼をゆく

沼尻に着くとすぐに除雪に入る。

春先の雪はずしりと重いが、
足場がしっかりしているので
スノーダンプで運び出しやすい。

何よりも、暖かいのが嬉しい。

3人とも、ついに上着を脱いでの
除雪となった。


雪が溶け、姿を現した大江川は
日に日に大きくなってきた。


4.1 上着を脱いで沼尻の除雪をする なかなか




 4.3  沼の近くは1m以上も雪が割れ迂回しないとスキーで渡れなくなってきた。
もう沼の近くは1m以上も雪が割れ
迂回しないとスキーで渡れなくなってきた。


越冬の引継ぎ隊が、
4月10日に上山する。

まもなくだ!!

我々の越冬生活も
いよいよ
残りわずかとなってきた。


つづく