Murdannia nudiflora (L.) Brenan (Commelinaceae
アレチイボクサ(新称)


 福岡県久留米市で, 熱帯アジア原産のツユクサ科イボクサ属の日本新産外来種, Murdannia nudiflora (L.) Brenan が帰化し定着していることを確認しました。 新和名をアレチイボクサとして『植物研究雑誌 第90巻 第3号; The Journal of Japanese Botany Vol. 90. No.3: 215-217 』 (2015)で報告しました。 

 
 1. 新葉が出はじめる

 2 茎と葉
 
 
 3.生育状況


 4. 花の大きさは6-9mmほど

 5. 雄しべ6個 (完全2個・仮雄しべ3個・葯が退化した雄しべ1個)
 
 6. さく果は3片に裂開
 
 7. 種子 

近似種には九州南部~琉球, 中国・フィリピン・マレーシア・インドに分布するシマイボクサM. loriformis (Hassk.) R. S. Rao & Kammathyがあるが(佐竹ら 2006), 本種は一年草で, 根生葉がロゼットを形成せず, 花柄のようすや種子の違いなどで区別されます。
 
 アレチイボクサ(新称)は福岡県だけでなく三重県や高知県にもすでに侵入しています。 また愛知県、熊本県、宮崎県にも本種らしきイボクサ属が生育している情報がよせられています。
近年、分布域よりも北の愛知県(愛知県移入種データブック検討会 2012)・ 三重県(坂部 2008)・ 高知県(高知県野生植物保護対策検討委員会 2011)などでシマイボクサが帰化している報告がありますが、本種と混同されている可能性も考えられますので見直す必要があると思います。

 引用文献
 ・愛知県移入種データブック検討会(編)(2012) 愛知県の移入動植物─ブルーデータブックあいち2012. 225pp. 愛知県環境部自然環境課
 ・高知県野生植物保護対策検討委員会 (2011) 高知県レッドリスト(植物編)2010年改訂版. 50pp. 高知県林業振興・環境部 環境共生課
 ・坂部元宏 (2008) 本州初記録か,シマイボクサ(ツユクサ科,イボクサ属)を多気町で採集. 三重生物 no. 58: 13–14. 三重
 ・佐竹義輔 (2006)ツユクサ科.佐竹義輔,大井次三郎,北村四郎,亘理俊次,富成忠夫(編),日本の野生植物 草本 I: 73–74 . 平凡社, 東京

※ シマイボクサやアレチイボクサ(新称)に関する情報がありましたらBBSまたはメールでお知らせください。

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