Tradescantia fluminensis Vellozo
(トラデスカンティア フルミネンシス)

ノハカタカラクサ・トキワツユクサ

南アメリカ(ブラジル-アルゼンチン)原産の多年生植物で、属名のTradescantiaは17世紀英国の植物学者John Tradescantの名に由来する。 種小名のfluminensisは”リオ・デ・ジャネイロの”という意味である。
英名 Wandering jew,  Spiderwortt,  Inch Plant,
.
昭和初期に葉に白斑の入った園芸品種が観賞用に導入され、温暖地などで逸出、野生化して斑を消失したものである (清水矩宏ら 2002. 日本帰化植物写真図鑑. 全農教)。


 1.茎は長く伸びよく分枝し地面をはう、又は斜上する 

 2.葉は先が尖った卵形、全縁でやや波打つ


  3. 茎・葉の裏は赤紫色を帯びる

  4. 多くの葉は部分的に赤紫色を帯びている



  5. 花柄は1-1.5cm、赤紫色

 6. 花弁は8-9mm 雄しべの根元から白い毛が多数生える

 7. 花後は花柄が下方に曲がる

 8. 果実 約4mm、萼 5-7mm 



 9. 刮ハが割れた様子、種子が3個残っている

 10. 刮ハは3室で3裂する、種子は6個

 11. 裂開した刮ハと種子

 12. 種子は黒色、中央部にエンブリオテガが見られる



Tradescantia fluminensis Vellozo 'Viridis'
ミドリハカタカラクサ

ミドリハカタカラクサ T. fluminensis 'Viridis'は、ノハカタカラクサよりもやや大きく 葉の裏・茎・花柄は緑色で通常結実しない。 「葉の縁に微細な毛があり」と帰化植物写真図鑑に書かれてあるが、無毛のものもある。 本州、四国、九州に帰化していて繁殖力旺盛である。 北九州市ではノハカタカラクサよりもかなり繁殖している。
園芸植物の シロフハカタカラクサT.flumiensis Vell. 'Variegata'の斑が消えたものである。


 13. ミドリハカタカラクサ T. fluminensis 'Viridis'

 花弁は狭卵形

  葉 5-7×2-3cm、下面も緑色

  花柄は緑色・種子はできない




Tradescantia fluminensis Vellozo
オオトキワツユクサ
( T. albiflora Kunth : synonym)


オオトキワツユクサはミドリハカタカラクサよりもさらに大型で、葉は長さ7〜12cm、萼背面の毛は長さ1mm近くあり、葉縁の毛も肉眼で見える。 通常結実しない。
T. albiflora Kunth として分類されていることもあるが、ノハカタカラクサT. fluminensis Vellozo のシノニムとされている。 
 園芸植物のシラフツユクサT.albiflora Kunth 'Albo-vittata' )の斑が消えたものである。

 
14. オオトキワツユクサ 全体のようす
 

花とつぼみ 萼の毛は1-1.6mm

  葉の長さ 7-12cm

花がしぼむ時に雄しべの花糸が巻く、ツユクサと同じしくみ  


 ノハカタカラクサ(左) ・ ミドリハカタカラクサ(中央) ・ オオトキワツユクサ(右)の比較 (15-17)


 15. 全体、茎・葉の比較

 16. 花の比較 scale=1mm


 つぼみ・花柄・萼と毛のようす・花粉の比較


 17. つぼみ・萼の比較 scale=0.5mm

 ノハカタカラクサの花粉
  ミドリハカタカラクサの花粉   オオトキワツユクサの花粉

ノハカタカラクサは種子をつくるが、ミドリハカタカラクサとオオトキワツユクサは通常結実しない。 それぞれの花粉を比べるとノハカタカラクサの花粉は正常であるが、ミドリハカタカラクサとオオトキワツユクサの花粉は大きさや形がバラバラである。

  TOP       なかなかの植物ルーム      BBS