ホトケノザの閉鎖花
Lamium amplexicaule L.




  まだ寒いこの時期、ホトケノザは
  花を咲かせていないはずなのに、
  種子がどんどんできています。 

  ホトケノザは開放花のほかに、
  つぼみのまま結実する閉鎖花を
  たくさんつけることで有名です。 

  花を咲かせる開放花のつぼみ
  閉鎖花を観察してみました。

         1.開放花のつぼみ と 閉鎖花



  上の開放花のつぼみでは、
  上唇の部分が大きくふくらみ、
  花冠全体が
  赤紫色に色づいています。



  一方 下の閉鎖花では、
  花冠の上部はほっそりしていて
  上唇は赤紫色ですが、
  その部分以外は
  全体的に
  白っぽくなっています。


         2.開放花のつぼみ

             開放花のつぼみの中を見ると、雄しべとめしべが離れていて、 先が2つに分かれた柱頭がはっきりわかります。
             雄しべの葯からは花粉が出ていないものがほとんどですが、わずかに出ているものもありました。

             雌しべの柱頭には、まだ花粉が着いておらず真っ白でした。


開放花のつぼみを開いたところ

柱頭は受粉していない

        3. 閉鎖花
           
            一方 閉鎖花の中を見ると、雄しべの葯からはすでに花粉がたくさん出ています。
            そして、めしべの柱頭は花粉の出た葯にぴったりくっついていて、すでに受粉している状態でした。 


閉鎖花を開いたようす

雌しべの柱頭は花粉の出た葯にぴったりくっついている

  

  

  閉鎖花の花冠内では、花粉が
  多量に出ているのがわかります。


  雌しべを取り出してみました。
  花柱がくるりと巻いています。

  雌しべの柱頭には、
  たくさんの花粉が着いていて
  すでに自家受粉を完了していました。

  
 


        4.閉鎖花をつけるホトケノザ


早春(2月)の頃のホトケノザ



  寒いこの時期は、初めの画像や、
  この右の株のように、閉鎖花ばかり
  つけているものがあります。


  しかし、
  日当たりの良い、暖かな場所では
  左の画像のように

  1つの株に、
  開放花と閉鎖花を同時に
  つけている株も見られました。

  

ホトケノザは昆虫がいないなど条件が厳しい冬の間でも 閉鎖花をどんどん咲かせ、自家受粉によって種子をつくってゆくという、
すごい戦略をもっていたんですね。
                                          (2005.11)       




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