イヌコハコベ
Stellaria pallida

1996年にハコベ(コハコベ)とは 別の種だとわかった新しい帰化植物です。
1度覚えてしまうと 公園や道ばたのあちこちにたくさん咲いているのがわかります。



  初めはハコベ(コハコベ)の花弁が
  無いものだと思われていました。

  しかし花弁が無い以外にも、
  種子が1mm以下であること、
  染色体数がハコベの2n=40,42,44
  とは異なる 2n=22 などから、

  ハコベ(コハコベ)とは 
  別の種だとわかったそうです。 

          (日本の帰化植物 平凡社より)



まれに、花(萼)が開いていることがありますが、 ほとんどはつぼんだままの状態で、いつのまにか種子が出来ています。


まれに花が開いています

いつのまにか種子ができています

いったいいつ受粉をしているのでしょうか?  閉じている花の中を開いてみることにしました。
観察した株には1つの花序に12個の花( 1個の開いた花と11個の閉じた花 )がありました。 


8開放花 10
萼の長さ  1.6
mm
 2.2
mm
 2.6mm  2.8mm  3.2mm  3.8mm  4.0mm 4.0mm 4.2
mm
 4.6
mm
花粉が
出ているか
× × × ×
葯の色 黄緑 赤紫 赤紫 赤紫 群青 群青 群青 群青 群青 群青
受 粉

  5番の 3.2mmの閉じている花には、もうすでに花粉が出ていて、受粉が完了していました。 
それ以上の大きさのもの(6〜12)もすべて花粉が出ていて、受粉が完了していました。

11(4.8mm)・12(5.0mm)では果実がかなり大きくなり、花柄も長くなっています。


1・・葯がまだ黄緑色  2〜4までは葯が赤紫色   5・・花粉が出る  6〜12・・子房が成長

 


 3・・葯から花粉は出ていない、未受粉

5・・葯から花粉が出て、受粉している

5から12の萼は少しずつ長くなっています、外から見えませんが中では、子房がどんどん大きく成長しています。 
12では果実は萼とほぼ同長にまでなっていて、果実の先が見えるまでになっています。


イヌコハコベの種子は、ミドリハコベやコハコベの種子に比べて小さく、角張った変則五角形をしています。

  ミドリハコベ 約1mm         コハコベ 約1mm       イヌコハコベ 約0.8mm


このように花弁をもたないイヌコハコベは、ほとんど花(萼)を開かずに自家受粉をして種子を作っているようです。  (07.3.14)



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