カラスノエンドウ つぼみ受粉


カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)は、どうやら花が咲く前にすでに受粉(つぼみ受粉)しているそうです。
そこで春になり カラスノエンドウがたくさん咲き出しましたので、観察してみることにしました。

        1.まだ堅いつぼみ






 まだ堅いつぼみの状態です。
 この段階のつぼみは
 どんな様子でしょうか?

 つぼみを開いて中の状態を
 見てみました。



 真ん中に毛が見えるのが
 めしべです。
 周りを10個の雄しべが
 取り囲んでいます。


 まだ、ほとんどの葯からは
 花粉は出ていないのですが、

 よく見ると
 下の方の雄しべからは、
 少し花粉を
 出し始めています。
めしべと雄しべの様子  下の葯からは少し花粉が出ています めしべの柱頭付近には、ふさふさの毛の束があります



        2.淡い紅色になったつぼみ




 つぼみもかなり大きくなり、
 花弁が淡い紅色に
 色づいてきました。
 この段階のつぼみの中では
 どのようになっているでしょうか。



 すべての葯から 
 もうすでに花粉が
 たくさん出ている状態です。 

 めしべの毛の束にも 
 たくさんの花粉が
 着いています。
すべての葯から 花粉がたっぷり出ています めしべの柱頭付近にも 花粉がたくさん着いています

      やはりカラスノエンドウでは、つぼみの段階ですでに花粉が出ているのがわかりました。 

     
        3.つぼみの中の葯と柱頭を切り取る

 

 そこで、花が咲く前の
 つぼみの中にある
 葯と柱頭を切り取ると、

 果実が出来るのかどうかを
 観察してみました。


 もしちゃんと受粉が完了していれば
 果実ができると考えました。

 2007.4.12切り取り




 切り取って 5日目(2007.4.17)
 果実の長さ 2.3cm

 果実が大きくなってきました。 

 先端に花のしぼんだ跡が
 残っています。

 (萼が黒いのはマークです)


 切り取って 10日目(2007.4.22)

 果実の長さ 3.7cm

 さらに果実は成長しています。

 

 果実の先をよく見ると、柱頭の部分を切り取った跡が確認できます。
柱頭と葯の部分を切り取ったもの 切り取らない正常な状態




 切り取って 32日目(2007.5.14)
 果実の長さ 4.0cm

 果実はカラスのように
 真っ黒になりました。 
 (カラスノエンドウの名前は
  ここから来ているそうです)

 


 切り取って 33日目(2007.5.15)

 黒くなった豆のサヤが
 勢いよくはじけて
 種子を遠くまで
 飛ばしました。

 豆果のサヤはひねりながら
 一瞬にして はじけます。
 
 種子は丸くて、
 まだら模様があります。



          このように、まだ花が開く前の つぼみの中にある 葯と柱頭を切り取ってみても、果実はちゃんとできました。
          やはりカラスノエンドウは、つぼみ受粉をしていると思われます。            (2007.4.10 〜 5.18)




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