キチジョウソウ 雄花・両性花 Reineckea carnea |
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キチジョウソウの花をよく見ますと 花序の上部の花は雄花です。
長く伸びた紅紫色の こちらは、両性花です。
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1.キチジョウソウの雄花の割合
キチジョウソウ10株の花の花序を調べてみたところ、10株の花序すべて 上部に雄花が下部には両性花が咲いています。
ただし雄花と両性花の数は一定の割合では無いようです。(下表参照)
a | b | c | d | e | f | g | h | i | j | |
雄花の数 | 2 | 3 | 6 | 2 | 6 | 5 | 2 | 3 | 8 | 5 |
雄花の% | 22.2 |
33.3 |
54.5 |
16.7 |
50.0 |
38.5 |
14.3 |
21.4 |
57.1 |
33.3 |
両性花の数 | 7 | 6 | 5 | 10 | 6 | 8 | 12 | 11 | 6 | 10 |
花の総数 | 9 | 9 | 11 | 12 | 12 | 13 | 14 | 14 | 14 | 15 |
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![]() 雄花の小さな雌しべ |
雄花の花の中には 小さな雌しべが見られます。 この小さな雌しべは、 本来のものが未発達のために このように小さくなった ものでしょうか? それとも退化してしまった ものでしょうか? 簡単な実験をしてみました。 |
2.花序の両性花を切り落とすとどうなるのか
(1)11月22日 はじめに咲いた両性花を切り落とす
![]() 6つの花はすべて両性花 |
![]() 両性花を5つ切り落とす |
キチジョウソウは 花序の下から順に 花を咲かせてゆきます。 今、6つ花を咲かせました。 すべて両性花です。 この両性花を1つだけ残して、 下部の5つの両性花を 切り落としてみました。 これから花を咲かせる 蕾は5つ残っています。 残った5つの蕾からは、 両性花と雄花が どのように咲くのでしょうか? |
(2)11月25日(3日後) 蕾から両性花が2つ咲く
![]() 両性花が2つ咲く |
![]() 両性花を3つ切り落とす |
3日後、 下から2つ花を咲かせました。 (1つは後ろ向きに咲いていて、 ちょうど見えていません) どちらも両性花でした。 さらに 残していた1つの両性花と 新しく咲いた2つの両性花を すべて切り落としました。 蕾だけ3つ残っています。 |
(3)11月29日(7日後)・12月3日(11日後) 蕾から両性花が3つ咲く
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![]() どちらの花にも雌しべが見られます |
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07.11.29 両性花が2つ咲く | 07.12.3 すべて両性花が咲く |
咲いた両性花を順に切り落としてゆくと、その後の蕾からはつぎつぎと両性花を咲かせて行きました。 そして最後の蕾まですべて両性花を咲かせました。 雄花は1つも咲きませんでした。 |
3.蕾の段階で下部の半分の蕾を切り落とすとどうなるか
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蕾が8つの花序 | 下部の4つを切り落とす (11.22) | 07.12.3 すべて両性花が咲く |
残してあった4つの蕾からはすべて両性花を咲かせました。 こちらの場合も雄花は1つも咲きませんでした。 |
キチジョウソウは両性花が失われると、つぎつぎと両性花を咲かせてゆきます。
両性花をいくつかしっかりと咲かせた後にしか 雄花を咲かせないと思われます。
花序に両性花がしっかり確保されている場合に(余裕がある時に?)、雌しべ(子房)を成熟させずに
雄花を咲かせているようです。
栄養状態などにもよると思いますが、キチジョウソウはすべての花を両性花にせずに、
上部は雄花にしてコストを抑えた 「省エネ方式」をとっているのかもしれません。
そして両性花が虫に食われたり、枯れたりした場合には いつでも両性花を咲かせる柔軟性を備えていると思われました。
4.果実
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![]() 種子 2個 種子 3個 |
キチジョウソウの果実は、昨年のものが花の時期にも残っています。 液果の中には種子が2つ〜3つほど入っています。
5.子房と胚珠
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![]() この雌しべには、胚珠は13個ありました |
雌しべの子房を覗いてみますと、中は3室に別れています。 日本の野生植物(平凡社)には、「各室に胚珠が2個ある」と書かれていますが、 観察してみますと胚珠はもっと多くて 各室に4〜5個ほどあるようです。 このうち,、2〜3個が主に成熟するようです。 (07.12.04) |
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