ウメバチソウ 仮雄しべ・花のしくみ Parnassia palustris var. multiseta |
1.仮雄しべ
ウメバチソウの仮雄しべは実に芸術的です。 玉のように丸くなった先端の腺体は、外側が白っぽくて扇のように広がっています。 中心部に向かってだんだんせばまり、色も黄色になっています。 その並び方の美しいこと!! (図1)
図1 |
平凡社の「日本の野生植物 草本U」の記述には、「蜜を分泌しないウメバチソウの花に、・・昆虫がよく訪れる。」と書かれていますが、仮雄しべの付け根のあたりを観察すると液体が分泌されています。 (図2) そして、アリや訪問昆虫がこの部分をよく舐めています。(図3)
図2 仮雄しべの付け根あたりには液体が分泌されている | 図3 分泌液を舐めるアリ |
この仮雄しべを拡大してみますと、仮雄しべが櫛状になっている付け根あたりに2カ所で液体が分泌されています。 これを舐めてみると、ほんのり甘い味がします、やはりここから蜜をだしていると思われます。(図4)
図4 蜜をだしていると思われる |
仮雄しべは退化して花粉をつくらなくなったものだそうですが、ウメバチソウの仮雄しべはその形を変え、みごとなまでに昆虫を誘う役割を演じているのですね。
2.花のしくみ
ウメバチソウの花は、とっても端正で美しく好きな花のひとつです。 花期が長くて、雄しべと雌しべが面白い動きをします。 その雄しべの様子を観察してみました。(図5〜10)
初日(第1日目)の花 | 2日目の花 | 3日目の花 | ・・・ | ||
・・・ | |||||
図5 1日目は花弁を開くだけです。 雄しべの花糸は短く、整然とそろっています。 |
図6 1番目の花糸が伸び、この雄しべだけが花粉を出します。 |
図7 2番目の花糸が伸びます。1番目の花糸は反り返ります。 |
6日目の花 | 7日目の花 〜それ以降 | 13日目の花 | ||
・・・ | ||||
図8 5番目の花糸が伸びています。 1〜4番目の花糸は反り返っています。 |
図9 7日目にやっと5番目の花糸が反り返りました。 この日からこんどは雌しべの柱頭が現れます。 |
図10 雌しべの柱頭がはっきりわかります。 子房が緑色に変化しています。 |
ウメバチソウの花の雄しべは7日目まで、雄しべが1本1本順に伸びては反り返っています。 このように花の雄しべと雌しべの成熟時期をずらすことによって、自家受粉をさける方法をとっていたのですね。 (2005.10 08.11) |
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