対談 1
島
島崎精舎 虎
荊州虎麻呂

島
 皆さまこんにちは、島崎精舎です。現在梁山泊には雨が降っています。現在梁山泊には雨が降っています。ちっ・・・、対談はぜひ断金亭とか忠義堂でやろうと思っていたのに。あからさまにあやしい外国人(笑)

虎
 後半に水滸伝のビデオを入手し、改めて水滸の良さを認識し、あろうことか今、中国は山東省で対談することになろうとは・・・。あ、申し遅れました、荊州虎麻呂です。しかし、ドラマはいいっす。特に演出が宜しい。

島
 私そろそろドイツ本作って、他の小説のコピー本も出してみようかと思っていたのに、全部吹っ飛びましたからね。水滸伝好きだ〜!! ドラマすごいです。あんなに丁寧に面白くやってもらえるとは・・・中国ドラマ見直したぞ! はっきり言って、今まで見くびっていた(笑)

虎
 確かに今までのドラマは泥臭そうで見る気はあまり起きなかったが、水滸伝はマジに凝った作りだった。例えば魯達の鄭屠殺しの下りなんかも、最初に肉屋の情景を事細かに描いてから本筋に入っていく。それだけでこの店がいかに流行っているか分るし、大体本編でもそこまで描写していないもんな。

島
 武松虎相手にして本当に棒折っちゃってやんの(笑) だけど、本で読んだ時には思わず笑っちゃったけど、映像で見たら笑ってる暇なかったです。慌てるから本当にそういうことあるとも思ったし。やっぱり映像ってすごい表現ですね。

虎
 聴覚と視覚からの刺激はすごい。はっきり言って、わしらがこうやってビデオを褒め称えていても、この本の読者の方々は「ヘぇ、そうなんだ」程度にしか感じないかもしれませんが、一度動いている絵をご覧になればお分かりになると思います。そりゃ、役者さんたちが演じている訳ですから、イメージ違いが生じても仕方のないことですよね、不満の合った島崎さん?

島
 不満というか、不満というか・・・おじさんの施恩にショック受けただけ。しくしく。でも、全体的に見れば、皆けっこうイメージ通りだったと思います。どちらかといえば、思ってもみなかったトコロでべらぼーな美人さんがいて、びっくりした方が多かった。超美人の楊雄とかね。中国人って楊雄にあんなイメージ持ってたのか・・・とかえってびっくりです。祝家荘もぐり込みの占い師のカッコがまるで似合わない(笑) 

虎
 ただの斬首役人なのにね。中世西洋なら首切り役人の住む家なんて誰も嫌がって近づかないぞ。わしの持っていた連環画では楊雄は切れ上がった眉のいい男に描かれていたので、そのイメージから言えば近しいものがあったな。白髪じじいの呼延灼とかもね。確かに連環画には似ていたよ。

島
 連環画の絵って、中国人のイメージそのままなんですね。武松なんかも、役者さんの顔見てもピンとこなかったけど、あの人を連環画にして描いたら、いつも見かける武松になると思う。

虎
 確かにね。だけど、連環画に似過ぎて不気味になってしまった人もいたね。燕青なんてそう。いい男なんだろうけどさ・・・・・・。肌が受け付けない。どうしても・・・・・・。

島
 言葉で書いてどれだけ通じるか分りませんが・・・・・・。「くちびるぱっちり」でしたね、小乙ちゃんは・・・・・・。性格良さそうだったけど。

虎
 くっ・・・・・くちびるぱっちりとは、鬼のような形容の仕方だね。燕青といえば、例の雁を射るシーンでちゃんと弓を花英に習ったと言っていたぞ。痒い所に手が届く、その心遣いがうれしいね。

島
 花英はお目々ぱっちりの気持ちのいい若武者って感じでした。独身でうれしかったでしょう虎さんv でも、いつにもまして(そーでもないか、いつもの事か)ラブラブ宋大兄でした。

虎
 ふふ・・・。花英で一番嬉しかったのは、ドラマのオリジナル設定で、方臘征伐から帰ってからも官職に就かず、宋江に付き従っていく所ですね。あの李逵でさえ羨ましがっていたくらいだ。
「ねえ、花知塞、俺と替わってくれよう〜」 「ダメです」 李逵と花英のこの掛け合いが好きだなー。二人とも宋江大好きなんだから。

島
 宋江様ファンクラブ会員bP、2のお二人でした。三番目は張順。彼も目鼻立ちのすっきりしたイイ男だった〜〜! まあ、周りにイイ男侍らせて、全然風采の上がらない男宋江がまた良い(笑)

虎
 まるでホストクラブのような・・・・・・羨ましい限りだ。このドラマの宋江は原作通り、黒チビ三郎なんだけど、彼のファンの方々がクラクラする位美しい方揃いなもンなので、余計宋江がぱっとしないんだよな。

島
 どうのこうの言って、悪人ヅラだったよこの人。どこだったかの戦のシーンで、「相手の大将を追い詰めました」と報告を受けた時のにやぁり笑いは、たじろぐくらい悪人だった。でも、みんなラブラブ宋大兄。どう見てもこっちの方がかっこいい晁蓋も盧俊義も、もんな宋江の引き立て役なのだ。

虎
 そういうことになるね。晁蓋はよく怒ってたし。でもって宋江が仲介に入る。こうする事によって宋江の包容力とか、度量の広さを引き立てようとしてるのだろうが、一歩見方を変えれば「晁蓋は宋江の引き立て役でしかない」と言う事もできるんだ。盧俊義なんてあんなに気品があって格好いいのに、所詮宋江天動説の添え物でしかないんだね。

島
 最後の方には「宋大兄、魅惑の呪縛(やだなぁ・・・)」からさすがに逃れた連中もいましたけどね。小七なんて兄弟も友達も亡くして、しまいには宋江睨みつけてたし。

虎
 小七が方臘の蠎袍を着てはしゃぐシーンは、映像の魔力だと思うけど、かなりコワイものがあったよ。「切れたな・・・」って感じで。

島
 うん。目ェ据わってたもんね。人間の心情描き分けるのに、七ちゃんてものすごく面白いキャラだった。同じ何もかも失くしても、武松とはまた違う反応だったよ。しかし武松といえばあの鴛鴦楼の大殺戮シーン。・・・喰うか?フツーああいう場合。胃なんか動かないよ。そもそも食欲湧かないよ。

虎
 絶対喰いません、人間なら。殺人現場を見たシロートは吐くというぞ。これが普通の人々の反応だ。殺しながら鶏のもも肉喰うなんて、ケダモノです。お精進物でも、やっぱり食べられないよう。このシーンがあるから武松は一皮剥けば李逵と同じだって分かるよなー。

島
 殺して喰う。虎とどこが違うって生肉喰わないところ・・・うわぁυ(コワイ想像になってしまったυ) 血で壁に名前書いていく所も怖かった〜υ 小説読んだ時は、あたし実はかっこいいと思ったんだけど、実物目にするとひたすら凄惨でした。検死に入った役人が吐いちゃうような現場だった。絶対役人なんかやりたくない・・・・・・。

虎
 マジで嫌だねυ でもケダモノ仲間(?)の李逵の虎退治の方は泣けました。あれ、本編読んでいても快哉されるばかりでそんなに悲しくもないのに、ドラマでは母を亡くした李逵の悲しみにスポットを当てるもンだから、おもわずこっちももらい泣き・・・・・・。

島
 山に帰ってからも白い喪服をつけて部屋に閉じこもってずっと泣いてんだもん。「可哀想」じゃなくて私も悲しかった。それにしても、李逵の殺人て、やっても別に戦慄しないんだよな。血が流れるとやっぱり怖いけど。武松の方がもしかして根が暗い?

虎
 普段抑えるところは抑えるんで怖いんだ。根が暗いというより、高度に物事を考えられるとでもいうか・・・。ドラマではこの二人の実らない恋模様が描かれるけど、武松は玉蘭に好意を示していたのに対し、李逵はその感情にさえ気付かないんだから・・・。

島
 でも見事にフラレちゃった二郎ちゃんは、もう女に夢を見るのはやめました。嫌いだったんじゃないんだ。ただドリーマーだっただけなんだ・・・。結果が同じなら、気付かないほど阿呆の方が楽なような気もするが。それ言っちゃあおしまいか。文化の国の人だもの。

虎
 まあね。原作が長い小説をドラマ化すると、筋を追うあまり心理描写を疎かにしてしまいがちだけど、ここまで人物を掘り下げてくれたから、我ら水滸ファンにもこのドラマが非常に嬉しいと感じられるんだろうね。

   パート2へ続く

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