小麦自給の夢達成の砂漠国・サウジ 2016年まで小麦生産撤退 輸入国に

農業情報研究所(WAPIC)

08.4.11

 1970年代の石油ブームで稼いだ大金を使って小麦自給の夢を実現した砂漠の国・サウジアラビアが方向転換、2016年までかけて小麦生産から段階的に撤退する計画を立てている。これにより、この湾岸の国が世界トップ15穀物輸入国になる。

 現在の石油ブームで、小麦価格が高騰する現在の世界市場からでも十分に輸入する金がある。2009年から20年ぶりに輸入を始め、輸入で不足分を埋めながら、2016年まで年に12.5%ずつ生産を減らしていく。

 小麦生産から撤退するのは水がますます希少になるからだ。国に河川も湖沼もなく、雨も年に100ミリも降らない。農業を続けるための十分な水がない。現在は深い地下水に頼っているが、これも危機的状況にある。石油価格が上昇する今年こそ、小麦か、それとも枯渇に向かう水のどちらを選ぶか決めるチャンスだという。 

 Saudis to phase out wheat production,FT,4.11