止まらない軍隊いもむしの行軍 西アフリカの惨事回避は時間との戦い:FAO

農業情報研究所

09.1.30

  リベリアに侵入した”軍隊いもむし”の行軍(リベリア 軍隊いもむしが重要食料生産地域の村々を占拠,09.1.21)が止まらない。その行く先では、井戸は糞で汚染され、畑の作物は食べ尽くされ、市場からは食物が消えつつある。リベリア政府は非常事態宣言を発した。国連食糧農業機関(FAO)の専門家は、行軍をすぐにも止めなければ、西アフリカの多くの地域に広がる恐れがある、軍隊いもむし封じ込めは時間との戦いと言う。

 りベリア環境保護庁は殺虫剤を散布してきたが、これはいもむしを森に追い込むことになった。さらにギニアやシエラレオーネへの越境を引き起こす恐れがある。卵を産むために虫は樹に上るから、空中散布だけが拡散を止めることができるという。

 ウィンフレッド・ハモンドFAOリベリア代表によると、リベリア北部・中部のおよそ100の村と隣国ギニアの6つのコミュニティが影響を受けている。何百万ものいもむしの大群が行く手のすべての植物を食べつくし、糞で井戸を汚染し、流れをせき止める。家や建物の中に群がり、住民が追い出されているところもある。

 ハモンド代表は、今や多くのいもむしが殺虫剤の届かない地中にもぐったことで、事態はさらに悪化すると恐れる。1週間から12日後に再び現れるときには羽化して蛾になっているだろう。蛾は1000qも飛び、一匹が1000もの卵を産む。”これは大惨事のレシピーだ”。

 他方、いもむしが高いところに上ることについては”異常行動”と訝る。通常は地面近くにとどまるからだ。本当に軍隊いもむしかと疑って検査をしたが、やはりそうだった。彼は”異常行動”の理由を説明できない。このような大発生に至った理由とともに、気候が関係しているのではないかと推測する。

 時間との戦いは困難を極めそうだ。今や50万の人々が非常事態下にあるというが、どこまで広がるか予測もつかないのが現実のようだ。

 Race against time in Liberian Armyworms plague,FAO,1.29
 http://www.fao.org/news/story/en/item/9919/icode/
 LIBERIA: Markets empty after worm invasion,IRIN,1.26
 http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=82571