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デンマーク、ロボットで除草剤70%削減の実験

農業情報研究所WAPIC)

03.6.7

 デンマーク農業科学研究所の開発研究者が作物の間の雑草の位置を描き出すロボットの開発試験を行なっている。これを利用して農民が選別的に除草剤を散布すれば、薬剤使用を70%減らすことができるという。New Sientist Newsが伝えている(Weedkilling robots slash herbicide use,New Sientist News,03.6.3)。

 4輪のロボットが圃場を動き回り、カメラで特定の形状の植物を認識する。ロボットが認識した雑草に選別的に散布するシュガー・ビート圃場での実験で、除草剤使用を70%節約できたという。ただし、除草剤は非常に安いから、この程度の節約ではコスト削減の効果は大したことはない。しかし、ロボット開発の狙いは環境影響を減らすことだと開発者は言っている。ロボットが雑草を引き抜くことで、除草剤使用を回避するのが長期的目的。

 開発者によれば、雑草退治のロボットは既にアメリカで使われているが、植物の種類を区別できず、緑のものをすべて雑草と認識してしまう。従って、鉄道や空港滑走路の雑草を一掃するのに使われている。

 開発途上のロボットは、サイズや葉の対称性など、15のパラメーターによって雑草の形状を識別する。しかし、デンマークでのシステムの実用化のためには、なお40以上の広葉雑草を見分ける方法をこれから開発せねばならない。ただ、これは時間だけの問題だという。

 開発者は、最大の挑戦は世界中の穀物畑で共通の問題となるか科本科雑草を見分けることだと言う。

 このようなロボットの開発はしばらく後のことになりそうであるが、実現すれば、確かに有機農業や環境汚染の削減に大きな福音となりそうである。ただ、農薬メーカーや除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)作物のメーカーはどうするのであろうか。