農業情報研究所農業・農村・食料農業と環境・動物福祉ニュース;2017年10月21日

ドイツ自然保護区域 飛翔昆虫が激減 インセクタゲドンの元凶は気候変動と集約農業

オランダ・ラドバウド大学の研究者等から成る研究チームがドイツの63の自然保護区域に生息する飛翔昆虫の数(バイオマス)を調べた。トラップによる捕獲を通じて得られたデータによると、飛翔昆虫バイオマスは過去27年の間に76%、真夏に限ると82%減少していた。

 More than 75 percent decline over 27 years in total flying insect biomass in protected areas,PLOS ONE, October 18, 2017http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0185809

 あれこれの種の消滅ではない、バイオマス総量のこの減少は、昆虫を重要な食料源とする鳥や動物のみならず、授粉を昆虫に依存する植物に重大な脅威が迫っていることを示唆する。

  研究者は、この減少の原因は確認できていないが、恐らく気候変動と集約農業(農薬使用、耕起、肥料の多用)だろうと言う。イギリス・ガーディアン紙のコラムニストは、このハルマゲドン(世界の終り)に通じるインセクタゲドンの主犯は農業(と工業的漁業)であり、我々自身と生物界を救うためには次のことが必要だと言う。

 ①世界的な農薬規制条約、

 ②農業と漁業の環境アセスメント、

 ③アセスメントの結果に基づく強固なルールの確立。土地を利用する者に対する生態系保護と再建の義務付け、

 ④食料生産を支えながら使用する土地の量を減らすこと。そのために、家畜利用を減らすこと―飼料生産のための土地利用を減らすこと、

 ⑤車を動かすためのバイオガスと燃料を作るためのトウモロコシ栽培をやめること

Insectageddon: farming is more catastrophic than climate breakdown(George Monbiot),The Guardian,17.10.20

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A giant insect ecosystem is collapsing due to humans. It's a catastrophe(Michael McCarthy),The Guardian,17.10.21