台湾農民、低米価に抗議

農業情報研究所(WAPIC)

03.11.4

 台湾メディアの報道によると(*)、10月31日、一農民グループが米の政府買い入れ価格が低すぎると立法院と行政院農業委員会に対する抗議集会を開いた。立法院が価格について公聴会を開いたこの朝、ほとんどが50歳を超える150人ほど農民が立法院前に集合、米2キロがタバコ一箱の値段だと叫び声をあげた。

 抗議行動は台湾の米所、嘉南平原の自助生存のために闘う農民団体が組織したものである。政府は米を買い入れると同時に、農民が米作を止めるように奨励してきた。作物転換、職業転換を求めている。しかし、農民はこれを拒否、一層の政府資金による価格助成を要求してきた。

 政府はキロ16.6台湾ドルしか払わないが、生産費はキロ23台湾ドルになる。生産費を償う価格を要求している。1123日に予定されている農漁民のデモ行進のオーガナイザーは、現在の支持価格では、農民は生産で稼ぐどころか、1エーカー(約0.4ha)当たり26千台湾ドルの損失が出ると主張している。

 立法院内での公聴会も白熱した。農民代表は大声で叫び、机を叩いて、政府は農民の苦労がわかっていないと農業委員会官僚を責めた。人民進歩党は来年与党から離脱すると脅し、農民代表の喝采を得た。農業委員会副委員長の戴振耀は、価格算定で土地費用を考慮し損なったと弁明、再計算を約束したという。しかし、農業委員会は、午後には、WTOルールを侵犯することになるから、助成増額は考えないという声明を出した。台湾はWTO加盟後、国内助成を20%削減することを約束している。すべての農産物についての補助金も毎年削減せねばならない。

 *Farmers protest low rice price,The Taipei Times,11.1 

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農業情報研究所(WAPIC)

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