中国専門家 農地”三次元汚染”の穀物生産への悪影響に警告

農業情報研究所

05.12.12

 チャイナ・デーリー紙が伝えるところによると、中国の農業専門家が中国農地は水・土壌・大気汚染のために穀物生産量を毎年400億kgも失っていると推計している。農業生産を脅かす汚染は、主として肥料・殺虫剤・除草剤・生長調整剤などの化学物質の長期にわたる不合理な使用から来る。また、動物排泄物や農地廃棄物の不適切な処理、工業・家庭下水による灌漑、固形・液状・気体排出物、酸性雨からもの来る。中国農業科学院の研究者・Cao Dingxiong氏は、個別に、あるいは合体して農業生産に影響を与える水・土壌・大気汚染は、中国の”農業三次元汚染”と定義されてきたと言う。

 Pollution has heavy impact on grain output,China Daily,12.10
 http://www.chinadaily.com.cn/english/doc/2005-12/10/content_502171.htm

 同紙によると、現在、中国の耕地の肥沃度の低下が始まっており、低収量の農地の比率は40%になる。汚染された土地全体の中で、農地は6分の1を占め、これら農地には高濃度の有機化学物質が残留している。650-700万haの農地が工業・家庭下水で灌漑されている。さらに、土壌浸食の被害を受けている土地は367万国土の3分の1に及ぶ。

 専門家は、”農業三次元汚染”と戦うために、農民は肥料・農薬・その他の農業資材の利用の効率を改善する必要があると警告している。環境汚染は農業生産の将来にも暗い影を落とし始めたようだ。

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